CAT’S 10南北アメリカ
種類 |
シリーズEX
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担当 |
ゆうきつかさ
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
3.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/25〜04/29
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前回のリプレイを見る
●本文
<参加資格>
女性のみ参加する事が出来ます。
間違って男性が参加した場合はセコンドなどに限ってOKします。
<詳しい内容>
正統派プロレスではなく、ショープロレスです。
試合の勝敗は実力ではなく、その場のノリで決まります。
基本的にはベビーフェイス(正義)とヒール(悪)の戦いになるため、自分がどちらのチームに所属するかを選んだ上で、試合に参加してください。
試合は全部で4〜5試合(タッグマッチがある場合は別扱い)。
対戦相手を選んだ上で一試合だけ参加してください。
複数の試合に参加した場合は、こちらで適当に割り振られてしまうため、望むような試合は出来なくなります。
また健康的なお色気を前面に押し出しているため、あまりにも卑猥すぎた場合はオーナーのワイズマン・ウォルター・エルマン(通称:WWE)から試合の中止を宣言されます。
<選択可能な試合一覧>
・追い剥ぎマッチ
対戦相手の服を脱がして水着姿にする事が出来たら勝利です。
専用のコスチュームを着て試合に参加してください。
・ローションマッチ
全身にローションを塗りたくった上で試合をします。
リング上にもローションが塗られているため、とても技が掛けにくくなっています。
・キャラクターマッチ
レスラーのキャラクター性を強調した試合運びが可能となっており、架空の設定などを持ち込んで対戦相手と試合します。
・ガチンコマッチ
ストーリー重視の試合になります。
筋書きなどを決めた上で、魅せるプロレスを心掛けておきましょう。
・タッグマッチ
今回から新しく導入されたジャンルです。
所属の同じ者同士が組んで試合をします。
<テンプレート>
所属:
リングネーム:
試合形式:
対戦相手:
登場シーン:
登場時の台詞:
コスチューム:
アピールポイント:
得意技:
苦手技:
決め台詞:
<説明>
所属:ベビーフェイス側(正義)かヒール側(悪)のどちらを選んでください。
リングネーム:未記入の場合はPC名になります。
試合形式:追い剥ぎマッチ、ローションマッチ、コスチュームマッチ、ガチンコマッチのうち、どれかひとつを選んでください。
対戦相手:対戦相手の名前とPCIDを記入してください。
登場シーン:登場の仕方を教えてください。
登場時の台詞:キャラクターの口調でお願いします。
コスチューム:コスチュームの説明をお願いします。
アピールポイント:一番アピールしたいポイントは?
得意技:得意な技を教えてください。
苦手技:苦手な技を教えてください。
決め台詞:勝利した場合の決め台詞。
●リプレイ本文
●試合開始前
「ふぅ〜、今回の『CATS』は無事に試合が出来そうデスね」
『CATS』の参加者リストを確認しながら、ワイズマン・エルマン(fz1004) がホッとした様子で溜息をつく。
最近、色々とトラブルがあったため、内心ハラハラとしていたらしい。
「‥‥社長の目は節穴ですか? もう一度、参加者リストを見てください」
妙にクールな表情を浮かべながら、瀬戸・カトリーヌ(fz1005)がワイズマンをジロリと睨む。
「オゥ! デジャラス・アイッ! ‥‥ひょっとして、ラウンドガールとして参加した女性の方デスカ? 確かにラウンドガールだけならイケまセンが、きちんとレスラーとしても参加するので、何の問題もアリまセェーン!」
