PET SHOP 01南北アメリカ

種類 シリーズEX
担当 ゆうきつかさ
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 難しい
報酬 3.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 05/11〜05/15

●本文

<詳しい内容>
 正統派プロレスではなく、ショープロレスです。
 試合の勝敗は実力ではなく、その場のノリで決まります。
 今回はミックスドマッチと言う事で、『DOG’S』VS『CAT’S』の試合になっています。
 自分がどちらに所属するかを選んだ上で、シナリオに参加してください。
 現時点で無所属は選べませんので、ご了承くださいませ。
 ただし、男女比率が均等でなかった場合は、NPCレスラーが参加するか、普段通りの試合をしても構いません。
 ちなみにエロが禁止されているため、お色気レベルに抑えてください。
 あまり過激な事をし過ぎると、試合が中止してしまいます。
 試合は全部で4試合。
 対戦相手を選んだ上で一試合だけ参加してください。
 複数の試合に参加した場合は、こちらで適当に割り振られてしまうため、望むような試合は出来なくなります。
 また、あまりにも危険であると判断された場合は、『PET SHOP』の社長であるワイズマン・ウォルター・エルマン(通称:WWE)から試合の中止を宣言されます。

<選択可能な試合一覧>
・チェーンデスマッチ
 両選手の片手にチェーンを繋ぎ、試合を行う形式です。
 チェーンは長めのものを使用しているため、武器として使用する事も出来ます。
・ケージデスマッチ
 リングの四方を金網で囲み、逃げ場を無くして行う試合を行う形式です。
 相手をKOすればケージから出れます。
・有刺鉄線デスマッチ
 ロープの代わりに有刺鉄線を張ったリングで行う試合を行う形式です。
 追加オプションで爆破や電流なども選べます。
・ガチンコマッチ
 ストーリー重視の試合になります。
 筋書きなどを決めた上で、魅せるプロレスを心掛けておきましょう。

・追い剥ぎマッチ
 対戦相手の服を脱がして水着姿にする事が出来たら勝利です。
 専用のコスチュームを着て試合に参加してください。

・ローションマッチ
 全身にローションを塗りたくった上で試合をします。
 リング上にもローションが塗られているため、とても技が掛けにくくなっています。

・キャラクターマッチ
 レスラーのキャラクター性を強調した試合運びが可能となっており、架空の設定などを持ち込んで対戦相手と試合します。

・ガチンコマッチ
 ストーリー重視の試合になります。
 筋書きなどを決めた上で、魅せるプロレスを心掛けておきましょう。

・タッグマッチ
 所属の同じ者同士が組んで試合をします。
 タッグマッチならではの試合が出来ます。

<テンプレート>
所属:
リングネーム:
試合形式:
対戦相手:
登場シーン:
登場時の台詞:
コスチューム:
アピールポイント:
得意技:
苦手技:
決め台詞:

<説明>
所属:『DOG’S』か『CAT’S』のどちらを選んでください。
リングネーム:未記入の場合はPC名になります。
試合形式:チェーンデスマッチ、ケージデスマッチ、有刺鉄線デスマッチ、ガチンコマッチ、追い剥ぎマッチ、ローションマッチ、コスチュームマッチ、ガチンコマッチのうち、どれかひとつを選んでください。
対戦相手:対戦相手の名前とPCIDを記入してください。
登場シーン:登場の仕方を教えてください。
登場時の台詞:キャラクターの口調でお願いします。
コスチューム:コスチュームの説明をお願いします。
アピールポイント:一番アピールしたいポイントは?
得意技:得意な技を教えてください。
苦手技:苦手な技を教えてください。
決め台詞:勝利した場合の決め台詞。

