ペルソナ南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
ゆうきつかさ
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
3.9万円
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参加人数 |
9人
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サポート |
0人
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期間 |
05/30〜06/03
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●本文
●作品タイトル
シンデレラ
●作品内容:
『TUKUMOGAMI』の流れを汲む作品です。
内容的にはシリアス系ダーク。
童話などの話をモチーフにした現代版のアメリカンドラマです。
全体的には救われない話が多く、ホラーテイストです。
●募集役柄
・主人公の少女
外見が醜いため、学校(職場)で苛められています。
家に帰る途中で見つけた店に立ち寄ったことで、彼女の人生が変わる事になるのですが‥‥。
・店の主人
主人公の少女に仮面を手渡す役柄です。
仮面には特別な力が秘められており、12時までは絶世の美女として行動する事が出来ます。その代わり12時を過ぎると魔法の力が切れて、前より醜い姿になってしまいます。
・同級生(もしくは会社の同僚)
主人公を苛めている役柄です。
彼女の変化に驚いているようですが‥‥。
・ペルソナハンター
仮面の力を追って夜な夜な街を走り回っています。
彼の目的は仮面を破壊する事です。
●その他
もちろん、撮影スタッフなども募集しております。
●リプレイ本文
●キャスト
リーナ(主人公)役:佳奈歌・ソーヴィニオン(fa2378)
アミィ・レイア(同級生)役:仙道 愛歌(fa2772)
マイク・デイヴィス(同級生)役:ジョニー・マッスルマン(fa3014)
店主役:朝守 黎夜(fa0867)
ペルソナハンター役:霧島 愛理(fa0269)
美術スタッフ:宮尾千夏(fa1861)
音楽スタッフ:ジェンド(fa0971)
音楽スタッフ:高川くるみ(fa1584)
撮影&光源演出:ファウスト=ソリュード(fa1527)
●シーン1:苦痛
ペルソナの撮影は『DAIMYOU』のスタジオで行われた。
スタジオには関係者達が集まっており、リーナ役の佳奈歌が下着姿で地面に這い蹲っている。
「この薄汚い雌豚が! アタシの靴を舐めなさい!」
クライメイトに扮したエキストラ達が見守る中、アミィがリーナの前に自分の足を突き出した。
彼女は主人公の通う学園の理事長令嬢で、視聴覚室をプレイルームとして使用していると言う設定である。
「誰だそのghettoなクリーチャーをcallした奴は? さっさとサタンの所へ返してやれよな」
嫌味混じりにリーナの背中に足を置き、マイクが高笑いを響かせた。
しかし、リーナは唇を噛み締め、アミィの命令に背いて彼女を睨む。
「何よ、その反抗的な目はっ! さぁ、美味しいです、ご主人様と仰い!」
そして、アミィはリーナの背中が赤く腫れても容赦なく鞭を振り下ろし、ピンヒールで彼女の尻を踏みつけた‥‥。
●休憩
「お疲れ様です。背中の方は大丈夫ですか?」
苦笑いを浮かべながら、千夏が佳奈歌のメイクを直す。
佳奈歌はカットと同時に上着を羽織り、恥ずかしそうに胸元を隠している。
「ええ、大丈夫です。愛歌さんも加減してくれていますから‥‥」
淹れ立てのコーヒーを飲みながら、佳奈歌がニコリと笑う。
背中に残っている傷も、千夏が施したメイクなので、見た目ほど痛くはない。
