猫物語南北アメリカ

種類 ショート
担当 ゆうきつかさ
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 1.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/16〜07/18

●本文

●猫物語
 猫を主人公にしたアメリカンドラマです。
 物語は猫達が集会所として利用していた劇場が、都市開発によって取り壊しされる事に決まったため、猫達で力を合わせて工事を邪魔しようという内容になっています。
 どちらかというとコメディ要素が強いため、猫物語といいながら野良ドッグや野良一角獣などもいるようです。
 また視聴者に親近感を持たせるため、シーンによっては擬人化した状態で行われる事になっています。

・シーン1 猫集会
 猫集会は週に一度行われています。
 今回の集会は劇場が取り壊れる事について話し合われており、事故に見せかけて工事を邪魔する事が目的です。
 ちなみに集会所となっている劇場は、猫好きの支配人が遺言として残していたものですが、金に目が眩んだ一人息子が勝手に売ってしまったという設定です。

・シーン2 作業員
 劇場を取り壊すため、色々な道具が持ち込まれています。
 最初は順調に作業が進んでいましたが、途中から作業員が怪我をしたり、機械が壊れてしまったりしたため、作業員達が『支配人の呪い』ではないかと思っています。
 この時に作業員達を殺さないように注意しておきましょう。

・シーン3 強硬手段
 ほとんどの作業員達が逃げ出してしまったため、残った作業員達だけで強引に作業をしようとします。
 このシーンは基本的にお任せなのでダイナマイトを使って劇場を吹っ飛ばそうとしたり、ブルドーザを使って劇場を壊そうとしたりする事が出来ます。
 ただし、途中で失敗するようにしてください。

●今回の参加者

 fa0348 アレイ(19歳・♂・猫)
 fa0361 白鳥沢 優雅(18歳・♂・小鳥)
 fa0365 死堕天(22歳・♂・竜)
 fa0642 楊・玲花(19歳・♀・猫)
 fa1242 小野田有馬(37歳・♂・猫)
 fa2446 カイン・フォルネウス(25歳・♂・蝙蝠)
 fa2712 茜屋朱鷺人(29歳・♂・小鳥)
 fa2825 リーベ・レンジ(39歳・♂・ハムスター)

●リプレイ本文

●キャスト
ミイ(黒猫)役:楊・玲花(fa0642)
カイン(蝙蝠)役:カイン・フォルネウス(fa2446)
ドン(猫)役:小野田有馬(fa1242)
ファントム猫(猫)役:アレイ(fa0348)
ヴァレス(竜)役:死堕天(fa0365)
ダイナマイト・トッキー(発破屋)役:茜屋朱鷺人(fa2712)
レンズ(悲しき中間管理職)役:リーベ・レンジ(fa2825)
優雅(野良清掃員)役:白鳥沢 優雅(fa0361)

●シーン1 『猫集会』
「あたしらの城が無くなるなんて事を許しても良いのかい、みんな? ‥‥あたしは戦うよ。工事の邪魔をして人間達が諦めるまでやるからねっ!」
 野良猫達を集めてミカン箱の上に座り、黒猫のミイが集会所となっている劇場が取り壊される事を猫達に告げる。
 この劇場は猫好きの支配人が遺言として残したものだが、金に目が眩んだ一人息子が勝手に売り出してしまったらしい。
「確かに劇場が壊されるのは困るな。‥‥俺の寝床が無くなっちまう」
 天井から逆さまにぶら下がったまま、カインが納得した様子でミイ達に力を貸す事にした。
「あのボンクラ息子、親父さんの好意を無駄にしやがって!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、ドンが尻尾をパタパタさせる。
 猫達にとっては楽園とも呼べる場所だったため、ここが取り壊されてしまったら路頭に迷ってしまう猫達も少なくない。
「‥‥今こそ革命の時だな」
 大好物のプリンを食べ終え、ファントム猫が納得した様子でボソリと呟いた。
 しかし、ほとんど独り言に近いため、誰も彼の言葉が聞こえていない。
「随分と困っているようだな♪ 何だったら手ぇ貸そうか?」
 飄々とした態度で扉を開け、ヴァレスが劇場の中に入っていく。
 ヴァレスもミイ達と同様に劇場を根城にしているため、ここが取り壊されてしまうと困ってしまう。
「あんた達が協力してくれるのなら心強い。‥‥よろしく頼むよ、みんな!」
 そう言ってミイが作業員達を追い出すための作戦を話し始めるのであった‥‥。

