デッド・オア・アライブ南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
ゆうきつかさ
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
3.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
06/08〜06/12
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●本文
●ドラマ内容
40代の半ばの男を主人公にしたハードボイルドドラマ。
テーマは『復讐』。
主人公の男は自分の婚約者を殺した親友を殺す事だけしか興味が無い。
●募集している役柄
・主人公(現在:40代)
自分の婚約者を殺した親友を追って、世界各地を旅する男。
親友だった男を殺すために必要な一発の弾丸を握り締め、彼の旅は続いている。
復讐にしか興味が無いため、それ以外の事には無頓着。
・主人公(過去:20代)
婚約者との結婚を夢見ていたが……。
・親友役(現代)
主人公の婚約者を殺して永遠の命を得た男。
どんな攻撃を受けても肉体を再生させる事が出来るのだが、そのためには乙女の生き血が必要になるらしい。
・親友役(過去)
主人公の婚約者を生贄にして永遠の命を得ようとしている。
・恋人役(夢の中のみ)
主人公の婚約者。
親友役に騙され生贄にされてしまう。
・刑事役(ふたり)
連続殺人鬼である親友役を追っている刑事。
親友役の男が不死身である事を知って驚愕する。
・少女役
親友役に襲われる少女。
主人公役は彼女が襲われる事を知り、親友を誘き寄せる餌にする。
●シーン説明
・悪夢
主人公約が繰り返し見る悪夢。
親友の裏切りと婚約者の死。
・連続殺人鬼
連続殺人鬼を追う刑事達。
捜査線上に浮かんだ、ひとりの男(主人公役)。
少女役を付け回していると言う噂を聞き、彼女の家へ……。
・死の恐怖
真夜中の訪問者(親友役)。
自分達の追っていた相手と違うため驚く刑事達。
警告をした上で発砲。
親友役が不死である事を知って驚愕する。
・対決
次々と倒れていく刑事達。
恐怖で足が竦んだ少女役。
そこに主人公が登場。
親友との対決。
そして、運命を分ける一発の弾丸が銃に込められた。
●リプレイ本文
●キャスト
ジョー・フレイム(20代)役:水鏡・シメイ(fa0509)
ジョー・フレイム(40代)役:キング・バッファロー(fa2572)
アレックス=ダグラス(20代)役:アレイ(fa0348)
アレックス=ダグラス(40代)役:片倉 神無(fa3678)
キャサリン役:ベルタ・ハート(fa2662)
エディ・ゴールドマン役:田中 雪舟(fa1257)
刑事(ホムラ)役:焔(fa0374)
マリア・シグルーン役:伊集院・まりあ(fa2711)
●シーン1 悪夢
「うわあああっ!」
‥‥また、あの夢だ。
繰り返し見る悪夢。
親友を殺すまで外す事の出来ない心の枷。
すべては20年前のあの時から始まった。
‥‥20年前。
その日、俺はバーでバーボンを飲んでいた。
恋人のキャサリンに大事な話をするために‥‥。
「何よ、大事な話って‥‥?」
怪訝そうな表情を浮かべ、キャサリンが横の席に座る。
この様子では呼び出された理由すら気づいていない。
「少し目を閉じていてくれないか?」
クールな笑みを浮かべながら、俺がキャサリンの左手を握る。
「まさか、こんな所でキスなんてするわけじゃないわよね?」
恥ずかしそうに頬を染め、キャサリンがゆっくりと目を閉じた。
「‥‥もういいぞ」
左手の薬指に指輪を嵌めた後、俺が優しく声を掛ける。
「こ、これって‥‥!?」
左手の薬指に嵌められた指輪に気づき、彼女が驚いた様子で口元を隠す。
「‥‥結婚しよう」
キャサリンの顔をジッと見つめ、俺がプロポーズの言葉を言った。
「う、嬉しい。夢じゃないのね?」
