DOG’S 01南北アメリカ

種類 シリーズEX
担当 ゆうきつかさ
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 難しい
報酬 0.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/15〜02/19

●本文

<募集内容>
 デスマッチの出来るレスラーを募集しています。

<参加資格>
 試合に参加する事の出来るのは男性選手のみ。
 セコンドのみ女性も可。

<詳しい内容>
 正統派プロレスではなく、ショープロレスです。
 試合の勝敗は実力ではなく、その場のノリで決まります。
 基本的にはベビーフェイス(正義)とヒール(悪)の戦いになるため、自分がどちらのチームに所属するかを選んだ上で、シナリオに参加してください。
 現時点で無所属は選べませんので、ご了承くださいませ。
 獣化する場合は入場前に行ってください。
 試合は全部で4試合。
 対戦相手を選んだ上で一試合だけ参加してください。
 複数の試合に参加した場合は、こちらで適当に割り振られてしまうため、望むような試合は出来なくなります。
 また、あまりにも危険であると判断された場合は、オーナーのワイズマン・ウォルター・エルマン(通称:WWE)から試合の中止を宣言されます。
 今回の参加状況によってシリーズシナリオになるかも知れません。

<選択可能な試合一覧>
・チェーンデスマッチ
 両選手の片手にチェーンを繋ぎ、試合を行う形式です。
 チェーンは長めのものを使用しているため、武器として使用する事も出来ます。
・ケージデスマッチ
 リングの四方を金網で囲み、逃げ場をなくして行う試合を行う形式です。
 相手をKOすればケージから出れます。
・有刺鉄線デスマッチ
 ロープの代わりに有刺鉄線を張ったリングで行う試合を行う形式です。
 追加オプションで爆破や電流なども選べます。
・ガチンコマッチ
 ストーリー重視の試合になります。
 筋書きなどを決めた上で、魅せるプロレスを心掛けておきましょう。

<テンプレート>
所属:
リングネーム:
試合形式:
対戦相手:
登場シーン:
登場時の台詞:
コスチューム:
アピールポイント:
得意技:
苦手技:
決め台詞:

<説明>
所属:ベビーフェイス側(正義)かヒール側(悪)のどちらを選んでください。
リングネーム:未記入の場合はPC名になります。
試合形式:チェーンデスマッチ、ケージデスマッチ、有刺鉄線デスマッチ、ガチンコマッチのうち、どれかひとつを選んでください。
対戦相手:対戦相手の名前とPCIDを記入してください。
登場シーン:登場の仕方を教えてください。
登場時の台詞:キャラクターの口調でお願いします。
コスチューム:コスチュームの説明をお願いします。
アピールポイント:一番アピールしたいポイントは?
得意技:得意な技を教えてください。
苦手技:苦手な技を教えてください。
決め台詞:勝利した場合の決め台詞。

●今回の参加者

 fa0365 死堕天(22歳・♂・竜)
 fa0374 (19歳・♂・熊)
 fa1889 青雷(17歳・♂・竜)
 fa2074 ハンマー・金剛(18歳・♂・獅子)
 fa2572 キング・バッファロー(40歳・♂・牛)
 fa2594 ドン・ドラコ(30歳・♂・竜)
 fa2748 醍醐・千太郎(30歳・♂・熊)
 fa2964 黒崎・幸次郎(28歳・♂・鷹)

