パイ投げハロウィンLive南北アメリカ

種類 ショート
担当 有天
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/27〜10/31

●本文

「ハロウィン♪ ハロウィン♪ ハロウィンパーティ、楽しみだな♪」
 ドーナッツに飾られたパンプキンヘッドのピックを抜き乍ら、インターネットコンテンツサービス会社の在宅職員ロック・ライフ(23)はパソコンの画面に写し出されている「ROCK・AWARS」のHPを見ていた。

 年に1回だけファン感謝の意味を込めて行われるオフ会「Cheerful piggy pie(陽気な子豚ちゃんパイ)」は、ハロウィン前後に行われる。
「気持ち早いけど、会場が取れなかったからな‥‥まあ、遅くなるより全然いいか♪」
 前向きである。

 このオフ会、一度開催した場所では2度と開けない曰く付きの『パイ投げ』が伝統である。
「去年はスプリンクラーに、パイが当って動いたんだよな。ベトベトの上にぐちゃぐちゃで楽しかったな♪」


●ROCK・AWARSオフ会「Cheerful piggy pie」
 観客&出演者、スタッフ募集!

●出演について
 ソロ、グループ問わず、テーマはハロウィン。
 歌詞&曲はオリジナルのみ、歌のみ(歌手ソロ)曲のみ(バンドマンソロ)の参加も可能♪
 貸し出し可能楽器は、ピアノとドラムセットのみ!

●注 意!
 ラストに恒例の観客・出演者、スタッフ総出のパイの投げあいがあるよ。
 ライブは出る(見る)けど、パイ投げ不参加ってのは認めないからね。
 だけど、クリーニング代は持ちませんのでよろしく!

 尚、武器類の携帯は不許可だよ。入り口にお預けて頂けない場合は、入場不可だよ。
 場合によっては、僕のコレクションにしちゃうからね。

 要仮装! オリジナルのみ。既存キャラクターは不可! 会場内、飛行不可!
 会場に更衣室がないので、必ず事前に着替えてくる事。
 折角のハロウィンなのに仮装を忘れた場合は、僕がヒゲを描いちゃうよ♪
 勿論、男女差別はないから安心してね♪

●今回の参加者

 fa0318 アルケミスト(8歳・♀・小鳥)
 fa0348 アレイ(19歳・♂・猫)
 fa0365 死堕天(22歳・♂・竜)
 fa1737 Chizuru(50歳・♀・亀)
 fa1861 宮尾千夏(33歳・♀・鷹)
 fa2266 カリン・マーブル(20歳・♀・牛)
 fa3211 スモーキー巻(24歳・♂・亀)
 fa4508 ミーツォ・アムール(34歳・♂・虎)

●リプレイ本文

「やあ、遠い所をありがとう、皆よく来てくれたね。ハロウィンライブを皆で盛り上げよう♪」黒縁メガネをかけた小柄で小太りの男ロックが、一同見回してこう言った。
「今回は照明と音響を担当させてもらうわ。後、禁止事項を壁に張ったりしようと思っているわ」と白い雨合羽のような幽霊の衣装を着た宮尾千夏(fa1861)。
「‥‥アルケミスト‥アルミで結構‥よろ‥しゅうに‥‥」と座敷わらし風の着物にドクロの仮面をつけたアルケミスト(fa0318)
「OK! 千夏にアルミ、よろしく♪」と親指を立てるロック。
「がおー♪ 俺はミーツォです。よろしく」と赤い首輪をして完全獣化したミーツォ・アムール(fa4508)。
「今回はちょっと大変だけど、よろしく♪」

「パイは沢山必要になるようですので、沢山準備しなくちゃですね〜☆」と白い魔女の格好をしたカリン・マーブル(fa2266)。かなり胸がきつめのセクシーボディにミーチョの目が釘付けになっている。
「観客として参りましたけれど、裏方が足らないようならパイ作りのお手伝いをしようと思って参りました」とChizuru(fa1737)は『自由の女神』の衣装である。
「THANK’s♪ カリンに千鶴さん、人では幾らでも足らないから。もちろんヴァレス君も手伝ってくれるよね♪」
「ええ、俺も?」と黒いマントに黒い鎌を持った死堕天(fa0365)。どうやら『死神』らしい。
「普段見れない裏が見れる特典を君も得たということで♪ 鎌は受付で預かっておくから、思いっきり心行く迄手伝ってくれ」
 スタッフの水着バニーがヴァレスのモウイングを奪って行く。
「ちゃんと返してくれよ! 大事な物なんだから」