全身の筋肉を隆起させ、ワイズマンがニカッと笑う。
「‥‥やはり社長の節穴ですね。まさか簡単な間違い探しも出来ないとは‥‥。性別欄を見てください。何かおかしな部分がありませんか?」
呆れた様子で溜息をつきながら、瀬戸がワイズマンの頭をノックした。
「あまり挑発的な態度を取ると、ワタシだって黙っちゃイマセンY0! えーっと、何か‥‥、おかしな部分‥‥おかしな部分‥‥おや?」
瀬戸の言っていた意味をようやく理解し、ワイズマンがハッとした表情を浮かべて汗を流す。
「フフフッ‥‥。これは面白い試合になりそうデスね」
含みのある笑みを浮かべ、ワイズマンが真っ白な歯を輝かせた。
‥‥今回の試合は今までにないものになりそうだ。
●リスフィア・マーセナル(fa1879)の部屋
「‥‥そろそろ試合よ。準備はいい?」
手帳を片手にドアをノックし、瀬戸がリスフィアの部屋に入ってくる。
「あ、瀬戸さんっ!? お、おはようございますっ!」
驚いた様子で瀬戸を見つめ、リスフィアがペコリと頭を下げる。
「そんなに畏まらなくてもいいわ。同じ女の子同士なんだし‥‥。あなたが嫌じゃなかったら、裸で待っていてくれてもいいのよ」
必要以上にリスフィアと身体を密着させながら、瀬戸が冗談まじりに微笑んだ。
「え、遠慮しておきます。し、試合前ですし‥‥」
気まずい様子で首を振り、リスフィアがダラリと汗を流す。
「あら、残念ね。まぁ、いいわ。他の部屋も回らなくっちゃいけないし‥‥。それじゃ、遅刻しないようにね」
残念そうにリスフィアから離れ、瀬戸が部屋を出て行った。
彼女は冗談のつもりでスキンシップをしていたが、色々な意味で身の危険を感じるのは何故だろうか?
●霧夜マイナ(fa0936)の控え室
(「‥‥何だか隣の部屋が騒がしいようですわね」)
隣の部屋からガタゴトと音がしたため、マイナが不思議そうに首を傾げる。
隣は確かリスフィアの控え室になっている部屋だ。
もしかすると試合が始まる前なので、気が立っているのかも知れない。
(「まぁ、いいですわ。それほど気にする事でもありませんし‥‥」)
日頃から着慣れたコスチュームを身に纏い、マイナが鏡の前に立ってクスリと笑う。
コスチュームは身体にピッタリとしており、まるで身体の一部のようである。
「‥‥完璧ですわ」
満足した様子で笑みを浮かべ、マイナが鏡の前でポーズを決めた。
●第1試合 『追い剥ぎマッチ リスフィアVS霧夜マイナ』
「みなさん、楽しんでいってくださいね〜〜〜」
スポットライトを浴びて観客達に手を振り、リスフィアが笑顔で花道を歩いていく。
今回のコスチュームはイメージカラーであるブルーのTシャツに、ショートパンツ。
観客達はリスフィアの笑顔と胸に魅了され、幸せそうな表情を浮かべて彼女に手を振っている。
「‥‥立派な胸ねぇ。観客の皆さんも期待に胸を膨らませていますわよ」
次の瞬間、リングを照らしていた照明が一気に落ち、テーマ曲とブーイングの嵐に包まれながら、霧夜マイナが空中から舞うようにしてリングに降り立った。
「いっ、一体、何処を見ているんですかっ!?」
恥ずかしそうに頬を染め、リスフィアが慌てた様子で胸を隠す。
しかし、胸が大き過ぎるため、隠した拍子にぽよんと揺れた。
「せっかくの追い剥ぎマッチなんですから‥‥、皆さんだって期待してますよねぇ?」
含みのある笑みを浮かべながら、マイナが観客達にむかって声を掛ける。
『もちろんっすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!』
観客達はマイナの問いかけに答え、満面の笑みを浮かべて返事を返す。
「うっ、裏切り者〜っ!」
瞳をウルウルとさせながら、リスフィアが観客達に文句を言う。
追い剥ぎマッチに参加する事を決めた時点で、ある程度の覚悟はしていたのだが、観客達の視線が物凄く気になるたって戦えない。