●リプレイ本文

●第1試合 『有刺鉄線デスマッチ God of DeathVSキング・バッファロー』
「相手が誰であろうと挑まれた勝負は買うぜ!」
 獣人化した状態で翼を大きく広げて飛び上がり、God of Deathこと死堕天(fa0365)がゆっくりとリングに舞い降りた。
 God of Deathは全身黒ずくめの格好でリングに立っており、素顔をフェイスマスクで隠している。
「‥‥神様に会う用意はしたか?」
 会場全体に響き渡るほどの大声を出してマイクを捨て、キング・バッファロー(fa2572)がカントリーソングを流しながら、カウボーイスタイルで馬に乗って登場した。
 キングは黒地に野牛の頭部が赤くプリントされたショートタイツを穿いており、真っ赤なブーツで有刺鉄線を跨いでいく。
 それと同時にロープ代わりに張り巡らされている有刺鉄線に電流が走り、試合開始の合図を伝えるようにしてゴングの音が響き渡る。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
 雄たけびを上げながら突進し、キングがショルダータックルをGod of Deathに放つ。
「ぐおおおおおおおおおおっ!」
 キングのタックルを喰らって有刺鉄線まで吹っ飛ばされ、God of Deathの身体に電流が走り、その振動で仕掛けられていた爆弾が派手に爆発した。
「はあはあ‥‥、随分と派手な歓迎だな。こっちもお礼をしてやるか」
 フラフラとしながら立ち上がり、God of Deathがニヤリと笑ってキングを睨む。
 God of Deathの身体からは大量の血が流れており、爆発のショックでコスチュームのあちこちが焦げている。
「‥‥面白い。ならば本気で掛かって来いっ!」
 ミノタウロス・アックス(ショルダー・チョップ)を連打し、キングがGod of Deathをリングの端まで追い詰めていく。
「逝けええええええええええええっ!」
 それと同時にGod of Deathがマットを蹴って横に飛び、背後に回ってタックルをお見舞いした。
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
 キングの身体に有刺鉄線が絡まり、派手な爆発音と真っ黒な煙が上がる。
「これで終わりじゃないぜ! 喰らえっ!」
 華麗なステップを踏んで間合いを詰め、God of Deathがドロップキックを放とうとした。
「させるかああああああああああっ!」
 雄たけびを上げてGod of Deathにタックルを食らわせ、キングが全身から大量の血を流し荒く肩で息をする。
 何とか致命傷だけは免れたが、それでも身体に受けたダメージはデカイ。
「‥‥さすがプロは違うな」
 含みのある笑みを浮かべながら、God of Deathがゆっくりと立ち上がる。
 お互いに電流爆破を喰らったため、ダメージが身体に蓄積しているようだ。
「行くぜっ!」
 フットワークを駆使してヒット&アウェイによる連続攻撃を繰り返し、God of Deathがキングのガードを崩していく。
「‥‥甘いな。それじゃ、俺は倒せないっ!」
 再びタックルを食らわせGod of Deathをマットに倒し、キングが角に見立てた両手で相手の両足を掴み、自分の頭を股に入れて起き上がり、肩車したGod of Deathを背後に振り落とす。
「ぐっ‥‥、効いた‥‥」
 マットに叩きつけられたショックで傷口が広がり、God of Deathが悔しそうな表情を浮かべてキングを睨む。
「いくぞおおおおおおお、天国への7階段だああああああああああ!!!!」
 観客席をゆっくりと見回し、キングが天国への七階段を宣言した。
 天国への7階段は餅つきパワーボムをカウントしながら7連続で行うもので、最後は『昇天』と叫んで肩越しに頭から落としてフォールを決める。
「‥‥終わったな」
 グッタリとしたGod of Deathを見つめ、キングがホッとした様子で溜息をつく。
 プロのレスラーとして今回の試合に負けるわけには行かなかった事もあり、キングの表情は先程とは異なり清々しい。
「さてと‥‥、アレをやっておくか」
 気絶したGod of Deathを抱き上げ担架に乗せて、キングが解説席からマイクを奪ってリングに上がる。
「プロレスラーは鍛えているから危険な試合も出来る。良い子は真似をしちゃダメだぞ」
 観客席全体に響き渡るほどの大声を出しながら、キングがプロレス観戦に来ていた子供達にむかって注意した。
 キング達の真似をしてプロレスで怪我をする子供達が出ないように祈りつつ‥‥。
『勝者:キング・バッファロー(ヒール) 決め技:天国への7階段』

