マスク・ド・パンダ南北アメリカ

種類 ショート
担当 ゆうきつかさ
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 10/22〜10/26

●本文

●急募!
<募集職種>
 B級アメリカドラマのパイロット版製作スタッフ

<応募資格>
 やる気のある方なら、誰でも応募する事が出来ます。
 採用されたスタッフに応じて内容の変更も可能です。
 もちろん、年齢制限などもありません。
 獣人役を希望する場合は、着ぐるみを着たり、特殊メイクが必要になるため、色々な意味で我慢強い方を採用する予定です。

<内容>
『奥様の名前はコシモト、旦那さまの名前はニクダルマ。愛し合うふたりはごく普通に恋をし、ごく普通の結婚をしました。でもただ一つ違っていたのは奥様は浮気性だったのです』

担当A:サムライ、ニンジャ、フジヤマっす!
担当B:日本人の名前って難しいよな。それよりも何だかポルノっぽくないか?

 演歌歌手の妻(パンダ)と相撲取りの夫(パンダ)との間に生まれた子供(ブタ)が主人公。
 妻が演歌で地方周りをしていた時に出来た子供。
 ‥‥父親は誰だか分からない。
 それが今回のドラマの主人公。
 この事実を隠すため、主人公は幼い頃からパンダメイクを強いられる。
 夫に事実を知られるまでは‥‥。
 そのため夫に真実を知られた後は、幽閉され辛い少年時代を過ごす。
 芸能人の子供として生まれたために起こった悲劇。
 主人公、この時8歳。
 パンダにしては、あまりにも鼻が目立ちすぎた。
 その後、主人公は脱走に成功。
 本当の父親を探し出し、復讐するため放浪生活を送る。
 餓死寸前の所で眼帯をつけたブタ(ミスター・フェックス)と出会い、彼が代表を務める『ブタの穴』に入門。
 闇プロレスに身を投じる事になる。
 本当の父親がすぐ近くにいる事に気づかぬまま‥‥。

『この物語は後にマスク・ド・パンダと呼ばれ、闇プロレス界の頂点に立つ事となった、ブタ男のドラマである』

担当A:可愛いパンダと美味しい豚のコラボレーション企画っす!
担当B:なんだ、そのグラム200円のクオリティは‥‥。

・決め台台詞
 『パンダメイクに顔を奪われ十と七つ‥‥。生まれの証さえたたない、この俺が‥‥。何の因果かプロレスラー』

担当A:渋いっす!
担当B:‥‥きっと凶器はヨーヨーだな。

●今回の参加者

 fa0047 真神・薫夜(21歳・♀・狼)
 fa0072 レディ・クレセント(20歳・♂・蛇)
 fa0405 若林峰遥(45歳・♂・亀)
 fa0956 天野 葵(29歳・♀・狐)
 fa1269 ビニール・キッド(29歳・♂・鴉)
 fa1412 シャノー・アヴェリン(26歳・♀・鷹)
 fa1698 静流(16歳・♀・小鳥)
 fa1716 真鳥・昴(24歳・♂・鴉)
 fa1728 芳乃なくる(24歳・♀・狐)
 fa1742 スティグマ(23歳・♂・狐)