「あらあら、こんなに顔を真っ赤にして‥‥。ひょっとして、怯えているの? それとも、逆に興奮しているのかしら? どちらにしても料理のし甲斐がある顔ですわ」
恍惚とした表情を浮かべながら、マイナが艶かしく彼女に迫っていく。
「ううっ! こ、来ないでくださいっ!」
悔しそうな表情を浮かべ、リスフィアがマイナの胸を掴もうとする。
しかし、彼女の右手は虚しく空を切り、バランスを崩してマイナの胸に飛び込んだ。
「意外と大胆な方ですのね。試合中にいきなり襲い掛かってくるなんて‥‥」
リスフィアの事を優しく抱きしめ、マイナが妖しくニヤリと笑う。
「そ、そんなつもりじゃありませんっ!」
顔を真っ赤にしながら、リスフィアが恥ずかしそうに首を振る。
「もっと揉んでもいいんですのよ」
リスフィアに胸を押し付けながら、マイナがニコリと微笑んだ。
「ううっ‥‥、逆効果だったかも‥‥。きゃあ!?」
引きつった笑みを浮かべ、リスフィアが逃げようとした。
それと同時にマイナが強引にリスフィアのコスチュームを掴み、ニヤリと笑って力任せに引き千切る。
「ほらほら、どんどん行きますわよ♪」
サディスティックな表情を浮かべ、マイナがリスフィアに馬乗りになってコスチュームをビリビリと破っていく。
「きゃあ!? これ以上は駄目っ!」
ハッとした表情を浮かべ、リスフィアが胸元を隠す。
危うく胸まで露わになりかけたため、とても焦っているようだ。
「ま、今日はこの辺で勘弁して差し上げますわ」
そして、マイナは布切れと化したマイクロビキニの一部を握り締め、マイナが拳を高々と掲げて自らの勝利を宣言するのであった。
『勝者:霧夜マイナ(ヒール) 決め技:不明』
●Estrella(fa2979)の控え室
(「‥‥何としても三連敗だけは避けなきゃ」)
険しい表情を浮かべながら、Estrellaが鏡を睨む。
勝負に勝つ事だけが試合というわけではないのだが、負け続けてばかりでは自分達を応援してくれているファン達に申し訳がない。
そのためEstrellaはベリルに勝つため、独自の特訓を続けていた。
(「ファンのみんな、見守っていてね」)
鏡の横に吊るされた千羽鶴を見つめ、Estrellaが自分自身に気合を入れる。
千羽鶴にはファン達の願いが込められているため、今回の試合で負けるわけにはいかないようだ。
「それじゃ、行ってくるね」
名残惜しそうに千羽鶴を見つめた後、Estrellaが真剣な表情を浮かべて控え室を出て行った。
今回の試合も勝てるかどうか分からない。
しかし、Estrellaには勝たねばならない理由がある。
●ベリル・ライアン(fa2585)の控え室
「今回の試合はあなた達の協力なしでは、成功する事さえ叶いませんわ。皆さん、気合を入れて頑張ってくださいね」
自分の控え室にエキストラ達を呼び集め、ベリルが気合を入れて士気を高めていく。
彼女はブラック・レオとしてリングに立つため、エキストラ達との打ち合わせは重要だ。
「随分と頑張ってイルYOデスネ」
豪快な笑みを浮かべながら、ワイズマンが控え室に入ってくる。
ワイズマンは『CATS』の主催者であるため、試合前などにレスラーと接触してはならないのだが、自らが法であると豪語しているため、ほとんどルールを守っていない。
「何かトラブルでもありましたか?」
不思議そうな表情を浮かべ、ベリルがボソリと呟いた。
「ウーン、トラブルがあったと言えばアリましたが‥‥。それほど大した事じゃアリマセーン。実はここに来たのも、あなたにお願いがあったからデェース♪」
真っ白な歯をキラリと輝かせ、ワイズマンがベリルの肩をぽふりと叩く。
「‥‥お願い?」
嫌な予感が脳裏を過ぎり、ベリルがダラリと汗を流す。
「実は‥‥」
そう言ってワイズマンがヒソヒソ話を始めるのであった。
●第2試合 『キャラクターマッチ EstrellaVSブラック・レオ』
「僕に‥‥ソウルの力をっ!」