●第2試合 『ケージデスマッチ フガク(富嶽)VSドン・ドラコ』
「覚悟完了っ、当方に迎撃の用意有りっ!!」
 日本の国家をBGMに背筋を伸ばし、フガク(富嶽)こと青雷(fa1889)が胸を張って堂々と花道を歩いていく。
 フガク(富嶽)の身に纏っているコスチュームが、大日本帝国海軍少尉の軍服であるため、一部の観客が難色をしているものの、その事で彼が動揺している様子はない。
「うふふふふ‥‥、あたしのサムライ・ソウルに勝てるかしら?」
 日本の雅楽に合わせ空手着の上から鎧装束を纏った姿で登場し、ドン・ドラコ(fa2594)が毒霧の要領で火を吹きながらゲージの中へと入っていく。
 ドラコは赤いショートタイツに、真っ赤なブーツを履いており、オカマ言葉で観客達に愛嬌を振りまいている。
「随分と余裕だな。‥‥軟弱なヤツめ。俺が粛清してやろうっ!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、フガク(富嶽)がジロリとドラコを睨む。
 それと同時にケージの出入り口に鍵が掛けられ、試合開始を伝えるゴングの音が辺りに響く。
「あらぁん、怖いわぁ〜。あ〜んな事とか、こ〜んな事とかされちゃうのかしらぁ〜? えっちなヒトねぇ〜♪」
 含みのある笑みを浮かべながら、ドラコが挑発気味にウインクした。
 その言葉とは裏腹にドラコの視線は鋭く、フガク(富嶽)の攻撃を常に警戒しているようだ。
「‥‥フザけたヤツめ。早く鎧と空手着を脱ぎ捨てろ。こっちだって暇じゃない。それとも、まさか‥‥その格好で戦うつもりなのか?」
 ゆっくりと間合いを取りながら、フガク(富嶽)が拳をギュッと握り締める。
「本当に気が早いのね♪ そんなに急かさなくてもいいじゃない。それとも我慢する事が出来ないのかしら?」
 フガク(富嶽)をじらすようにして鎧と空手着を脱ぎ捨て、ドラコが舐めるような視線を送ってクスリと笑う。
「‥‥悪いがソッチの趣味は無い。もっとも、それはお前も同じだとは思うがな」
 ドラコの顔色を窺いながら、フガク(富嶽)が間合いを詰めていく。
 彼の言葉がハッタリだと思っているためか、フガク(富嶽)の動きに乱れが無い。
「あらぁん、何の事かしら?」
 マットの上をピョンピョンと飛び跳ね、ドラコが不思議そうに首を傾げる。
「そろそろ本性を現したらどうなんだ? 悪いが俺は貴様の実力が見抜けないほど無能じゃないっ!」
 パンチやキックを繰り出しながら、フガク(富嶽)がドラコをケージ際まで追い詰めていく。
「本性も何も、これがホ・ン・ト・ウのあたしよぉ〜♪ ひょっとして演技だと思っているの?」
 いきなりフガク(富嶽)に抱きつき頬擦りし、ドラコがフロント・スープレックス風の投げでマットに叩きつけ、自分はブリッジを決めるラブ・ハグ・スープレックスを炸裂させた。
「グハッ‥‥、なるほどな。そう来たか」
 納得した様子で立ち上がり、フガク(富嶽)が口元の血を拭う。
 ドラコは格闘家としてもレベルが高いため、見た目の雰囲気とは裏腹に戦いなれている。
「ユーもそろそろ本気を出したらどうかしらぁ? まだ実力の半分も出していないんでしょ?」
 フガク(富嶽)の事を挑発しながら、ドラコがニコリと微笑んだ。
「‥‥分かっているじゃないか。ならばこちらも行かせてもらうっ!」
 それと同時にフガク(富嶽)が続けざまにチョップを放ち、そのままドラコに関節技を炸裂させた。
「あぁん。痛いじゃない。乙女の柔肌を傷つけたら高くつくわよ」
 口から毒霧を吐いてフガク(富嶽)の関節技から逃れ、ドラコが地獄突きのラッシュとフェイントで裏拳を入れるカタナ・ラッシュを叩き込む。
 しかし、フガク(富嶽)のガードが堅く、なかなかダメージを与える事が出来ないようだ。
「惚れ惚れするくらいにタフね。‥‥ドキドキしちゃう」
 ウットリとした表情を浮かべ、ドラコが口元を綻ばせる。
「本当に掴みどころの無いヤツだな」
 次第にドラコの雰囲気に飲み込まれ、フガク(富嶽)がダラリと汗を流す。
 それと同時にドラコが背後に回り込み、股の間に顔を突っ込んでフガク(富嶽)を肩車すると、そのまま後ろに倒れてハイタワー・ドロップを炸裂させる。
「うぐっ!」
 後頭部を激しく打って脳震盪を起こし、フガク(富嶽)が呻き声を上げて意識を失った。
「うふっ‥‥、寝顔がとってもカワイイわね」
 フガク(富嶽)の上に覆い被さるようにしてフォールを決め、ドラコがクスリと笑って立ち上がる。
「みんな応援ありがとぉ〜。みんなで勝利の雄たけびを上げましょう♪ ドラゴン・ファイヤ〜!!」
 観客達にむかって声を掛け、ドラコが空中に向かって毒霧の要領で火を吹いた。
 それと同時に観客席から歓声が上がり、ドラコが満足した様子でフガク(富嶽)にむかって別れの投げキッスを放ち、ゆっくりとリングを降りていく。
 観客席から聞こえるドラココールに包まれて‥‥。
『勝者:ドン・ドラコ(ヒール) 決め技:ハイタワー・ドロップ』