●今回の参加者

 fa0361 白鳥沢 優雅(18歳・♂・小鳥)
 fa0383 ダイナマイト・アスカ(16歳・♀・竜)
 fa0757 グリード(24歳・♂・熊)
 fa2572 キング・バッファロー(40歳・♂・牛)
 fa2585 ベリル・ライアン(24歳・♀・獅子)
 fa2594 ドン・ドラコ(30歳・♂・竜)
 fa3090 辰巳 空(18歳・♂・竜)
 fa3148 ゴールデン・クイーン(24歳・♀・虎)

●リプレイ本文

●ベリル・ライアン(fa2585)の控え室
「そろそろ試合の時間よ。‥‥準備は終わった?」
 スケジュール帳を片手にドアをノックし、瀬戸・カトリーヌ(fz1005)がクスリと笑う。
 控え室の中にはベリル・ライアンが立っており、登場シーンで使用する西洋の鎧兜を身に纏っている最中だった。
「わざわざ様子を見に来たんですか? ‥‥大丈夫ですよ。もうすぐ準備が終わりますから‥‥」
 鎧の留め金をつけた後、ベリルが大鏡の前に立つ。
 彼女の両脇には同じように西洋の甲冑を着た女性が立っており、鎧に不備がないか何度もチェックを繰り返す。
「‥‥まあね。でも今回の場合は『CAT‘S』と『DOG’S』の合同試合になるから、途中で失敗なんて許されないわ。最悪の場合、これで『PET SHOP』が終わりという事もあり得るわけだから‥‥」
 含みのある笑みを浮かべながら、瀬戸がスケジュール帳をパタンと閉じる。
 『PET SHOP』で支払われているボーナスはすべてワイズマン・エルマン(fz1004)の懐から出ているため、瀬戸としては何としてでも『PET SHOP』を成功させてワイズマンを赤貧にさせたいらしい。
「失敗なんてしませんよ。まぁ、見ていてください。うまくやっておきますから‥‥」
 ‥‥そう言ってベリルが控え室を出て行った。

●辰巳 空(fa3090)の控え室
「‥‥なるほど。登場シーンは出来るだけ派手に‥‥と」
 『ショープロレス(入門ワイズマン著)』を読みながら、辰巳 空が感心した様子で溜息を漏らす。
 ワイズマンの本は文字が大きく、ふんだんに絵が使われているため、初心者であっても分かりやすい。
 その代わり無駄に本が分厚いため、持ち運びには不便である。
「随分と勉強熱心のYOUデスネ〜♪」
 陽気な笑みを浮かべながら、ワイズマンが控え室の中に入ってきた。
 相変わらずまわりの空気を読んでいないためか、ワイズマンの声は大きく鬱陶しい。
「えっと‥‥、よろしくお願いします」
 苦笑いを浮かべながら、空が気まずく頬を掻く。
 ワイズマンのおかげで試合に対する緊張は無くなったが、彼の相手をしていると何時まで経っても試合には出られそうに無い。
「いきなり『PET SHOP』から参加するなんて、根性がありますネ。色々と分からない事もあると思いますが、気軽に質問してクダサァーイ!」
 真っ白な歯をキラリと輝かせ、ワイズマンが豪快に笑う。
 空にプロレスとは何たるかを教えるために‥‥。

