トライアングルハート南北アメリカ
種類 |
シリーズEX
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担当 |
ゆうきつかさ
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3.6万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/24〜04/28
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●本文
<ドラマの内容>
このドラマは脚本家のカラーによって、未来や過去に飛ばされたり、異世界で戦ったりする場合がありますが、近所でドラ焼きを買ったりするだけのシナリオも出来ます。
基本的には1話完結のドタバタもの。
ただし、スポンサーの要望を第一にするため、必ずしも要望が通るわけではありません。
●メイド派として参加する場合
<募集職種>
清純派のメイド役からドジッ娘メイド役まで幅広く募集しています。
<基本設定>
主人公はお坊ちゃまと、お嬢様。
彼らの家は大金持ちで隣同士の許婚。
ただし、屋敷の敷地が広いため、家の距離は離れている。
ふたりとも年頃になって、相手が気になっているようが、意地っ張りな性格とプライド、気恥ずかしさのせいで、いつもトゲトゲしい態度をとってしまい、それが原因で、いつも喧嘩になってしまう。
お坊ちゃまはタロットカードの力に危険なものを感じたため、選ばれた者達だけが使用できるように封印を施して行こうと思っています。
そのため、お嬢様と対立する事に‥‥。
<お坊ちゃまの設定>
名前:御剣・翔(みつるぎ・しょう)
容姿:東洋系の顔立ちをしており、喋らなければ美男子。
普段は眼鏡を掛けており、髪の色は銀色。神経質そうな雰囲気。
性格:現実主義でナルシスト。成績優秀で運動神経抜群。エリートタイプ。
口調:僕、君、だね、だろ?
年齢:17歳
●執事派として参加する場合
<募集職種>
正統派の執事役から邪道な執事役まで幅広く募集しています。
<基本設定>
主人公はお坊ちゃまと、お嬢様。
彼らの家は大金持ちで隣同士の許婚。
ただし、屋敷の敷地が広いため、家の距離は離れている。
ふたりとも年頃になって、相手が気になっているようが、意地っ張りな性格とプライド、気恥ずかしさのせいで、いつもトゲトゲしい態度をとってしまい、それが原因で、いつも喧嘩になってしまう。
お嬢様はタロットカードの力を素晴らしいと思い、その力を解放して以降と思っています。
そのため、お坊ちゃまとは敵対する事に‥‥。
<お嬢様の設定>
名前:パトリシア・ローズ
容姿:西洋系の顔立ちをしており、金髪、碧眼、縦巻きロール。
見た目は育ちのいいお嬢様風。
性格:我侭で高飛車。好奇心旺盛で甘えん坊。
寂しがり屋で意地っ張り。自己中な性格で口が悪い。
口調:わたくし、あなた、ですわ、でしょう?
年齢:17歳
●決めて欲しいもの
自分の演じる執事がどんな設定なのかを教えてください。
アンドロイド型や魔物型でも構いません。
ただし、実在する歴史上の人物や有名キャラクターなどを使用しない事ようにお願いします。
著作権の関係上、色々と問題が出てくる場合があります。
執事達はタロットカードを使用する事で魔法を使う事が出来ます。
最初に配布されるカードは一枚。
キャラクターの性格によって、正位置か逆位置で使用する事が出来ます。
どちらかいいか希望を書いた上で、自分が所有するカードを教えてください。
<テンプレート>
役名:演じる役名を記入。
性格:演じる役の性格を記入。
特徴:演じる役の特徴を記入。
見せ場:自分の見せ場を記入。
所有カード:所有しているタロットを記入(表か裏のみ)。
特殊能力:カードを使用した時に発動する能力を記入。
(注意:内容によっては修正される場合があります)。
●今回のシーン説明
・シーン1 執事パート
お嬢様がタロットカードの力を解放するため、なにやら悪巧みをしているシーンです。
タロットカードはお坊ちゃまとお嬢様の両親が共同で管理しているため、彼女が封印を解くための鍵を持っています。
・シーン2 メイドパート
お嬢様がタロットカードの封印を解こうという事を知り、何とか阻止しようと動きます。
