Allstar運動会冬 寒獄アジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
やなぎきいち
|
芸能 |
2Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
易しい
|
報酬 |
2.7万円
|
参加人数 |
10人
|
サポート |
0人
|
期間 |
01/22〜01/26
|
●本文
●Chapter 0
雪降るスキー場に設置された特設ステージにカメラが移る。
「さて、次の競技は!! 君は何処まで耐えられる!?」
ドラムロールが鳴り響き、ステージに立つ赤白それぞれのリーダーと司会者がマイクに叫ぶ!
「「『限界に挑戦、寒中我慢大会〜〜ッ!!』」」
タータンチェックのスカートの愛らしい女性司会者がカンペに目を走らせる。
「こちらの競技は赤白対抗の得点競技です。ルールは簡単☆ それぞれのチームから選ばれた4名ずつの選手たちにあちらに用意したテーブルに就いていただきます。寒さと誘惑に最後まで耐え切ったチームの勝利、最後まで残った変人──もとい猛者には金一封を差し上げまーす!」
どこで呼吸をしたのだろうという勢いと滑舌の良さ。愛らしい服装だがアイドルではなく、滑舌と同じほど滑らかなペタ胸をしたバラエティ担当の女子アナである。
「ものすごい単純競技やなぁ」
「そうですよね。でも単純だからこそ勝敗が明確に出てしまう恐ろしい競技でもあるんですよー」
にこやかな笑顔で言い放つ女子アナ、どこからどう見ても他人事である。
「寒中我慢大会の後には『着ぐるみスキー1on1』の1本勝負が控えてますよ〜、チャンネルはそのままでーっ!」
◆
ルール説明
・『限界に挑戦・寒中我慢大会』
1:赤組・白組からそれぞれ4名(妨害工作員込み)ずつ参加。
2:水着(女性のみ夏服着衣可)で氷のテーブル(イスはパイプイス)に就き供されるモノを食べる。
3:妨害は選手に触れない範囲での誘惑のみ可能。妨害工作員は競技に参加できない。
4:テーブル&イスのあるエリアから出たらアウト、暖かいシチューや温泉が待ってます♪
5:最後まで耐え抜いた変人──もとい猛者には番組から金一封☆
6:一般客の目があるため、獣化・半獣化は禁止です。
・『着ぐるみスキー1on1』
1:寒中我慢大会に参加参加していない者が赤組・白組から1名ずつ参加、裏方さん推奨。
2:着ぐるみに異変を生じない限りは獣化・半獣化可能。
3:1本勝負。
4:着ぐるみは白組用にウサギ、赤組用にクマが用意されています。
●リプレイ本文
●第2競技 寒中我慢大会
「それでは、さっそく第2競技『寒中我慢大会』を開始いたしましょう!」
女子アナの甲高い声がマイクと安いスピーカーを通じて会場に響くと、有象無象のギャラリーが沸いた。心なしか男性が8割程を占めている気がしなくもないが、きっと気のせいだろう。
「それでは、赤組の可憐な選手の皆さんをご紹介します。ルリアス・レクシアさん、森守可憐さん、畑下 雀さん、稲森・梢さん──‥‥」
名を呼ばれ赤組選手の4名が進み出る。森守可憐(fa0565)はサイドにスリットの入った青いサマードレスという清楚な装い。下着代わりの水着は見ることは叶わない──残念。稲森・梢(fa1435)は鮮やかなオレンジ色のワンピースの水着を着用、十分にウォームアップされた肌がやや上気していて人目を引く。畑下 雀(fa0585)は薄ピンクのミニ丈キャミソールドレス、強調された生足に水色のミュール‥‥いや問題はそこではなくっ! そのドレスはデボ子の雰囲気に良く似合っている、さすが母親作。
「‥‥──以上4名の女性陣です!」
「いや、あの、見ての通り僕は男ですよっ」
「あら、ルリアス様は男物の水着なのですか?」
必死に主張するボードパンツのルリアス・レクシア(fa0313)へしょんぼりしたカレンの無邪気な攻撃、痛恨の一撃!!
