悪魔の殺人ポリバケツ南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
ゆうきつかさ
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
3.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
06/04〜06/08
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●本文
<内容>
人食いポリバケツがペンションに泊まった客達を恐怖のどん底へと突き落とすっ!
忍び寄るポリバケツの影っ!
死にたいヤツはフタを開けろ。
しかしっ!
そのポリバケツに真っ向から勝負を挑むモノがいた。
悪の使者『フライデー』。
ペンションの客は俺が殺るっ!
そして、始まるナワバリバトルッ!
果たして勝つのは、バケツかマスクか。
<詳細>
ワイズマンが思いつきで企画したアメリカンドラマです。
脚本家達に愛想をつかされ、フライデー役を演じている役者が参加するかどうかも分かりません。
最悪の場合はポリバケツに対抗する事の出来るイロモノ(マテ)怪人を代役に立てましょう。
またワイズマン本人は人食いポリバケツが大活躍するアクションドラマを予定しているようですが、スタッフ達はコメディドラマとしてワイズマンをボコボコにする計画を練っています。
<シーン説明>
・シーン1 発端
ごみ収集車に乗せられ、ペンションへと運ばれてくるポリバケツ。
清掃員達はポリバケツをペンションの前に置きニヤリと笑う。
注:この時点で清掃員達の正体は謎です。
・シーン2 惨殺
ついに目覚めたポリバケツ。
次々と襲われるペンション客。
そして、目覚めるフライデー。
注:フライデーの役者が参加するかどうか分からないため、別に怪人(マテ)でも構いません。
・シーン3 対決
自分の縄張りを荒らされた事で怒り狂うフライデー。
最後の客を食い終わり、満足げなポリバケツ。
この状況で戦いは避けられない!?
注:最後のシーンは清掃員の『実験終了』で終わります(ぇ
●リプレイ本文
●キャスト
清掃員A役:門屋・嬢(fa1443)
清掃員B役:リーベ・レンジ(fa2825)
サラリーマン役:鶸・檜皮(fa2614)
ヨシュア・オーン役:ヨシュア・ルーン(fa3577)
ロバート・オーン役:コーネリアス・O(fa3776)
キャサリン役:佳奈歌・ソーヴィニオン(fa2378)
フライデー役:白鳥沢 優雅(fa0361)
ジョニー役:ジョニー・マッスルマン(fa3014)
●シーン1 発端
‥‥午後四時。
ペンションの裏手に一台の清掃車が止まり、清掃員Aがポリバケツを抱えて車から降りてくる。
「マルヨンマルマル、実験開始──WAKE UP MY BOY」
ペンションのゴミ捨て場にポリバケツを置き、清掃員Bがアナログ時計の時間を合わせて実験の開始を宣言した。
「さて‥‥、どうなるかな」
満足した様子で笑みを浮かべ、清掃員Aが清掃車に乗り込んだ。
‥‥すべてはここから始まった。
たったひとつのポリバケツが原因で‥‥。
‥‥真夜中。
「あのピンハネ社長め‥‥ヒック‥‥何がガッポガッポのUHAUHAデェ〜ス、だ!! ヒック‥‥自分だけ美味しいところを持って行き‥‥ヒック‥‥やがって‥‥たまには安月給で扱き使われる社員の身にもなってみろ‥‥ヒック‥‥」
くたびれたスーツ姿で頭にネクタイを捲き、典型的なジャパニーズサラリーマン風の男が手には土産の寿司を持ち、愚痴をこぼしながらゴミ捨て場の前を通り過ぎる。
そこで大きなポリバケツに気づき、サラリーマンが不満な様子でチィッと舌打ちした。
「畜生っ! 俺は奴の手駒じゃねぇんだっ! いつか思い知らせてやるっ!」
昼間の出来事が脳裏を過ぎり、サラリーマンが近くにあったポリバケツに蹴りを放つ。