試合でいつも着ているツーピース水着にラメの装飾を施し、近未来でサイバーな雰囲気を漂わせ、Estrellaが撮影用のビームパイプ椅子を握り締め、アクロバットを織り交ぜながらエキストラ達に突っ込んでいく。
エキストラ達はSF風の全身を覆う真っ白なプロテクターを着けており、撮影用のレーザー銃を構えて攻撃を仕掛けてきた。
「ソウルの力があれば‥‥こんなものっ!」
目にも止まらぬ速さでレーザー銃を避けていき、Estrellaがエキストラの中心に立ってビームパイプ椅子を振り回す。
それと同時にエキストラ達が呻き声を上げ、その場にパタパタと倒れていく。
「情けない人達ですわね。こんな小娘に苦戦を強いられているとは‥‥」
黒いクマドリマスクに黒いマントを靡かせながら、ブラック・レオ(ベリル)が漆黒のワンピース水着姿で、沢山の部下を引き連れリングに上がる。
「お前達の好きにはさせない!」
ビームパイプ椅子を素早く構え、Estrellaがブラック・レオをジロリと睨む。
二人が銀河の覇権を懸けて戦う、ふたり。
そのふたりがリングの上に立っている。
「暗黒のソウルで世界を征服してやりますわ」
妖艶な笑みを浮かべて右手を突き出し、ブラック・レオが見えない力(ピアノ線)を使ってビームパイプ椅子をリングの外まで放り投げた。
「クッ‥‥、まさかここまで暗黒ソウルのパワーが増大していたなんて‥‥」
悔しそうな表情を浮かべ、Estrellaが膝をつく。
「フフフフフッ、そのまま跪いて無様な姿を晒しなさいっ!」
右手を彼女に向けたままゆっくりと下ろしていき、ブラック・レオが彼女を見下しニヤリと笑う。
「ううっ、負けない‥‥」
暗黒ソウルの力によってまったく抵抗する事が出来ず、Estrellaがリングに顔をつける。
『ソウルを信じるのだ』
次の瞬間、何処からともなく声が聞こえ、Estrellaの身体にいくつものスポットライトが照らされていく。
「‥‥負けないっ!」
派手な効果音とともにゆっくりと立ち上がり、Estrellaがファイティングポーズを取った。
「ば、馬鹿なっ! 私の暗黒ソウルが効かないなんてっ!?」
唖然とした表情を浮かべながら、ブラック・レオがワナワナと拳を震わせる。
「勝負だ、ブラック・レオッ!」
暗黒ソウルの呪縛から解き放たれ、Estrellaが素早くチョップを放つ。
「クッ‥‥、ふざけた真似を‥‥! 私の暗黒ソウルを甘く見ないでもらいたいですわっ!」
すぐさまマントを脱ぎ捨てEstrellaの視界を奪い、ブラック・レオが必殺の延髄斬りを炸裂させる。
「ぐはっ‥‥」
彼女の攻撃をモロに喰らい、Estrellaが再び膝をつく。
「今なら助けてあげてもいいんですよ。惨めったらしく命乞いをすれば‥‥」
Estrellaの頭を踏みつけ、ブラック・レオが腰に手を当てニヤリと笑う。
「ま、負ける‥‥もん‥‥かあああああああああああああああああ!」
自らの心に眠るソウルパワーを爆発させ、Estrellaが雄叫びを上げて立ちあげる。
「あ、あり得ませんわっ! 一体、どこにそんなパワーが残っているのっ!?」
納得のいかない様子でEstrellaを見つめ、ブラック・レオがダラリと汗を流す。
「会場にいるみんなが、応援してくれているから‥‥。僕は‥‥負けないっ!」
会場から響く応援コールを耳にしながら、Estrellaがブラック・レオに攻撃を仕掛けていく。
変形スリングブレイド、『パライーソ(天国)』。
‥‥彼女のオリジナル技である。
「成敗!♪★♪!」
すぐさまブラック・レオにフォールを決め、Estrellaが観客席にむかって叫ぶ。
彼女にとっては辛い戦いではあったが、観客達の応援がある限り彼女が負ける事はない。
『勝者:Estrella(ベビーフェイス) 決め技:パライーソ(天国)』
●ゴールデン・クイーン(fa3148)の控え室
「‥‥そろそろ時間のようですね」
控え室の壁に掛けられた時計の時間を確認した後、ゴールデン・クイーンがクスリと笑って辺りを睨む。