「‥‥細かいことはどちらでも構いません!」
勢いで問題をスルーした女子アナは続いて白組へ向きを変え、カメラも白組をズームアップ。
「続いて、白組の選手の皆さんです。倉井 歩さん、霧島 愛理さん、御鏡 遥さん、藤元 珠貴さん──‥‥」
白雪のワンピースを選んだ霧島 愛理(fa0269)、冷静な雰囲気と秘めた勝気を感じさせる強い眼差しと相俟って一際冬を感じさせる。隣に立つ藤元 珠貴(fa2684)は今回が初仕事らしく緊張しているようだが、白地に青の花模様のホルタービキニに白と青のグラデーションのパレオと服装にも気合いが感じられる。ちなみに足元は髪に似た青灰色のミュール‥‥と珠貴もアイリに負けない寒々しい色合いだ。
「‥‥──以上3名のキレイドコロ+1名で〜す!」
「好きでこんな格好してる訳じゃないんですよ! 『+1』じゃなくて、せめて人間扱いしてくださいよっ!」
逃げ腰な服装を用意していた倉井 歩(fa0265)に与えられた試練、黒のビキニ‥‥美女に囲まれ天国地獄!!
「遥さんは水着は着ないんですか?」
問われた御鏡 遥(fa0368)はロングスパッツにダウンジャケット。確かにルールに則っていない。
「妨害役も水着だってことは無いよね?」
「‥‥‥オッケーです!」
ぐっと親指を立てる女子アナにヨウも親指を立てた。
◆
まず現れた敵は透明の分厚い氷──で作られたテーブルだ。雪の椅子に座らされ少しでも体温を保とうと擦り合わせられる白い膝頭もばっちりカメラに収まっていたり☆
「僕、頑張りますから、赤組の皆さん無理しないでくださいね‥‥‥」
華奢な肩を震わせながら仲間を気遣うルリアス。
「ふっ‥‥どうやら敵は貴方のようね‥‥。バラエティとはいえ勝負は勝負よ、絶対に負けないから!」
キッと睨むアイリの視線には気付かないルリアス。
早速火花の散り始めた我慢大会の舞台へ、コズエとヨウ、そしてLUCIFEL(fa0475)と風和・浅黄(fa1719)が何やら料理を運び込んできた。
「‥‥くしゅんっ! な、何が出てきてもとりあえず食べますよ」
「大丈夫ですわ。事前のアンケートに沿った、皆さんの好物を用意ですもの。どうぞ、召し上がってくださいな」
まず赤組のルリアスとデボ子へ緑茶が差し出された。お茶請けにはフルーツ大福。
「‥‥氷が浮いてるんですけど」
「これ、ホイップクリームじゃなくて‥‥ソフトクリーム‥‥?」
「だって、『寒中我慢大会』だからね♪」
硬直する二人へにこやかに微笑んだあさぎ‥‥二人の目には鬼のように映ったことだろう。続いて、同じく赤組のカレンへうどんが供された。
「‥‥おつゆが凍ってます」
「レディにこんなものを食べさせるのは忍びないのですが」
芝居掛かったルシフの言葉通り、半分シャーベット状になったツユは温かかったはずのうどんをキンキンに冷やしていて、食べたものを芯から冷やすものだった。
「こんなことしても体壊すだけだよ、美容にもよろしくないよ?」
「でも、お仕事ですもの。それに、お味はよろしいですわ」
耳元で囁くヨウの言葉にもほわわんと微笑みを返し余裕で食すカレン、意外な伏兵にアイリ思わず内心で舌打ち。
続いて白組。まず珠貴の好物が差し出された。芯まで冷たい茶碗蒸し、鶏肉に銀杏、それから三つ葉も忘れずに★
「‥‥冷製茶碗蒸しと思えば食べられなくもないかな。いや、いっそ‥‥出汁が効いたプリンと思えば‥‥」
「いや、それ美味しくないと思うんだけど‥‥」
同じプロダクション所属のあさぎ、思わず苦笑い。銀杏も苦味ばかりが先に立ちどうにも食べにくい茶碗蒸し、珠貴のように思考を切り替えなければ食べられたものではないだろう。
「愛理さんの好物、あたしと同じなんだね♪ あたしも食べちゃおっと、いただきまーす!」
ヨウがアイリの前に差し出したのはたこ焼き。ヨウがハフハフと食べるのはただのたこ焼き、けれどアイリのたこ焼きがただのたこ焼きのはずがない‥‥恐る恐る口に運んだアイリは思わず肩を落とした。
「シューアイス‥‥」
「ソースと鰹節はチョコレートでそれっぽく作ってみたんだって」
夏場なら美味しく戴けるだろうが、今は嫌がらせ以外の何者でもない。
「はいはいっ、俺カツ丼!!」
待ちきれず、コズエへ掴み掛からんばかりの勢いで立ち上がったくらへカツ丼が差し出される。
「パカッと丼の蓋を取ったときのあの感じがまた。湯気が立ち上ってメガネとか曇るんですよ、何ていうか、幸せな曇り方だよ‥‥ね‥‥」
蓋を開けた丼いっぱいに、なんだかどろりとした異様な物体。
「カツ丼は巧く冷せなかったので、シェイクにしてみたそうですわ。さあ、ご遠慮なく♪」
「俺、お笑い芸人じゃないのにぃぃ!!」
滂沱の涙を流しつつカツ丼シェイクを一気飲みするくら、ある意味‥‥漢。
◆
「ではここで、番組がらご用意いたしましたプレゼントをご覧ください、どうぞ!」
舞台背後に不自然に用意されていた2台のトレーラーが開いた。片方からはもうもうっと湯気が立ち上り、片方からは暖かな空気が漏れる。
「あれは‥‥ッ!」
──どうみても温泉とコタツ、である。
ドラマ撮影用のセットをそのまま運び出してきた温泉とコタツ。コタツにはミカンと煎茶が標準装備、少しでも温かさを維持するためにホットカーペットと数台のレトロなストーブが用意されていた。
──ガタンッ!!
