ビースト666南北アメリカ
種類 |
ショート
|
担当 |
ゆうきつかさ
|
芸能 |
2Lv以上
|
獣人 |
2Lv以上
|
難度 |
難しい
|
報酬 |
3.9万円
|
参加人数 |
7人
|
サポート |
0人
|
期間 |
10/30〜11/03
|
●本文
<舞台設定>
時は西暦20XX年。
巨大コンピュータ『マザー』の反乱によって壊滅したアメリカが舞台。
主人公はジャンクパーツの回収屋。
『マザー』の支配下に置かれていない旧世代のパーツを集めている。
政府とは名ばかりのゴロツキ集団からの依頼。
主人公は地下3000メートルに眠る『ビースト』の回収する事に‥‥。
しかし、『ビースト』は『マザー』の支配下にある無人兵器。
そのため、主人公は命懸けの回収作業をする事に‥‥。
<用語説明>
・マザー
アメリカで開発された巨大コンピュータ。
人工知能を内蔵していたため、人類のやり方に疑問を感じて反乱を起こす。
ミサイル攻撃によってアメリカ全土を爆撃後、人類が地底に逃げ込んだため、誰もいなくなった土地に無人兵器を放ち、地球の再生作業を行っている。
・ビースト
ミサイル攻撃後も抵抗を続けた人類に対して送り込まれた超巨大兵器。
自己修復機能を持っているため、多少の攻撃ではビクともしない。
ちなみに主人公達が回収する『ビースト(製造ナンバー:666)』は人工知能が壊れており、自己修復機能が働かなくなっている。
<シーン説明>
・シーン1 ビースト
政府からの依頼。
主人公はこの依頼に対して乗り気ではないが、政府のメンバーCに銃を突きつけられ、仕方なく協力する事に‥‥。
彼らの話では『ビースト』を手に入れる事が出来れば、『マザー』を倒す事が出来るらしい。
そして、『ビースト』は地下3000メートルの場所に眠っているという事が分かる。
・シーン2 アビス
アビスと呼ばれる穴を降りていく主人公達。
ここはミサイル攻撃によって出来た穴。
その中でも一番強力なミサイルによって開いた穴だと言われている。
ここでベビーの襲来。
政府のリーダーとメンバーA、Bが死亡。
・シーン3 墓守
ようやく穴の最深部に到達する主人公とメンバーC。
そこで墓守の妨害に遭う主人公。
メンバーCは足を撃たれ、絶体絶命のピンチ。
そこでメンバーA登場。
何の躊躇いもなく、墓守を射殺。
ホッとしたのも束の間、メンバーCにもトドメをさす。
ここで異変に気づく主人公。
メンバーA(ベビー)は自分の肉体を使って、『ビースト』の人工知能を再生しようとする。
そのため、主人公は墓守の持っていた武器を手に取り、『ビースト』の人工知能ごとメンバーAを倒す事に‥‥。
この事によって『ビースト』は完全に沈黙。
主人公は墓守の言葉を思い出しながら、家へと帰る事に‥‥。
<募集キャスト>
・主人公役
ジャンクパーツの回収屋。
そのため、危険な地域にも足を運んでいる。
旧世代のコンピュータに関して専門的な知識を持つ。
・政府のリーダー役
アメリカ政府を名乗る者達のリーダー。
見た目はゴロツキ。
主人公を『猛獣使い』と呼んでいる。
・政府のメンバーA役
政府のメンバーであったが、ベビーに襲われて同化。
その後、敵として主人公達の前に現れる。
・政府のメンバーB役
政府のメンバーであり、主人公をライバル視している。
そのため、死を恐れていない。
・政府のメンバーC役
政府のメンバーで、元・軍人。
目的を最優先に考えている。
・ベビーA役
マザーの支配下にある無人機械。
人間の姿をしているが、無表情で残忍。
人類の抹殺と『ビースト』の回収を命じられている。
・ベビーB役
マザーの支配下にある無人機械。
人間と同化する事が出来る。
・墓守役
機能が停止した『ビースト』を守り続けている。
仲間達と協力し合って『ビースト』を眠りにつかせた事もあり、主人公達に協力するつもりはまったくない。
墓守の話では『ビースト』は戦いを嫌って、ここに逃げ込んだという話だが‥‥。
●リプレイ本文
●キャスト
ゲール(政府のリーダー)役:夜野星冶(fa4455)
アラン・イートー(政府のメンバーA)役:シーザー・N(fa4450)
エリス(政府のメンバーB)楼瀬真緒(fa4591)
ベビー役:鶤.(fa3351)
墓守役:壬 タクト(fa2121)
●シーン1 ビースト
「‥‥誰もいねえじゃねえか。本当に此処なんだろうな?」
