続・廃ビルデスマッチ南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
ゆうきつかさ
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
3.9万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
05/03〜05/07
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●本文
<参加資格>
怪我をしても賞金の欲しい方。
<詳しい内容>
優勝賞金20万円を懸けて廃ビルを舞台に戦います。
参加者は爆薬の仕掛けられたチョッキ(参加番号順)を纏い、事前に起爆スイッチを渡されます。
このスイッチはランダムで配られているため、どのチョッキが爆発するのか分かりません。
そのため、うまく行けばライバルを蹴落とす事が出来ますが、最悪の場合は自爆してしまいます。
また階を上がる事にコード(赤、青、黄、黒)を切断していかなければなりません。
解除コードは全部で3本。
残りの一本は起爆コードになっています。
爆薬はちょっと痛い程度のレベルに調節してありますが、かなり痛いので覚悟しておいてください。
<エリア説明>
1階:
床にオイルが塗られているため、とても滑りやすくなっています。
うまく歩けるように何か作戦を考えておきましょう。
2階:
部屋の中に張り巡らされているピアノ線を切断すると、トラップが発動するようになっています。
3階:
部屋全体が真っ暗なため、物凄く不安になります。
何か灯りになるものを用意しておきましょう。
屋上:
優勝トロフィーが置かれています。
これを手に入れる事が出来れば賞金20万円。
ライバルがいた場合は起爆スイッチを押さなければなりません。
●リプレイ本文
●1階:オイル床
続・廃ビルデスマッチはライブ中継で行われる事になったため、参加者達には事前に完全獣化しておくか、半獣化する事が義務づけられた。
「これは僕との戦い‥‥そう‥‥目指すは‥‥勝利っ!」
所属プロダクションULWに帰る為、白鳥沢 優雅(fa0361)が無謀にも参加を決意する。
パートナーは偶然その場に居合わせた、焔(fa0374)。
半ば強制的に参加させられたためか、ライブ中継が始まった後も逃げ腰である。
「何をそんなに怯えているんだ? ひょっとして、コレか?」
含みのある笑みを浮かべながら、朱凰 夜魅子(fa2609)がスイッチをポチッと押す。
それと同時に後ろに方から雄叫びが聞こえ、参加者のひとりがあっという間に脱落した。
「ほっほっほっ‥‥。こりゃあ、面白い装置じゃのぉ。‥‥ポチッとな」
満面の笑みを浮かべながら、DarkUnicorn(fa3622)がポチっとボタンを押す。
「ぎゃあああああああああああああ!」
‥‥優雅の悲鳴。
DarkUnicornがハッとなる。
偶然とはいえ、守るべき者を脱落させてしまったのだから‥‥。
そのため、DarkUnicornは何も見ないフリをした。
もちろん、ボタンも押していない。
その記憶は既に忘れてしまっているから‥‥。
「ゆ、優雅ああああああああ!」
グッタリとした優雅を抱き上げ、焔が彼の名前を何度も呼ぶ。
一緒に最上階を目指そうと言われていたため、焔にとっても予想外の展開だ。
「あぅぅ‥‥、痛そうですねっ。ゆ、夢じゃありませんものね〜‥‥」
同情した様子で優雅を見つめ、安部彩乃(fa1244)がなむなむと両手を合わす。
ライバルが減った分、優勝には近づいた。
