廃ビルデスマッチアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 ゆうきつかさ
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 難しい
報酬 10.4万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 01/30〜02/03

●本文

<募集内容>
 ルール無用デスマッチに参加してくれる命知らず猛者を募集しています。

<参加資格>
 怪我をしても賞金の欲しい方。
 性別などは問いません。

<詳しい内容>
 優勝賞金10万円を懸けて廃ビルを舞台に戦います。
 ルール無用のデスマッチ形式です。
 廃ビルは全部で4つのエリアに分かれています。
 一定の人数のみ、次のエリアに進む事が出来ます。
 屋上にあるトロフィーを手にした者が優勝です。

<エリア説明>
1階:ラーメン屋(10名枠:4名脱落)
 ラーメン屋の主人が夜逃げしたため、ほとんどの物がそのままになっています。
 何者かの手によってラーメンの仕込みが出来ているため、それを武器にして戦う事も出来るようです。

2階:ガンショップ(5名枠:3名脱落)
 改造済みの銃が転がっています。
 基本的にアイテムショップで売られている銃は確実にありますが、改造されているため通常のものと比べて威力が高かったり、壊れやすくなったりしています。

3階:SMショップ(3名枠:2名脱落)
 SMで使用するグッズがそのまま置かれています。
 もちろん、拘束具やローションなどもあるようです。

屋上:優勝トロフィー(1名枠:脱落なし)
 優勝トロフィーが置かれています。
 これを手に入れる事によって賞金10万円。
 場合によっては何かトラップがあるかも知れません。

●今回の参加者

 fa0640 湯ノ花 ゆくる(14歳・♀・蝙蝠)
 fa0697 里見 十吾朗(43歳・♂・竜)
 fa0761 夏姫・シュトラウス(16歳・♀・虎)
 fa0800 深城 和哉(30歳・♂・蛇)
 fa0911 鷹見 仁(17歳・♂・鷹)
 fa1385 リネット・ハウンド(25歳・♀・狼)
 fa1634 椚住要(25歳・♂・鴉)
 fa1690 日向 美羽(24歳・♀・牛)
 fa1718 緑川メグミ(24歳・♀・小鳥)
 fa2572 キング・バッファロー(40歳・♂・牛)

