TUKUMOGAMI南北アメリカ

種類 ショート
担当 ゆうきつかさ
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 難しい
報酬 1.3万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 11/05〜11/09

●本文

●急募!
<募集職種>
 B級アメリカドラマの製作スタッフ

<応募資格>
 やる気のある方なら、誰でも応募する事が出来ます。
 年齢制限などもありません。
 今回のお仕事はドラマで使う設定を決めるのがメインですが、自分を売り込むために役者の方が参加し、自分の配役を決めておく事も可能です。

<内容>
 ホラーをテーマにした新作ドラマの会議をします。
 スタッフが日本的な感覚を取り入れて製作しようとしています。
 いまのところ決まっている内容は、

・1話完結のストーリーもの。
・主人公が魔物を退治するアクションものを予定しています。
・物(九十九神)に纏わるお話がメイン。
・今回のテーマは人形。
・バットエンドでも可。ただし、主人公は死なない。

 です。
 今回の会議では主人公の設定以外にも、魔物化した物に纏わる話や、その物によって被害を受けた持ち主の話なども決める必要があります。
 それによって配役なども決めるため、役者の方は自分を売り込むチャンスになるわけです。

担当A:例えるのならアウ……。
担当B:(担当Aの口を押さえて)い、言うな。

●今回の参加者

 fa0780 敷島オルトロス(37歳・♂・獅子)
 fa0956 天野 葵(29歳・♀・狐)
 fa1099 樹神(26歳・♂・アライグマ)
 fa1269 ビニール・キッド(29歳・♂・鴉)
 fa1323 弥栄三十朗(45歳・♂・トカゲ)
 fa1571 SAKUYA(18歳・♀・兎)
 fa1715 小塚さえ(16歳・♀・小鳥)
 fa1737 Chizuru(50歳・♀・亀)
 fa1771 由比美紀(20歳・♀・蝙蝠)
 fa1819 ミハイル・チーグルスキ(44歳・♂・狐)

