DAIMYOU南北アメリカ

種類 ショート
担当 ゆうきつかさ
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.2万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 02/21〜02/25

●本文

●新社長
「HAHAHAHAHA! ミナサァーン、初めまして! ワタシが新しいシャチョサンのワイズマン・ウォルター・エルマン(通称WWE)デェース♪ 前のシャチョサンがトンズラしたので、今日から私がこの会社の支配者デース! ご主人様とお呼びなサーイ!」
 朝っぱらから脳天を突き刺すような高笑いを上げながら、ワイズマンがドラマ制作会社『DAIMYOU』にやって来た。
「「「「「嫌だ!」」」」」
 ‥‥即答である。
 スタッフ達は徹夜続きでストレスが溜まっているせいもあってか、新社長を相手にしても全く怯む事はない。
「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッ! 何故デスカァー? シャチョサンはベリィベリィ、エライんですよぉ〜!」
 信じられない様子で悲鳴を上げ、ワイズマンがスタッフの胸倉を掴んでユッサユッサと身体を揺らす。
「あなたが胡散臭いですからよ、社長」
 眼鏡をキラリと輝かせ、瀬戸・カトリーヌがツッコミを入れる。
 以前から瀬戸はこのスタジオに務めているため、新社長になったワイズマンを案内しているのだが、あまり好きではないタイプの人間らしい。
「オー! こんなにノーマルなボーイを捕まえて胡散臭いとは‥‥。スタジオの社長が逃げた理由も分かりますね」
 彼女の言葉を都合のいいように解釈し、ワイズマンが残念そうに首を振る。
「‥‥社長。そろそろ本題に入りましょう。スタッフも暇ではありません」
 いちいち社長に突っ込むのが面倒なのか、瀬戸が呆れた様子で溜息をつく。
「オー、そうでしたネ! ワタシだって暇じゃありませんから♪ 今度ワタシの歓迎会をやりマース! 食べ放題、飲み放題の素敵なパーティなので、皆さん必ず参加してくだサーイ!」
 まわりの空気などまったく読まず、ワイズマンが豪快な笑い声を響かせた。
「えーっと、私の方から説明させていただきます。近々、ワイズマン社長の就任式を行います。給料の査定に響くので必ず参加するように‥‥。それとドラマのスケジュールが確定したので、ここで連絡をしておきます。第1週は『セクハラ』、第2週は『トライアングルハートB』、第3週は『トライアングルハートM』となっています。大人の事情で何曜日に放送するかは分かりません」
 早くこの場から去りたいのか、瀬戸が用件だけを述べていく。
 何度も溜息をつきながら‥‥。

●今回の参加者

 fa0203 ミカエラ・バラン・瀬田(35歳・♀・蝙蝠)
 fa0571 内藤裕樹(26歳・♂・トカゲ)
 fa1099 樹神(26歳・♂・アライグマ)
 fa1458 谷和原充(47歳・♂・パンダ)
 fa1584 高川くるみ(20歳・♀・兎)
 fa1861 宮尾千夏(33歳・♀・鷹)
 fa2137 御神・由希(17歳・♀・ハムスター)
 fa2529 常盤 躑躅(37歳・♂・パンダ)
 fa2572 キング・バッファロー(40歳・♂・牛)
 fa2614 鶸・檜皮(36歳・♂・鷹)