●第3試合 『チェーンデスマッチ 醍醐・千太郎VS焔』
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
 無言で花道を進んでリングに上がり、醍醐・千太郎(fa2748)が茶色のガウンを脱ぎ捨て右腕を高々と突き上げる。
 醍醐の身に纏っているコスチュームはシンプルに黒のショートタイツ。
 丸太のように太い腕と、厚い胸板がアピールポイントのためか、観客席にはレスラーに憧れ醍醐の応援をしている者もいるようだ。
「‥‥いくぜ?」
 木刀を引きずるようにして花道を歩き、焔(fa0374)が醍醐をずっと睨んだまま、上着を脱ぎ捨てニヤリと笑う。
「‥‥ああっ」
 クールな表情を浮かべながら、醍醐が右腕に鎖をつける。
 レスラーとして試合に専念したいため、醍醐はあまり多くの事は語ろうとせず、自らの拳を使って語り合うつもりでいるらしい。
「嫌いじゃないぜ、そういうの‥‥」
 自分の利き腕に鎖を嵌め、焔が拳をギュッと握り締める。
 それと同時に試合開始を伝えるゴングが響き、醍醐が焔の胸元めがけてチョップを打ち込み、隙を見て背後を奪おうとした。
「おっと‥‥、そうは行かないぜ!」
 小さな袋に入った塗料を先端につけた木刀を振り下ろし、焔が高笑いを上げながら醍醐をロープ際まで追い詰めていく。
「‥‥こんな物で俺を止めるつもりなのか」
 すぐさま木刀を掴み取り、醍醐が焔を睨んで頭突きを放つ。
「痛っ‥‥! いきなり何をしやがるんだっ! もっと試合を楽しんだっていいんじゃないか!」
 醍醐の攻撃を喰らって派手に尻餅をつき、焔が鼻血を拭って立ち上がる。
 利き腕がチェーンで繋がられているせいで自由に動く事が出来ないため、すぐに体勢を立て直さないと醍醐の技を喰らってしまう。
「‥‥これでも手加減しているぞ」
 キリリッとした表情を浮かべ、醍醐がガッシリとした腕を組む。
「俺の言っている事はそういう事じゃねえんだよっ! ブッ殺してやるっ!」
 雄たけびを上げて木刀を拾い上げ、焔が醍醐にむかって攻撃を放つ。
 しかし、醍醐はそのまま木刀を掴み取り、膝を使って真っ二つにへし折った。
「これで邪魔なものは無くなったな。‥‥今度は本気で掛かって来い」
 ゆっくりとファイティングポーズを取り、醍醐が焔をジロリと睨んで挑発する。
「フザけやがって! 木刀なんか無くとも、俺は戦う事が出来るんだよっ!」
 自らの怒りを拳に込めて、焔が続けざまにパンチを放つ。
「‥‥それでいい。やれば出来るじゃないか」
 満足した表情を浮かべ、醍醐が焔の攻撃を受ける。
「死ねえええええええええええええ!!!!」
 折れた木刀を握り締め、焔が勢いをつけて醍醐の脇腹に突き刺した。
 醍醐の脇腹から大量の血が流れ、マットを真っ赤に染めていく。
「ぐおっ‥‥、どうやら俺を本気にさせてしまったようだな」
 脇腹に突き刺さった木刀を引き抜き、醍醐がニヤリと笑って背後にまわる。
「ば、馬鹿な!? いままで手加減していたのか?」
 納得のいかない様子で汗を流し、焔が慌てて後ろをむいた。
「‥‥確かめたかったのさ。お前の中に本物の獣がいるか‥‥」
 次の瞬間、醍醐が焔の後頭部を掴んで自分の全体重を乗せ、そのままマットに叩きつけるようにしてベアータッチを炸裂させる。
『‥‥‥‥‥‥1‥‥‥‥‥‥2‥‥‥‥‥‥3‥‥‥‥‥‥!!!!』
 レフリーのカウントに合わせ、観客達の声が辺りに響く。
「クッ‥‥、クソ!」
 身体にまったく力が入らず、焔が唇を噛み締める。
 こんなはずではなかったと思いつつ‥‥。
「‥‥悪く思うなよ、これも戦いだ」
 何処か寂しそうな表情を浮かべ、醍醐がリングから降りていく。
「だが、とてもいい試合だった‥‥。得物なんか使わなくても、お前は十分に強いのだから、これから精進するんだな。そして‥‥、また、いつか戦おう」
 焔に背をむけたまま、醍醐が静かにクスリと笑う。
 再び前を見つめて歩き出し‥‥。
「‥‥ち! これじゃボスと同じじゃねぇか!!」
 マットに倒れたままで天井を見つめ、焔が自嘲気味に呟いた。
『勝者:醍醐・千太郎(ベビーフェイス) 決め技:ベアータッチ』

