巨乳戦隊パインポインアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
やなぎきいち
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
9人
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サポート |
0人
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期間 |
02/15〜02/19
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●本文
パインポインはコスチュームの名前だと、心無い視聴者は言う。
なぜなら、子供向けの戦隊モノで言えばレッドの位置にくる紫ラメを中心に、ピンク・ゴールド・シルバー・ブラック・ブルーなど様々な色のコスチュームが用意されているのだ。
デザインは二種類。胸の谷間を強調するタイプと、下乳チラリが売り物のタイプ。
時折り羽があったりするが、基本的にはついていないようだ。
それから、顔の中心にハートが来るありきたりなデザインのフルフェイスヘルメット。獣耳がついていたりすることもあるが、こちらも基本的にはまぁるいフォルムの安っぽい被り物だ。
──顔が見えないじゃないかって?
巨乳戦隊パインポインに必要なのは顔ではない!! 巨乳のみ!!
垂れた巨乳であってはならない、しっかりと形を保った美しき巨乳だ!!
そして、決して美しさを捨てた爆乳であってはならない!!!
ネット上などでは『毎回紫ラメ以外の中身のメンバーが違う』という批判も多いが、コアなファンは谷間や下乳でその日のメンバーを見分ける楽しみがあって良い、と言う。
そして何より、乳しか見ていない大部分の視聴者にとっては、中に誰が入っていようと、美しき巨乳が愛でられれば構わないのだ。
「‥‥まあ、貧乏くじってのは言い過ぎだったかもね」
言葉とは裏腹に、どこかつまらなさそうに呟くのはもも☆きゃぶの小悪魔系巨乳アイドル水端リューネである。きつめの顔立ちから漏れる溜息と共に、つんと上を向いたたわわな胸がぷるるんと弾む──見ていて心地よい。
顔が売れない、それは確かに芸能人の出演する番組としては致命的なまでの貧乏くじかもしれない。いや、貧乏くじだと断言できよう。当然、外見同様のわがままっぷりを発揮するリューネが比較的大人しく番組に協力するにはそれなりの理由がある。
ひとつは、敬愛する社長の命令であること。
そしてもうひとつは、その場が彼女独特の性癖に適うものであること。
そう、彼女は──男性も好きだが女性はもっと好き☆ なのだ!! 中でも巨乳の女性には目がない、まるで助平親父そのもの!
当の助平親父‥‥もといリューネはぐるりと周りを見回した。セットにお金をかけないため、撮影はロケがメインである。それも、どこかの商店街とか、デパートの屋上とか、ゴルフ場とか、パッとしない場所ばかり。今日は駅前の公園を占拠しての撮影である。もちろん役所の許可は取ってあるし、当然撮影は深夜だ。凝ったセットに焦がれることもあるが、そんな身近なロケーションも人気の一端なのだと言われれば諦めるしかない。
他にも、時折り織り交ぜられる本格的なアクション、ナイトウォーカーとの戦いも人気を支えているようである──が!! 何といっても一番の売りは巨乳!!
ちなみに、『顔の無い主人公』ことパープルラメが初めての代替わりをして以来コアなファンが増えたという噂もあるが、真偽のほどは定かではない。
そんなパインポインの今回のコンセプトはチョコレート、バレンタインである。
キョニューンの手を逃れつつ、野次馬たちに義理チョコを配るのだ!!