彼女の部屋にはSMグッズが飾ってあり、試合で使用するローションも置かれている。
「今日はどのローションを使おうかしら?」
ローションの入ったバケツに手を突っ込み、ゴールデン・クイーンが滑り具合を確かめていく。
調合の仕方によってローションの滑りが微妙に異なる事もあるため、事前にいくつかサンプルを作っておき、自分でチェックしておく必要がある。
「ベトつかず、粘つかず‥‥これなら悪くなさそうね」
満足した様子で笑みを浮かべ、ゴールデン・クイーンが愛おしそうにバケツを撫でた。
●リン紅原(fa1326)の控え室
「さて‥‥、どのコスチュームにするかな」
ズラリと並んだコスチュームを見つめながら、リン紅原がクールな表情を浮かべて腕を組む。
スタッフに頼んで試合用のチャイナ服を用意してもらったのだが、どれも凝ったデザインをしているため物凄く迷っている。
「ここはオーソドックスに昇り龍を選ぶべきか‥‥。それとも意表をついて虎にすべきか‥‥悩む‥‥」
第3候補として龍と虎もあるのだが、これは派手過ぎるため試合で着るのは美しくない。
「‥‥やはりここは黒だな」
試合の開始時間が迫っていたため、リン紅原が目の前にあった黒のロングチャイナを手に取った。
●第3試合 『ローションマッチ ゴールデン・クイーンVSリン紅原』
「おーっほっほっほっほっほっほっ!」
荘厳なクラシックの入場曲に合わせて高笑いを響かせながら、ゴールデン・クイーンが金色の裏地をした白いマントを羽織って王冠を被り、バラの花束と王笏を持ってスモークの中を登場した。
「‥‥驚きのあまり声が出なくなっているようですね」
満足した様子で笑みを浮かべ、ゴールデン・クイーンがリングに上がって派手にマントを脱ぎ捨てる。
『おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!』
観客達のどよめきが会場に響く。
彼女のコスチュームは金地に白でバラの花がプリントされたデザインの際どい水着で、観客達の心をギュッと掴んで離さない。
「あんたの葬式にしちゃあ、随分と賑やかだな」
凍るように冷たい視線をリングに送り、リン紅原が中国裏社会の姐さん風の雰囲気を漂わせ、堂々とした態度でリングに上がっていく。
「そうやって生意気なクチを利いていられるのも、今のうちだけですよ。さぁ、女王様とお呼びなさい!!」
バラの花束でリン紅原をピシリと叩き、ゴールデン・クイーンがニヤリと笑う。
それと同時にゴングの音が辺りに響き、リン紅原がラリアートを炸裂させる。
「‥‥女王様と呼ばせてくださいの間違いじゃないのか?」
まったく表情を変える事なく、リン紅原が彼女の右手首を掴んで首極め腕卍を仕掛けていく。
「クッ‥‥、この程度の技で‥‥わたくしを屈服させる事が出来ると、思っているのですか? だったら考えを改めた方が‥‥いいですよ‥‥」
強引にリン紅原の技から逃れ、ゴールデン・クイーンがセコンドからローションの入ったバケツを受け取った。
「クッ‥‥、しまった!」
悔しそうに舌打ちした後、リン紅原が後ろに下がる。
「残念ですが、手遅れです。さぁ、わたくしの正義に服従しなさい!!」
リン紅原めがけてバケツに入ったローションをぶっかけ、ゴールデン・クイーンがショルダータックルをお見舞いする。
その衝撃でリン紅原が尻餅をつき、ゴールデン・クイーンに両腕を押さえられたまま、全身がローションまみれになっていく。
「は、放せっ!」
屈辱のあまり頬を高潮させながら、リン紅原が何とか技から逃れようとする。
しかし、ゴールデン・クイーンの攻撃は激しく、ネチネチと関節技を決めていく。
「いい加減にしないと‥‥、痛い目を見るぞっ!」
警告まじりに呟きながら、リン紅原が形勢を逆転して彼女の事を押し倒す。
「仕方がありませんね。‥‥今回だけですよ」
ウットリとした表情を浮かべ、ゴールデン・クイーンが彼女に身を任せる。
