大海賊ブラッドリーの宝南北アメリカ

種類 ショート
担当 ゆうきつかさ
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 3.6万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/07〜12/11

●本文

【物語】
 舞台はアメリカ合衆国オレゴン州。
 主人公は田舎町に住む少年。
 少年の家は多額の借金を抱えており、毎日のように取り立てが来ている。
 そんなある日、少年は屋根裏部屋で、大海賊ブラッドリーが遺した宝の地図を発見し‥‥。

【登場人物】
・主人公
 両親が夜逃げしたため、借金取りに怯える日々。

・主人公の兄
 面倒ごとを主人公に押しつけ、遊び歩く日々。

・ハカセ
 主人公の叔父さんで、近所に住む偏屈な発明家。
 奇妙なものばかり作るため、近所から変人扱いされている。

・助手
 小遣い稼ぎのためにハカセの実験に協力しているせいで、何度も入退院を繰り返しているらしい。

・取立て屋A
 ブラッドリー一家のメンバー。
 ボケ担当。

・取立て屋B
 ブラッドリー一家のメンバー。
 ツッコミ担当。

・リーゼント
 フランスパンの如く立派なリーゼント頭のナイスガイ。
 服装は70年代。
 どんなものでも蹴りで破壊する事が出来る‥‥と思い込んでいる。

・ブラッドリー
 ブラッドリー一家の頭。
 大海賊ブラッドリーの末裔だが、いまは落ちぶれている。
 そのため、主人公が宝の地図を手に入れた事を知り、横取りしようと思うのだが‥‥。

【シーン説明】
・シーン1 宝の地図
 取り立て屋から逃れるため、蜘蛛の巣だらけの屋根裏部屋に逃げ込む主人公。
 隠れる場所を探している途中で宝の地図を発見。
 そこで主人公の兄が登場。
 リーゼントが家の扉を破壊して、ズカズカと階段を上ってくる。
 取り立て屋の二人が主人公の持っている宝の地図に気づく。
 奪い取ろうとして宝の地図が破れ、その隙に主人公達が家から脱出する。

・シーン2 ハカセの家
 ハカセの家では助手を使った実験が行われている。
 青ざめた表情を浮かべる助手。
 ハカセの実験は成功した事がない。
 そこで入り口の扉が開き、主人公達が登場。
 実験は大失敗。
 しかし、主人公達は助手を無視して、取立て屋に追われている事をハカセに説明。
 そのため、ハカセは実験すらしていないスーパーカーに乗って脱出する事を提案。
 もちろん、スーパーカーの目的地は、宝の地図に描かれていた岬の廃屋。
 ここでブラッドリー一家が登場。
 リーゼントからの電話で、海賊の宝に興味を持った様子のブラッドリー。
 しかし、ブラッドリー達が持っている地図には、廃屋の地下から宝の在り処までしか描かれていない。
 そこで主人公達の地図を奪う事にするのだが、ハカセの家に到着した途端にスーパーカーが発進。
 部品をバラバラと撒き散らしながら、岬の廃屋に到着してクラッシュ。
 主人公達はそのまま地下へ。

・シーン3 海賊の宝
 何とか海賊の宝が眠る鍾乳洞まで来たのだが、地図が半分しかないため、どこに行けばいいのか分からない。
 しかもブラッドリー一家が後を追ってきたため、主人公達は命懸けで逃げていく事に‥‥。
 ここでハカセが発明道具を取り出し、ブラッドリー一家を撃退。
 主人公達は見事、海賊の宝を手に入れる。

●今回の参加者

 fa2121 壬 タクト(24歳・♂・兎)
 fa2378 佳奈歌・ソーヴィニオン(17歳・♀・猫)
 fa2573 結城ハニー(16歳・♀・虎)
 fa3957 マサイアス・アドゥーベ(48歳・♂・牛)
 fa4455 夜野星冶(23歳・♂・猫)
 fa4550 リリン(18歳・♀・豹)
 fa4840 斉賀伊織(25歳・♀・狼)
 fa5196 羽生丹(17歳・♂・一角獣)

●リプレイ本文

●キャスト
 ガイラー・トンプソン(主人公)役:羽生丹(fa5196)
 サンダー・トンプソン(主人公の兄)役:斉賀伊織(fa4840)
 エリー(取立て屋A)役:リリン(fa4550)
 ニコラス(取立て屋B)役:夜野星冶(fa4455)
 ダグラス(リーゼント)役:壬 タクト(fa2121)
 ニコール・ブラッドリー(一家の頭):結城ハニー(fa2573)
 ケネス・トンプソン(ハカセ)役:マサイアス・アドゥーベ(fa3957)
 キャサリン(助手)役:佳奈歌・ソーヴィニオン(fa2378)