封印が成功した場合、タロットカードと正式に契約したものしか能力が使えなくなります。
・シーン3 対決シーン
対決する場所はタロットカードの管理されている祠の前。
地面には巨大な魔方陣が描かれており、カードが使用されるたびに青白く輝きます。
そして、お嬢様の血が流れたのと同時にカードの力が解放され、お坊ちゃまがカードを封印する旅に出る事になります。
●リプレイ本文
●執事パート・キャスト
マコト役:皇・皇(fa0043)
アルベルト・ハザードライド役:Eugene(fa2360)
ウォルト役:縁(fa0613)
グレイ役:壬 タクト(fa2121)
●執事パート
「じょ、冗談だろ!? タロットカードの力を解放するなんて‥‥」
驚いた様子で目を丸くさせ、マコトがパトリシア・ローズをジロリと睨む。
マコトはお人好しで『女性に優しい英国的紳士』を目指しているため、パトリシアの我侭に対してもそれほど反論する事はないのだが、今回の件に関しては納得がいかないようだ。
「‥‥当然ですわ。そもそもご先祖様がタロットカードの力を封印したせいで、世の中がこんなに不便になってしまったのですから‥‥。庶民の生活を助けるためにも、タロットカードの封印を解き、ローズ家の偉大さを庶民の心に刻みつける必要がありますわ!」
当然とばかりに胸を張り、パトリシアが言い放つ。
パトリシアの家はタロットカードを管理している一族の末裔で、政財界に影響を与える程の力を持っている。
そのためパトリシアはとても我侭な性格をしており、一度決めた事はどんな事があっても曲げる事がない。
「僕もお嬢様の意見に賛成です。タロットカードの力が自由に使えなくなったせいで、環境破壊が進み貧富の差が激しくなっていますから‥‥。それにタロットカードの力が解放されたとしても、怒る人なんていないと思いますからね」
のほほんとした表情を浮かべ、アルベルト・ハザードライドが紅茶を淹れる。
アルベルトは超一流の執事養成学校を主席で卒業したエリートで、特に乗り物の操縦が得意で自転車から戦闘機まで何でも操る事が出来るほどだ。
「だ、だけど、タロットカードの封印した先代って、お嬢様のお父様なんだろ? こんな事がお父様にバレたら、お嬢様だってタダじゃ済まないぞ?」
心配した様子でパトリシアを見つめた後、マコトが諦めた様子で溜息をつく。
「おーっほっほっほっ! その事に関しては何の問題もありませんわっ! お父様がメイド達とおイタをしていた証拠がありますからっ! もしも、この事をお母様が知ったら、どうなるかくらいお前達にだって分かるでしょ? 血の海ですわっ♪」
高笑いを響かせながら、パトリシアがえっへんと胸を張る。
色々な意味でパトリシアも本気らしく、無駄に根回しをしてあるらしい。
「‥‥いいのか、それで」
呆れた様子で頭を抱え、マコトがボソリと呟いた。
タロットカードの力を解放する事には納得する事が出来たとしても、自分達が仕えている主人の父親を陥れる気にはならない。
「それがマスターの意志であるのなら、私はどこまでも従いますわ」
クールな表情を浮かべながら、ウォルトが紅茶を口に含む。
ウォルトは厳し過ぎず甘過ぎずマスター(お嬢様)に接するマスター至上主義者で、製造過程の事故で口調が女性型に固定されたアンドロイド執事である。
「しっかし、お嬢さま‥‥? 元気なのは良いけど、あんまりお転婆が過ぎて婚約者クンに嫌われちゃっても知らないからね?」
人の良さそうな笑みを浮かべ、グレイが空になったパトリシアのカップに紅茶を注ぐ。
グレイはいつも人の良さそうな笑みを浮かべているが、飄々としていて掴み所がなく毒舌な上に皮肉屋だ。
そのため、無意識のうちにパトリシアの心を傷つけている場合が多い。
「ふんっ! 構いませんわ。この程度の事で動揺する程度の男なら、我が一族の一員に加える事など出来ませんからね」
少し期待した表情を浮かべ、パトリシアがクスリと笑う。
タロットカードの力を解放している途中で、翔が止めに来る事を期待しているのか、どこか嬉しそうである。
「どちらにしても、あちらのお坊ちゃまが邪魔に来るのは確実ですから、こちらから予告状でも出しておきますか? どうせバレてしまうのなら、我々が仕事しやすいように罠を仕掛けておいた方が楽でしょう?」
瞳をキラリと輝かせ、アルベルトが怪しくニヤリと笑う。
翔は先代の教えを忠実に守っているため、パトリシアの暴走を放っておくわけがない。
