バウンティーハンター南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
ゆうきつかさ
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
10.4万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
11/23〜11/27
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●本文
【物語】
環境汚染によって淀んだ空。
降り注ぐ灰の雨。
ボンヤリと浮かぶネオンサイン。
舞台は近未来ロサンゼルス。
主人公はこの街に住む賞金稼ぎ(バウンティーハンター)。
今回のターゲットは3人。
人間の姿をしたアンドロメイド。
彼らは実験中に施設から逃げ出し、擬態能力を使って人間に化けているらしい。
正体を暴く方法は、ただひとつ。
専用のサングラスを掛けて、アンドロイドと思われる人間の姿を見るだけである。
【登場人物】
・ギリアム
ヨレヨレのコートがトレードマーク。
貧乏なため『しけもく』しか吸わない。
元は政府の人間であったが、仲間達の裏切りにあって職を失っている。
愛用の銃は『イスカテリオ』。
・ジョーカー(KG−3)
暴走集団『キング』のリーダーで、主人公が追うアンドロイドのひとり。
死神をモチーフにしたヘルメットを被っており、漆黒のバイク(オロチ)に乗って真夜中のハイウェイを暴走中。
本当のジョーカーは既に死亡しており、バラバラにされた状態でポリバケツの中で発見されている。
・クィーン
ジョーカーの恋人。
バイクの後部座席に乗っていたため、ジョーカーの人質になってしまう。
・エース
ジョーカーの側近。
彼を尊敬していたが、異変に気づいて主人公に協力する事に。
乗っているバイクの名前は『クサナギ』。
・イザベラ(LD−2)
アメリカ全土を熱狂させているほどの売れっ子モデル。
既に本物のイザベラは殺害されており、顔の皮が剥がされ状態で発見されている。
・コング
イザベラのボディガード。
彼女の命令に忠実で、主人公が言っている事をまったく信用していない。
・ルドガー(SP−1)
現アメリカ大統領。
アンドロイド達に有利な法案を通すため、演説を行うつもりでいる。
しかし、自分の殺した相手が影武者だった事には気づいていない。
・ルドガー(本物)
本物のアメリカ大統領。
アンドロイドの実験を始めた張本人。
実験の失敗を隠蔽するため、アンドロイドを処分しようと考えている。
【シーン説明】
・シーン1 ジョーカー
ジョーカーの正体を確かめるため、エースのバイクに乗って勝負をする事に。
しかし、ジョーカーは彼らとマトモに戦うつもりが無いので、事故に見せかけてエースもろとも殺害しようと思っている。
そして、自分の立場が危うくなると、後部座席に乗せていたクィーンを人質にして逃げようとするのだが‥‥。
・シーン2 イザベラ
イザベラの正体を確かめるため、彼女の泊まっているホテルにむかう。
しかし、部屋の入り口にはコングが立っており、イザベラには会わせてくれない。
一般人に銃をむける訳には行かず悩むギリアム。
そこでコングにサングラスを掛けてもらい、イザベラを見てもらう事になる。
そのため、イザベラはギリアム達に襲われたフリをして、他の宿泊客に助けを求めようとするのだが‥‥。
・シーン3 ルドガー
ルドガーが演説を行おうとしている会場に向かうギリアム。
この会場はルドガーを追い詰めるため、本物の大統領が用意したダミー。
まわりにいたスタッフも大統領の部下で固めており、ギリアムの登場と共にSP−1を破壊。
彼の口から大統領が黒幕である事を知るのだが‥‥。
●リプレイ本文
●キャスト
ギリアム(主人公)役:マモル・ランスロット(fa4930)
ジョーカー(KG−3)役:夜野星冶(fa4455)
クィーン(ジョーカーの恋人)役:楼瀬真緒(fa4591)
エース(ジョーカーの側近)役:シーザー・N(fa4450)
イザベラ(LD−2)役:結城ハニー(fa2573)
コング(イザベラのボディガード)役:仙道 愛歌(fa2772)
ルドガー(SP−1)役:大空 小次郎(fa3928)