●第1試合 『ガチンコ+追い剥ぎマッチマッチ ベリル・ザ・ゴールデン・レオVSブドー・カメン』
「喧嘩上等! 逝きなさい!!」
 会場内にクラシックの荘厳な入場曲が響く中、ベリル・ザ・ゴールデン・レオ(ベリル・ライアン)が西洋の鎧兜姿で登場し、『CAT‘S』の旗を持ち西洋の甲冑を身に纏ったエキストラの女性達を連れて堂々と花道を歩いていく。
 今回の試合は『CAT‘S』VS『DOG’S』で戦う事になっている事もあり、無用なトラブルを避けるためファンが座る席も両サイドに分かれている。
「‥‥皆の者、参るぞ!」
 和太鼓の音をBGM代わりにしながら、ブドー・カメン(辰巳 空)がエキストラ達に囲まれ、スモークと共に登場した。
 彼のまわりには漆黒の胴丸と陣笠をつけ、黒地に金で『DOG‘S』書かれた幟を掲げたエキストラ達が立ち並び、その真ん中でブドーが黒糸縅の鎧に漆黒の鞘の太刀を佩き、前立に『犬』と書かれた兜と面貌を付けて腕を組んでいる。
「ついに戦いの時が来た!」
 エキストラ達と共に声をあげながら、ベリルが鎧兜を脱ぎ捨てウェディングドレス姿になった。
「‥‥決戦か。確かにそうだな。‥‥よろしく頼む」
 まわりにいたエキストラ達に黒糸縅の鎧を外してもらい、ブドー・カメンが背中に金文字で『武』と書かれた漆黒の衣装になって金の隈取が入った黒いマスク姿で深々と頭を下げる。
 それと同時にゴングの音が鳴り響き、ブドー・カメンが素早くチョップを放つ。
「クッ‥‥」
 ブドー・カメンの攻撃を喰らってバランスを崩し、ベリルが悔しそうな表情を浮かべて膝をつく。
「この程度の事で苦戦するとは情けない。‥‥一気にトドメをさしてやろう」
 クールな表情を浮かべながら、ブドー・カメンが肩車式バック・ドロップを炸裂させる。
「何も気づいていないようですね。すべてが演技である事を‥‥」
 次の瞬間、ベリルがブドー・カメンにタックルを食らわせ、強引に服をビリビリと破いていく。
「‥‥なるほど。すべて演技というわけか」
 納得した表情を浮かべ、ブドー・カメンがベリルを睨む。
 何度か攻撃を喰らっているため、確実にダメージを受けているはずだが、その割にはベリルの動きが鈍っている様子も無い。
「『PET SHOP』がショープロレスである事をお忘れなく‥‥」
 含みのある笑みを浮かべながら、ベリルが回し蹴りを放って間合いを取る。
「‥‥ならばこちらも本気を出すまでっ!」
 すぐさまベリルの両肩を掴み、ブドー・カメンが関節技を仕掛けていく。
「さ、触ったわ! この人が私の大事な所を触って、胸まで揉みしだいてきたわ!!」
 悲鳴を上げてブドー・カメンを突き飛ばし、ベリルが恥ずかしそうに胸元を隠す。
「ば、馬鹿なっ!? 私も何もしていないっ!」
 ハッとした表情を浮かべながら、ブドー・カメンが慌てた様子で首を振る。
 しかし、観客席に座ったファン達は納得せず、ブドー・カメンに対してブーイングの嵐を浴びせていく。
「引っかかりましたね。これで‥‥終わりですっ!」
 それと同時にベリルがサソリ固めを炸裂させ、そのままフォールでフィニッシュを決めた。
「み、見事なり‥‥げに女は怖いものよ」
 薄れ行く意識の中、ブドー・カメンがクスリと笑う。
 ‥‥すべての敗因は『女性の武器』に弱かった事だろう。
『勝者:ベリル・ザ・ゴールデン・レオ(CAT’S) 決め技:サソリ固め』

●白鳥沢 優雅(fa0361)の控え室
「じょ、冗談ですよね!? 試合に参加する事が出来ないなんて‥‥」
 引きつった笑みを浮かべながら、優雅がダラリと汗を流す。
 控え室の中でラジオ体操を爽やかに踊っている途中で、ワイズマンが入ってきて試合に参加する事が出来ない事を告げてきたため、優雅もかなり驚いている。
「残念デスガ、冗談ではアリマセェ〜ン。ルール上『CAT’S』で男性レスラーが参加する事は出来ませんからネ。ここで問題を起こせば『PET SHOP』の二回目はナシになってしまいマァース! まぁ、どうしてもと言うのなら、ワタシにも考えがありますが‥‥」
 優雅の顔をマジマジと見つめ、ワイズマンがニヤリと笑う。
「それって、まさか女装をしろって事ですか!?」
 嫌な予感が脳裏を過ぎり、優雅が慌てた様子で口を開く。
「‥‥もしくはアナタのジュニアを、この世から抹殺するかのどちらかデェース! ワタシとしてはYOUのジュニアを潰してしまった方がイイと思うんですが、色々と不便な事もあると思うので、最後の決断は優雅サンにお任せシマァース!」
 高笑いを上げながら、ワイズマンが優雅の肩をぽふりと叩く。
 どちらにしても優雅にとって厳しい試合になりそうだ。