「まぁ、本気でやったら、今頃病院送りになっているだろうしな」
軽く冗談を言った後、ジェンドがコーヒーを一気に飲み干した。
最初のシーンは『静』の雰囲気をメインに押し出す事になったため、シーンの確認しながら少しずつ音を調節する。
「とりあえず役者達は次のシーンまで休んでくれ。こっちも打ち合わせをしないと駄目だしな」
ペルソナの脚本を握り締め、ファウストがスタッフ達に指示を出す。
ファウストの演出は明るさと暗さを効果的に使ったもので、現実と非現実の狭間にいるような感覚を受ける表現だ。
「こっちはもうすぐ終わりです」
ジェンドの作った曲を確認しながら、くるみがホッとした様子で溜息をつく。
ギター関連のアレンジをジェンドに任せていたのだが、予想以上にうまく曲を作る事が出来たため、このまま次のシーンにいけそうだ。
「それじゃ、光源のチェックが終えたら、次のシーンに移るとするか」
そう言ってファウストがスタッフ達の様子を見に行った。
●シーン2:仮面
ようやく全ての授業が終わり、リーナが帰り道をトボトボと歩く。
彼女の制服はボロボロで、服の隙間から無数の痣が見えている。
「こんな所に‥‥店?」
‥‥見た事のない店だった。
昨日までは何もなかったはずの場所に‥‥。
「いらっしゃいませ」
吸い込まれるようにして、リーナが店の中へと入っていく。
店の中には無数の仮面が飾られており、カウンターにいかにも怪しげな男が座っている。
「ご、ごめんなさいっ!」
申し訳無さそうな表情を浮かべ、リーナが慌てて店から出ようとした。
「‥‥待ちな。あんた悩みがあるんだろ?」
まるでリーナの心を見透かしているような素振りで、店主が髑髏の仮面を手渡しニヤリと笑う。
「こ、これは‥‥」
店主から渡された仮面を見つめ、リーナがハッとした表情を浮かべる。
禍々しい髑髏の仮面。
しかし、その仮面に心惹かれる自分がいる。
「‥‥明日の深夜12時までだ。それまであんたの願いが叶う。その仮面を被ればな」
含みのある笑みを浮かべ、店主がボソリと答えを返す。
まるで悪魔が囁くように‥‥。
「これを被れば‥‥あたしの願いが‥‥」
気がついた時には、店主から仮面を受け取っていた。
大切そうに抱き締めて‥‥。
●休憩
「‥‥意外と蒸すな」
前髪で両目が隠れるほどの長さまであるウィッグを外し、黎夜がホッとした様子で汗を拭う。
撮影中はずっと照明が当たっているせいか、ウィッグが蒸れてジメジメとしていたらしい。
「スタジオの冷房が止められていますからね。何でも経費削減って話ですよ。社長のピンハネがバレて‥‥」
佳奈歌から借りたスカルフェイスを見本にしながら、千夏が最後のシーンで壊すための仮面を作っていく。
こちらの仮面は綺麗に壊れるようにヒビが入っており、真っ直ぐ落とせば綺麗に割れるようになっている。
「撮影費用を削るか、クーラーを我慢するか、どちらか選べって言っていましたものね」
スタジオに一般人がいないため、くるみが獣化して曲のチェックをし始めた。
彼女の聴いた曲はどれも悪くはないのだが、いまひとつピンと来ていない。
「照明を落とすわけにもいかないからな。‥‥仕方がない。俺が社長と交渉してこよう」
そう言ってファウストが社長との交渉にむかう。
より良い作品を作るためにも、ここでスタッフ達のテンションを下げる訳には行かないのだから‥‥。
●シーン3:変貌
謎の店で仮面を受け取った後、リーナは家に帰って鏡の前に立っていた。
どうやって帰ったのかは覚えていない。
まるで取り付かれるようにして、それまでの記憶がすっぽりと抜けている。
「明日の12時まで‥‥か」
店主の行った言葉を思い出し、リーナが髑髏の仮面を手に取った。
「きゃあ!?」
次の瞬間、吸い込まれるような感覚に襲われ、リーナが髑髏の仮面を被ってしまう。
「こ、これは‥‥」
鏡の映った自分の姿に驚き、リーナが悲鳴を上げて尻餅をつく。