ルドガー(本物)役:ジョニー・マッスルマン(fa3014)
●シーン1 ジョーカー
「最近のジョーカーは、俺が知っているジョーカーじゃねえ。クィーンのヤツもそう言っている。‥‥何かがおかしい。だから不本意だが、アンタに協力する」
愛用のバイク『クサナギ』をギリアムに貸し、エースが後部座席に飛び乗って彼に耳打ちした。
ギリアムはエースからの依頼を受けてジョーカーの正体を探る事になったのだが、そのためにはバイクレースに勝利しなければならず、敗北すれば命がない。
「‥‥協力してくれるのなら問題ない」
スタート地点までバイクを移動させ、ギリアムがクールな表情を浮かべて答えを返す。
既にジョーカーは後部座席にクィーンを乗せ、愛用のバイク『オロチ』に跨ってギリアムを待っている。
「何をゴチャゴチャと話していやがる! レースはもう始まっているんだぜ!」
不敵な笑みを浮かべながら、ジョーカーがいきなりバイクをスタートさせた。
「‥‥エース。サポートを頼む」
険しい表情を浮かべながら、ギリアムがスピードを上げていく。
しかし、ジョーカーの乗っているバイクの方が性能が高いため、いくらスピードを上げても追いつかない。
「はははっ! もう終わりか?」
高笑いを上げながら、ジョーカーが対向車を避けていく。
レースはハイウェイで行われているため、一瞬のミスが命取りになってしまう。
「ジョーカーの挑発に乗るんじゃねえぞ!」
ギリアムが熱くなってきたため、エースが警告まじりに呟いた。
「‥‥自爆狙いというわけか」
一気にスピードをあげて対向車を避けていき、ギリアムがジョーカーの横に並んでニヤリと笑う。
対向車が増えてきたおかげで、ジョーカーもあまりスピードが出せない。
「おい、エース! オレを裏切るような真似をしやがって! やっぱり『欠陥品』は『廃棄処分』にしねぇといけねぇなぁ」
狂ったように笑い声を響かせながら、ジョーカーがギリアムのバイクに体当たりを喰らわせた。
「ジョーカー、やめなよ! 最近、変だよ? 前はそんな事しなかったじゃない?」
心配した様子でジョーカーを見つめ、クィーンがダラリと汗を流す。
しかし、ジョーカーはクィーンの話をまったく聞かず、ギリアムのバイクに何度も体当たりを食らわせている。
「ちょっ、ちょっと、まさか本気なの!?」
青ざめた表情を浮かべながら、クィーンがジョーカーにしがみつく。
「ガタガタとウルセェな!」
クィーンをジロリと睨みつけ、ジョーカーがサバイバルナイフを振り回す。
それと同時にバイクが大きく傾き、クィーンが悲鳴を上げる。
「‥‥あの野郎っ!」
バイクからクィーンが落ちそうになっていたため、エースが険しい表情を浮かべて舌打ちした。
「‥‥ここで仕留めるしか無さそうだな。‥‥エース。バイクの運転はお前任せた」
愛用の銃『イスカテリオ』を構え、ギリアムがジョーカーの頭を狙う。
「む、無理を言うなよ!」
妙な姿勢になりながら、エースがバイクのハンドルを握る。
少しでも気を抜けば対向車に激突するため、エースが不機嫌な表情を浮かべて愚痴をこぼす。
「お、おい! コイツがどうなってもいいのか!」
クィーンを人質に取りながら、ジョーカーがバイクのスピードを上げていく。
「その女を殺せば、その次はお前だ」
しかし、ギリアムはクールな表情を浮かべ、何の躊躇いもなく引き金を引いた。
「きゃあああああああああ!」
次の瞬間、クィーンの悲鳴が響く。
ジョーカーの頭から大量の水銀が流れ出し、糸の切れた人形のようにしてハイウェイに転がり落ちた。
「ブ、ブレーキが利かない!」
ハッとした表情を浮かべながら、エースがダラリと汗を流す。
バイクに細工がされていたせいで、クィーンを助けに行く事が出来ない。
「嫌あああああ」
それと同時にクィーンの乗っていた対向車に激突し、凄まじい爆発音と共にバイクが炎に包まれた。
「ま、守れなかった‥‥」
悔しそうに拳をギュッと握り締め、ギリアムがエースと一緒にバイクを捨てて飛び降りた。
次の瞬間、エース達のバイクがハイウェイの壁に激突し、大爆発を起こしてモクモクと黒い煙を上げていく。
そして、空からは、まるでクィーンの死を嘆くかのように真っ黒な雨が降り始めた。
●シーン2 イザベラ
「しつこいなぁ〜。何度、来たって無駄だよ。お姉様は誰にも会いたくないってさ」