シーン2 『作業員』
「今度の仕事は劇場の解体か? ちょろいモンだぜ」
 劇場の片端に遠隔爆破装置つきのダイナマイトをばら撒き、ダイナマイト・トッキーがニヤリと笑う。
 彼は西部では、ちょっと鳴らした発破屋で、裏で殺し屋をやっていたという噂もある。
「だからと言って、あんまり派手にやらないでくれよ。この辺りは猫や蝙蝠や、ドラゴンの棲み処になっているようだし、支配人の祟りがあるって噂しているヤツまでいる程だから‥‥」
 街中で聞いた噂話を口にしながら、レンズが心配した様子で胃薬を飲み込んだ。
 レンズは劇場破壊工作の指揮を執っているのだが、工事を始めた頃から原因不明の事故が多発しているため、だんだん胃薬が欠かせなくなっている。
「‥‥あっ? 猫に、蝙蝠に、ドラゴンだあ? 寝言は寝てから言ってくれよ。そんなモンいるわけねえだろうが! 夢でも見ているんじゃねえか? どうせ誰かが着ぐるみでも着て暴れているだけさ。そんなモンを相手にしていたら、いつになっても作業が終わらねえぞ!」
 呆れた様子で溜息をつきながら、ダイナマイト・トッキーが面倒臭そうに愚痴をこぼす。
 レンズがオカルト好きの変わり者だと勘違いしたため、彼の話を無視してダイナマイトのスイッチをポチッと押した。
 それと同時に劇場が派手に吹き飛んで土煙を舞い上がらせ、ダイナマイト・トッキーが満足した様子で笑みを浮かべる。
「‥‥どうやら取り越し苦労だったようだな。きっと今まで逃げた作業員も、仕事が嫌になって逃げただけさ」
 無駄に爽やかな笑みを浮かべながら、優雅がレンズの肩を叩いて真っ白な歯を輝かせた。
 優雅は清掃服が似合わないほどキラキラ感が漂っており、実は劇場を売った本人ではないかと噂されている。
「ば、馬鹿なっ!? 今まで劇場に触れる事さえ出来なかったんだぞ!? それがダイナマイトひとつで吹っ飛ぶなんて‥‥」
 信じられない様子で劇場を見つめ、レンズが爆破された場所を見に行った。
 しかし、劇場にはまったく傷がついておらず、地面にポッカリと穴が開いている。
「う‥‥、嘘だろ? さっき確かに吹っ飛んだはずだぞ!? それなのに傷ひとつ、ついていないなんて‥‥」
 唖然とした表情を浮かべながら、優雅がその場に立ち尽くす。
「た、祟りだあああああああああああああああ!」
 次の瞬間、作業員達が蜘蛛の子を散らすようにして逃げていく。
 誰もが支配人の祟りであると信じながら‥‥。