「まあ、このぐらいのギャンブル性がなければ、20万なんて高額賞金を出すわけはねーわな」
納得した表情を浮かべ、名無しの演技者(fa2582)が完全獣化した状態でニヤリと笑う。
「生きるか、死ぬか、それだけだ」
完全獣化してパンダの覆面を被り、常盤 躑躅(fa2529)が全身の筋肉を隆起させる。
躑躅も鶸・檜皮(fa2614)とタッグを組み、優勝を目指して頂上にむかうつもりでいるらしい。
「‥‥2対1だが悪く思うな‥‥これも勝つ為の作戦のひとつだ‥‥。常盤‥‥フォーメーションAで行くぞ!!」
素早くトカレフを構え、鶸が躑躅にむかって合図を送る。
「任せておけっ!」
鶸と自分自身に幸運付与をかけ、躑躅が起爆スイッチをポチッと押した。
「ば、馬鹿な! 参加番号(4番)が悪かったのか!?」
それと同時にチョッキの爆薬が派手に爆発し、躑躅が納得のいかない様子でぱたりと倒れる。
例え幸運付与を使ったとしても、成功率が100%になるわけではないため、運悪く自爆してしまったらしい。
「それはこっちの台詞よ。まだ始まったばかりなのに‥‥」
納得のいかない表情を浮かべ、夜魅子がぶすぶすと煙を上げてパタリと倒れ込む。
試合が開始されてから、まだ5分ほどしか経っていないが、既に半数近くの参加者が脱落しつつある。
「常盤‥‥、お前の犠牲は無駄にしない」
スキー板を穿いて一直線に滑っていき、鶸が2階へと続く階段を上っていく。
続いて階段を上ったのは、名無しの演技者。
蝙蝠の翼を使って空を飛び、床を歩く事なく2階まで飛んでいく。
「みんな急ぎ過ぎって感じねぇ。もっと勝負を楽しめばいいのに‥‥」
マッタリとした表情を浮かべ、天目一個(fa3453)がゴクリと酒を飲む。
こちらから攻撃を仕掛けていかなくとも、相手が勝手に自爆してくれているため、自分のペースで先に進む事にしたようだ。
「そりゃあ、20万円の賞金が掛かっているからな。目の色だって変わるだろ」
担架で運ばれていく優雅を見つめ、焔が疲れた様子で溜息をつく。
爆発の被害をモロに受けてしまったため、焔の右腕からは大量の血がポタポタと流れ落ちている。
「先程はすまんかったのぉ。まさか、守るべきはずの者を自らの手で葬ってしまうとは‥‥」
治癒命光を使って焔の傷を癒し、DarkUnicornがペコリと頭を下げた。
「どうして俺を助けてくれるんだ?」
不思議そうな表情を浮かべ、焔がジロリと睨む。
「ただの気まぐれじゃ」
あえて依頼されている事をつけず、DarkUnicornがニコリと笑う。
「ううっ、いきなりビリですっ‥‥。でも、ネガティブはめーですっ」
匍匐前進しながらヌルヌルとした床を這って行き、彩乃が青のコードをぷちんと切る。
‥‥セーフ。
●2階:ブービートラップ
「優雅‥‥。俺を守ってくれ!」
祈るような表情を浮かべ、焔が一気に突っ走る。
「あっ‥‥」
それと同時にピアノ線がぷちんぷちんと切れていき、次々とブービートラップが発動した。
「うわっ! うわぁ! げふっ!」
マキビシ、投網、丸太の一撃を喰らい、焔がげふっと血反吐を吐いて倒れ込む。
それでもトラップの発動は止まらず、他の参加者達まで巻き込んでいく。
「クッ‥‥、馬鹿な真似をしやがって!」
すぐさま発煙筒を放り投げ、名無しの演技者が煙に紛れてトカレフの引き金を引いた。
「きゃあ!? いきなり銃なんて卑怯よっ!」
次の瞬間、名無しの演技者の放った一撃がチョッキに当たり、天目一個が爆発の衝撃で激痛が走り悲鳴を上げる。
「‥‥馬鹿な真似をっ!」
もうすぐ幸運付与の効果が切れてしまうため、鶸がチィッと舌打ちしながら先に進む。