感激のあまり俺に抱きつき、キャサリンがボロボロと涙を流す。
彼女もずっとプロポーズの言葉を待っていたらしい。
「ああ‥‥、夢じゃない」
そう言って俺がキャサリンを力強く抱き締めた。
大粒の雨が、屍体を濡らす。
地面に広がる長い髪。
切り裂かれた胸からは大量の血が流れ、花嫁衣裳を真っ赤に染めている。
「これは一体、何の真似だっ!」
引き千切られた長い真珠のネックレスを拾い上げ、俺はアレックスに問い詰めた。
どうしてこんな事をしたのか理由を聞くために‥‥。
「答えろっ! アレックス!」
‥‥俺の雄叫びが辺りに響く。
土砂降りの雨が降る中で‥‥。
「‥‥遅かったな」
キャサリンの死体を抱き上げ、アレックスがニヤリと笑う。
俺に対して彼女の死体を見せつけるようにしながら‥‥。
「彼女に一体、何をしたっ!」
怒りに満ちた表情を浮かべ、俺はアレックスに叫んでいた。
「‥‥彼女の命は戴いた。不老不死の力を手に入れるために‥‥」
含みのある笑みを浮かべ、アレックスがキャサリンの亡骸を放り投げる。
「‥‥嘘だろ? 趣味の悪い冗談だって言ってくれ! 答えろ、アレックス!」
拳から血が流れるほど握り締め、俺が怒りに震えた声で親友の名前を呼ぶ。
「何もかも現実さ。これは‥‥夢じゃない」
‥‥それがアレックスの答えであった。
●連続殺人鬼
「‥‥今までの被害者には共通点がある。殺害方法から死体の遺棄方法まですべて同じ。彼女達は殺害される前日まで、妙な男にストーキングされていたと言う話もあるから、犯人は間違いなく、その男だ」
警察署の机に被害者の写真を並べておき、ホムラが犯人と思われる男の写真を置く。
写真には『ジョー・フレイム』と書かれており、事件の最重要人物として既に指名手配を受けている。
「先入観で犯人と決めつけるのは、不味いぞ。捕まえて見てシロってのは、意外とある。まあ、犯人にしろ、何にしろ、こいつが重要参考人なのは、変わらないが‥‥」
ジョーの写真を弄びながら、エディがホムラを睨む。
周辺の聞き込み及び現場から採取する事の出来た指紋を調べた結果、ジョーが犯人である可能性が高いのは確かだが、エディにはどうしても彼が犯人であるとは思えない。
「だが、プロファイリングの結果も、ジョーが犯人である事を示している。しかも被害者が殺害された前日まで、この男がウロウロしていたって証言まであるんだから、いまさら別の誰かが犯人って事もないだろ?」
面倒臭そうに溜息をつきながら、ホムラが疲れた様子で答えを返す。
「確かに、な。しかし、犯人と決めつけるには、まだ早い‥‥。被害者の写真を見ただろ? あんな事を出来る人間がいるとは、私にはとても思えない‥‥」
被害者達の写真を見つめ、エディがボソリと呟いた。
「‥‥考え過ぎじゃないのか? とにかくこの娘の護衛をしよう。ヤツが現れたって噂もあるしな」
そう言ってホムラが一枚の写真をエディに渡す。
‥‥彼女の名はマリア。
街外れの一軒家で一人暮らしをしている少女である。
「‥‥州警察の者です。私の名はゴールドマン。こちらはホムラ。ある有力筋からお嬢さんが‥‥例のマスコミを賑わせている連続少女殺人事件の犯人に狙われているという情報が入りましてね。少しお話をお聞きしたくて、お伺いした次第です。御協力願いますね?」
ジョーが最後に目撃された屋敷の扉に何度かノックし、エディがマリアに頭を下げる。
マリアは両親を早くに亡くした孤児で、どちらかと言えば大人しい性格の少女である。
「例の連続殺人鬼に、あたしが狙われているって事ですか? ‥‥そんな馬鹿な。きっと何かの間違いです」
納得のいかない様子でエディを見つめ、マリアが慌てて扉を閉めようとした。
「まっ、待って! 最近、妙な男を見ませんでしたか? 五部刈りで、派手な黒いサングラスを掛けた、こんな感じの男が‥‥」
扉の隙間に足を突っ込み、ホムラがジョーの写真を見せる。
「この人は‥‥。あたしの味方だって言ってました‥‥」
ホムラから写真を受け取り、マリアがハッとした表情を浮かべて答えを返す。