●シーン3 『強硬手段』
『‥‥結構しぶといね。あれだけ嫌がらせをしたというのに、まだ残っているなんて‥‥。人間にも根性のある奴がいるみたいだね』
 物陰に隠れて様子を窺いながら、ミイがチィッと舌打ちした。
 レンズ達は意地でも劇場を破壊するつもりでいるらしく、ダイナマイト・トッキーと優雅を呼び寄せ、次の作戦を練っている。
『人間ってのは、ちょっと脅せばビビッてすぐに出て行くと思ったが、まさかダイナマイトまで使ってくるとは‥‥。何だか面倒な事になってきたな。だからと言って、ここで諦めるつもりはないが‥‥』
 いつになってもレンズ達が逃げ出さないため、カインが困った様子で溜息をつく。
 なるべくレンズ達の前に姿を現さないようにしていたのだが、ここまでやっても諦めないのなら最後の手段に出るしかない。
「こっちだって多額の報酬を貰って仕事をしているんだ! こうなったら意地でも劇場を破壊するぞ!」
 仕事を途中で投げ出した場合、違約金を払わなければならないため、レンズが興奮した様子でハンマーを振り上げる。
 報酬のほとんどを住宅ローンにつぎ込んでしまったため、いまさら返せるアテもない。
「のわああああっ! あ、足がああああ!」
 次の瞬間、ドラム缶がゴロリと倒れて大量のオイルが流れ出し、レンズが派手に足を滑らせ尻餅をつく。
 その時に左足を捻ってしまったのか、レンズが激痛のあまり呻き声を上げている。
「‥‥たくっ! 情けねえヤツだな。後は俺に任せとけ!」
 自分の胸をポンと叩き、ダイナマイト・トッキーがニヤリと笑う。
 さっきのは小手調べだったらしく、再びダイナマイトを設置していった。
「そんな事をしたって無駄だ! さっきのアレを見ただろ! ダイナマイトは効かないんだっ!」
 ハンマーを杖代わりにして立ち上がり、レンズが心配した様子でダイナマイト・トッキーを叱る。
 しかし、彼はレンズの忠告をまったく聞かず、黙々とダイナマイトを仕掛けていく。
『‥‥まだやる気なの? 本当にしつこい奴らだね。そろそろ本気を出すべきかな』
 なかなかレンズ達が諦めないため、ミイが仲間達に合図を送って最終手段に出る事にした。
 今までは錯乱行動がメインだったが、ここから先は命を懸けた戦いだ。
『いい加減に懲りてくれると思っていたんだがねぇ‥‥。幻程度じゃ、諦めてくれないか。‥‥仕方ない。ちょっと痛い目に遭ってもらうか』
 残念そうに溜息をつきながら、カインが翼を広げて飛び立った。
 カイン達は自分の意思で獣人化する事が出来るため、正体を現してダイナマイト・トッキー達に攻撃を仕掛けていく。
「現れやがったな、化け物め! 俺があの世に送ってやらぁ!」
 愛用の三味線を掻き鳴らし、ダイナマイト・トッキーが華麗に舞った。
 カイン達が着ぐるみを着ているだけだと思い込んでいるため、彼らが獣人化してもまったく動揺していない。
「随分と勇ましいじゃねえか! だが、ここは俺達の城だっ! 返り討ちにしてやらぁ!」
 すぐさま獣人化して重機に飛び乗り、ドンが雄叫びを上げてエンジンを入れる。
 それと同時にダイナマイト・トッキーがニヤリと笑い、スイッチを押してドンの乗った重機を爆発させた。
「こ、殺す気かあー!」
 口からもはっと黒い煙を吐いた後、ドンが不機嫌な様子でダイナマイト・トッキーに飛びかかる。
「当たり前だろ! 化け物には相応しい棺桶だぜ!」
 三味線の音色を響かせながら、ダイナマイト・トッキーが軽やかに攻撃をかわす。
 それでもドンは攻撃を仕掛けてきたが、ダイナマイト・トッキーに攻撃が当たる事はない。
「‥‥まさか同業者か?」
 翼をマントのように広げて屋根から飛び降り、ヴァレスがうねった鎌を振り下ろす。
「てめえら、化け物と一緒にするんじゃねぇ! 俺は爆破のプロってだけさ」
 鎌の一撃を喰らって大量の血を撒き散らし、ダイナマイト・トッキーが三味線の演奏を終えてニヤリと笑う。
 それと同時に劇場の一部が爆発し、ガラスの破片が降り注ぐ。
「ぎゃー! そりゃないぜ」
 慌てた様子で悲鳴をあげ、ドンがスタコラと逃げていく。
「まさか俺達を引きつけるために罠を‥‥」
 ハッとした表情を浮かべながら、ファントム猫が汗を流す。
 三味線がスイッチになっていたため、爆破を阻止する事が出来なかったようだ。
「‥‥残念だったね。これで終わりだ! 1・2・3!! 爆‥‥おあぁぁぁぁぁ!?」
 勝ち誇った様子で爆破のスイッチを押し、優雅が誤って自宅を爆破した。
 いつの間にかスイッチに細工がされていたらしく、優雅の自宅からはキノコ雲が上がっている。
「‥‥自業自得だな」
 仲間達に合図を送って右ストレートを一斉に放ち、ファントム猫が優雅の背中に着地した。
 それでも優雅は劇場を爆破しようとしたが、ヴァレスに噛みつかれて動けない。
「ひぃ、ひぃぃぃ」
 持っていた携帯電話を投げ捨て、レンズが這うようにして逃げていく。
 携帯電話の向こうからは誰かの声が聞こえているが、レンズが戻ってくる事はない。
「これで、やっとこれで静かになるな。さーて、俺はいつも通り、子猫ちゃん達をからかう日々に戻るとしようかね」
 そう言ってカインが携帯電話を踏み潰し、ニコリと微笑むのであった。