●リプレイ本文

●1階:ラーメン屋
「俺の前に立ち塞がる者など居ないのじゃ!」
 大きく木刀を振りかざし、里見 十吾朗(fa0697)がカメラ目線で宣言した。
 廃ビルの中には10台のカメラが設置されており、参加者達の行動を常に追っている。
 そのため参加者達は事前に獣化と半獣化をしており、傍から見れば覆面レスラーやコスプレイヤーのようだ。
「が、頑張らないと‥‥」
 普段の気弱な自分では何もする事が出来ないため、夏姫・シュトラウス(fa0761)が半獣化した状態で大きく深呼吸をした後、白い覆面を被って自己暗示をかける事によって不敵で不遜な自信家ホワイトタイガーマスクに変身する。
 廃ビルの1階はラーメン屋になっているのだが、テーブルやイスなどの障害物があるため、派手な技を仕掛ける場所としては適していない。
「負けませんよっ!」
 半獣化した状態でラー油を手に入れ、日向 美羽(fa1690)が盾代わりに鍋を使う。
 参加者の大半は本職のレスラーや、力の強い男性ばかりを狙っているため、その隙に1階で必要なものを集めておく。
「こんな所で探し物か? 勝負はもう始まっているんだぜ!」
 完全獣化した状態で破雷光撃を放ち、鷹見 仁(fa0911)がニヤリと笑う。
 特殊能力は当然、誰もがカメラの死角を確認した上での発動だ。
「油断しましたね」
 すぐさまカウンターを飛び越え、その場にあった胡椒を拾いあげ、夏姫が仁にむかって力任せにブチ当てる。
「し、しまった」
 反射的に胡椒の瓶を叩き落し、仁がゲホゲホと咳き込んだ。
 それと同時に胡椒の粉が舞い上がり、息が出来ないほどに散らばった。
「ゲホゲホッ! こりゃ、キツイ!」
 物凄い量の胡椒が辺りに待ったため、十吾朗がヘルメットを被ってテーブルの下に避難する。
 大量の胡椒が舞っている間は粉で視界が遮られてしまうため、例え攻撃を仕掛けてとしても返り討ちに遭う可能性が高い。
「ど、何処かに避難せねば‥‥」
 胡椒が目に入ったせいで何も見えず、深城 和哉(fa0800)が辺りを探るようにしながら、テーブルの上にあがって天井に逃げ込もうとする。
「逃がすかっ!」
 それと同時にキング・バッファロー(fa2572)のタックルが炸裂し、和哉がテーブルもろとも吹っ飛んだ。
「さすが本職は違うな。‥‥となると、最初に潰すのはヤツか」
 キングの視界から逃れるようして虚闇撃弾を撃ち込み、椚住要(fa1634)がゆっくりと木刀を構える。
 格闘戦では圧倒的にキングの方が有利なため、床に油を撒いて虚闇撃弾を撃ち込んでいく。
「‥‥油断しましたね。敵は一人じゃないんですよ」
 背後から忍び寄るようにして羽交い絞めにした後、リネット・ハウンド(fa1385)が獣化した状態で関節技を炸裂させる。
「ぐああああああっ!」
 激しく悲鳴をあげながら、椚住要が意識を失った。
「‥‥まずはひとりか」
 キングの攻撃によって負傷した右腕を押さえ、和哉がリネットめがけて小麦粉に入った袋を投げる。
 和哉は続いてライターを投げ込んで、小規模な粉塵爆発を狙っていたのだが、それよりも早く緑川メグミ(fa1718)の放った火が床に撒かれた油に引火し、紅蓮の炎に包まれた。
「しっ、しまった!」
 すぐさま非常ブザーを鳴らし、和哉が転がるようにして外に出る。
 廃ビルの外には消火器を持ったスタッフが待機しており、和哉の身体に燃え移った火を消火した。
「随分と思い切った真似をするオナゴじゃのぉ」
 未使用の褌を包帯サイズに切った物を足に巻き、十吾朗が感心した様子で溜息を漏らす。
 メグミが火を放ったせいで1階のほとんどが炎に包まれており、少し遅れてスプリンクラーが反応した。
「喰らえっ!」
 それと同時にキングが十吾朗めがけて茹立った汁を放り投げ、怯んだ隙にロングホーン・ダイブを仕掛けてトドメをさす。
「‥‥残りひとりか。だったら一番強いヤツを狙うっ!」
 残っている参加者の中でキングが一番危険であると感じたため、仁が容赦なく破雷光撃を撃ち込んだ。
「ぐおっ!」
 それと同時にキングが仁にネックハンギングツリーを仕掛けてきたが、両手が塞がっている事で隙が生まれ、他の参加者達から一斉に攻撃を喰らい意識を失った。
「さすがキングと呼ばれているだけはあるな」
 フラフラとしながら立ち上がり、仁がキングに礼を言って階段を上っていく。
 薄れ行く意識の中で‥‥。