「うぐっ‥‥。一体、何を勘違いしていんだ」
恥ずかしそうに頬を染め、リン紅原が気まずく視線を逸らす。
「ふふふっ、勘違いなんていていませんよ。だって‥‥、この時を待っていたんですからねっ!」
リン紅原の右腕をギュッと掴み、ゴールデン・クイーンがニヤリと笑う。
「しっ、しまった!?」
ハッとした表情を浮かべ、リン紅原が慌てた様子で後ろに下がる。
しかし、ゴールデン・クイーンの方が早く攻撃を仕掛け、あっという間に自由を奪う。
「ゴージャス〜〜〜!!」
リン紅原の両腕を掴んで受け身を取れなくした後、ゴールデン・クイーンがゴールデン・ストライク(ジャンピング・パワーボム)でフィニッシュを決める。
「ふふっ‥‥、油断は禁物ですよ」
満足した様子で笑みを浮かべ、ゴールデン・クイーンが優雅にリングを降りていく。
ローションまみれになった右手を愛おしそうに見つめながら‥‥。
『勝者:ゴールデン・クイーン(ベビーフェイス) 決め技:ゴールデン・ストライク』
●白鳥沢 優雅(fa0361)の控え室
「ははっ、冗談‥‥だよね?」
引きつった笑みを浮かべながら、優雅がダラダラと汗を流す。
『CATS』では男性レスラーの参加が禁止されているため、セコンドとしてコッソリと参加するつもりでいたのだが、途中でワイズマンに見つかり控え室まで追い込まれた。
「冗談ではありマセェーン! 観念してクダサイネー!」
両手を広げて逃げ道を塞ぎ、ワイズマンがジリジリと迫っていく。
「ううっ‥‥、まさか女装する事になるとは‥‥」
いまさら断る訳にもいかないため、優雅が観念した様子でガックリと肩を落とす。
「モチロンデェース。わざわざベリルさんから予備のコスチュームまで借りてきたんですから、文句を言ったら駄目デスヨ」
満面の笑みを浮かべながら、ワイズマンがワンピース水着を手渡した。
「まぁ、サイズとしてはピッタリだけど‥‥。なんで僕がこんな目に‥‥。しかもパットまで用意しているとは‥‥ん? パットがみっつ?」
マジマジとパットを見つめ、優雅が不思議そうに首を傾げる。
ふたつのパットとシリコンジェルバッグの使い道は何とか分かっているのだが、みっつめのパットの使い方がいまいち分からない。
「モチロン、シンボル用デェース」
当然とばかりに胸を張り、ワイズマンがニカッと笑う。
試合の途中で男である事がバレても困るため、股間のパットも外れないように出来ているようだ。
●リップ・ザ・ウルフ(fa3589)の控え室
「ちょっ、ちょっと待て! 男と試合をしろって言うのかっ!?」
納得のいかない表情を浮かべ、リップ・ザ・ウルフが文句を言う。
彼女はラウンドガールとして参加するつもりでいたのだが、補欠選手としてレスラー登録していたため、急遽試合に参加する事が決まったらしい。
「シィッ‥‥、声が大きいわ」
人差し指をピンと立て、瀬戸がジロリと睨みつける。
今回の試合は色々な意味で特例なため、瀬戸達が根回しをしているらしい。
「バレるに決まっているだろうがっ! あたいだって、そこまでピエロにはなれないぞっ!」
呆れた様子で瀬戸を見つめ、リップ・ザ・ウルフが溜息をつく。
「‥‥大丈夫よ。意外と似合っているから♪」
満面の笑みを浮かべながら、瀬戸が楽しそうに鼻歌を歌う。
「に、似合っているのかっ!? それはそれで不安だな‥‥」
驚いた様子で目を丸くさせ、リップ・ザ・ウルフが汗を流す。
「それで参加はしてくれるのかしら? 一応、試合はキャラクターマッチを予定しているけど‥‥」
スケジュール帳を確認しながら、瀬戸が腕を組んで返事を待つ。
「しゃあねえな、今回だけだぞ。その代わり、どんな事があっても、責任はとらねぇからな」
そう言ってリップ・ザ・ウルフが控え室を出て行った。
●第4試合 『キャラクターマッチ シロちゃんVSリップ・ザ・ウルフ』
(「ううっ‥‥、本当にバレないのかなぁ‥‥」)