もちろん、リューネ姫のご機嫌取りも忘れずにねっ☆
●リプレイ本文
●緊急事態発生★
今日も今日とて水端リューネの機嫌は悪い。何が原因かは言うまでもなく。
「‥‥撮影が出来ないってどういうわけ?」
不幸だったのは八つ当たりをされたスタッフだ。撮影に使用する大量のチョコレートを抱えよろよろと運んでいたAD、日向 美羽(fa1690)は突然の雷にチョコレートをぶちまけた。
「す、すみませんっ。何度も連絡してるんですけれど携帯が繋がらなくて‥‥」
頭を下げ慌ててチョコを拾うが、余程慌てているのだろう、拾う端からまた落とし。
「美羽お姉さま、少し落ち着いたらどうです?」
半ば呆れた緑川メグミ(fa1718)が横合いから口を挟んだ。それがまた、リューネ様の機嫌を損ねてしまった様で‥‥
「リューネさん、イライラは肌に悪いですから待っている間にお茶にしませんか?」
意を決した槇島色(fa0868)が持参したローズペタルのハーブティーを取り出すと、どうやら一旦矛を収める気になったようだ。
「皆さんもいかがですか。美肌効果もありますし」
「こんなことで懐柔したって、ヒンニューダーは手加減しないからねっ!」
提案した色からカップを受け取った西村・千佳(fa0329)が元気良く言い放った言葉にメグミが溜息をひとつ。巨乳がずらりと並ぶ中に立つと自分の胸が洗濯板のように思えてくるのだ。
じーっと胸を見つめる視線を感じつつ、リスフィア・マーセナル(fa1879)はそっと紙の手提げを取り出した。
「折角のバレンタインなので‥‥お世話になっているお礼にと思って‥‥」
「む、出遅れてしまったな」
しかし苦笑した小鳥遊真白(fa1170)が持ってきたのはチョコレートリキュール、仕事前のためこちらは撮影後に贈るつもりだったようだ。
「あら、可愛いことをしてくれるのね。‥‥何かお礼をしなくちゃいけないわよね★」
満面の笑みを浮かべたリューネに不穏当なものを感じ、リスフィアは反射的に後退って──稲森・梢(fa1435)が庇うように前に立ち、その顔を見て小悪魔的な微笑みを浮かべた。
紫色に染まる夕刻、妙な緊張感が漂う中──引き金を引いたのはちゃっかり巨乳の親玉‥‥もといリューネの隣に陣取っていた、『何事も体当たり!』が信条の河辺野・一(fa0892)の一言だった。
「リューネさんは女性が恋愛対象なんですか? 美人なのに勿体無いですね」
途端に女性陣へ緊張の糸が張り詰める!!
「あら、男性に興味が無いなんて言った覚えはないけど?」
妖艶な笑みを浮かべたリューネは一の手を取り、自らの太腿へ招いた。じーっと成り行きを眺める千佳の年齢を一応は考えた色がハーブティーを注ぎ直した。
そんな最中AD美羽の携帯が軽快な着信音を奏でた。発信者は、ここへ来るはずだった人物。
「はい、日向です。どうなさったんですか、連絡がつかなくて困ってたんですよ‥‥え、ええっ!? そんな、困ります! ま、待ってくださ‥‥っ!!」
言葉を交わし真っ青になった美羽の様子で一同は内容を察した。通話が終わると共にリューネが居丈高に言い放った。
「‥‥仕方ないわね。美羽、貴女の胸を見込んでパインピンクに任命するわ」
「パイポイやらなくちゃいけないんですか〜〜!? かなり恥ずかしいんですけど‥‥」
真っ赤になってぼやくが仕方ない。キョニューンを削ることはできないし、千佳やメグミには物理的に無理があるのだから。
「それでも4人だな。パイポイは5人の設定だったはずだ」
「心配ないわ、真白。5人目は一が演るもの。さあ、エナメルブラックとパールホワイト好きな方を選ばせてあげるわ」
「ええっ!? あの、拒否権は」
「私の言うことに何か不満でもあるのかしら」
──コスチュームが着られるのなら、胸の大きさはあまり関係ないのかもしれない。
紆余曲折を経て、今回のキャストが決定された。
パインポイン役はリューネがパープルラメ、リスフィアが前回に引き続きブルー、色がカーマイン、そして美羽がピンク、一がブラックともう一役。
対するキョニューンは、梢も引き続いて百獣将軍グラマラス、真白がシスタークロウ。
今回、何故か設置された第三勢力ヒンニューダーはメグミがグレイスを、千佳はチカを演じることとなっている。
そして、すっかり日も暮れ夜になると半ば強引に撮影が開始されることとなった──‥‥
●モテない男に愛の手を☆
──店の宣伝を兼ねた『義理チョコ配布キャンペーン』、そんなことを企画したパティシエがいた。
──恵まれない男性にバレンタインチョコを分け与えたいと提案した深紅の女性がいた。
彼らが手を組んだのは至極当然のことだった。
「はい、いつもパインポインを応援してくれている貴方に、愛をこめて」
「うぉ、その胸は‥‥槇島色さんっすね! やった!」
「ち、違います、カーマインです!」
カーマイン、職業柄胸を見られることが多いのかバレバレであるが肯定しないのがルールである。
「リスフィア、じゃなくてブルー、俺にもチョコ!!」
「あ、はい。どぅぞ、大事に食べてくださいね‥‥」
リスフィアもバレバレである。なんというか、視聴者の胸識別スキルは馬鹿にできないようだ。
「ブラックもよろしく!」
「てめー、明らかに男だろ! ヤローにチョコなんて貰いたくねー!」
オレだってやりたくて配ってるわけじゃねー! と叫びたいブラックだが、そんなこと叫べるわけもなく。
「じゃあ、私のチョコなら貰ってくれるかしら?」
「ぱ、パープルのならぜひ! いただきます!!」
ちゃっかり包みを開いてパキッと味見☆ そのまま残ったチョコを野次馬Aの口に突っ込んだ。
「私だと思って、味わって食べて頂戴ね?」
そしてブラックを放置し歩く先にはADの感覚が抜けないのか腰の低いピンクの姿。
「ど、どうぞ。いつもありがとうございます‥‥あの、あんまり見ないでください〜」
誰だか判別しようと胸を食い入るように見つめる視線を腕で遮る。本当なら恋人以外にチョコを配ることも、下乳を見せることも恋人以外にはしたくないのだ。ましてや項にキスなんて‥‥
「ぱ、パープルさん、何するんですか〜!!」
「味見よ、気にしないでいいわ」
「んんっ、無理ですー!」
そんな和気藹々としたパイポイの活動に水をさしたのは聞き覚えのある声だった。
「あら、いい仕事してるじゃない。この腕、パインポインの協力者にしておくには惜しいわね」
突然の声に振り返った一同の目に飛び込んだのは、チョコレートを持ちテーブルに腰掛けた百獣将軍グラマラス。群集を守るようにパープルラメが臨戦体勢を取る!