●リプレイ本文

●番宣
「どうもっ、担当Aっす! 今回は『マスク・ド・パンダ』のパイロット版撮影現場に来ているっす! えーっと、まずは‥‥誰にしようかなぁっと‥‥あ、いたいた! もし良かったら、ドラマの役柄について教えてください!」
 満面の笑みを浮かべながら、担当Aがビニール・キッド(fa1269)にマイクをむけた。
「‥‥わたしの役柄は、ミスター・フェックスの手下である地下レスラー。第二次大戦で敗北した日本は経済力で再びアメリカに挑戦してきたわけだが、わたしの演じるレスラーは、その経済・工業発展のかげにおきた『公害』が生み出した怪人である。いわば日本の『影』の部分を象徴するキャラクターと言えるかも知れない‥‥」
 真っ黒なビニールの覆面を被ったまま、キッドが自分の役柄を説明した。
 テレビの画面には覆面を被った三人組がいるため、何ともいえない雰囲気を漂わせている。
「そして私が彼のマネージャー! 華麗に美しく登場するから、観客は私に大注目なの!」
 何故かパンダメイクで登場し、天野 葵(fa0956)がカメラにむかって手を振った。
「続いてカメラマンのシャノー・アヴェリン(fa1412)さんっす!」
 持参したビデオカメラを取り出し、担当Aが合図を送ってニコリと笑う。
「‥‥私は、役者さんの邪魔にならないよう‥‥、撮影に臨むつもりです。目指すは主人公視点で楽しめる新機軸ドラマ‥‥」
 ぼーっとした表情を浮かべながら、シャノーが撮影に対する意気込みを語る。
「続いて出演者の紹介っす! まずはプロレス通の青年役を演じるスティグマ(fa1742)さん。そして主人公がよく行くラーメン屋台のおやじ役を演じる若林峰遥(fa0405)さんのふたりっす!」
 番宣の時間がそれほどないため、担当Aがマイク片手に走り出す。
「私はプロレスシーンに参加するエキストラの演技指導も行っています。世間では『マスク・ド・パンダ』がB級ドラマとして認識されているとは思いますが、だからと言って手を抜くつもりはありません。ドラマのメインはプロレスシーンだと思っていますので‥‥」
 真剣な表情を浮かべながら、スティグマが自分の役柄を説明した。
「‥‥次は俺か。何だか、ちょっと緊張するな。ラーメン屋台のおやじを演じる若林だ。俺の演じる役柄は試合のある日に食事の差し入れをしたり、親身になって相談にも乗る親切なナイスガイって所だな」
 爽やかな笑みを浮かべ、峰遥が腰に手を当てる。
「続いて皆さん、お待ちかねの水着美女っす! いやー、たまらないっすねぇー!」
 拳をギュッと握り締め、担当Aが水着の撮影現場にむかう。
 現場では芳乃なくる(fa1728)が水着姿でセクシーなポーズを決めており、担当Bがちゃっかりとシャッターを切っている。
「やっぱりスクール水着の方がウケが良いかしら? ちょっと胸がキツイから、派手めの水着を選んでみたけど‥‥」
 担当Bの指示通りにポーズを取り、なくるがボソリと呟いた。
「何しに来たんだ、コイツは‥‥」
 担当Bを睨みつけ、真鳥・昴(fa1716)が溜息をつく。
「つ、続いて役者さんの紹介です。皆さん、自己紹介をどうぞ!」
 苦笑いを浮かべながら、担当Aが出演者達にマイクをむける。
「ラウンドガール役の真神・薫夜(fa0047)よ。衣装は何故かバニーガール。‥‥経費削減もここに極めりね」
 バニーガール姿でポーズを決め、薫夜が疲れた様子で溜息をつく。
「‥‥しぃです。本当なら、しぃもらうんどがーるやりたかったけど、昴ちゃんが無理っていうから実況さんやりますのー」
 バニーガール衣装以外は絆創膏や包帯などの有り得ない衣装しかなかったため、静流(fa1698)が昴に説得されてプロレスの実況をやる事になった。
「最後はわたくしのようね。‥‥わたくしは闇プロレスを仕切る顔役のひとり。怪しい路地裏のマダムを追及するわ」
 後ろに錠の付いたゴツイ鉄仮面を被り、レディ・クレセント(fa0072)が大胆なスリットの入ったチャイナドレス姿で姿を現し、不敵な笑みを浮かべて羽根扇子をユラユラと扇ぐ。
 ちなみに主役を務めるマスク・ド・パンダ役は男優は、特殊メイクを施すため早朝からメイクルームに閉じ篭ったままだ。

●パイロット版
 最初に映し出されたのはリングだった。
 リングの上には鉄仮面を被ったチャイナドレス姿の女性と、パンダマスクを被ったレスラーが立っている。
「ここは、闇プロレス‥‥本当の意味での力が試される場ですわ‥‥。貴方にはその覚悟ができているのかしら?」
 挑発的なレディの言葉。
 パンダマスクを被った主人公が、汗をダラダラと流しながらレディを睨む。
「貴方には覚悟が足りなくってよ! 復讐などといったちんけな男の意地は捨てておしまいなさい!! 貴方に必要なものは何かしら? 地位、名誉、お金、それともわたくし?」
 レディが耳元で囁く。
 必要以上に身体をすり寄せ。
 主人公の身体がピクリと動く。
 耳元に息を吹きかけられ、雄たけびをあげる主人公‥‥。

 熱い音楽と共に流れるトレーニング風景。
 主人公が鉄下駄を履いて、神社の石段を兎跳びで飛んでいる。
 特訓のコーチは何故かレディ。
 神社の雰囲気が何処か胡散臭い。