起爆スイッチと同様に解除コードもランダムのため、運を天に任せてコードを千切る。
それと同時に凄まじい爆発音が辺りに響く。
‥‥一瞬の沈黙。
まわりにいた参加者達も動きを止めた。
「‥‥ん? 俺じゃ‥‥ない?」
ハッとした表情を浮かべながら、鶸が自分の身体をペタペタと触る。
どうやら先程の爆発は鶸ではなく、自分の穿いていたスケート靴をピアノ線に向かって放り投げ、ブービートラップを発動させて自爆したDarkUnicornのものだったらしい。
「ううっ‥‥。ここでも、わたくしがビリですかっ‥‥。でも、頑張りますよっ! 大胆に燃えるです〜」
拳をギュッと握り締め、彩乃がコードをチョキンと切った。
‥‥セーフ。
●3階:真っ暗な部屋
「うぅ‥‥真っ暗なのでドキドキしますねぇ〜。‥‥でも暗がりでぽっ‥‥です〜」
携帯用のハンドライトをポッと照らし、彩乃が緊張した様子で辺りを睨む。
暗闇の中で光る、無数の目。
「ひょっ、ひょっとして、アレはっ‥‥。きゃああああ〜」
嫌な予感が脳裏を過ぎり、彩乃が悲鳴を上げて尻餅をつく。
それと同時に天井に張り付いていた蝙蝠の群れが一斉に飛び立ち、彩乃の頭上でキィキィと鳴いた。
「まさか、こんな所で同族に会うとはな」
冗談まじりに微笑みながら、名無しの演技者が蝙蝠の攻撃をかわしていく。
「やれやれ、面倒な事になったな」
ライトを使って視界を確保し、鶸が翼を使って屋上を目指す。
「させるかっ!」
すぐさま鶸に体当たりを仕掛け、名無しの演技者が何度も邪魔をした。
鶸は既にスイッチを押しているため、ここで蹴落とさなければ、優勝する事の出来る確率がガクンと下がる。
「おいおい、こんな場所で戦うのか? どうせなら屋上まで楽しみはとっておくべきだろ?」
苦笑いを浮かべながら、鶸が破雷光撃を放つ。
鶸の放った一撃は名無しの演技者の左肩をかすり、その反動で彼が壁に突っ込んだ。
「この程度の技で我が輩を倒したつもりか? ‥‥愚かな。返り討ちにしてやるっ!」
殺気に満ちた表情を浮かべながら、名無しの演技者がアイアンクローを放って吸触精気を発動させた。
「それはこっちの台詞だっ!」
力任せに特殊警防を突きつけ、鶸が後ろに素早く飛んだ。
「‥‥コケ脅しか。我が輩も随分と甘くみられたものだな」
含みのある笑みを浮かべ、名無しの演技者が鶸に攻撃を仕掛けようとする。
が、しかし‥‥。
「‥‥ジ・エンドだ」
名無しの演技者の胸元を指差し、鶸が怪しくニヤリと笑う。
解除コードがすべて切断されている。
起爆スイッチへと繋がるコードまで‥‥。
「ぎゃあああああああああああああああ!!」
名無しの演技者の悲鳴が辺りに響く。
屋上へと続く階段を目の前にして‥‥。
「い、いま誰かの悲鳴がっ! ひょっとして、わたくし‥‥。勝っちゃいましたかっ!? このまま一気にゴールですぅ〜」
満面の笑みを浮かべながら、彩乃がパタパタと階段まで走っていき、最後のコード(黒)を切断した。
ちゅどぉーん!
彩乃のチョッキが爆発した。
「ざんねん わたしの ぼうけんは ここで おわってしまった」
口からもわんと煙を吐き、彩乃がぱたりと倒れ込む。
「でも、優勝だけは‥‥させませんっ!」
最後の気力を振り絞り、彩乃が起爆スイッチを押した。
「‥‥‥‥あれ?」
爆発音がしなかったため、彩乃が大きなハテナマークを点滅させる。
「残念だったな。既にコードは切断済みだ」
クールな笑みを浮かべてコードの一部を放り投げ、鶸がクスリと笑って屋上へと続く階段を上っていく。
勝利の証である優勝トロフィーを手に入れるために‥‥。