「仕方がありませんわね。わたくしがラヴレターというものを書いて差し上げますわ。御剣のヤツ‥‥、こんなものをもらった事がないでしょうから、鼻血を吹いて喜ぶ事でしょう。それどころか盛りのついたオス犬のように、わたくしの前にひれ伏すかも知れませんわ。おーほっほっほっほっほっほっ!」
執事から羽根ペンを受け取り、パトリシアが高笑いを響かせた。
「マスター、盛りのついたオス犬は余計ですわ。‥‥品位を疑われてしまいますわよ」
パトリシアのガラが悪くなってきたため、ウォルトが念のため突っ込んでおく。
「あら、そうですわね。わたくしとした事が、ちょっと興奮してしまいましたわ」
小悪魔チックな笑みを浮かべ、パトリシアが手紙にキスをした。
「それじゃ、こっちはタロットカードの力が封印されている祠の場所を調べておくか。どっちにしても自分達の目が届く場所にあるだろうしな」
屋敷周辺の地図をテーブルの上に置き、グレイが溜息をついて椅子を座る。
「そんな手間のかかる事をする必要はありませんわ。マスターのお父上ならデータを暗号化させてネットの海に散らばらせているはずですから‥‥」
すぐさま屋敷のメインコンピュータにアクセスを始め、ウォルトが手馴れた手つきでプロテクトを解いていく。
「‥‥さすがね。お父様のプロテクトがあっという間に解除され、断片化されたファイルが復元されていきますわ。‥‥あら? これは愛人さんとのラヴ写真‥‥。これも重要な証拠になりますわね」
ウォルトが新しい証拠を見つけてきたため、パトリシアが満足した様子でニヤリと笑う。
「データは断片化されていますから、こういう事もありますわね。まぁ、恨むのなら、こんなものまで断片化してネットに流しておいたお父上が悪いという事で‥‥」
まったく悪びれた様子もなく、ウォルトが次々とファイルの復元をしていった。
そして‥‥。
「‥‥ありました。これですね」
目的のデータを発見し、ウォルトがダウンロードした後、プリントアウトをし始める。
「ふふふっ‥‥、これで封印を解く事が出来ますわね。みていらっしゃい。ローズ家の偉大さを世界に知らしめてやりますわ。おーっほっほっほっほっほっ!」
プリントアウトした紙を握り締め、パトリシアがタロットカードの力を解放しに向かう。
きちんと速達で翔宛てに手紙を出した後で‥‥。
●メイドパート・キャスト
ベル役:鐘下べる(fa1828)
リオ役:倉鈎織佳(fa0289)
ブローディア役:天音(fa0204)
エリー役:大宗院・慧莉(fa2668)
●メイドパート
「た、大変ですよぉ〜☆」
慌てた様子でスリッパをパタパタさせながら、ベルがパトリシアの手紙を持って屋敷の中を駆け回る。
ベルはおっちょこちょいな性格なので、廊下の曲がり角で転んだり、途中で迷子になったりしているため、御剣のいる場所までなかなか辿り着く事が出来ない。
「一体、何の騒ぎだ。朝っぱらから騒がしい」
眠そうな目を擦りながら、御剣・翔がベルを見つめて溜息をつく。
屋敷のあちこちでベルが騒いでいたため、五月蠅さのあまり目を覚ましてしまったようだ。
「た、大変ですよっ! こんなものが、うちのポストに入ってましたぁ〜」
能天気な声をあげながら、ベルが翔にパトリシアの手紙を手渡した。
「こ、これはパトリシアからの‥‥ラヴレター!?」
『果たし状』と書かれた手紙の内容を確認し、翔が驚いた様子で目を丸くする。
色々と突っ込むところはあるのだが、それ以前に家が隣同士なのにも関わらず、速達で手紙を送ってきている彼女の神経が分からない。
「どうやらタロットカードの封印を解くつもりでいるようですね」
翔の持っている手紙を横から覗き込み、リオがボソリと呟いた。
彼女は自力本願で無愛想なメイドのため、手紙の内容を読んでも自分からは決して動こうとしない。
「タロットカードの封印を解くだと‥‥!? ば、馬鹿なっ! そんな事をしたら、世界が混乱するのは目に見えているっ! 限られた者だけがタロットカードの力を使えるからこそ、世界が安定しているというのに‥‥。一体、彼女は何を考えているんだっ!」
納得のいかない表情を浮かべ、翔が拳をギュッと握り締める。
御剣の家はパトリシアの家と共同でタロットカードの封印を守ってきたため、彼女が封印を解こうとしている理由が分からない。
「まぁ、彼女が不可解な行動をするのは、これが初めてじゃありませんからね。何となく封印を解きたくなったんじゃないんですか?」