●ドン・ドラコ(fa2594)の控え室
「今日の対戦相手は優子ちゃん? ‥‥あれ? 事前の打ち合わせじゃ、優雅ちゃんだったはずだけど‥‥。ひょっとして、タマタマが潰されちゃったのかしら? ワイズマンのオジサマが妙に気合を入れていたから、ありえない話じゃないけど‥‥。何だか試合が楽しみね」
 楽しそうに鼻歌を歌いながら、ドラコが試合の予定表を確認した。
 予定表には優雅の代わりに優子という名の女性が試合に参加しており、性別欄には女性とキッチリ書かれている。
 マタ今回の試合は『CAT’S』VS『DOG’S』になっているが、必ずしも敵対している者同士が試合に参加しなくてはならないというルールがないため、通常の試合であれば優雅の名前で参加する事が可能だが、『CAT’S』所属となると話がガラリと変わってしまう。
 そのため優子として参加する事をワイズマンに強要されたのかも知れない。
「まぁ、いいわ。マットに押し倒しちゃえば関係ないし、文句を言ったらキスしちゃえばいいんだしね」
 何か名案が浮かんだのか、ドラコがクスクスと笑う。
 観客達の中には優子(注意:優雅)が男性である事を理解している者達の方が多いのだが、ショープロレスとしてのお約束があるため途中でツッコミを入れる者もいないだろう。