 場面は変わり再びリング。
 客席は満員。
 リング上には主人公とシャノーの姿。
 薫夜がラウンドガール(本編では途中からレスラー参加)としてリングに上がり、プラカードを掲げて観客達に愛想を振りまいている。
「みんなー元気ー? しぃは今日も元気だよー!! オッズの方はどうなってるかな〜? 9:1かぁ〜。マスク・ド・パンダは人気がないねぇ〜。あっ、そろそ締め切りだって! まだ賭けてない人は急いでGOーだよー!! それじゃぁ、今日の第一試合行ってみようか? 制限時間いっぱい! それじゃぁー‥‥ラウンド・ワン・レディー・ファイト!!」
 マイクを握り締めてライトを浴びた瞬間、静流の人格が変わりマシンガントークを炸裂させる。
 ‥‥会場に響くゴング音。
 その外見とは裏腹に軽快な動きを見せる主人公。
 シャノーは全く技を掛けられず、主人公の必殺技を喰らってマットに沈む。
「強い、強すぎる。‥‥あいつは、これからのプロレスを担うパンダ仮面。……いや、マスク・ド・パンダだ!」
 プロレスのチラシを握り締め、真剣な表情を浮かべるプロレス通の青年、スティグマ。
 咄嗟にメモを取り始め、自らの興奮を文字にする。

 場面が変わり社長室。
「あれじゃあ、賭けにならん。マスク・ド・パンダは強すぎる!」
 連勝を続ける主人公に殺意が芽生えるミスターフェックスの言葉。
 そして計画されるマスク・ド・パンダの八百長試合。

 場面は変わり、何処かの路地裏。
「あのひとに、八百長を持ちかけろだってバカ言っちゃいけねぇ‥‥。俺がそんなことできるかってんだ! そんなことは死んだって御免だぜ!!」
 時化た下町のケチな胴元、昴。
 組織から八百長試合を指示されたが、主人公を守って組織にたてつきチンピラ達に襲われてしまう。
『親友の命を助けてやりたいと思うのなら、次の試合で見っとも無い負け方をしろ』
 組織から届いた脅迫文。
 その一言に苦悩する主人公。

 場面は変わり、再びリング。
 運び込まれたゴミの山から姿を現す覆面レスラー、キッド。
 ゴングがなる前に覆面(ゴミ袋)の中に隠してあった空き缶のへりで斬りかかり、マスク・ド・パンダを流血させる。
「落ち着け、キッド! そいつを殺るのはゴングの後だ。‥‥ヤツには勝てない理由がある‥‥」
 悪役レスラーのマネージャーとして登場する葵。
 顔にパンダメイクを施し、意味深な態度。
(「‥‥間違いない。彼だ‥‥」)
 ‥‥幼馴染との皮肉な再会。
 あの頃の思い出が葵の脳裏に蘇る。
 しかし、ふたりは敵同士‥‥。

 昴の命を救うため、わざと負けようとする主人公。
「‥‥そんな、あの最強のマスク・ド・パンダが倒れるわけ、ないだろっ! ‥‥起き上がれ、起き上がってくれよ、マスク・ド・パンダーっ!!」
 絶叫するスティグマ。
「これで良かったんだ。‥‥これで‥‥」
 薄れ行く意識の中、脳裏を過ぎる昴の姿。
『馬鹿野郎! 俺の犠牲を無駄にする気か!』
 自らの命を懸けてまで、主人公を守ろうとしていた昴の想い‥‥。
「目を覚ませ! マスク・ド・パンダ!」
 自らリングに乱入し、峰遥が主人公を守ろうとする。
「やめたまえ君達! マスク・ド・パンダはこんな事をするためにプロレスをしているのではない‥‥。適度な運動は肉が引き締まるが、それ以上はダメなんだ!」
 峰遥の口から出た衝撃発言。
(「あの時のオイル(塩コショウ入り)はその為かっ!」)
 身の危険を感じ、起き上がる主人公。
 ほんのりと漂うチャーシューの匂い。
「‥‥真の力が目覚めたようね」
 観客席から様子を窺うチャイナドレスの女性、なくる。
 その横には救出された昴の姿‥‥。
「‥‥俺は信じていたぜ。あんたが必ず復活すると‥‥」
 マスク・ド・パンダ完全復活!
 リング上で繰り広げられる死闘。
 主人公の猛攻に倒れるキッド。
 ‥‥試合は主人公の優勝で幕を閉じる。

「さよならミスターフェックス。あなたの時代は終わったのよ」
 物語の最後はレディの一言で締め括られた。
 まるで続編を予感させるかのようにして‥‥。