勢い良く立ち上がった珠貴、肩を戦慄(わなな)かせながら誘惑と格闘!!
「‥‥‥‥‥‥想像すら凶器なのに、どうしてあそこに‥‥ッ!」
「‥‥温かい部屋、緑茶‥‥あそこであれを飲めたら‥‥‥‥‥‥‥い、いけない」
同様にうっとりと見つめたトレーラーへ足が進みそうになるのを必死に堪えるルリアス。その隣を軽やかに駆け、ダウンジャケットを脱いだヨウが温泉へ足を浸した。だんだんと体を湯に沈め、肩までしっかりと湯に浸かると強張った手足を伸ばした。
「くぅ〜、やっぱり温泉いいなぁ〜‥‥って、あれ?」
「‥‥はうっ、で、デボ子は何を‥‥っ!?」
ヨウの脱ぎ捨てたダウンジャケットに袖を通し肌を刺す寒さと衆人環視の視線から体を隠し──デボ子、脱落。
後で母親にもの凄く怒られるかもしれないが、それよりも今はこの温もりが欲しかったのだ。そしてコタツに足を突っ込んで‥‥スタッフが運んできたフルーツ大福を頬張った。至福の瞬間☆
「‥‥ルリアス様、申し訳ありませんが後はよろしくお願いします‥‥」
暖かな様子を見ていれば相対的に寒さも際立ってしまう。寒さに限界を感じ、喉を痛め控えている仕事へ影響を与えることも懸念して、カレンはルリアスに頭を下げた。
「ご苦労様です。後は任せてください」
血の気の失せた紫の唇ながらも気丈に頷く仲間に再び頭を下げ、暖を取るため温泉へ──カレン、脱落。
自分の意思で動かすこともままならぬ程に震える手で服を脱ぐことを諦め、服のまま温泉に浸かる。サマードレスとともに急激に温められた体中の血管が広がる。痛いような痒いような感覚に恍惚の表情でため息を吐くと、湯が大きく動いた。
「‥‥‥‥あら?」
「‥‥‥‥あはは‥‥」
ミュールを脱ごうとしてバランスを失った珠貴が湯の中に足を滑らせたのだ。苦笑しながらもスタッフから暖かな茶碗蒸しを手渡され、どこか満足げな──珠貴、脱落。
「ほらほら〜ぬっくいよぉ〜。我慢しないでみんなも温泉おいでよ」
「うう‥‥ッ、ごめんなさいっ!! とおっ!」
温泉と美女たちの誘惑に抗えず──くら、脱落。
「大丈夫ですか?」
気遣ったカレンが強張ったくらの腕を揉み解さんと隣に寄ると‥‥スリットから覗く白い足が、そして青いサマードレスにくっきり浮かぶ白い下着‥‥もとい水着が気になって気になって気になって‥‥
「俺はこれでも男なんだ、俺は悪くないんだぁぁっ!」
温泉から脱兎のごとく駆け出したくら‥‥合掌。
「‥‥熱すぎたのでしょうか?」
「風邪引かなければいいけど‥‥」
それは絶対に違う、と内心でツッコミながら珠貴もくらの身を案じた。
◆
残るはアイリとルリアスのみ。相手が男性と見るや、アイリは白雪のワンピースをバッと脱ぎ去った!!