●第2試合 『ケージデスマッチ+ローションマッチ 白鳥沢 優子VSドン・ドラコ』
「ア〜イアムア、優子〜!」
 半ばヤケになって能天気な声をあげながら、白鳥沢 優子(白鳥沢 優雅)がスピーカー越しに声を出す。
 それと同時に観客席の売り子にスポットライトが集中し、優子が爽やかな笑みを浮かべて観客席を駆け下りた。
(「うぐっ‥‥、やっぱりまわりの視線が気になるなぁ。あそこにいる観客なんて、こっちを見てニヤニヤとしているし‥‥。う、恨むぞ、ワイズマン!」)
 身に纏っていた衣装を脱ぎ捨て、優子がアメリカンビキニ姿で股間を隠す。
 一応、股間にはプロテクターが仕込まれているが、水着がハイレグ仕様のせいで物凄く恥ずかしい。
「あら、あらぁん♪ 物凄く可愛いじゃない♪ 似合っているわよぉ〜」
 雅楽に合わせて日本の鎧兜で登場し、ドン・ドラコが『DOG‘S』のネームが入った旗指物を揺らして花道を歩く。
 日本を知らない外人のデザイナーが鎧兜をデザインしたため、色々な意味でツッコミどころが満載である。
「じょ、冗談はよしてくれないか。僕だって好きで女装をしているわけじゃないんだから‥‥」
 引きつった笑みを浮かべながら、優雅がジリジリと後ろに下がっていく。
 以前からドラコにはそっちのケがあると噂されているため、試合が始まる前から襲われるのではないかと警戒しているようだ。
「うふふ、分かっているわよぉん。いっぱい可愛がってあげちゃうんだから♪」
 満面の笑みを浮かべながら、ドラコが鎧兜を脱ぎ捨てる。
 それと同時にゴングの音が鳴り響き、天井からケージがゆっくりと降りていく。
「こ、こんな事なら貞操帯にしておけば良かったかな。そう言えば部屋に置いてあったものなぁ、貞操帯‥‥。あれって瀬戸さんが用意したものだけど、穿いておけば良かったなぁ‥‥」
 完全に逃げ場が封じられてしまった事に焦りを感じ、優子がケージに背中を密着させて移動する。
 実際は貞操帯にもいくつか細工がしてあったのだが、全く手を触れる事が無かったため、優子はその事実に気づいていない。
「ほらほら♪ そんなんじゃ、あたしには勝てないわよ」
 いきなり優子の股間を掴み、ドラコがクスクスと笑う。
 それと同時にドラコがローションの入ったバケツをぶっ掛け、優子の上に覆い被さってキスをした。
「か、カンベンしてくれっ! 僕にそっちの趣味は無い」
 青ざめた表情を浮かべながら、優子が悲鳴を上げて逃げていく。
 最近、悪い事ばかり起こっているため、何かに取り付かれているのではないかと思いつつ‥‥。
「ほらバックをとったわよ。イイモノを持っているわね?」
 優子のプロテクターを掴んでニヤリと笑い、ドラコがSTFの体勢に持ち込んだ。
「そ、それは僕のモノじゃないっ!」
 ドラコの言葉で複雑な心境に陥りながら、優子が必死になって技から逃れようとした。
 しかし、ローションがヌルヌルとしているため、優子が動けば動くほどドラコの息が荒くなっている。
「ぎゃ、逆効果っ!? こ、このままじゃ、唇だけじゃなく、別のものまで‥‥奪われて‥‥しまうっ!?」
 ドラコの変化に気づいたのか、優子が肘鉄を食らわせ逃げ出した。
「そんなに冷たくしたら泣いちゃうわよ。乙女のハートはガラス細工なんだからぁん」
 背後から優子の又に首を入れて両足を持ち、ドラコが肩車の体勢からバック・ドロップ風に体を反り、そこからハイタワー・ドロップに持ち込んだ。
「うがっ‥‥、ドラちゃん‥‥君は最高の‥‥強敵(とも)だった‥‥」
 ぐはっと血反吐を吐きながら、優子がグルグルと目を回す。
 何とか貞操を守る事は出来たようだが、試合には負けてしまったようである。
「仕方ないわよ。ユーには色々とハンデがあったわけだから‥‥」
 そう言ってドラコが優子を慰めた後、『ドラゴン・ファイヤ〜!!』と叫び、毒霧の要領で火を吹くのだった‥‥。
『勝者:ドン・ドラコ(DOG’S) 決め技:ハイタワー・ドロップ』

●ダイナマイト・アスカ(fa0383)とゴールデン・クイーン(fa3148)の控え室
「ローションの滑りは、このくらいでいいかな?」
 バケツの中に入ったローションの滑りを確かめながら、アスカがゴールデン・クイーンにむかって声をかける。
 ローションの滑りはレスラーが調節しなければならないため、控え室の中には様々な材料が置かれていた。
「悪くはありませんが‥‥もう少し甘くてもいいと思いますわ」
 妖艶な笑みを浮かべながら、ゴールデン・クイーンが指を使ってローションを弄ぶ。
「‥‥甘い方がいいのね? それじゃ、水飴でも足してみようかな」
 水飴の入った瓶の瓶を開け、アスカがバケツの中に流し込む。
 後で掃除をするのが面倒になるが、対戦相手に与えるダメージは大きそうだ。
「色々と足した方がいいかも知れませんわね。『DOG’S』のレスラーと対戦する事なんて滅多にありませんから‥‥」
 含みのある笑みを浮かべながら、ゴールデン・クイーンがローションをペロリと舐める。
 試合で使用されているローションは人体に害が無いものが多いため、少しくらいなら舐めても全く問題が無い。
「本気で戦っても、ほとんど勝ち目が無いものね。せっかくだから、ハチミツも付け足しておこうかな」
 バケツの中にハチミツを流し込み、アスカがニコリと微笑んだ。
「これでローションの方は完成ですわ。後はコスチュームに着替えて、試合の開始を待つだけですわね」
 大鏡の前に立って水着っぽい黒革のボンテージ風衣裳を身に纏い、ゴールデン・クイーンが黒い編み上げのブーツを穿いてクスリと笑う。
「そ、そうね。このままだと試合が始まっちゃうし‥‥」
 ローションの入ったバケツを端に退け、アスカがバックの中からコスチュームを取り出した。
 試合開始まで後5分‥‥。
 それまでにすべての準備を終わらせなければならないようだ。