「グラマラス、何故ここに!?」
「ふふ、貴方たちに私の妹を紹介しようと思ってね」
パチンと指を鳴らすと、上空から現れるメイド、もといシスタークロウ! 全身をカメラが順に追い、照明に照らされた申し訳程度のワイヤーが光る。
「シスタークロウ、姉様の命により参りました」
丁寧に頭を下げると、シスターメイドのエプロンドレスの脇から垣間見えるわわな横乳がぽよんと揺れ、ギャラリーの歓声が上がった。
影査結界を使用しているため特大シスターキャップが目元まで覆っていても支障を来たすことはない。
「すみません! これ、お願いします!」
チョコの入ったバスケットをギャラリーに押し付け、ブルーが駆け出した!
「キョニューン、美しい巨乳なのは認める。しかしそのチョコはそこにいるモテナイ男たちのためのものなんだ、手を出すな!」
「認めたら駄目ですよブラックさん! 人助けなんですから、貴女たちも邪魔しないでください〜」
ブラックとピンクも駆け出そうとし──
「預かりますね」
掛けられた声にバスケットを手渡した。受け取ったカーマイン、戦場を無視して一人キャンペーンを続けるつもりのようだ。ある意味、プロ。
そして戦闘が始まる。アクションの度にたわわな果実が跳ね、少しずつずり上がる下乳タイプのコスチュームに合わせてギャラリーの興奮と声援も鰻上り。
「いけ、キョニューン!」
「捲れー!!」
「お黙りなさい!」
──パスッ
地面から僅かに土煙が上る。地面に残る弾痕に、その場に居る者たちが一斉に振り返った!
「そこの巨乳さんたち! はっきり言ってあなたたちばかり目だって迷惑なんです!」
魔法少女風の衣装を纏った二人組み!!
「胸は大きさより形だよ♪ 小さくたっていいものはあるんだよっ!」
「それを巨乳だからといって男性の皆さんを惑わす悪魔ども‥‥!」
目元を隠すは派手なマスク、天使を思わせる翼に腰に携えた軍刀と構えた拳銃のミスマッチが興味をそそる。
「‥‥世界中の貧乳の女の子に変わってお仕置きだよ♪」
愛らしいポーズと拳に嵌めたナックルが敵意の証。
「「ヒンニューダー、見参!」」
ちなみにグレイスの武器、模造刀の軍刀はともかく銃は流石に本物は拙いとエアガンに変えられた。グレイス(役のメグミ)は大変不機嫌の様子だったが、公開撮影で万が一にもギャラリーに怪我を負わせてはいけないと言われ不承不承了承したようである。
「綺麗な薔薇には棘があるように、僕だって戦えるんだい! 可愛いからって舐めな‥‥」
「キョニューンの新手ですか‥‥邪魔するなら容赦しません!!」
チカの言葉を遮り、ブルーのバックドロップホールドが炸裂! とたんにどよめくギャラリーの群れ!!