●シーン1 宝の地図
「借金の返済日はとっくに過ぎているんだぞ! 早くこの扉を開けやがれ!」
 ドアを壊すほどの勢いで、ニコラスが大声を上げてノックをする。
 既に両親が夜逃げをしたため、家に残っているのはトンプソン兄弟のみ。
 弟のガイラーは足音を立てないようにしながら、怯えた様子で屋根裏部屋まで逃げていく。
「‥‥ここまで来れば何とかなるかな?」
 蜘蛛の巣を掻き分けながら、ガイラーがガラクタの入った箱を漁る。
「‥‥あれ? これって、この辺りの地図だ」
 箱の中に入っていた古びた地図を手に取り、ガイラーがマジマジと見つめて不思議そうに首を傾げる。
「た、大変だ! 取立て屋がここまで来るぞ! ‥‥って、こりゃあ、大海賊ブラッドリーが残した宝の地図じゃないか。まさかこんな場所にあったとは‥‥。これでお前に苦労をさせずに済みそうだな」
 慌てた様子で階段を駆け上がっていき、サンダーがガイラーの持っている地図を睨む。
 それと同時に入り口のドアが壊れ、ガラの悪い連中が階段を上っていく。
「あわわ、このままじゃ、地図を巻き上げられちゃうよ!?」
 青ざめた表情を浮かべながら、ガイラーがあたふたとする。
 その間に取立て屋達がゾロゾロと屋根裏部屋まで上がってきた。
「こんなところに居たんだぁ♪ 早くお金返して下さいなぁ」
 満面の笑みを浮かべながら、エリーがジリジリとガイラー達に迫っていく。
「よぉ、坊主。今日も元気そうで何よりだ。‥‥しかし、居留守は良くねぇな‥‥。俺が何度ノックしたと思う? ‥‥まさか気がつかなかったわけじゃねえよなぁ? 借りた物を返す、これは当然の事だろ? ‥‥その当然な事も出来ないような奴は‥‥もう少し世の中の事を学んだ方が良い。俺はそう思うわけだ。‥‥おや? 面白そうな物を持ってるじゃねぇか」
 フランスパンの如く立派なリーゼント頭を揺らし、ダグラスが啖呵を切ってガイラーの胸倉を掴む。
「な、何も持っていませんよ」
 気まずい様子で視線を逸らし、ガイラーが宝の地図を慌てて隠す。
「嘘をつくんじゃねえぞ! だったらコレは何だ! 俺達に渡しやがれ!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、ニコラスが宝の地図を掴む。
 それと同時に宝の地図が真っ二つに破れ、まわりの空気が一瞬にして凍りつく。
「た、宝の地図が〜」
 敗れた宝の地図を見つめて悲鳴をあげ、サンダーがハッとした表情を浮かべて口を押さえた。
「へぇ‥‥、宝の地図か。‥‥それをよこしな!」
 含みのある笑みを浮かべ、ダグラスがガイラーから地図を奪おうとする。
「い、嫌だ!」
 吐き捨てるようにしてダグラスの右手を弾き、ガイラーが体当たりを仕掛けて屋根裏部屋から逃げだした。

●シーン2 ハカセの家
「この実験が成功すれば、我々の名前が歴史に刻まれる事になる」
 助手のキャサリンを機械に縛り、ケネスが瞳をキラリと輝かせる。
 ‥‥実験に失敗する事、数千回。
 失敗した回数だけなら、誰にも負けない自信がある。
「あ、あの‥‥。本当にやるんですかぁ?」
 引きつった笑みを浮かべながら、キャサリンがダラダラと汗を流す。
 ケネスの実験は成功した事がないため、色々な意味で身の危険を感じている。
「さあ、歴史が動く瞬間だ!」
 気合を入れて右手を振り上げ、ケネスが青いボタンを押そうとした。
 それと同時に入り口の扉が開き、ガイラー達が息を切らして入っていく。
「は、博士! それは違うボタンです〜!」
 青ざめた表情を浮かべながら、キャサリンが悲鳴を上げて首を振る。
 しかし、ケネスは先に赤のボタンを押してしまい、ハッとした表情を浮かべて雄叫びを上げた。
「のおおお!」
 ちゅどぉーん!
 ケネスの機械が大爆発を起こし、キャサリンの頭がアフロになった。
「‥‥お取り込み中だったかな?」
 気まずい様子で踵を返し、サンダーがケネスの家から出て行こうとする。
「待て! 何か相談する事があったんだろ?」
 すぐさまサンダーの逃げ道を塞ぎ、ケネスが怪しくニヤリと笑う。
「ええと、宝の地図を見つけたんだけど、取立て屋に追いかけられちゃって‥‥。た、助けて欲しいんだけど‥‥」
 申し訳無さそうな表情を浮かべ、ガイラーが駄目元でケネスに頼み込む。
 そのため、ケネスが満面の笑みを浮かべ、ガイラー達を車庫まで連れて行く。
「まさかこれを使う日が来るとはな。ついさっき完成したばかりのスーパーソニック号さえあれば、取立て屋から逃げる事くらい簡単だ! そのまま月まで吹っ飛ぶぞ!」
 スーパーソニック号のボディを叩き、ケネスがえっへんと胸を張る。
 その拍子に何処かのパーツが転がり落ち、キャサリンが慌てた様子でそれを隠す。
「俺は乗らないからな!」
 色々な意味で身の危険を感じ、サンダーがジリジリと後ろに下がっていく。
「それならアタシにお宝の有りかを教えて頂戴」
 サンダーの逃げ道を塞ぐようにして前に立ち、ニコールがセクシーな上目遣いで舌舐めずりをする。
「お、おい、逃げるぞ!」
 スーパーソニック号にサンダー達をむりやり乗せ、ケネスがアクセルを踏んで一気に車庫から飛び出した。

