TUKUMOGAMI南北アメリカ
種類 |
シリーズ
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担当 |
ゆうきつかさ
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
3.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/21〜02/25
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●本文
●急募!
<募集職種>
B級アメリカドラマの製作スタッフ&役者
<応募資格>
やる気のある方なら、誰でも応募する事が出来ます。
年齢制限などもありません。
<内容>
ホラーをテーマにした新作ドラマの撮影をします。
基本的には日本的な感覚を取り入れてドラマを製作しています。
今回のテーマは『刀』。
内容はオリエンタルな和刀。
妖刀となった刀を持って、強さに目覚めた社会的弱者の話。
親や学友に虐げられてきた思いが刀と共に爆発する。
抜き身になった刃ほど危険なものはない。
‥‥というものです。
バットエンドでも可。
シナリオの内容は参加した方々が決めて構いません。
<備考>
今回のドラマは『DAIMYOU』スタジオ制作、第1弾の作品です。
『DAIMYOU』スタジオは以前まで『DAIKYOU』スタジオと呼ばれていましたが、前社長が夜逃げしたため厄払いの意味も込めて改名しました。
現在の社長はワイズマン・ウォルター・エルマン(通称WWE)。
‥‥かなりのワルです(何
●リプレイ本文
●トラブル発生
「主人公の役者が遅刻だって‥‥!?」
唖然とした表情を浮かべながら、ミハイル・チーグルスキ(fa1819)が葉巻をポトリと床に落とす。
『TUKUMOGAMI』のドラマを撮影するため、スタッフ達を集めてスタジオに来ていたのだが、肝心の主役が遅刻していたため、現場がパニックに陥っている。
「‥‥仕方ありませんね。主人公抜きで撮影を始めましょう」
今回と同じメンバーを集める事が出来ないため、弥栄三十朗(fa1323)が悩んだ上で撮影の開始を決断した。
<シーン1>
「周囲の人間からの暴力‥‥さぞかし辛いでしょうね」
まずは学校で暴行を受ける主人公の前に黒影が現れるシーン。
黒影を演じるのは、水鏡・シメイ(fa0509)。
悪の組織『オロチ』の幹部。主人公に妖刀を渡した張本人だ。
「復讐したいとは思いませんか? 私が貴方に力を与えましょう」
氷のように冷たい表情を浮かべながら、黒影が物語の鍵となる妖刀を取り出した。
「この刀を使いなさい。この刀で、貴方が憎む全ての存在を薙ぎ払いなさい」
そう言って主人公に妖刀を手渡す黒影。
決して失敗が許されないシーンである。
残念ながら主人公の役者が来ていないため、後撮りする事が出来るようにカットを増やす。
「じっくりと観察させてもらいますよ‥‥ふふふ‥‥」
続いて妖しげな笑みを浮かべる黒炎のアップがカメラに映る。
「‥‥やはり撮影の時間には間に合わないようだな」
携帯電話をテーブルの上に置き、ミハイルが疲れた様子で溜息をつく。
主人公の役者と連絡を取る事が出来ないため、いまからスケジュールの調節をしなければならない。
「まぁ、撮影にトラブルは付き物ですからね。多少のリスクは覚悟しておくべきでしょう」
散らばっていたスタッフ達を呼び集め、三十朗がスケジュールの変更を伝えておく。
途中でスケジュールの変更に気づかず、トラブルが起こってしまう事を恐れているからだ。
「それじゃ、妖刀のシーンは代役を立てて撮影するか。自由に予算が使えるんだったら、他に方法があるんだが‥‥気にしていても仕方が無いか。決められた範囲内でやるだけの事をやる。それがプロってものだからな」
主人公の役者と背格好の似たスタッフを呼び、ミハイルが妖刀シーンの撮影に入る事にした。
このシーンは三十朗が演出を担当しており、光と陰を巧みに用いて音楽を合わせる事で演出効果を上げている。
「とりあえず問題のありそうな部分は撮り直す事にして、シーン通りに撮ってみましょうか?」
撮影で使用する妖刀をスタッフに手渡し、三十朗がカメラマンにむかって頷いた。
今回の主役である『妖刀』は、迫力を出す為に竹光ではなく刃引きの模擬刀を使用し、刃から禍々しい陽炎が立ち上って居るように編集段階で映像処理を施す予定になっている。