●リプレイ本文

●新社長就任パーティ
「それにしても、凄い人数ですね。役者だけでなく、プロレスラーの方もいるようですし‥‥」
 スタジオ『DAINYOU』の新社長就任パーティに参加し、高川くるみ(fa1584)が感心した様子で溜息を漏らす。
 パーティ会場には各業界の関係者達も参加しており、テーブルを囲んで会話に花を咲かせている。
 ちなみに『DAINYOU』というスタジオ名はスタッフが命名したもので、以前までは『DAIKYOU』スタジオと呼ばれていたらしい。
「そりゃあ、そうだろ。新社長に就任したワイズマンは次々と企業を買収して事業の拡大を行っているからな」
 『新社長就任メモリアル記念DVD』を作って関係者に配るため、鶸・檜皮(fa2614)がステージ上で今後の抱負を語っているワイズマンの姿を撮っていく。
 ワイズマンに関しては色々と悪い噂もあるのだが、破産寸前の企業を買収して自由に仕事をさせている事もあり社員達からの信頼も厚い。
「なっ、何っ!? ワイズマンの野郎が、ここにいるのか!? まじぃ、実にまずい! あんにゃろうに俺の事がバレたら‥‥。いや、ばれるわけがねぇ!今日の俺はバイオレットバイオレンスinキグルミだ! びびるな! 胸を張って筋肉を誇示し堂々と普通のキグルミらしく振舞っていれば、絶対に分かるわけがねぇ!! 綺麗なネェちゃんにならともかく、あんな暑苦しいオヤジにくっつかれるのは、もう勘弁だぜ!」
 ダラダラと汗を流しながら、パンダの着ぐるみを着た男が汗を流す。
「だ、誰‥‥!?」
 着ぐるみ男を警戒し、くるみが鶸の後ろに避難した。
「こいつは常盤という奴でな。一応、俺の友だが‥‥スタントマンの癖にレスラーがどうとか言って、最近はパンダ覆面を被り始めた変な奴だ。道化役にはピッタリだろう」
 苦笑いを浮かべながら、鶸が男の肩を抱く。
「俺の名はバイオレットバイオレンス! 覆面レスラー志望のスタントマンだ。‥‥とは言ってもレスラーの仕事なんて、まだ1度も取れた試しがねぇんだけどな」
 着ぐるみの頭を脱ぎ捨て、常盤 躑躅(fa2529)が豪快な笑い声を響かせた。
 パンダの被り物を取っても、パンダの覆面を被っているせいか、何とも言えない違和感が漂っている。
「とにかく飯でも食って落ち着け。そんなテンションじゃ、間違いなく‥‥バレるぞ」
 警告まじりに呟きながら、鶸がゆっくりと辺りを見回した。
「う、うむ‥‥、気を取り直して飯でも喰うか。それにしても美味そうな料理どもだぜ。まるで俺に食べてもらうのを、今か今かと待ち望んでいるみてぇだな」
 目の前の料理を見つめ、常盤がじゅるりと涎を垂らす。
 ワイズマンが見栄を張って最高の料理を用意したため、どれの料理も物凄く美味しそうだ。
「それじゃ、気分転換にBGMを演奏しますね」
 そう言って、くるみが自転車に積んであったキーボードを持ち込み、会場の片隅で穏やかな曲調の音楽を奏でるのであった‥‥。

●瀬戸
「おはようございマス、劇団クリカラドラゴン所属、ミカエラ・バラン・瀬田でござイマス。ヨロシクおねがイしまスね」
 パーティ会場の片隅でワインを飲んでいた瀬戸・カトリーヌを見つめ、ミカエラ・バラン・瀬田(fa0203)がペコリと頭を下げる。
「こんにちわ。‥‥綺麗なヒトね。後で一緒にお酒でも飲まない? 貴女とはジックリと話がしたいから‥‥」
 舐めるように視線を送り、瀬戸が妖しくクスリと笑う。
 まるで獲物を狙うハンターのように‥‥。
「お仕事をエンカツにするための話し合いデスカ?」
 キョトンとした表情を浮かべ、瀬田が不思議そうに首を傾げる。
「その通りよ。仕事を円滑に進めるためには必要な儀式‥‥と言うべきものね」
 ゆっくりと指を這わせながら、瀬戸が彼女の肩を抱く。
「ヨク分かりまセンが、オシゴトのお話なら喜んデ。日系ハーフのよしみで、体力を使う仕事を回してクレタラありがたいデスワ♪」
 瀬戸の言っている意味がよく分からず、瀬田がニコリと微笑み答えを返す。
「おふたりで秘密のお話ですか?」
 二人のそばに駆け寄り、御神・由希(fa2137)がニコリと微笑んだ。
「ワイズマンには内緒よ」
 妖艶な笑みを浮かべながら、瀬戸が彼女の口元に指を当てる。
「は、はいっ!」
 一瞬、胸がドキっとし、由希が恥ずかしそうに頷いた。
「あの脳みそ筋肉なお方が無茶を言い出したら、代わりに張り手の一発位は打って差し上げますワ♪」
 由希に向かってウインクしながら、瀬田が自分の胸をポンと叩く。
「何か、新社長というのは、ちょっと癖の強い方みたいですね」
 ワイズマンを横目で見つつ、宮尾千夏(fa1861)がクスリと笑う。
「‥‥まあね。でも悪い人じゃないのよ。真っ直ぐなだけで‥‥。ところで貴女も一緒にどう?」
 含みのある笑みを浮かべながら、瀬戸がゆっくりとワインを口に含む。
「えっと‥‥あの。お邪魔にならないようでしたら、是非‥‥。出来ればドラマ作りに関わっていけたらいいなぁ、と思っていたので‥‥」
 瀬戸の言葉を怪しむ事なく、千夏がコクンと頷き微笑んだ。
「それじゃ、あっちの部屋で飲みましょう。いきなり押し倒す事は無いから安心してね♪」
 そう言って瀬戸が千夏達を連れて、隣の部屋に姿を消した。

