ゴクドー・バトル南北アメリカ

種類 ショート
担当 ゆうきつかさ
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 3.6万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/28〜08/01

●本文

 舞台はアメリカ、ヒロシマシティ。
 色々な意味で日本を意識しているドラマですが、アメリカ向けに誇張した作りになっています。
 そのため、実際の広島とは異なる世界観を持った、ヒロシマ・シティが舞台になっています。
 ヒロシマ・シティはゴクドー・ギャング(極道)による勢力争いが続いており、企業系ゴクドー『ビーグル会』と荒くれ集団『野良組』が緊張関係にあります。
 内容的には『擬人化した犬の抗争もの』となっており、『野良犬組』から送られてきた鉄砲玉の犬に『ビーグル会』の組長が殺された事から、内部抗争が始まる事になります。

・シーン1 野良組
 最近、勢力を拡大しつつある『ビーグル会』を分裂させるため、『野良犬組』の組長が鉄砲玉を送る事を話しています。
 『ビーグル会』は極道を辞めてビジネス業界に仲間入りしようと考えている二代目と、ビジネスは活動資金を得るための手段と考えている組長の側近が対立しているため、組長を殺してふたりに跡目争いをさせようと考えているようです。

・シーン2 ビーグル会
 『ビーグル会』の組長がボティガードを引き連れ、自社ビルから出てきたところで鉄砲玉が襲ってきます。
 鉄砲玉はボティガードの放った銃弾に倒れますが、最後の力を振り絞り組長を殺してしまいます。

・シーン3 対立
 二代目と側近の会話シーンです。
 この事がキッカケで両者は敵対関係になります。
 不敵な笑み(もしくは高笑い)を浮かべる『野良組』組長のシーンで物語は終わります。

・必要な役柄
 『野良犬組』組長役
 『野良犬組』側近役
 『野良犬組』鉄砲玉役
 『ビーグル会』組長役
 『ビーグル会』二代目役
 『ビーグル会』側近役
 『ビーグル会』ボディガード役
 『ビーグル会』ボディガード役

●今回の参加者

 fa0204 天音(24歳・♀・鷹)
 fa0348 アレイ(19歳・♂・猫)
 fa0361 白鳥沢 優雅(18歳・♂・小鳥)
 fa0365 死堕天(22歳・♂・竜)
 fa3014 ジョニー・マッスルマン(26歳・♂・一角獣)
 fa3569 観月紫苑(31歳・♀・熊)
 fa3577 ヨシュア・ルーン(14歳・♂・小鳥)
 fa4079 志祭 迅(26歳・♂・鴉)

●リプレイ本文

●キャスト
 キワメ・シマツリ(『野良犬組』組長)役:志祭 迅(fa4079)
 ファントム(『野良犬組』側近)役:アレイ(fa0348)
 優雅(『野良犬組』鉄砲玉)役:白鳥沢 優雅(fa0361)
 ジョニー(『ビーグル会』組長)役:ジョニー・マッスルマン(fa3014)
 ヨシュア(『ビーグル会』二代目)役:ヨシュア・ルーン(fa3577)
 天音(『ビーグル会』側近)役:天音(fa0204)
 紫苑(『ビーグル会』ボディガード)役:観月紫苑(fa3569)

●シーン1 野良組
(「‥‥『ビーグル会』は極道を辞め、ビジネス業界に仲間入りしようと考えている二代目と、ビジネスは活動資金を得るための手段と考えている組長の側近が俺と対立していやがるのか。しかも俺を亡き者にし、跡目争いをさせようと考えてるとはな。‥‥面白い。やれるものならやってみろ」)。
 不機嫌な表情を浮かべ、キワメ・シマツリが鼻を鳴らす。
 最近、『ビーグル会』の動きが活発になっているため、警告の意味も含めて鉄砲玉を送り込もうとしているらしい。
「‥‥優雅。お前のやるべき事は分かっているな? 組長のために命を捧げるわん」
 真っ黒なマントを羽織って暗がりから現れ、ファントムが優雅の肩を叩いてニヤリと笑う。
 優雅は組長から拳銃を受け取り、組の事務所を飛び出していく。
 『ビーグル会』組長のタマ(魂)を取るために‥‥。
「‥‥派手に散って来るんだぞ」
 あえて多くは語らず、キワメがボソリと呟いた。
 二度と優雅の姿を見る事がないだろうと思いつつ‥‥。