パトリシアの事には興味がないのか、リオがさらりと答えを返す。
「呆」
翔からパトリシアの手紙を受け取り、ブローディアが呆れた様子で溜息をつく。
ブローディアは先々代の祖父が孫のために召喚した魔物で、自らの意思で翼を生やす事が出来るため、翔の命令さえあれば空を飛んで祠まで行く事が出来る。
「まぁ、御剣家の封印さえ解けなければ何とかなる。こういう時のために僕達が存在しているわけだしね。昔は封印を解く側と、封印をする側に分かれて、たくさんの血が流れたらしいからね‥‥。とにかく彼女の暴走を止めなければ‥‥」
胸ポケットから携帯電話を取り出し、翔がメイド達に対して招集をかけた。
メイド達は屋敷に響くサイレンの音に気づき、慌てた様子で翔の元へと集まってくる。
「君達を呼んだのは他でもない。ローズ家のパトリシアがタロットカードの力を封印するため動いている。既にローズ家の封印が解けている可能性が高いため、御剣家の封印が解かれてしまうのも、いつまで持つか分からない。そのため、すぐにでも祠に向かい、彼女の暴走を止める必要があるだろう。悪いがみんなも協力してくれないか」
ブローディアの持ってきたマイクを受け取り、翔が力強い口調で手紙の内容を語っていく。
メイド達の中には驚いている者達もいたが、大半のメイドは『‥‥またか』と言いたげな表情を浮かべている。
「‥‥翔、何だか大変みたいだから、エリーも一緒についていくよ」
あまりにも暇でする事が無かったため、エリーが翔の後をついていく事を約束した。
彼女は元気で、明るく、何事にも一生懸命なため、妙に気合が入っている。
「私も一緒について行くですよぉ〜☆」
瞳をランランと輝かせ、ベルがニコリと微笑んだ。
「それじゃ、ブローディアには偵察をお願い出来るかな? 僕らもヘリに乗って現地に向かうから‥‥」
メイド達に頼んでヘリを用意してもらい、翔がブローディアにお願いをした。
「了」
翔の頼みを断るわけにも行かないため、ブローディアが漆黒の翼を生やして飛んでいく。
「‥‥死んじゃ駄目だよ。悲しいから‥‥」
ブローディアが見えなくなるまで見送り、エリーが祈るような表情を浮かべて呟いた。
●対決パート
「着」
『世界(正位置)』のタロットカードを解放し、ブローディアが自身を中心に半径50m以内に存在するもの全てを知覚・認識・把握・分析する事の出来る知覚領域と呼べるものを展開した。
翔の予想通り祠の封印は解かれており、御剣家の施したお札だけが貼られている。
「誰」
背中に背負った大剣を引き抜き、ブローディアが辺りを睨む。
辺りには誰もいないような雰囲気だが、祠の封印が解かれている以上、パトリシア達が此処に来ているのは間違いない。
「道中、ご苦労様。‥‥だけど、あなた方にマスターの邪魔はさせません」
『吊るされた男(正位置)』のタロットカードを解放し、ウォルトがミシン糸程の細い糸を無数に出現させた。
それと同時に地面に描かれた魔方陣が青白く輝き、カードの力が増幅されていく。
「斬」
大剣をブンブンと振り回し、ブローディアがウォルトの出現させた糸を斬る。
ウォルトの糸は簡単に切断する事が出来るのだが、次々と現れてくるためキリがない。
「おーっほっほっ! たったひとりで何が出来るというのかしら? だんだん動きが鈍くなって来ているわよ」
含みのある笑みを浮かべながら、パトリシアがブローディアを挑発する。
「そこまでだっ!」
次の瞬間、翔がパラシュートを背負ってヘリから飛び降り、パトリシア達の前にシュタッと着地した。
「‥‥あら? 誰かと思えば御剣さん。いまさら、こんな場所に来て、何をしようって言うのかしら?」
小馬鹿にした様子で翔を見つめ、パトリシアが勝ち誇った様子で胸を張る。
「その割には随分と苦戦しているようじゃないか。ひょっとして御剣家の施した封印を解く事が出来ないのかい? ローズ家と違ってうちの封印はレベルが高いからね」
ジロリとパトリシアを睨みつけ、翔が皮肉まじりに呟いた。
「うぐぐっ‥‥、わたくしを馬鹿にするならまだしも、ローズ家まで愚弄するとは許しませんわ。ここから無傷で帰れるとは思わない方がいいですわよ」
拳をワナワナと震わせた後、パトリシアがビシィッと翔を指差した。
「あー‥‥、お嬢様の事件に巻き込んで本当にすまん。出来ればこのまま何も見なかった事にしてくれるとありがたいんだが‥‥だめ、だよなあ。悪い、足止めさせてもらうわ」