●全部で7色? カラフルパイ!
「シェービングクリームでパイを作る所もあるけど、それは邪道だからね。僕としては、やっぱり生クリームじゃなきゃ♪」とロックが言う。その手には、何時の間にかケーキバーが握られている。

「パイの方は、味付けとかはどうすればいいんでしょうか? やはりハロウィンと言うことですのでカボチャの味でしょうか?」とカリン。
「取りあえずクリームスプレー缶は、プレーンにイチゴ、チョコとバナナを買ってあるよ」とロック。
「砂糖不使用『カロリー0』タイプなんですね」とスプレーを手に千鶴さん。
「うん、気にする人がいるからね」とロック、その手にはカウチポテトの袋が握られている。
「スプレー缶は手軽だから、投げ始めた後の追加パイ用に取っておくか」とヴァレス。
「となると、やっぱり泡立てるんですね。気を着けないと腕が太くなりそう」とカリン。
「今回作るパイは『食べるパイ』と『投擲用パイ』。各々出来上がったら会場の両脇にあるテーブルに置いてね♪ 僕が味見をするから」
 おいおいである。

「何個かに一個の割合でぶつけた瞬間に真っ赤や真っ黄色に変わる変わり種を作るというのも面白いかもしれませんね〜☆」と出来上がったばかりのパイを並べて行くカリン。
「‥‥ロシアン‥ルーレット‥それ‥面白い‥です」
 『投擲用パイ』は皿に生クリームを山盛りにしているだけのパイと呼ぶには微妙な代物。
 特に千鶴さん提案で経費節減の為に砂糖なしであるが‥‥「スペアミント味、これ歯磨き粉の味がする」と投擲用のクリームを試食したロックが閉口した。

 色とりどりの生クリームを千鶴さんとカリン、ヴァレスがせっせと泡立てる。
 アルミはせっせと生クリームを皿に盛っている。ひたすらせっせ盛る。せっせっせと盛る。
 そして、パイをせっせと食べる。‥‥‥誰が?
「パイの数、減ってません?」とカリン。
「‥‥パイ‥美味しい‥です‥‥」
「うん、このフルーツがなんともいい。もう1、2皿欲しいね」
 何時の間にかロックと一緒にアルミが千鶴の作ったフルーツパイを食べていた。
 ロックとアルミの二人が、キッチンから放り出された。


●ライブパーティスタート
 ロックが用意したバンドは3組、ポップロックとハードロック系グループ、コミックバンドである。
 ミーチョはコミックバンドのドラムを叩いていたがパーティ中盤、自ら「カボチャー オレンジー ハロウィーン 大好きー」という感じの童謡のような微妙な脱力系の歌をピアノの弾き語りで披露してみせた。
 筋骨逞しい虎男のこのギャップは、大受けだった。
 歌い終わってステージを降りて来たミーチョは「可愛い♪」とか「肉球、触らせて♪」「何処でメイクして貰ったの?」と女の子に質問攻めにあう羽目になった。
 本人はかなり嬉しそうである。

「あれ? どうしたのこんな所で?」
 壁際に立つ千鶴さんを発見してロックが寄って来た。
「わたくしも歌いたいですが、ジャンル違いなのでこっそりと拝見しております」
「ああ、千鶴さんはオペラ歌手だったよね。最近はオフブロードでロックオペラとか上演しているけど、まだまだ数は少ないしね」
 ライブも最後の曲となり、いよいよパイ投げスタートである。