●シーン2 ビーグル会
「お願いだから、コレを着て欲しいんや。親父さんに何かあったら、それこそ組の一大事なんやで!」
 自社ビルから出てきたジョニーに駆け寄り、紫苑が防弾チョッキを着せようとした。
 しかし、ジョニーはニヤリと笑い、防弾チョッキをパチンと弾く。
「‥‥そんなものは必要ねぇ。普段から筋肉の鎧を身に纏っているからな」
 全身の筋肉を隆起させ、ジョニーがドスの利いた声を響かせた。
 ジョニーはビジネス界と極道界の双界支配を企み、野心の手を伸ばしてきたのだが、どちらの面に偏るでもなく、双方の世界の縄張りを広げている。
「‥‥いいんじゃねぇか? 本人が大丈夫だって言っているんだから‥‥。それだけ自信があるってわけだろ」
 クールな表情を浮かべながら、ヨシュアが面倒臭そうに溜息をつく。
 ヨシュアは『ビーグル会』の二代目で、血生臭い覇道に飽きマネーゲームに興じている。
「おぬしは何か勘違いしているようじゃのう。ここまで組が大きくなったのは組長のおかげじゃ。組長にもしもの事があったら‥‥、この組は終わりじゃ。二代目がおぬしである限り、な」
 含みのある笑みを浮かべ、天音がヨシュアの肩をポンと叩く。
 天音は組長の側近で、その勇敢な戦いぶりで組の拡大に貢献した事から、ドーベルマンでありながら組長の懐刀と呼ばれるほどに出世した。
「相変わらず鬱陶しい野郎だな。親父のお気に入りじゃなきゃ、ぶっ殺しているところだぜ」
 不機嫌な表情を浮かべ、ヨシュアが素早く銃を抜く。
 それと同時に天音もドスに手を掛け、ヨシュアの喉元を狙う。
「‥‥そこまでにしておけ。まだ死にたくはないだろ?」
 殺気に満ちた表情を浮かべ、ジョニーがふたりの胸倉を掴む。
 ふたりは納得のいかない様子であったが、これ以上ジョニーを怒らせるわけにもいかないため、渋々ながらも喧嘩を止めた。
「‥‥たくっ、困った奴らだな。こんな状態じゃ、俺も‥‥ん?」
 話の途中で何かに気づき、ジョニーの表情が険しくなる。
「命(タマ)とったらぁ!!」
 雄たけびを上げてジョニーを睨み、優雅が迷わず銃の引き金を引く。
 次の瞬間、紫苑がジョニーの身代わりとなって銃弾を喰らい、そのまま怯む事なく優雅を狙って撃ち返す。
「ぐっ、ぐはっ!?」
 大量の血反吐を吐いて銃を落とし、優雅が前のめりに倒れ込む。
「Dum‥‥スーツが汚れちまったじゃねえか‥‥」
 スーツについた砂を払い、ジョニーが優雅の銃を踏みつける。
「しゃぁぁぁ!!」
 それと同時に優雅がムックリと起き上がり、隠し持っていた吹き矢を吹いた。
「ぐぉ‥‥。ば、馬鹿な!」
 信じられない様子で優雅を見つめ、ジョニーが首元に突き刺さった毒矢を抜く。
 しかし、すでに毒が全身に回っているため、ジョニーが白目を剥いてゴロリと転がった。
「お、親父さん!?」
 ハッとした表情を浮かべ、紫苑がありったけの弾を優雅に撃ち込んだ。
 それに合わせて部下達も銃の引き金を引き、倒れた優雅を蜂の巣にした。
「は、早く救急車を!」
 部下達を蹴飛ばすようにしてジョニーに駆け寄り、天音が大声を上げて紫苑に指示を出す。
 しかし、ヨシュアが紫苑から携帯電話を奪い取り、天音に見せつけるようにして電源を切る。
「‥‥やめておけ。もう死んでいる」
 自分の父親が死んだにも拘らず、ヨシュアが無表情のまま部下達を連れて行く。
 ジョニーが死んでしまった以上、ここにいる意味がないからだ。
「‥‥任務完了だ、わん」
 物陰に隠れて様子を窺いながら、ファントムがキワメにすべてを報告する。
 優雅の放った毒矢によって、『ビーグル会』の組長が死んだ事を‥‥。