また禍々しい陽炎については刀のみから発せられていたものが、物語の展開と共に立ち上る範囲を広げていく事で、主人公が『妖刀』に魅入られ、徐々に取り込まれていく様子を表現していくつもりらしい。
「随分と苦労シテいるようデスネー!」
無駄に爽やかな笑みを浮かべながら、新社長に就任したワイズマンが様子を見にやって来た。
秘書の瀬戸は別件で忙しいらしく、この現場には来ていない。
「お初にお目にかかります、脚本家のミハイルです。お噂はかねがね聞いております」
胸元のポケットから名刺を取り出し、ミハイルがワイズマンに頭を下げた。
「おー、よろしくプリーズでぇーす! 随分と苦戦シテいるヨウですネ?」
ミハイルの両手をガッシリと掴み、ワイズマンがニカっと笑う。
ワイズマンは普段から怪しげな英語を使っているため、実は津軽出身の権太田吾作ではないかと噂する者もいる。
「まぁ、ちょっとしたトラブルがありまして、多少のゴタゴタはありましたが、既に解決していますので、これから一緒に食事でもどうですか?」
ミハイルに続いて握手をかわし、三十朗がワイズマンを食事に誘う。
「でしたらワタシがヨク知っている店で、寿司ヤキじゃぶじゃぶでも食べまショウ!」
ワイズマンはだいぶ腹が減っていたのか、三十朗の背中をバンバンと叩き、そのままスタジオを出て行った。
「‥‥寿司ヤキじゃぶじゃぶって何だ?」
しかし、ミハイルのツッコミに答える者は誰もいない。
●撮影
「何とかうまく行きそうですね」
シーン2の撮影が無事に終わり、ケイ・蛇原(fa0179)がホッとした様子で汗を拭う。
蛇原の演じる役柄は悪の組織のボス(オロチ)役で、妖刀の力について知っている和服を着た強面のジャパニーズヤクザである。
先程まで辻原 光(fa0145)と一緒にシーン2の撮影をしていたのだが、NGが出る事もなく無事に終わらせる事が出来た。
「当たり前だろ。頭の中にきっちりと台詞が入っているからな」
自信に満ちた表情を浮かべ、光が自分の頭を指差しニヤリと笑う。
これから光は殺陣の演技指導をしなければならないため、ここでのんびりしている暇は無い。
「とりあえず残りのシーンはそちらが終わってからにしましょうか。少し休憩を挟んでおかないと、台詞を覚えきれないので‥‥」
自分が登場している部分の脚本を読みながら、蛇原が疲れた様子でクスリと笑う。
色々とやるべき事が多いため、途中に休憩を挟んでおかないと、台詞がごっちゃになりそうだ。
「それじゃ、俺は演技指導に行ってくる。あんまり待たせてしまっても悪いしな」
そう言って光がアンパンを頬張り、隣にある稽古場へとむかう。
一方、TUKUMOGOMIの撮影が行われているスタジオでは、別のシーンの撮影が行われており、役者達が台本に合わせて演技を続けている。
<シーン3>
「酷いな‥‥これって‥‥TUKUMOGAMI? アメリカの件と関係が有るんじゃ‥‥」
目の前に転がる死体を見つめ、広花役のヒロカ(fa2440)が歯を食いしばる。
ヒロカの役柄はTUKUMOGAMI武器管理組織『AMATERASU』戦闘班。
幼い頃、TUKUMOGAMI武器によって、家族親友を失った過去が有り、TUKUMOGAMI武器への復讐と執念で、格闘、戦闘技術を学んで来たという設定だ。
「‥‥間違いありません。TUKUMOGAMIの仕業ですっ!」
凛とした表情を浮かべ、大宗院・慧莉(fa2668)が拳をギュッと握り締める。
彼女の役柄は代々妖刀を封印してきた神社の巫女で、明るい性格の神学専攻の大学院生。
常に巫女服を着ており、神格化した布都御魂が授けた刀を以って、放たれた妖刀を再度封印しようと試みようとしているという設定だ。
「HAHAHAHAHA! 皆サン、お疲れサマーデース」
能天気な笑い声を響かせながら、ワイズマンが三十朗と肩を組んで現れた。
三十朗は何か妙なものでも食べたのか、青ざめた表情を浮かべ‥‥。
「ちょっ、ちょっと! 撮影中だよっ!?」
ワイズマンをジロリと睨み、ヒロカが不満そうに文句を言う。
「オー、ソーリーです! ワタシに気にせず、撮影を続けてクダサーイ!」
まったく悪びれた様子もなく、ワイズマンがヒロカの背中をバンバンと叩く。
「それ以上、邪魔をする気なら‥‥斬りますよ‥‥」
引きつった笑顔を浮かべながら、慧莉がドラマで使用している刀をワイズマンの喉元に突きつける。
「うっ‥‥ぐ‥‥。らじゃーです‥‥」
一気に酔いが醒めたのか、ワイズマンがションボリとした表情を浮かべ、寂しそうにスタジオを去っていく。
こうしてTUKUMOGAMIの撮影は無事に終わり、主人公の登場するシーンは後日撮影する事になった。