心配した様子で辺りを見回しながら、シロちゃん(優雅)が花道を歩いていく。
観客達は見慣れぬレスラーが現れたため、不思議そうに首を傾げている。
(「やっぱりバレてる‥‥!? ううっ、マズイ‥‥」)
青ざめた表情を浮かべながら、シロちゃんがダラダラと汗を流す。
一応、シリコン入りのパットを胸につけ、股間にも専用のプロテクターを装着しているのだが、『DOGS』でも名の知れたレスラーとして参加している事もあり、まわりの視線が気になって仕方がない。
(「‥‥こんな事ならカツラでも借りておけば良かったなぁ‥‥」)
まわりの視線を気にしながら、シロちゃんがリングに上がっていく。
リングには兎耳をつけたラウンドガールが、アメリカの国旗をモチーフにしたデザインのハイレグ水着を着て立っており、シロちゃんに気づいて花束を持って近寄ってきた。
「えっと、あ‥‥、ありがとう」
念のため裏声を出しておき、シロちゃんがラウンドガールから花束を受け取ろうとして両手を伸ばす。
しかし、花束はシロちゃんの手元に届く事なく、ラウンドガールによって振り下ろされた。
「よっしゃ〜〜〜!! 引っかかったな〜! 普通に考えたらおかしいだろうが、色々とっ!」
花束を使ってシロちゃんをバシバシと叩き、リップ・ザ・ウルフがニカッと笑う。
「クッ‥‥、罠か。卑怯だ‥‥わよっ!」
自分が女である事を思い出し、シロちゃんがハッとした表情を浮かべて、リップ・ザ・ウルフにツッコミを入れる。
「別に無理をしなくてもいいんだぜ。せっかくだからバラしちゃえよ。あんたが男であるって事を‥‥」
含みのある笑みを浮かべながら、リップ・ザ・ウルフが肩を抱く。
「そ、そんな事をしたら、観客達から何をされるか分からないし‥‥。た、戦うしかないだろ‥‥」
気まずい様子で視線を逸らし、シロちゃんがゴクリと唾を飲み込んだ。
「よっしゃ、気に入った。徹底的に叩き潰してやるっ!」
シロちゃんを見つめてニヤリと笑い、リップ・ザ・ウルフが拳を握る。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ! こういう時って普通なら、わざと負けてくれるもんじゃないのかな? 試合の途中でポロリするかも知れないし‥‥」
納得のいかない表情を浮かべ、シロちゃんがダラリと汗を流す。
「ははっ、ポロリは『CATS』じゃ当たり前っ! 安心しろ、きちんとぶっ潰してやるからさっ!」
嬉しそうに指の関節を鳴らしながら、リップ・ザ・ウルフがジリジリと迫っていく。
「ちょっ、ちょっと待った! ぶっ潰すって‥‥。じょ、冗談だよね?」
引きつった笑みを浮かべ、シロちゃんが彼女を説得し始める。
「問答無用っ!」
すぐさまシロちゃんの背後に回り込み、リップ・ザ・ウルフがアトミック・ドロップの体勢から後ろにジャンプして倒れ、シロちゃんの後頭部を垂直落下式にマットに打ち付けるアトミック・バック・ドロップを炸裂させた。
「次は‥‥負け‥‥ぐはっ‥‥」
男である事がバレなかった事に安堵しつつ、シロちゃんがフォールを決められグッタリする。
例えマトモに戦ったとしても、ポロリ率が高かったため、負けて正解だったと思いつつ‥‥。
「ふっ‥‥、勝利のポーズだ〜〜〜!!」
そう言ってリップ・ザ・ウルフが観客席にむかって決めのポーズを取るのであった。
『勝者:リップ・ザ・ウルフ(ヒール) 決め技:アトミック・バック・ドロップ』
●ワイズマンの言葉
「皆サァーン、ご苦労サマーデェース! 今回のCATSも無事に‥‥、終了したのでホッとしてイマス。さて、次回のCATSはお休みして、ミックスドマッチ『PET SHOP 01』を決めようと思いマァース。今まで参加してくれたレスラーさんには、ボーナスが出るかも知れないので、5月5日を楽しみにしていてクダサァーイ」
そう言ってワイズマンがリングを降りていく。
決戦の日は5月5日。
成功するかどうかは、レスラー達の腕に掛かっている。