●シーン3 対立
「わ、私が悪かったんや。アイツが銃しか持っていないと思ったから! 私がしっかりしていれば、親父さんは死ななかったんや!」
 自分の詰めが甘かった事を悔やみ、紫苑がボロボロと涙を流す。
 ジョニーの亡骸は部下達によって棺桶に詰められ、事務所には幹部達だけが集められた。
「いまさら何を言っても手遅れさ。親父はもう死んでいるんだからね。まぁ、いいんじゃないか? そろそろ僕もビジネスに力を入れようと思っていたからさ。親父の遺産を使ってビジネス界の頂点に伸し上がるのも悪くはない‥‥」
 含みのある笑みを浮かべながら、ヨシュアが権利書の束をバッグにしまう。
 ジョニーの死には興味がないのか、早くこの場から去りたいようだ。
「本気でそんな事を考えているのか? むしろ、今こそ組長の為に組長の夢であった全国制覇に乗り出すべきじゃ。それが極道としてのスジじゃろ?」
 納得のいかない様子でヨシュアの胸倉を掴み、天音が何とか説得しようとする。
 しかし、ヨシュアは天音の右手を振り払い、迷惑そうに溜息をつく。
「極道? ‥‥古いね。そんなのは野良犬連中にでもやらせておけばいいだろ。暴力より財力‥‥。これが世間の常識さ」
 小馬鹿にした様子で天音を見つめ、ヨシュアがヘラヘラと笑う。
 天音の話にまったく興味がないのか、真面目に話をしようとしない。
「‥‥愚かな。極道は何処までいっても極道であり、その道を貫く事こそ亡き組長の思いを継ぐ事になるのが、なぜ分からないのじゃ!」
 今にも怒りが爆発しそうな雰囲気を漂わせ、天音が漆塗りのテーブルをドンと叩く。
 組長が死んだばかりなので、なるべく穏便に事を進めようとしていたが、ヨシュアが心を開こうとしなかったため、だんだん我慢の限界に達しつつあるようだ。
「まさか、まだ富を暴力に注ぎ込もうというのか? この教条主義者どもめ──いや、極道どもが?」
 落ち着いた様子で天音を見つめ、ヨシュアがクスリと笑って髪を掻きあげる。
 次の瞬間、天音が懐から長ドスを取り出し、雄たけびを上げて漆塗りのテーブルにガツッと突き刺した。
「‥‥これは組長に対する誓いじゃ。これからは組長の遺志を継ぐ者だけを率いて独自に行動させてもらう。おぬしらと一緒にいても、何の意味もないからな」
 何処か悲しげな表情を浮かべ、天音が黙って背を向ける。
 身内同士で争いあう事は、ジョニーの遺志には反するが、組の事を考えれば仕方がない。
「‥‥いいだろう。こちらの手駒全てを使って、お前を叩き潰してやる。そうすれば、誰の手駒もなくなって、丁度良いあんばいだろうさ」
 テーブルに突き刺さった長ドスを引き抜き、ヨシュアがそれを迷わずごみ箱に捨てる。
 ヨシュアにとって極道の誓いなど意味がない。
 ‥‥世の中すべて金なのだ。
 こうして『ビーグル会』はふたつに分かれ、血で血を洗う争いの幕開けとなるのであった。

『これで終わりだ‥‥フフ‥‥ハハハ‥‥!』
 『野良犬組』組長キワメが思い描いた通りの結末に‥‥。