●グリード(fa0757)とキング・バッファロー(fa2572)の控え室
「‥‥あぁ!? 控え室の風景を撮らせろだぁ!? フザケるなっ! 控え室はレスラーにとって精神集中の為の神聖な場所なんだ。カメラなんざお呼びじゃねェ!! 新人共!! 控え室の中にカメラなんか入れるなよ!!」
 控え室の中で待機していたカメラマン達を追い出した後、グリードが不機嫌な表情を浮かべながら新人達を叱りつける。
 最近になって控え室のシーンが公開されるようになったため、気が散って精神を集中する事が出来ないようだ。
「‥‥たくっ! フザケやがって‥‥。俺様の試合前の控え室に入っていいのは、お前等だけなんだぜ?」
 エキストラの美女達の肩を抱き寄せ、グリードがニヤリと笑って控え室の中に入っていく。
「‥‥って、何でお前がいるんだよっ!」
 驚いた様子で葉巻を吹き出し、グリードがキング・バッファローにツッコミを入れる。
「何をそんなに驚いているんだ? タッグマッチの場合は同じ控え室になるって契約書にも書いてあっただろうが‥‥まぁ、気にするな」
 全く悪びれた様子もなく、キング・バッファローがのんびりとお茶を飲む。
「‥‥契約書だぁ。そんなモンはざっとしか目を通しちゃいねぇよ! 小さい文字でチマチマと回りくどい説明ばっかり書きやがって!」
 納得ガいかない様子でソファに座り、グリードがブツブツと愚痴をこぼす。
 『PET SHOP』の契約書には参照項目が多いため、何度も読み返さないと理解する事が出来ない。
「確かに‥‥分かりづらいな」
 エキストラの美女をソファに座らせ、キング・バッファローがお茶を配る。
「‥‥って、俺の女と仲良くなっているんじゃねぇ!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、グリードがキング・バッファローをジロリと睨む。
「まぁ、そう熱くなるな。‥‥撮られているぞ、今のシーン」
 落ち着いた様子でグリードをなだめ、キング・バッファローが隠しカメラの場所をそっと指差した。
「だから俺を撮るんじゃねえええええええええええええええええ!」
 ‥‥そしてグリードの雄叫びが控え室に響くのだった。