「私としたことが、フェアじゃなかったね。ここからが本当の勝負よ!」
夏を思わせる大輪の向日葵の水着を纏い、ガクガクと震えはじめるアイリ。
「あの、あまり無理をなさらない方が‥‥」
「ああああなたこそ、そろそろ限界じゃなくって?」
「‥‥二人とも、無理は良くなくってよ?」
──水端リューネ、降臨。
「リューネさん!?」
アイリ、実はちょっとファンの様子。その反応に目敏く気付いたリューネがアイリに歩み寄ろうとした所へ、コズエが立ち塞がる!
「愛理さんは駄目です!」
「梢なら良いのかしら?」
耳元へ、息を吹きかけるように囁くリューネ。カメラの死角で水着のラインに指を滑らせ、肌を擽る指に気が向いた隙に耳朶を甘噛み☆ 不意に耳の後ろへ息が掛かり、コズエの体が跳ねた。
「ききき、きゃあぁぁーっ!!? ‥‥は、反則‥‥」
「貴女さえ良ければ、是非背中を流してほしいのだけれど?」
硬直したコズエの脇をすり抜けアイリへ背中からしな垂れ掛かるリューネ。温泉と、リューネと、そして忘れかけていた人肌の温もりに──女王アイリ、屈服。
「‥‥──ということで、第2競技・寒中我慢大会は辛くも赤組の勝利です!! ルリアスさん、赤組の皆さん、おめでとうございます〜!」
●第3競技 着ぐるみスキー1on1
「さあ、続いて第3競技に参りましょう! 『着ぐるみスキー1on1』でーす!! 赤組代表のウサギさん、白組代表のクマさん、準備はよろしいですか〜!?」
「‥‥紹介も無しかよ」
ウサギさんの着ぐるみを身に纏ったルシフがボソッと呟いた。そもそも裏方のために用意されていた競技なのだからと宥められ、顔を出さずに競技をすることは渋々納得させられたルシフであるが‥‥まさか名前も出ないとは!
「ルシフさんとレースなんだね。野郎なら気兼ねなく全力出せるから安心したよ♪」
クマさんことあさぎは
『それでは、第3競技・着ぐるみスキー1on1、スタートです!』
──プワァァン‥‥
滑走開始を告げるブザーと共に、2体の着ぐるみが飛び出した!!
──シャアアッ
ウサギさんが雪煙を上げてシュプールを描く!
「ウサギさぁん、頑張って〜!」
黄色い声援にはもちろん手を振るのがご愛嬌、そしてそれはルシフの本能でもある。
──シャッ!
鋭くエッジを効かせルシフを抜き去るあさぎ! 事前にコースを入念に下見したあさぎ、その時点で一歩リード。
身体のサイズ、重心の変化等を加味したコース取りをいくつか想定し、やるからには相手が友人だろうと手は抜かないあさぎである。珠貴もじっとクマさんを見守っている。
「ちっ!」
舌打ちし猛然とあさぎを追い始めるルシフ。逃げるクマに追うウサギ、これが童話ならなんともシュールな光景である。
その時、会場に動きがあった。温泉から逃げ出し暖を取るために予備の着ぐるみに潜り込んでいた‥‥そう、くらである。裏方さんと勘違いされ、カメラを持たされたくらは後を追うように滑走を開始したのだ。
「う、うごきにくい! これ、痩せてる人用なんじゃないの?! 毛皮のもこもこが滅茶苦茶、邪魔! ‥‥ああ、もうどんどん離される! 駄目だ、転がっていこう。とう!」
──ゴロゴロゴロ
「って、転がるのってこんなにコワイのかよ! だれか止めてくれぇ〜〜」
──ゴロゴロゴロ
「ええっ!? パンダ!?」
ものすごい勢いで転がってきた雪だるま‥‥もといパンダ、避けきれない!!
巻き込んだあさぎごと白樺へ激突!!
「たぁぁすけてぇぇ〜‥‥」
絡み合い雪に埋もれるクマとパンダを尻目に冷然と滑走を続けたルシフ、あっさりとゴール!!
──しかし、これは当然滑走妨害、当然反則。
「ということで、白組の反則により第3競技『着ぐるみスキー1on1』も赤組の勝利、そして2試合連取で赤組が逆転です! でもまだ勝負は判りませんよ〜? CMの後も、チャンネルはそのままでお楽しみください」
「‥‥‥」
後の打ち上げにくらだけ呼ばれなかった‥‥という噂がスタッフの間に広がるのはもっと後の話★