ドアを蹴り飛ばして銃を構え、ゲールが小屋の中に入っていく。
小屋の中には旧世代のコンピュータが並んでおり、大量のジャンクパーツが山積みにされている。
「おっかしいなぁ〜‥‥。此処で間違っていないはずなんだが‥‥」
険しい表情を浮かべながら、アランがダラリと汗を流す。
小屋の中には無数の蜘蛛の巣が張り巡らされており、とてもヒトが生活する事の出来る状態ではない。
「これじゃ、此処まで来た意味がないだろ! ちゃんと調査したのかい!?」
不機嫌な表情を浮かべながら、エリスがジロリとアランを睨む。
此処に来るまで何度か命を落としかけたため、その怒りがすべてアランにぶつけられている。
「あ、当たり前だろ! マザーに気づかれず、この場所を調べるのだって苦労したんだから‥‥。ま、間違っているわけが無いだろ! ‥‥たくっ! なんで俺がこんな目に遭わなきゃならねえんだよ!」
気まずい様子で視線を逸らし、アランがチィッと舌打ちした。
アランが調べた結果では、ここで間違いはないのだが、当の本人がいなかったため、エリスに反論する事が出来ない。
「まさか殺されちまったんじゃないだろうな? 旧世代のコンピュータを操れるのは奴しかいねえ‥‥。それをベビーが知ったら、命を狙われてもおかしな話じゃないだろ?」
冷蔵庫を開けて保管されていた食料を確認した後、ゲールが口を押さえてゲホゲホと咳き込んだ。
保管されていた食料は大半が腐っており、小屋を離れてからしばらく経っている事が分かる。
「いや‥‥、それだったら小屋で殺されていてもおかしくないはずだ。きっと何らかの理由があって、小屋を出て行ったんじゃないのか?」
蜘蛛の巣が張られている事を除けば室内に大きな変化が無かったため、アランが銃を構えて外に出て行った。
「それじゃ、奴もビーストの場所に‥‥」
ゲール達が会おうとしていた男は、旧世代のコンピュータに詳しいため、何らかの方法を使ってマザーにアクセスを試みてビーストの存在を知ったのかも知れない。
「どちらにしても面倒な事になったな。生きているか死んでいるのか分からない人間を頼りにしなくちゃならないんだから‥‥」
そう言ってエリスが皮肉まじりに溜息をついた。
●シーン2 アビスの穴
「みんな足元に気をつけて降りていけよ」
険しい表情を浮かべながら、ゲールがロープを使ってアビスの穴を降りていく。
アビスの穴は最終戦争時に発射された爆弾によって出来た穴だと言われているが、実際に見た者がこの世にいないため実際のところはよく分かっていない。
しかし、ゲール達が地下3000メートルに眠る『ビースト』を回収し、『マザー』に対抗する力を得なければならないため、例え危険であると分かっていても行くしかないという訳だ。
「まさかロープ一本で穴の底まで行くつもりじゃないだろうな? そんなに長くねえぞ、このロープ!」
青ざめた表情を浮かべながら、アランがゲールに続いて地下へと降りていく。
ゲールの話では何処かに戦車を運ぶのに使用していたエレベーターがあるらしく、それを使って最下層まで行く計画だったらしい。
「チンタラしてねえで、早く行きやがれ! こんなところでベビーに見つかったらシャレにならないんだからな! そのくらいお前にだって分かっているだろ!」
不機嫌な表情を浮かべながら、エリスがアランを蹴り落とす。
「うっ、うわあああああ!」
彼女に蹴られた拍子にロープを放し、アランが悲鳴を上げて落ちていく。
幸いアランが落ちた場所が出っ張った岩場だったため、最下層まで落ちる事は無かったが何やらブツブツと愚痴を零している。
「おいおい、そんなに不貞腐れるな。此処から先はエレベーターで移動する。もう落ちる事はないだろ」
苦笑いを浮かべながら、ゲールがアランの肩を抱く。
それと同時にベビーが現れ、ゲール達に攻撃を仕掛けてくる。
「チィ‥‥、やっぱり待ち伏せしていやがったか!」
悔しそうに舌打ちしながら、エリスが短剣を振り回す。
しかし、ベビーには攻撃が効かず、裏拳を喰らって吹っ飛んだ。
「は、早くエレベーターに乗り込むんだ!」
銃を構えてエレベーターに転がり込み、ゲールがアラン達の名前を呼ぶ。
「この状況で無茶を言うな! 俺はまだ死にたくねえんだよ! うおおおおおおおおお!」
ゲールの載っていたエレベーターが『棺桶』に見えたため、アランが銃を乱射しながらベビーに突っ込んだ。