●第3試合 『タッグマッチ+有刺鉄線(電流)デスマッチ+ローションマッチ ダイナマイト・アスカ&ゴールデン・クイーンVSグリード&キング・バッファロー』
「おーっほっほっほっ! 女王様とお呼び!!」
 激しいロックを入場曲にしながら、ゴールデン・クイーンが金の仮面を被り、黒いマントを羽織って素早く鞭を振り下ろす。
 彼女の横には日傘を差したダイナマイト・アスカが立っており、ローションの入ったバケツを持って孔雀の尻尾をぷらんと揺らしている。
「‥‥たくっ! プロレスは遊びじゃねえんだぞ!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、グリードが花道をズンズンと進んでいく。
 控え室にあった隠しカメラを拳で粉砕したためか、グリードの右手からはポタポタと血が流れ落ちている。
「何をそんなに熱くなっているんですか? まだ試合が始まってもいないのに‥‥」
 呆れた様子で溜息をつきながら、ゴールデン・クイーンがマントを脱ぎ捨て、水着っぽい黒革のボンテージ風衣裳になった。
「‥‥神様に会う用意はしたか?」
 赤いポンチョ姿で有刺鉄線をするりと潜り、キング・バッファローが白いテンガロンハットを観客席にむかって放り投げる。
「せっかくだからローションマッチにしましょうか」
 孔雀の尻尾を外してスクール水着姿になった後、アスカがバケツの中身をふたりにむかってぶっ掛けた。
「テ、テメェ! やりやがったなっ! 俺ゃオンナをいたぶって喜ぶシュミはねぇが、オンナだからといって手を抜く程お人好しじゃねェ。俺の前に出るからには潰すっ! それがオンナや子供であってもだっ!」
 顔にこびりついたローションを拭い取り、グリードが殺気に満ちた表情を浮かべてふたりを睨む。
「どうやら調教する必要がありそうですね」
 含みの網笑みを浮かべながら、ゴールデン・クイーンがローションの滑りを利用し、グリードにスライディング・レッグシザースを仕掛けていった。
「おっと‥‥、危ねぇ!」
 ハッとした表情を浮かべて飛び上がり、グリードがゴールデン・クイーンの攻撃をかわす。
「お前の相手は、この俺だっ!」
 雄叫びを上げてタックルを放ち、キング・バッファローがゴールデン・クイーンを吹っ飛ばした。
「ぐあああああああああああああっ!」
 それと同時にゴールデン・クイーンの身体に有刺鉄線が絡まり、数千ボルトの電流が一気に彼女の身体を駆け巡る。
 予想以上に電流のボルトが強かったため、彼女の意識が一瞬にして吹っ飛んだ。
「これで‥‥トドメだっ!」
 すぐさまゴールデン・クイーンに駆け寄り、グリードが彼女にトドメをさそうとする。
「タッグマッチである事を忘れてない?」
 リングの下に置いてあったローションを次々とぶっ掛け、アスカが気絶したゴールデン・クイーンにタッチしリングに上がる。
「ぐはっ‥‥、前が見えねぇ! しかも臭ェ!」
 大量のローションを浴びて全く前が見えなくなり、グリードが滅茶苦茶に拳を振り回す。
「あなたのために特別ブレンドしたものです♪ 気に入っていただけましたか?」
 満面の笑みを浮かべながら、アスカがローション入りの風船をぶつけていく。
「こ、この野郎っ! ば、馬鹿にしやがって!」
 ローションの入った風船を弾き、グリードが両目を閉じたまま飛鳥にタックルを食らわせ、そのまま彼女を抱き締め有刺鉄線に突っ込んだ。
「きゃああああああああああああああああっ!」
 グリードと共に数千ボルトの電流を喰らい、アスカが悲鳴を上げて気絶した。
「は、早く‥‥フォールを‥‥決め‥‥やがれ‥‥」
 キング・バッファローを見つめてニヤリと笑い、グリードがぶすぶすと煙を上げてアスカの上に倒れ込む。
「それだけ元気があれば大丈夫だな」
 冗談まじりに微笑みながら、キング・バッファローがリングに上がる。
「もう少し試合を楽しみたかったが、対戦相手が気絶しているのなら仕方が無いか」
 そう言ってキング・バッファローがゴールデン・クイーンの上に覆い被さり、グリードと一緒にフォールを決めた。
『勝者:グリード&キング・バッファロー(DOG’S) 決め技:フォール勝ち』

●ワイズマンの言葉
「皆サァーン、お疲れ様デシタァー。今回は『CAT‘S』VS『DOG’S』だったため、色々と心配な事がありましたが、無事に終了したのでホッとしてイマァース! 今回はDOG’S側の勝利だったため、全員にボーナスと行きたいところデスガ、ワタシの財布にも限りがアルため今回はなしデェース。マァ、次があれば何か考えるかも知れませんが‥‥。さて、次回の試合ですが『DOG’S』は6月上旬、CAT’Sは6月中旬を考えてイマス‥‥。ただし、何らかのトラブルが遭った場合は予定が変更されマスのでご了承くださいマセ」
 そう言ってワイズマンが上機嫌な様子でリングを降りていった。