●怒濤のフィナーレ
「今日は楽しんでくれてたかい? ちょっと早いけど今年一年の感謝を込め‥‥まあ、クリスマスもあるけど、それまで年内適当に頑張ろう!」マイクを握るロックが特大パイをお約束でコミックバンドのメインボーカルの顔に叩き込む。
「TRICK or TREAT!」の掛け声と共にパイ投げのスタートである。

「若い人って元気ですわねー」と壁の花と化して傍観している千鶴さん。
「折角、入り口で注意書きを渡したのに‥‥」
 開演前に「してはいけない注意事項」をプリントアウトして来場者に配っていた千夏だったが、曲を聞きに来るよりパイ投げを楽しみに来る奴が多いのである、会場のパイ投げは最高にエキサイトしていた。
 ひっきりなしに飛んでくるパイを軽いフットワークで避け乍ら、パイを机に補充して歩くカリン。
「力を! 俺に元気を分けてく‥‥ぐは!?」ヴァレスの後頭部にパイが炸裂する。
 倒れたら最後、集中放火の餌食である。良く見れば集中放火を浴びるのは180cmを越える成人男性ばかり。女性や未成年者を避けているのは『千夏のプリントの効果ではないか?』と千鶴さんは言うが、千夏曰く『あまり効果が出ていない』との事である。
「余り心配する事はないよ。こういうのは思いっきりやったほうが意外と後腐れない。子供のケンカと同じでストレス発散に丁度いいよ」とロック。

 ぐしゃり。そのロックの側頭部にパイが炸裂する。見ればミーチョが仲良くなった女の子と連係してパイを投げてくる。流れパイが千鶴さんと千夏にも当る。
「汚れたついでですわね♪」といきなり楽しそうに参戦する千鶴さん。
 自分でせっせと作ったパイをミーチョに向かって投げはじめる。
「皆、溜っているなぁ。たまにはこういう日がないとね」
 ロックは何ごともなかったかのように頭についたパイを叩き落とすと、呆れる千夏を余所に今度はトレイを盾に『普通のパイ』を悠然と食べ始めた。
 アルミと言えば、パイを投げに参戦せずに机の下でせっせとパイを食べている。
「‥‥‥目指せ‥‥パイ‥完食‥‥‥」

 千鶴さん、自分にパイをぶつけたモヒカンに狙いをつけてパイを投げるが、丁度入って来た警官の頭に当る。
「この騒ぎの責任者は誰だ!」
 どうやら会場の隣家からの苦情通報でやって来た警察官であるが、全員がコスプレしているハロウィンパーティ会場である。誰も本物の警官と思わないので「良い的(まと)が出来た」とパイの一斉放火を浴びる。
 怒って銃を抜く警官。慌てたのはロックである。客、スタッフ、出演者、ここの関係者で銃を持っている者はいない。つまり本物の警察官である。
「千鶴さん、あの警官にして『奪意闇波』して!」
「え?」
「あれ、本物だよ。このままじゃあ僕、逮捕されちゃうよ!」と焦ってロックは言った。
「しょうがないわね。『皆が楽しく』がハロウィンですものね」
 千鶴さん、渋々会場の端で半獣化し、奪意闇波を放つ。特殊能力の効果が出ている事を確認して、ロックはにっこり笑って言った。
「僕が責任者です♪」

●終わりよければ全てよし?
 近隣から苦情が出たが、珍しく「2度と来るな!」とオーナーから言われることなくハロウィンライブパーティは無事終了した。
 ひとえに余りにも酷いマナー違反の連中はカリンが会場から放り出し、千夏が機材や家具の養生をしてくれていたおかげで、最小限の被害ですんだからである。

「今年は会場も壊さなかった。警官が来ちゃったのはびっくりしたけど、千鶴さんのおかげで助かったし‥‥なにしろ、皆はサプライズってウケていたよな。‥‥しかし絶対、今日一日心労で体重が5kgは減った気がする」
 そう言い乍ら、最後のパイを美味しそうに食べるロック。

「いつもはオフ会は年に1回だけだけど、クリスマスにもパーティしてみるかな? その時、もうちょっと大きな会場が借りれるといいけど、また皆懲りずに来てくれるといいな♪」
 どうやらバカ騒ぎは暫く続くらしい。