●リプレイ本文

●会議室
「このドラマのプロデューサーを務める瀬戸・カトリーヌよ。今後は私の指示に従って動いてもらうわ。‥‥よろしくね」
 会議机の上に企画書の山を置き、このドラマのプロデューサーである瀬戸が辺りを睨む。
 瀬戸は実力だけで伸し上がってきた女性で、業界でも厳しい事で知られている。
「それじゃ、葵ちゃん。みんなに説明してくれるかしら?」
 眼鏡をキラリと輝かせ、瀬戸がニコリと微笑んだ。
「‥‥ドラマの舞台は1980年代のアメリカで現実離れした出来事とは無縁な街が舞台です。物語はビスクドールと日本人形‥‥。そして、それを取り巻く人間模様を描きます」
 心臓をドキドキさせながら、天野 葵(fa0956)が緊張した様子で企画書を読む。
「‥‥日本的な感覚を取り入れると言う事だが、この部分を強調すれば面白くなると思う。メジャーな作品でも、日本文化に対する誤解を少なからず含む映像作品は多い。だから九十九神を始め、和のテイストが絡む場面では、より拘った設定と演出を行う事にしようと思う。例えば和楽器などを効果的に使い、米国人に新鮮な印象を与えるドラマにするとかな。ただし、米国でのアクションホラーと言えば、スラッシャーやスプラッタな作品が定番だが、それは出来るだけ避けて欲しい。何より日本的でないからな」
 瀬戸の顔をジロリと睨み、敷島オルトロス(fa0780)がニヤリと笑う。
「なるほどね。‥‥分かったわ」
 含みのある笑みを浮かべながら、瀬戸が企画書に文字を書き込んでいく。
「ところで主人公は日本人女性を想定されているのですか? それならば目はコンタクトで誤魔化せますし、肌の色もメイクでどうにかなると思うんですが‥‥」
 気になる事があったため、Chizuru(fa1737)が瀬戸に質問する。
「1話ごとに主人公が異なるから特に限定してないわ。当なら主人公をひとりに限定したいんだけど、役者が必ずドラマに参加してくれるとは限らないからね」
 残念そうな表情を浮かべ、瀬戸がボソリと呟いた。
 役者によっては主役の仕事だけ貰って、本編に参加しない者もいたため、瀬戸も警戒しているらしい。
「とにかく一般的な視聴者が観ると、物語の内容のおよそ9割程度が分かる展開にした方がいいな。もちろん、それだけでも十分に楽しめるだけのクオリティにする事は言うまでもない。その上で残った1割は、日本に詳しくないと意味が分からないようにする。毎回、放映終了後に公式サイトで、その難解な部分の解説をし、より物語が楽しめるようにしておく必要があるだろう。更に、日本の伝承知識に明るくないと、まるで分からないようなネタも散りばめる。一見すると、ごく普通のホラーだが、観る者が観ればその馬鹿馬鹿しさに拘りを感じる事が出来る作品になればいいと思う」
 自分の説明に手応えがあった事を実感し、敷島が自分の考えを語りだす。
「ちなみに公式サイトは僕が作っておいた。サイドストーリーを加えてね。‥‥物語の始まりは主人公である人形遣いの恋人が突然奇病になったところから‥‥。主人公の彼女は神のひとりとして、特別な力を持っていたんだが、『神』としての力を奪われてしまったため、『個』である『人間』を経て『九十九神』という『百に至らぬモノ』になってしまう。そして恋人(神としての意志)は他の九十九神に力を奪われたので力を貸して欲しいと人形遣いに願うんだ。貴方には人形を繰る力がある、だから私は人形になろう‥‥とな。そして恋人はからくり人形に変化し、主人公と共に他の九十九神と戦う事になる」
 自作したポスターを取り出し、SAKUYA(fa1571)が瀬戸に手渡した。
「あくまでサイドストーリーの主人公だから、あんまり目立たないように頼むわね。現時点では主人公の異なる1話完結物になるから‥‥」
 申し訳なさそうな表情を浮かべ、瀬戸がSAKUYAに釘を刺しておく。
 あまりにもキャラクターが立ち過ぎているせいで、このままだと主人公を食ってしまう可能性が高いため、放送前に微調整が必要になりそうだ。