「NOOOッ!」
去れと同時に、ポリバケツの中から悲鳴が響く。
キョトンとした表情を浮かべるサラリーマン。
ポリバケツはサラリーマンに蹴られた反動で、コマのようにしてクルクルと回った後に彼の目の前でピタリと止まる。
「なんだ、こりゃ? へへ‥‥、ちょうどいいや」
何の迷いもなくポリバケツの蓋を開け、サラリーマンが胃袋の中の物をぶち撒けた。
それがキッカケとなってポリバケツが目を覚ます。
ポリバケツの中で輝くふたつの瞳。
「‥‥ん? ぎゃああああっ!?」
その事にサラリーマンが気づいた時には、何もかもが手遅れになっていた‥‥。
●シーン2 惨殺
「ねっ、ねぇ! い、いま誰かの悲鳴が聞こえなかった!?」
青ざめた表情を浮べながら、ヨシュアがロバートの腕を掴む。
ロバートはヨシュアの父親で、別居中の妻から送られてきた離婚調停に関する書類を握り締め、大広間のソファに座ってボンヤリとした表情を浮かべている。
「ねぇ、聞いているの? 誰かが殺されたかも知れないんだよっ!?」
いまにも泣きそうな表情を浮かべ、ヨシュアがロバートの身体を揺らす。
「‥‥単なる風の音だろ? 第一こんな寂れたペンションで殺人事件なんて起こるわけがない」
ヨシュアの話に全く興味が無いのか、ロバートが疲れた様子で溜息をつく。
「で、でも、本当に聞こえたんだよ。男の人の悲鳴がさっ!」
しかし、ヨシュアは納得する事が出来ず、ロバートの腕を何度も引っ張った。
「一体、何の騒ぎですか?」
ふたりが言い争っていたため、キャサリンが仲裁に入って喧嘩の原因を聞く。
「いや、コイツがね。誰かの悲鳴が聞こえたってしつこいんですよ」
苦笑いを浮かべながら、ロバートが面倒臭そうに答えを返す。
ヨシュアの言っている事をまったく信じていないのか、軽く流すつもりで話をしているようだ。
「そ、そんなはずないよっ! 確かに男の人の悲鳴が聞こえたもん!」
納得のいかない様子でロバートを睨み、ヨシュアがゴミ捨て場のある方向を指差した。
「‥‥悲鳴ですか? さっきゴミを捨てに行った時は、誰も外には居なかったようですが?」
キョトンとした表情を浮かべ、キャサリンが不思議そうに首を傾げる。
「ほらな。やっぱり風だろ?」
ヨシュアの頭をワシャワシャと撫でながら、ロバートが強引に彼を納得させようとした。
「それじゃ、あたしはお風呂に行ってきますね」
天使のような笑みを浮かべ、キャサリンがバスルームにむかう。
「か、可愛い。なぁ、ヨシュア‥‥。新しいお母さんが欲しくないか?」
キャサリンの笑顔に心を奪われ、ロバートが離婚届を握り締める。
まるで取り憑かれたかのように彼女の後を追いかけて‥‥。
バスルームからシャワーの音が聞こえてくる。
美しくてしなやかな生足。
芸術作品の如く綺麗な背中。
‥‥そして、鏡に映るガスマスク。
「フライデ〜」
楽しそうに鼻歌を歌いながら、フライデーが石鹸を使って身体を洗う。
足の指まで念入りにゴシゴシと洗い‥‥。
「フライデ〜」
‥‥フライデーは目覚めたのだ。
自らの美しさを追及していく楽しさに‥‥。
「キャサリンさぁ〜ん、お背中でも流しましょうか〜って、なんじゃこりゃー!!」
バスルームの扉を開けた瞬間、フライデーと目が合い、ロバートがげふっと血反吐を吐いた。
反射的に胸元を隠すフライデー。
不意討ちを食らったせいか、ガスマスクがほんのり桜色に染まっている。
「何があったの、お父さん? ‥‥って、キャサリンさん!?」
ロバートの悲鳴が聞こえてきたため、ヨシュアが慌てた様子でバスルームにやって来た。
目の前には全裸のフライデーと、尻餅をついたロバートの姿。
「よ、よ、よ、ヨシュア、逃げなさい! 早く! こう見えても父さんはアイスホッケーの高校代表で‥‥ちぇすとぉぇぁー!」
色々な意味で身の危険を感じたため、ロバートが雄叫びを上げて攻撃を仕掛ける。
「す、すぐに助けを呼んでくるからっ! それまで死なないでね、お父さんっ!」