‥‥まったくの別人がそこにはいた。
‥‥次の日。
「おはようございます」
リーナは教室にいた。
昨日まで彼女を馬鹿にしていたクラスメート達に囲まれて‥‥。
「It is very beautiful! 本当にリーナか!?」
彼女の変貌に驚く、マイク。
アミィも言葉を失っている。
「もちろんですよ。ねぇ、アミィさん」
含みのある笑みを浮かべ、リーナがアミィに迫っていく。
「ちょっ、ちょっと! 何をやっているの! 早く、この豚を何とかしなさいっ!」
リーナの気迫に圧倒され、アミィがマイク達に命令を下す。
しかし、誰ひとりとしてアミィの命令は聞かず、彼女のまわりを少しずつ囲んでいく。
「HAHAHAHA〜〜! I am a Servant of Love and Beauty! つまりよりイカス方の味方だ!」
指の関節を鳴らしながら、マイクがアミィの胸倉を掴む。
‥‥それからすぐの事だった。
彼女の悲鳴が聞こえたのは‥‥。
●休憩
「これでどうだ?」
観客達に不快感を抱かせるギリギリのラインで曲を作り、ジェンドがくるみにチェックを頼む。
「バッチリです。お疲れ様でした」
ジェンドの曲をチェックし終え、くるみがニコリと微笑んだ。
「それなら光源はこれだな」
そう言ってファウストがスタッフ達に指示を出す。
最後のシーンを印象深いものにするために‥‥。
●シーン4:転落
「早くしないと12時に‥‥」
ハアハアと息を吐きながら、リーナが昨日の店を探して回る。
タイムリミットまで、後5分。
それまでに仮面を外さなければ、恐ろしい呪いを受ける事になる。
「願望を叶える仮面は如何かな、お嬢さん」
突然、リーナの前に現れ、店主が怪しくニヤリと笑う。
「か、仮面が外れないんですっ! 助けてくださいっ!」
今にも泣きそうな表情を浮かべ、リーナが店主の胸倉を掴む。
髑髏の仮面はピッタリと彼女の顔にくっついており、いくら引っ張っても外れそうにない。
「あんたは望みの物を手に入れた。それでいいじゃないか」
いやらしい笑みを浮かべながら、店主が彼女の耳元で囁いた。
「も、もうすぐ12時なんですよっ!?」
切羽詰った様子で店主にしがみつき、リーナが綺麗な瞳をウルませる。
「‥‥残念だったな。契約切れだっ!」
狂気に満ちた表情を浮かべ、店主がリーナを見つめて嘲笑う。
最初から男の目的は願望や欲望が昇華された瞬間に生じる空白感と空虚感を喰らう事なので、これ以上リーナに協力する必要は全くない。
「だ、騙したんですねっ!」
自分が利用されていた事に気づき、リーナがワナワナと拳を震わせた。
それと同時に暗がりの中から何者かが現れ、店主に強烈な一撃を浴びせて後ろに下がる。
「此処にいたのね。ようやく見つけたわ‥‥」
殺気に満ちた表情を浮かべ、ペルソナハンターが店主を睨む。
‥‥復讐のために追い続けた獲物。
「これは本人が望んだ結末だ。邪魔をしないで貰おうか」
クールな表情を浮かべながら、店主がジロリと彼女を睨む。
「借り物の美など意味がないわ。本当に変えるべきなのは病んだ心なのに‥‥、許せないっ!」
店主との間合いを一気に詰め、ペルソナハンターが素早く刀を振り下ろす。
それと同時に店主の姿が霧のようにして霧散し、彼女の背後から断末魔の悲鳴が聞こえてくる。
「ま、間に合わなかった‥‥」
深夜12時を伝える教会の鐘が鳴り響く。
ぶすぶすと煙を上げ、地面に横たわるリーナ。
ペルソナハンターは彼女の事を抱きかかえ、暗闇の中へと姿を消した‥‥。
‥‥気がつくとリーナは病院のベッドで眠っていた。
何日、眠っていたのか、分からない。
顔には包帯が巻かれ、手元には鏡があった。
「美容整形をしましょうか?」
‥‥担当医の声がリーナの心に突き刺さる。
ハッとした表情を浮かべて、リーナが包帯を外していく。
そして、彼女が見たモノは‥‥(悲鳴と共にフェードアウト)。