イザベラの部屋の前に陣取りながら、コングがギリアムを睨んで溜息をつく。
ギリアムはイザベラの正体を暴くため、彼女が宿泊しているホテル間出来たのだが、濃紺のゴスロリ衣装を纏ったコングと名乗る少女が行く手を阻んでいるため、部屋の中には入れない。
「だからさっきから言っているだろ。このサングラスを掛ければ、俺の言っている意味が分かる!」
このままではイザベラに気づかれてしまうため、ギリアムが強引にサングラスを掛けさせる。
そのため、コングはサングラスを外そうとしたが、そこでイザベラの部屋の扉が開く。
「一体、いつまで遊んでいるの? コング、やっておしまい! そいつを追い出したら、ご褒美を上げるわよ」
ピンクのエナメル製ハイレグ水着姿でポーズを決め、イザベラがコングの耳たぶにキスをした。
しかし、コングはサングラスを掛けたまま、イザベラを見つめて身体をガタガタと震わせている。
「お姉様‥‥、じゃない!?」
信じられない様子で汗を流し、コングがジリジリと後ろに下がっていく。
「チィッ‥‥、余計な真似を!」
コングの掛けているサングラスに気づき、イザベラが電磁ムチを振り下ろす。
それと同時にサングラスが真っ二つに壊れ、電磁ムチの一撃がコングの顔面に直撃した。
「お‥‥、お姉様‥‥」
すがるような目つきでイザベラを見つめ、コングがゆっくりと右手を伸ばす。
しかし、イザベラには触れる事無なく、コングは力尽きてしまう。
「ようやく正体を現したか、バケモノめ」
すぐさま銃を抜いてイザベラを狙い撃ち、ギリアムが柱の影へと逃げ込んだ。
「よっくも‥‥、アタシの美貌に傷をつけたね!!」
銃弾のかすった頬を撫で、イザベラが滅茶苦茶にムチを振り回す。
それと同時にギリアムが柱の壁から飛び出し、イザベラの心臓を撃ち抜いた。
「私は‥‥ウ・ツ・ク・シ・イ‥‥」
心臓にポッカリと開いた穴から大量の水銀を流れ出し、イザベラが崩れるようにして膝をつく。
「また‥‥、助ける事が出来なかった」
床に倒れたコングを見つめ、ギリアムが寂しそうに溜息をついた。
軍人だった頃、自分が『死神』と呼ばれていた事を思い出しながら‥‥。
●シーン3 ルドガー
「SPは何をやっているんDA! 会場に怪しいヤツがいるゾ!」
全世界に向けて演説をしている途中でギリアムが乱入してきたため、ルドガー(以下SP−1)が不機嫌を浮かべてマイクを握る。
しかし、いくら呼んでもSP達は現れず、会場にいた者達が次々と銃を抜いていく。
「マ、マサカ‥‥、ミーを罠にハメたのKA!」
悔しそうに拳をワナワナと震わせながら、SP−1がアゴを外してレーザーを放つ。
それと同時にギリアムが横に飛び、SP−1の肩を撃ち抜いた。
「クッ‥‥、何故DA! 何故ミーがニセモノだと‥‥」
信じられない様子でギリアム達を睨みつけ、SP−1がギリギリと歯を鳴らす。
「お前が殺したのは、大統領の影武者だ。‥‥残念だったな」
クールな表情を浮かべて銃をむけ、ギリアムがSP−1の胸に命中させる。
「HAHAHA! ミーを誰だと思っていRU!」
勝ち誇った様子で笑みを浮かべ、SP−1がスーツの下に着込んだ防弾チョッキを見せつけた。
次の瞬間、会場に仕掛けられていた時限爆弾が次々と爆発し、SP−1がガラガラと降り注いできた瓦礫に押し潰されていく。
「ば、馬鹿な!? まだ会場に人が残っているのに‥‥」
驚いた様子で会場から飛び出し、ギリアムが転がるようにして倒れ込む。
会場に残った者達は脱出する事なく命を落とし、大量の土埃だけが虚しく舞っている。
「‥‥まだ死んでいなかったのKA?」
険しい表情を浮かべながら、ルドガーがギリアムを睨む。
ギリアムは爆風に巻き込まれて重傷を負っているが、かろうじてルドガーのところまで歩いていく。
「ど、どういう意味だ」
薄れ行く意識の中で、ギリアムが銃をむける。
「そのままの意味DA! 唯一、事情を知っているユーをテロリストに仕立て、この世から抹殺しようとしていたのだから‥‥」
袖口からデリンジャーを二挺取り出し、ルドガーがギリアムの身体を撃ち抜いていく。
それと同時にギリアムが銃の引き金を引き、ルドガーの心臓を撃ち抜いた。
「やっと終わったか」
ルドガーが絶命した事を確認した後、ギリアムがしけもくを咥えて壁にもたれかかる。
‥‥その煙草がポトリと落ちた。
まるで役目を果たしたかのように‥‥。