●2階:ガンショップ
(「どうやらうまくいったようですね」)
 半獣化した状態でメロンパンを咥え、湯ノ花 ゆくる(fa0640)が2階へと続く階段を上っていく。
 4名の脱落者が出るまで部屋の隅で毛布を被り、戦闘中の怒鳴り声をICレコーダで録音していたため、ゆくるは全くダメージを受けていない。
「‥‥気にいらねぇな」
 不機嫌な表情を浮かべて銃を拾い、仁が遮蔽物を利用しながら横に飛び、狙いを定めず滅茶苦茶に銃を乱射した。
「しっ、しまった!」
 銃を拾おうとして銃弾のシャワーを浴び、夏姫が悔しそうな表情を浮かべて前のめりに倒れこむ。
 2階はガンショップになっているため、相手よりも早く武器を拾っておかないと、反撃する事さえ出来ない。
「い、いきなりですかっ!?」
 青ざめた表情を浮かべながら、ゆくるが銃を拾って物陰に潜む。
 念のため軽めの銃を確保しておいたが、仁の持っている銃と比べて性能は劣る。
「こんな所じゃ、負けられないっ!」
 銃の弾を抜いて床に転がし、美羽が物陰に身を隠そうとした。
「考える事はこんな同じだったようですね」
 美羽が隠れるつもりでいた場所からリネットが突然現れ、美羽の喉元めがけて容赦のない蹴りを放つ。
「うぐっ‥‥」
 抵抗する事さえ出来ぬまま、美羽が呻き声を上げてグッタリとした。
「悪く思わないでくださいね。これでも手加減した方ですから‥‥」
 気絶した美羽を抱き上げ、リネットが出口まで運ぶ。
 出口にはスタッフが待機しているため、そのまま担架に乗せられ、救急隊が待つ外へと運ばれていく。
「み、美和義姉さん!」
 予想外の出来事に驚きながら、メグミが刀をギュッと握り締め、窓の傍まで駆け寄った。
「勝負はまだ終わってないぜ! 喰らえ!!」
 すぐさまメグミの背後に立ち、仁がニヤリと笑って銃を構える。
 しかし、仁が握り締めていた銃は、予め美羽が弾を抜いていたもののため、メグミにトドメを刺す事は出来ない。
「いきますよっ!」
 それと同時にゆくるがICレコーダを再生し、陣にむかって勢いよく放り投げた。
「んな!」
 ICレコーダから怒鳴り声が聞こえてきたため、仁が突然の事に驚きバランスを崩す。
 その隙にゆくるが仁の頭を狙い撃ち、トドメをさして勝利した。

●3階:SMショップ
「はぁはぁ‥‥、ようやくここまで来たわ」
 2階で手に入れた銃を握り締めながら、メグミが刀を構えて辺りを睨む。
 3階はSMショップになっており、怪しげな道具があちこちに転がっている。
「優勝は渡しませんよっ!」
 頭の上に乗せた怪しげな香を焚き、ゆくるがメグミの前に立ち塞がった。
 ゆくる自身は両方の鼻にティッシュを詰め込み、匂いを嗅がないように栓をしてある。
「‥‥残念ですね。この程度の匂いで私が怯むとでも思っていたのですか?」
 背後からゆくるに忍び寄り、リネットがムチをしならせた。
「あ、あれれれ‥‥? 本当ですか?」
 引きつった笑みを浮かべ、ゆくるがジリジリと後ろに下がる。
 ふたりとも獣化しているためか、まったく香が効いていない。
「どちらからお相手しましょうか? 私はどちらからでも構いませんが‥‥」
 爽やかな笑みを浮かべながら、リネットが指の関節を鳴らす。
「ご、ごめんなさいっ!」
 小動物のような表情を浮かべて、メロンパンの絵柄が描かれた褌の束を辺りに放り投げ、ゆくるが竹刀の先に突き刺したメロンパンを突きでリネットの口に捻じ込もうとする。
「‥‥ご苦労様です」
 ヒラヒラと褌が舞い降りる中、リネットがゆくるの放った竹刀を掴み、低空タックルで相手に飛び掛ると、彼女の喉元にガブリと噛みついた。
「この勝負‥‥、勝たせてもらうわ!」
 それと同時にメグミが銃を乱射し、リネットにトドメをさそうとする。
 しかし、リネットは地面を蹴って飛び上がり、メグミに飛びかかろうとした。
「悪いけど、その事も計算済みよっ!」
 リネットの顔面めがけてローションの瓶を叩きつけ、メグミが背後に回り込んで手錠を嵌める。
 これがプロレスの試合であったのなら、本職のリネットにメグミが勝ち目はなかったが、各階に置かれた武器を有効利用したため、掴む事が出来た勝利とも言えるだろう。
「か、勝った‥‥」
 ホッとした様子で溜息をつきながら、メグミがゆっくりと階段を上っていく。
 優勝トロフィーの置かれた屋上を目指し‥‥。

 こうして廃ビルデスマッチは緑川メグミの勝利で幕を閉じ、優勝賞金10万円は彼女に贈られる事となった。