●物語
 打ち合わせは進み、ようやく物語の骨組みが完成した。
 途中で瀬戸が別の仕事で抜けたため、ミハイル・チーグルスキ(fa1819)が役目を引き継いだ。
「‥‥主人公はアメリカのある町に住むとある女性。町は至って普通で何不自由のない町。今日は孫達が遊びに来る日。孫たちは自分の持っていたボロボロになった日本人形が気になったらしい。そして彼女は語る‥‥ボロボロになった経緯を。祖母が好きだったので、実家で遊んでいたが縁、引っ越す時に置いていったもの。しかし、人形は彼女の引越し荷物の上に‥‥。両親に聞いたが、知らないと言う。送り返すのもなんだという事でそのまま預かる事に。そんな時に起こった周囲での奇怪な猟奇殺人。その時に見当たらなくなる人形。そして彼女は見てしまう。自分の日本人形が簪を持って動き出すところを‥‥」
 参加者達に説明を終え、ミハイルがコップの水を口に含む。
 基本的には日本人形VSビクスドールVSからくり人形(マネキン)の戦いをメインにした和テイストのドラマになる予定で、じわりじわりと迫り来る恐怖を前に出すようだ。
「主人公はわたくしがやるわ。年齢的にもちょうどいいだろうし‥‥。出来れば彼女が過去に体験した出来事として話を進めて行きたいんだけど、どうかしら?」
 ミハイルの脚本を読んで自分に相応しい役柄である事を実感し、Chizuruが自分が主人公としてドラマに出る事を希望した。
「若い頃の主人公役は、是非とも私にやらせて下さい。この女性はアメリカに留学してきた大学生で、荷物を解いていると、入れた覚えの無い古い日本人形を見つけるんです。この人形は彼女が昔よく遊んでいたもので、彼女は特に不思議に思う事無く、部屋に飾ります。それと時を同じくして街で連続殺人事件が起こり、翌朝‥‥彼女は人形に血の様な汚れが付いているのを見つけるんです。そして、新しい被害者が出る。まさかとは思うものの、なんとなく不気味に感じて、人形を仕舞ってしまうのですが、気が付くと元の場所に戻っている。怖くなった彼女は、友達(真犯人)に、家に来て貰うんですが、友人が席を外すと日本人形がゆっくりと動き出し、彼女を襲ってくるのです。あっ‥‥、色々と修正が必要になりますかね?」
 話している途中でハッとなり、由比美紀(fa1771)が恥ずかしそうに頬を染める。
「いや、脚本とは常に変化し、進化し続けているものだ。何も気にする事はない」
 脚本に注意書きを入れながら、ミハイルが瀬戸に提出するための企画書を書く。
「メイクの方は俺に任せておいてくれ。ふたりの顔を見比べた上で、なるべく似せるようにしてメイクを施しておくから‥‥。それとSAKUYAには特殊メイクが必要だな。カラクリ人形っぽくする必要があるから、出来るだけ無機質な感じにしておくか」
 役者達の顔を見つめながら、樹神(fa1099)が頭の中でイメージを膨らます。
「アップ用の人形も必要になりそうですね。予算の都合もありますから、動きは最低限に抑え、その抑えた動きの中で怖さを演出するという方向性で‥‥」
 臨場感を出して作品を神秘的なものにするため、弥栄三十朗(fa1323)がミハイルと綿密な打ち合わせを進めていく。
「人形遣いのコスチュームはこんな感じでどうですかね? 自分の演じる役だから、予算を抑えた上で動きやすいものにしてみましたが‥‥」
 オリエンタルで日本的な魅力を出すため、葵がシャープで動きやすい衣装を選ぶ。
 人形遣いの設定には人形と目で会話する事が出来るとあるため、視聴者にも分かり易くカラーコンタクトをつけておく。
「人形がテーマである以上、臨場感を出して神秘的に仕上げなくては作品自体がチープなモノになってしまいます。状況によってはスポンサーと掛け合ってみたり、自腹を切る必要があるかも知れませんね」
 疲れた様子で溜息をつきながら、三十朗が企画書に何度も修正を加えていく。
 予算に見合った内容でなければ、スポンサーも納得しないため、無駄なシーンを省いていく。
「スポンサーの方々が納得する事の出来る企画だといいんですが‥‥」
 ビクスドールを抱きしめながら、小塚さえ(fa1715)が脚本を読み返す。
 彼女の演じる役柄は主人公の友人役。
 夜寝ている間に人間を恨むビスクドールに体(意識)を乗っ取られ、人を殺していく役柄だ。
 彼女はビスクドールを左腕に抱え、右手にナイフを持って、全身に返り血を浴びながら、次々と人を殺していくため、小道具などもインパクトの強いものばかりである。
「ふむ‥‥、状況次第では役柄を替える必要があるかもな」
 覆面レスラーである以上、素顔を晒す事が出来ないため、ビニール・キッド(fa1269)が険しい表情を浮かべて腕を組む。
 彼の役柄は後半で登場する大泥棒だが、予算の都合で役者をあまり雇えなかった場合は、他の役柄も担当する事になりそうだ。
「これで決まりのようですよね。作品のテーマは人形達の愛と哀。人で無いもの、人で無くなったもの、でもその根底に作り上げた人間達の純粋な思いと狂気を描く物語‥‥。タイトルは‥‥追憶のマリオネット」
 そう言ってChizuruが高らかに作品のタイトルを宣言した。
 後はスポンサーの承諾を得るだけである。