そのため、ベビーはアランの胸を貫いたが、そのまま体当たりを喰らって穴に落っこちた。
「はあはあ‥‥。ア、アランがベビーを殺ったのかい? これでしばらく時間が稼げるな」
アランが死んでも悲しむ事なく、エリスがエレベーターのキーを操作する。
専門的な知識が無いためエレベーターの操作するまで時間が掛かってしまったが、アランがベビーを巻き添えにして落ちたため、慌ててキーを操作する必要も無い。
「それじゃ、覚悟はいいな」
そう言ってエリスがゲールを見つめ、最下層のボタンを押すのであった。
●シーン3 墓守
「一時はどうなるかと思ったが、これで『ビースト』に近づいたな」
ホッとした様子で溜息をつきながら、ゲールが鍾乳洞を通っていく。
ゲール達の乗ったエレベーターが途中で止まってしまったため、旧地下鉄の線路跡や、ゴーストタウンと化した地下都市などを通って、ようやくビーストの眠る鍾乳洞までやって来た。
「そんな事より、ビーストを動かす事なんて出来るのか? 捜していた奴がいなかったんだろ? あたしらだけじゃ荷が重くないかい?」
とうとう捜していた人物が見つからなかったため、エリスが不満そうに愚痴をこぼす。
エリス達は旧世代のコンピュータに関して専門的な知識がないため、例え『ビースト』を発見する事が出来たとしても動かす事は不可能である。
「‥‥たくっ、ウルセェな! そんな事くらい俺だって分かっている! ‥‥だがな! いまさら後戻りなんて出来ねえだろ! 『ビースト』を手に入れなきゃ、地上にも戻れねえ。だったら、やるしかねえだろ」
覚悟を決めた様子で銃を構え、ゲールが『ビースト』の眠る場所へとむかう。
『ビースト』はガラクタの山に埋もれており、辛うじて頭だけが見えている。
「よっしゃ、ビンゴ! さっそく動かしてみるぞ」
満面の笑みを浮かべながら、ゲールがガラクタの山を登っていく。
次の瞬間、一筋の光が走ったかと思うと、ゲールの胸から血が噴き出し、悲鳴を上げてガラクタの山から転がり落ちた。
「誰だ、こんな事をした奴は!」
警戒した様子で辺りを見回しながら、エリスが短剣をギュッと握り締める。
それと同時に墓守が姿を現し、レーザーブレイドを振り下ろす。
「一難去って‥‥、また一難か」
自らの身に降りかかった不幸を恨みつつ、エレスが墓守に攻撃を仕掛けていく。
しかし、墓守は流れるようにして攻撃をかわし、レーザーブレイドを振り上げて短剣を弾き飛ばす。
「連れの男も死んじゃいない。このまま帰れば見逃してやる」
レーザーブレイドをエリスにむけ、墓守が警告まじりに呟いた。
そのため、エリスは悔しそうに唇を噛み締め、墓守をジロリと睨みつける。
「‥‥睨んでも無駄だ。もう一度だけ行っておく。‥‥ここから去れ!」
殺気に満ちた表情を浮かべ、墓守がエリスを睨み返す。
次の瞬間、一発の銃弾が墓守の身体を貫き、鍾乳洞の天井部分にブチ当たる。
「ア、アラン。生きているのか!?」
信じられない様子でアランを見つめ、エリスがダラリと汗を流す。
アランは無表情のまま銃を構え、ボロボロの格好でエリス達を見つめている。
「あ、あれは‥‥アランじゃない! あいつはアビスの穴に落ちて死んだんだ。例え奇跡的に助かったとしても、骨折くらいはしているはずだ」
警戒した様子でアランを睨み、ゲールが迷わず銃を撃つ。
それと同時にアランが唸り声をあげ、ゲールの銃を弾いてトドメをさした。
「な、な、なんだ、ありゃ!?」
目の前で起こった出来事を理解する事が出来ないまま、エリスが短剣を拾ってアランを攻撃しようとする。
しかし、それよりも早くアランがパンチを放ってきたため、エリスはナイフを拾う事なく絶命した。
「‥‥ベビーか」
ようやく意識を取り戻し、墓守がふらりと立ち上がる。
墓守の脇腹から大量の血が流れているが、ベビーを倒すためにはそんな事を気にしている暇は無い。
「人間か‥‥消す‥‥」
まるで人形のような表情を浮かべ、ベビーが墓守に攻撃を仕掛けてくる。
墓守は包帯を外して身代わりにした後、レーザーブレイドを使ってベビーの身体を切り裂いた。
ベビーは何が起こったのかも分からぬまま、崩れるようにして倒れ込む。
そのため、墓守はトドメとばかりにレーザーブレイドを突き立て、ホッとした表情を浮かべて汗を拭う。
「また‥‥墓が増えたな‥‥」
こうして『ビースト』の封印は守られ、墓守は再びこの地を守る番人となった。