「‥‥なるほどな。そうやって今まで少女に近づいていたわけか。とにかく今晩は私達が護衛をしよう。何か遭ってからでは手遅れだしな」
ジョーがマリアと接触していた事を知り、エディがチィッと舌打ちする。
それと同時にホムラが吹っ飛び、屋敷の壁にめり込んだ。
「ホ、ホムラッ!」
すぐさま振り向き銃を構え、エディが引き金を引こうとする。
「やめておけ。‥‥まだ死にたくは無いだろ?」
右手を前に突き出したまま、アレックスが妖しくニヤリと笑う。
「それ以上、動いたら撃つぞっ!」
銃を握り締めたまま、エディがダラリと汗を流す。
今までに感じた事がないほど凄まじい殺気が辺りには漂っており、エディが少しでも動けば身体がバラバラになってしまいそうな雰囲気だ。
「だったら、撃てよ。好きなだけ‥‥」
高笑いを響かせながら、アレックスが両手を開く。
「‥‥後で俺を恨むなよ」
‥‥まずは足に一発。
アレックスは倒れない。
それどころか両手を開いたまま、笑顔でエディに近づいていく。
「ば、馬鹿なっ!」
続いて腕に一発。
躊躇いながらも心臓に一発。
しかし、アレックスは倒れない。
「‥‥まさか防弾チョッキでも着ているのか!?」
信じられない様子でアレックスの身体を見つめ、エディが狂ったように引き金を引く。
アレックスの脳天めがけ‥‥。
「‥‥満足したか? それじゃあな!」
エディの頭を鷲掴みにしたまま、アレックスが壁にグシャッと押し付ける。
「きゃあああ!」
次の瞬間、マリアが悲鳴を上げて気絶した。
「それじゃ、戴くとするか」
邪悪な笑みを浮かべ、アレックスがマリアを抱き上げる。
‥‥その時だった。
辺りに一発の銃声が響いたのは‥‥。
●対決
「相変わらず不景気な面だ‥‥まるで『悪夢でも見た』みたいに‥‥なぁ?」
含みのある笑みを浮かべ、アレックスがジョーを睨む。
「‥‥悪夢か。これでようやく自由になれる」
大型のリボルバーを握り締め、ジョーがクールに答えを返す。
バチカンの裏エクソシスト機関のある退魔師に接近し親しくなり、ようやく手に入れる事の出来た拳銃メタトロン。
そして自身の寿命も縮める銃弾ソウル・ブレッド。
このふたつが揃って初めてアレックスを倒す事が出来る。
「そんな玩具で何が出来る。だが、こうも目の前をチョロチョロ動かれるといい加減に邪魔でな。‥‥終わりだ、ジョー!」
右手に邪悪な力を集中させ、アレックスがジョーを狙い撃つ。
「ぐあっ! これがキャサリンを犠牲にして得た力か‥‥」
アレックスの一撃を喰らい、ジョーがげふっと血反吐を吐いた。
「さっきまでの威勢はどうした? そんなんじゃ、あの時の何も変わらねぇな。キャサリンが死んだ、あの夜と‥‥」
わざとジョーが起こるような言葉ばかりを選び、アレックスがマリアの首を絞めていく。
「キャ、キャサリン!? うおおおっ!」
それと同時にマリアとキャサリンの姿がダブり、ジョーが雄叫びを上げて引き金を引く。
「だから効かねぇって言っているだろう‥‥がっ‥‥てめ‥‥何を‥‥何をしやがったぁぁ!?」
右手がサラサラと砂のように崩れていったため、アレックスが信じられない様子でジョーを睨む。
「全てを元に戻しただけだ。20年前のあの頃に‥‥」
マリアの無事を確認した後、ジョーがホッとした様子で溜息をつく。
ソウル・ブレッドを使ったせいか、まったく身体に力が入らない。
「ば、馬鹿な! そんな事が出来るのは‥‥そうか。あのジィさんが持っていた弾丸を手に入れたのは‥‥貴様‥‥だったの‥‥ぐああああ!」
断末魔の叫びを上げ、アレックスの身体がボロボロと崩れていく。
まるで最初から何も無かったように‥‥。
「‥‥終わったな。何もかも‥‥。随分と待たせちまったな、キャサ‥‥リン‥‥」
この時のために残しておいた最後の煙草を口に咥え、ジョーがキャサリンの写真を見つめてクスリと笑う。
‥‥これでゆっくりと眠る事が出来る。
過去の呪縛から解放され、ようやくキャサリンの待つ場所に行く事が‥‥。