「痛い、痛い、ちょっと本当に痛いよ!!」
ホールドされくぐもった声で喚くチカ、逆さに固定され短いスカートの中身が丸見えだ。しかしギャラリーの視線はチカではなくブルーの下乳に‥‥ブリッジの体勢を維持するブルーのコスは下乳タイプ。そう、捲れあがってしまったのだ! 砲弾型のFカップが重力に負けずに自己主張☆
「こ、今回はキョニューンに敵対してあげます! 覚悟なさい!」
ギャラリーの視線を取り返すべく声を張り上げるグレイス。
「いきますわよ!」
黒い翼──もといワイヤーで空を翔るシスタークロウへこちらも翼を広げ背中のワイヤーで宙を切るグレイスが斬りかかる!
「うみゅっ、世の中を乱す悪にはお仕置きだよ!」
高度を落として回避した所へ跳躍したチカが殴りかかった! 吹っ飛ぶクロウ!
「きゃああ!」
「シスタークロウ!」
「あら、胸元がお留守よ」
至近距離まで疾走したパープルラメは真正面からたわわな胸を鷲掴み☆
「もう少し弾力が欲しいわね、私達の胸のように」
「世迷言を! 真の巨乳はこの私っ!」
触手のように動く指から逃れようとしたが、そちらに神経が集中しすぎていた。がら空きの背後からブラックが羽交い絞め!
「グラマラス、貴女の弱点は把握しているわよ。ブラック!」
『梢さん、ごめん』
胸は放さず、ヘルメットの下で妖しく輝く黒い瞳。名を呼ばれたブラックはマイクに拾われぬよう小さく囁くと、背後から耳朶に舌を這わせた。吐息が耳を擽る。ふさふさな尻尾に感じるのはブラックの胸、ではなく‥‥
「き、きゃああっ!?」
一瞬役が吹っ飛び素に戻り腰の砕けたグラマラスをシスタークロウが横合いから連れ去った!
「姉様、アレをやりましょう‥‥!」
「そうね‥‥いくわよっ!」
不利を悟りシスタークロウが声を上げ、グラマラスも何とか役に戻るが‥‥その顔はまだまだ真っ赤。
「「黒焔乱舞!」」
差し出された手からは何もでないが、後に虚闇撃弾と飛操火玉が無数をCGで合成することになる。そして辛うじて避けたグレイスの反撃!
「くっ、大きいだけの胸になんて負けませんわ! 奥義、空圧風弾!」
圧縮された空気の弾が打ち出された──つもりで吹き飛ぶクロウ、その先にはカーマインの姿が!
「危ない、カーマイン!」
「きゃ‥‥す、すみません」
咄嗟に掴んだのは反撃のために浮き上がったクロウの服で──粗雑な作りの衣装が裂けた。
「「「うおおお!!」」」
目の前に飛び出した生乳にどよめく群集!
「シスタークロウ! くっ、今日は思わぬ邪魔が入ったけれど、次はこうはいかないわよっ!!」
ほうほうの態で逃げ出すキョニューン。そしてパイポイとヒンニューダーは再び恵まれぬ男の救出に取り掛かったのだが‥‥
「いや、ナイチチには興味ないから」
「‥‥もう一度言ってごらんなさい!」
巨乳目当ての群集には相手にされぬ哀れなヒンニューダーなのであった。
●都会で迎えたその夜は★
「すみません、ごめんなさいっ!! ちょっと役得とか、そんなこと少ししか──」
じりじりと距離を取る梢にただひたすら頭を下げる一。彼に渡すホテルのキーを弄びながら、仕掛け人は真白のカクテルに舌鼓。
「あら残念、もう脱いじゃったのね。とても良く似合っていたのに」
ダボついた服でも隠せない巨乳に視線を這わせながら、早々にコスチュームを脱ぎ撮影の片付けに奔走する美羽に声を掛けた。
「ありがとうございます〜。ちょっと珍しい経験でした‥‥恥ずかしかったですけど。でも本業はやっぱりADですから、仕事しないわけにはいきませんし‥‥」
ぺこりと頭を下げ、監督に呼ばれて駆け出す美羽。これがいつもの風景なのだ。
「うみゅ。お仕事も終わったし、思う存分甘えちゃおう♪ リューネお姉ちゃん、一緒に遊ぼう〜!」
──ぎゅむっ☆
大きくはない胸の千佳に抱きつかれ微妙に眉を歪めたリューネだったが、故意か否か押し付けられる胸の柔らかさに考えを変えた様である。千佳の頭をゆっくり撫でると、にっこりと微笑んだ。
「そうね、色々して遊びましょうか。しっかりと育ててあげるわ」
抱きしめられ唇を重ねられた千佳の口腔をアルコールの味が蹂躙し‥‥
「だめ、だめですよリューネさん!」
「ん、ん〜!」
止めに入った誰かの声が夜の帳に響くのだった。