●第4試合 『ガチンコマッチ 黒崎・幸次郎VSハンマー・金剛』
「さあて、ひとつお手合わせ願おうか!」
 颯爽と現れ小走りで花道を駆け抜け、黒崎・(fa2964)が側転したあとバク転をしてリングにあがる。
 幸次郎のコスチュームは燃える炎の模様が入った黒いタイツ。
 自らのボディを見せつけるようにして、爽やかな笑みを浮かべている。
「‥‥フン」
 殺気に満ちた表情を浮かべながら、ハンマー・金剛(fa2074)が花道を歩いていく。
 観客達の中にはハンマー・金剛にボディタッチをしようとした者もいたが、ただならぬ殺気を感じ取り、慌てた様子で出していた手を引っ込めた。
「随分とピリピリしているようだな。もっと気楽に行かないか?」
 苦笑いを浮かべながら、幸次郎が軽く冗談を言う。
「静かにしてください。‥‥気が散ります」
 それと同時に金剛が奇襲を仕掛け、幸次郎をリング外へと突き落とす。
 観客席から響くのはブーイング。
 しかし、金剛はまったく気にしていない。
「随分と乱暴な挨拶だな。‥‥何も話す事は無いって事か」
 不機嫌な表情を浮かべながら、幸次郎がリングに上がろうとした。
 しかし、金剛がラリアートを仕掛けてきたため、再びリング外へと突き落とされる。
「あんまりイライラさせるなよっ!」
 不満そうに愚痴をこぼし、幸次郎がエプロンサイドから金剛を睨む。
「‥‥仕方ありませんね」
 素っ気無く返事を返し、金剛がいきなり飛び掛る。
 一気に幸次郎を仕留めるつもりなのか、そのまま馬乗りになって頭突きを連打した。
「この‥‥石頭がっ!」
 すぐさま金剛のアゴをめがけてエルボーを放ち、幸次郎が怒りに身を任せてボコボコに殴る。
「‥‥甘いですね。俺を倒すつもりなら、殺すつもりで来てください」
 凍るように冷たい視線を放ち、金剛が幸次郎の指に噛みつき、急所蹴りを放って再び頭突きを連打した。
「やられて‥‥たまるか‥‥!」
 バックブリーカーの体勢に入ろうとしていた金剛から逃れ、幸次郎がフラフラとしながら立ち上がる。
 それでも金剛はラリアートを仕掛けてきたが、幸次郎は飛び膝蹴りを放って反撃し、そのまま一気にアンクルホールドに持ち込んだ。
「ぬおおおおおっ!」
 雄たけびを上げて強引に技から逃れ、金剛が渾身のロープワークからラリアートを繰り出した。
「これで終わりだあああああああ!!」
 すぐさま金剛に腕に飛びつき、空中で腕ひしぎ十字固めを極め、幸次郎がギチギチと締め上げていく。
「ぐああああああああああああああ! ‥‥‥‥ギ、ギブアップしますっ!」
 あまりの激痛に悲鳴を上げながら、金剛が悔しそうな表情を浮かべてギブアップを宣言する。
「勝ったぜ、ウォーッ!」
 コーナーポストのトップに上り、幸次郎が観客席にむかって勝利を叫ぶ。
「こ、これで勝ったと思わないでくださいね。今回はわざと負けてあげたんですから‥‥。勘違いしないでくださいね」
 ダラリと垂れた右腕を押さえ、金剛が悔しそうな表情を浮かべて、捨て台詞を吐き捨てた。
 最後まで自分が敗北した事に納得する事が出来ないまま‥‥。
『勝者:黒崎・幸次郎(ベビーフェイス) 決め技:腕ひしぎ十字固めでギブアップ』

●ワイズマン
 全ての試合が終了し、ワイズマンがスーツ姿でリングに上がる。
「ハァイ、皆サァ〜ン。お疲れでゴゼイましたデェース。今回は記念すべき『DOGS』の1回目という事もあり、色々と戸惑った部分もありましたが、皆さんのおかげで無事に試合を終わらせる事が出来ました! 次回の開催予定日は2月の下旬を予定していますが、会場の確保が出来なかった場合は3月上旬までズレ込みマァース! しばらく出ないと思ったら、予定がズレたんだと思ってクダサァーイ」
 そう言ってワイズマンがニカッと笑う。
 観客席から放り投げられた空き缶を投げ返し‥‥。