ボロボロと溢れ出る涙を拭い、ヨシュアが助けを求めて逃げていく。
‥‥それからすぐの出来事だった。
バスルームの方からロバートの悲鳴が聞こえたのは‥‥。
一方、その頃。
「HU! HA! RA!」
ペンション内にあるトレーニングルームで、ジョニーが大鏡の前に立ち、次々とポージングを繰り出していた。
まずはモストマスキュラー、続いてサイドチェスト、サイドトライセップス、アドミナブルアンドサイと流れるようにして繰り出し、最後はダブルバイセップスフロントで美しく締める。
「ハァ‥‥ハァ‥‥、た、た、助けてぇ!」
入り口の扉を乱暴に開け、ヨシュアがトレーニングルームに転がり込む。
「一体、ナニがあったのデスか?」
驚いた様子でヨシュアに駆け寄り、ジョニーが辺りを見回した。
状況的には誰かに追われている可能性が高いと思ったからだ。
「えっと‥‥、キャサリンさんが実は男で、ガスマスクを被ってお父さんを‥‥」
フライデーをキャサリンと勘違いしたまま、ヨシュアが今までの出来事を語り出す。
怯えた様子で身体をガタガタと震わせて‥‥。
「HAHAHA〜! 面白い事を言う、ボーイだな。キャサリンならさっきタオルを忘れたとかで、部屋に戻って行ったぞ。ホラ、あそこにいるじゃないか」
ジョッキに生卵1パックを入れて一気に飲み干し、ジョニーが入り口を指差しニカッと笑う。
トレーニングルームの入り口には青いポリバケツが置かれており、そこから彼女の右手がにゅっと伸びている。
「まったく人騒がせな、ボーイだな。ほら、レディも人が悪いぞ。そろそろポリバケツから出てきたらどうなんだ?」
爽やかな笑みを浮かべながら、ジョニーがポリバケツの蓋を開ける。
「ぐあああああああああああああああっ!」
それと同時にキャサリンの右手がポトリと落ち、ジョニーがポリバケツに襲われ悲鳴をあげた。
「うっ、うわあああ!」
信じられないような光景を目の当たりにしながら、ヨシュアが這うようにして逃げていく。
その先にフライデーがいるとも知らず‥‥。
●シーン3 対決
「‥‥ようやく始まったようね」
オペラグラスを使ってフライデー達との戦いを観戦しながら、清掃員Aが満足した様子で笑みを漏らす。
清掃員達は車に乗ったままペンションでの惨劇を記録しており、フライデー達の戦いを賭けの対象にしているようだ。
「お遊びはそのくらいにしておけ。私達だって奴らの餌になるかも知れないんだからな」
ビデオカメラを回しながら、清掃員Bが呆れた様子で溜息をつく。
実験対象であったフライデーが美意識に目覚めてしまった以上、今までのデータだけではアテにならない。
「‥‥そうね。今までのフライデーだったら、誰も殺せなかったはずだから‥‥。何か新しい目的を持ったのかも知れないわね」
冗談まじりに微笑みながら、清掃員Aがカレーパンを頬張った。
フライデーは自慢の鉤爪を使ってポリバケツを切りつけているが、ポリバケツの中からアメリカンパンツが飛び出してきた事に驚き、なかなかトドメをさす事が出来ないようだ。
「‥‥たくっ! これじゃ、どっちが勝ってもマズイじゃねぇか」
困った様子で舌打ちし、清掃員Bが愚痴をこぼす。
次の瞬間、フライデーが唸り声を上げてポリバケツの中に手を突っ込み、モザイク状の何かを取り出し、自らの勝利を宣言するかのようにしてソレを高々と掲げ上げた。
「‥‥その点なら問題ないわ。臭い物には蓋をしろって事だから‥‥」
含みのある笑みを浮かべ、清掃員Aがスイッチを押す。
それと同時に凄まじい爆発音が辺りに響き、あっという間にペンションが炎に包まれていく。
「‥‥実験終了。それじゃ、帰りましょうか」
真っ黒な煙を上げるペンションを見つめ、清掃員Aが満足した様子で車を発進させる。
その後、ビシィッとスーツを着こなしたガスマスクの男が、ニューヨークの繁華街でブティックを経営していると言う噂が流れる事になるのだが、真相は分からぬままだった‥‥。