●シーン3 海賊の宝
「し、死ぬかと思った‥‥」
 廃屋にぶつかる寸前でスーパーソニック号がガス欠になったため、ガイラーがフラフラとしながら降りてくる。
「だから俺は嫌だって言ったんだ!」
 今にも泣きそうな表情を浮かべ、サンダーがブツブツと愚痴をこぼす。
 しかし、ケネスは全く反省している様子もなく、高笑いを上げてサンダー達の肩をポンポンと叩く。
「はははっ! どうやら実験は成功したようだな。廃屋に着くまで爆発しなかったのが、その証拠だ!」
 骨組みだけになった車を見つめ、ケネスが満足した様子でニヤリと笑う。
 もちろん、途中でクラッシュをしていれば、ケネス達はこの世にいないだろう。
「は、博士。これは‥‥成功とは言えません!」
 小動物のような表情を浮かべ、キャサリンがボソリと呟いた。
「オーホッホッ! 道案内、ご苦労様。これはチップよ」
 高笑いをあげながら、ニコールが放り投げる。
 どうやらスーパーソニック号のパーツを辿り、この場所を突き止めたようだ。
「‥‥おや? 随分と不満そうだな?」
 クールな表情を浮かべながら、ニコラスがガイラーの胸倉を掴む。
「面倒だから、ここで始末しちゃおうよ」
 ダグラスの服を引っ張り、エリーがクスクスと笑う。
「‥‥そうだなぁ。殺っちまうか」
 指の関節を鳴らしながら、ダグラスがガイラーをジロリと睨む。
 そのため、ガイラーは悔しそうな表情を浮かべ、必要のなくなった宝の地図を握り締める。
「後は任せた!」
 その隙にサンダーが廃屋の扉を開け、ひとりで地下へと続く階段を下りていく。
「おら、待ちやがれ!」
 ハッとした表情を浮かべてガイラーを放り投げ、ニコラスが廃屋に入ったサンダーを追いかけていく。
 それと同時にガイラー達もサンダーを追うようにして階段を下りていった。
「‥‥放っておきなさい。残りの地図は、こっちが持っているだから‥‥。洞窟の中で始末すればいいだけじゃない」
 疲れた様子で溜息をつきながら、ニコールが電磁鞭を振り下ろす。
「さすが、御頭! 頭がイイネ♪」
 納得した様子で笑みを浮かべ、エリーが嬉しそうにパチパチと手を叩く。
「それじゃ、宝探しと行こうじゃねえか」
 火を点けたライターで地下を照らし、ダグラスが怪しくニヤリと笑う。
 廃屋の地下は鍾乳洞になっており、まるで蟻の巣のように道が入り組んでいる。
「この地図によると‥‥、こっちね」
 宝の地図を頼りにしながら、ニコールが鍾乳洞の奥に進んでいく。
「そこまでだ! その地図をこちらに渡してもらおうか?」
 次の瞬間、サンダー達が物陰から現れ、ニコール達の逃げ道を塞いで光線銃をむける。
「キー!! ブサイクなくせに美しいこのアタシに歯向かうの?」
 不機嫌な表情を浮かべながら、ニコールが容赦なく電磁鞭を乱れ打つ。
「のわああ! わしの最高傑作があああ!」
 信じられない様子で光線銃を拾い上げ、ケネスがガックリと膝をつく。
「えっと‥‥、こういう時は‥‥」
 あたふたとした様子で辺りを見回し、キャサリンがジュラルミンケースを手に取った。
「俺のキックで壊せない物はねえ!」
 それと同時にダグラスがジュラルミンケースに蹴りを放ち、あまりの激痛に悲鳴を上げて倒れ込む。
「もー! 今度、会う時は覚えてらっしゃい!」
 苦し紛れにニコラス達を鞭で叩き、ニコールが気まずい様子で逃げていく。
「よしっ! これで俺達は大金持ちだ!」
 ニコールの落とした地図を拾い上げ、サンダーが指をパチンと鳴らす。
 ここで手に入れた財宝の大半がケネスの発明費用として消える事になるとは夢にも思わずに‥‥。