それと同時にマコトが『法王(正位置』のタロットカードを解放し、霧の信徒と呼ばれる人型を呼び出して使役する。
霧の信徒は白と黒の人型があり、白の人型は『拝教者』、黒の人型は『背教者』と呼ばれるらしい。
「君達は間違っているっ! タロットカードの力を解放する事が、どれほど危険な事なのか分かっていない」
あえてタロットカードの力は使わず、翔が体術を使って霧の信徒を倒していく。
霧の信徒の戦闘力はそれほど高くないのだが、あまりにも数が多いためキリがない。
「もちろん、自分のやっている事が絶対正しいとは思わないさ。でも、僕達はお嬢様の執事だからね」
『悪魔(正位置)』のタロットカードを素早く構え、グレイが翔達を見つめてクスリと笑う。
彼の特殊能力は対象者に対し、欲望の叶った場面から破滅までの幻覚を見せる力があり、精神に与えるダメージは計り知れないものがある。
「あなた達のせいで、私まで此処に来る事になったんですからね。今日は見たい番組があったのに‥‥」
凍るように冷たい視線をグレイに送り、リオが『制約(正位置)』の力を解放させる。
彼女の力は自分を含む視覚内に入った者の、身体・思考能力を半減させる事が出来るため、視覚内から出るか使用者がカードを使うのを止めるまで効果が消えない。
「‥‥面倒臭い人達だな。楽しそうだからじゃ駄目かな?」
すぐさまカードの力を解放し、グレイがリオに幻覚を見せようとする。
しかし、リオの使ったカードの力によって能力が半減しているため、それほど彼女もダメージを受けていない。
「こ、このままじゃ、タロットカードの力が解放されちゃう。早く止めなきゃっ! 突撃っ!」
『力(正位置)』のタロットカードを解放し、エリーがグレイに攻撃を仕掛けていく。
彼女の能力は純粋に力を高める事が出来、岩や壁などを容易に破壊する事が出来る。
「おーっほっほっ! 残念でしたわね。御剣家の封印も解く事が出来ましたわ」
高笑いを響かせながら、パトリシアがナイフを抜く。
「マスター、早く封印を‥‥」
パトリシアが長々と説明を始めようとしたため、ウォルトがクールなツッコミを入れ、左右の壁に糸を貼りつけバリケードを作り出す。
「こ、このままじゃ、タロットカードの封印が解かれてしまうっ!」
悔しそうな表情を浮かべ、翔がチィッと舌打ちした。
「急」
漆黒の翼を大きく羽ばたかせ、ブローディアがパトリシアに攻撃を仕掛ける。
「‥‥邪魔はさせませんよ」
『戦車(正位置)』のタロットカードを解放し、アルベルトがバイクをライダーバイクに変化させ、ブローディアの行く手を阻む。
アルベルトの能力は乗り物を強化する力があり、見た目だけでなく性能もアップする。
「そうはさせないですよ〜☆」
『太陽(正位置)』のタロットカードを解放し、ベルが眩い光を発生させた。
彼女の能力は光を操る力があり、バリアーを展開させる事も出来る。
「きゃあ!?」
あまりの眩しさに悲鳴をあげ、パトリシアがナイフを落とす。
「ここまで来て、諦めるわけにはいかないんだよっ! ‥‥たくっ! お嬢様、ちょっと痛いかも知れないが、恨みっこなしだからな!」
すぐさま持っていたナイフを飛ばし、マコトがパトリシアの右腕を切りつけた。
「おーっほっほっ! 構いませんわ。これでタロットカードの力が解放する事が出来るのなら‥‥」
傷ついた右腕を高々と掲げ、パトリシアが魔方陣に自分の血を落としていく。
「クッ‥‥! 馬鹿な、真似をっ!」
ダラリと汗を流しながら、翔がガックリと肩を落とす。
それと同時に魔方陣が金色の光を放ち、封印されていたタロットカードが解放されて次々と飛び出し、バラバラと全世界に散らばっていった。
「それじゃ、ごめんあそばせっ!」
満足した表情を浮かべ、パトリシアが執事達を連れてその場を去る。
絶望に打ちひしがれる翔を残して‥‥。
「大丈夫、私達がいるから‥‥」
一瞬、大人びた表情を浮かべ、エリーが翔の頭を撫でた。
「分かっているさ。すぐにタロットカードの封印をし直す必要があるからね」
完全に力を失った魔法陣を見つめ、翔がふらりと立ち上がる。
「それじゃ、翔は勇者、ブローディアは戦士、ベルは魔法使い、ミモザは僧侶、エリーは武道家だね」
落ち込む翔を慰めながら、エリーがニコリと微笑んだ。
こうして翔達はタロットカードの力を封印するため、全世界へと旅立つのであった‥‥。