●ワイズマン
「おっ‥‥、あれだな」
 パーティの差し入れとして持参したフライドチキンのバスケットを受付に手渡し、キング・バッファロー(fa2572)がスーツ姿でパーティ会場にやってきた。
 本来は自分を売り込むような営業をするのは嫌なのだが、この世界で食って行くには背に腹は代えられない。
「オー、これはこれはキングサァーン! 元気してマシタカー?」
 満面の笑みを浮かべながら、ワイズマンが真っ白な歯を輝かせる。
「社長就任おめでとうございます」
 丁寧にラッピングされたテキサス産の高級バーボンを社長就任のプレゼントに渡し、キングがワイズマンと堅い握手をかわす。
「相変わらずイイ身体をしてマスね〜。毎日、鍛えているようですネ〜」
 キングの胸板を確認した後、ワイズマンが満足した様子でニカッと笑う。
「毎日コツコツと続ける事が、筋トレの基本。これは仕事と一緒だな」
 感心した様子でキングの筋肉を見つめ、谷和原充(fa1458)が筋肉談議に花を咲かせる。
「やっぱり筋肉とはイイモノですね。きちんと世話をすれば、必ず応えてくれますから♪」
 今にも服を脱ぎそうになりながら、ワイズマンが充の言葉に一言一言頷いた。
「あの‥‥、ワイズマンさん。出来れば衣装メーカーか下着メーカーの担当の方を紹介していただけませんか?」
 申し訳なさそうな表情を浮かべ、内藤裕樹(fa0571)がワイズマン達の会話に入っていく。
「オー、そのテのシャチョサンとは仲良しデース! 下着メーカーならセクハラ関係、衣装メーカーならトラハやプロレスでお世話になってマァース」
 瞳をランランと輝かせ、ワイズマンが名刺を取り出し祐樹に渡す。
「こ、これは! 助かりますっ!」
 驚いた様子で名刺を見つめ、祐樹がペコリと頭を下げた。
「俺にも何か仕事をくれないか? 出来れば特殊メイクの出来そうな仕事しかさ」
 ワイズマンの機嫌がいいため、樹神(fa1099)が自分を売り込んだ。
「そうデスネ。色々と仕事はあると思うのデスが‥‥。最近だとTUKUMOGAMI辺りデスネ。他にも何本かドラマの予定があるので、こちらからもアクションを掛けてミマァース!」
 何処か心当たりがあるのか、ワイズマンが携帯電話を取り出し、誰かと連絡を取り始める。
「交渉成立デェース! 色々と手を回しておきましたからご安心クダサァーイ。そのうち仕事が山のようにマイコンで来る‥‥ハズでーす!」
 携帯電話をポケットにしまい、ワイズマンが豪快な笑い声を響かせ、樹神の背中をボンボンと叩く。
「ほ、本当に大丈夫なのォ? 途中で物凄く歯切れが悪くナリましたガ‥‥」
 ワイズマンの顔をジィッと見つめ、樹神が気まずい様子で汗を流す。
 CAT’Sでの扱いを見る限り、ワイズマンにはそれほど権限が無いように思える。
「もちろんデェース! 他の何かアリマスかー?」
 真っ白な歯を輝かせ、ワイズマンが力強く頷いた。
「そういやウチの団体の団長が、あんたとサシで勝負したいと言ってましたぜ。それはともかく、折角の機会だから、何か仕事を回して下さいよ。ただし、『廃ビルデスマッチ』は、もうゴメンですぜ。命がいくつあっても足りゃしない。しかも俺じゃ、『トライアングルハート』も『セクハラ』も出番なさそうですし、何かハードボイルドな探偵か刑事のドラマでも作って下さいよ。そしたらバーの渋いオヤジでもやりますぜ」
 自分にピッタリな仕事がないため、キングが直接ワイズマンに要望を出した。
「ソウデスね。一応、渋い親父のハンターが主人公のドラマなども考えていますが、キングさんにその役を回せる保証がアリマセーン。もしも何処かで見かけたら、がっちりゲットしてクダサァーイ」
 険しい表情を浮かべて腕を組み、ワイズマンが悩んだ末に答えを返す。
「とりあえず、その手の仕事はあるようだな。まぁ、そういう人間が必要な仕事があったら、キングや俺に声を掛けてくれ」
 そう言って充がワイズマンに自分の名刺を手渡した。
 すぐに仕事が来る事は無さそうだが、この調子ならそこそこ期待が出来そうだ。