不思議の国のアニキ南北アメリカ

種類 ショート
担当 ゆうきつかさ
芸能 4Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 易しい
報酬 17.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/24〜12/28

●本文

【物語】
 バニーガールを追いかけてマンホールに落ちたアニキが、体験した不思議の国(ラリラリ王国)のお話です。

【シーン説明】
・シーン1 バニーガール
 夜の繁華街で飲み歩くアニキ達。
 そこでバニーガールをナンパするが、何故か逃げられてしまう。
 そして、アニキはマンホールの中へ。

・シーン2 不思議の国
 気がつくと、そこは不思議の国。
 アニキは何かを壊した事に気づき、キョトンとした表情を浮かべて立ち上がる。
 悲鳴を上げるバニーガール。
 どうやらアニキの壊したものは、女王様の物らしい。
 そこで花札の兵士が登場。
 逃げるアニキ。
 しかし、アニキは捕まってしまう。

・シーン3 裁判
 女王様が大切にしていたものを壊したため、花札の兵士に囲まれ縛られたまま、アニキの縛ったまま裁判が行われている。
 裁判官は女王様の言いなりなので、アニキの反論は無視。
 その結果、アニキは処刑される事に。
 そこで不思議の国の住人が登場。
 アニキを助ける代わりに、女王様を倒して欲しいと頼む。
 そのため、アニキは女王様を倒す事に……。
 そして、アニキはマンホールの中で気がつくのであった。

【募集キャスト】
・アニキ
 この物語の主人公です。

・バニーガール(不思議の世界の住人)
 アンティークの時計を愛用しています。

・極道A(花札の兵士:猪)
・極道B(花札の兵士:鹿)
・極道C(花札の兵士:蝶)
 現実世界ではアニキの仲間。
 不思議の国では女王様の配下です。

・不思議の国の住人
 アニキの協力者。

・女王様
 ボンテージルックに身を包んだ女王様です。

・裁判官
 女王様の命令に忠実です。

●今回の参加者

 fa2573 結城ハニー(16歳・♀・虎)
 fa3237 志羽・明流(23歳・♂・鷹)
 fa3308 ヴァールハイト・S(27歳・♂・竜)
 fa3623 蒼流 凪(19歳・♀・蝙蝠)
 fa3776 コーネリアス・O(32歳・♂・猿)
 fa4079 志祭 迅(26歳・♂・鴉)
 fa4930 マモル・ランスロット(20歳・♂・豹)
 fa5196 羽生丹(17歳・♂・一角獣)

●リプレイ本文

●キャスト
 レニス(アニキ)役:ヴァールハイト・S(fa3308)
 丹(バニーボーイ?)役:羽生丹(fa5196)
 マモル(極道A)役:マモル・ランスロット(fa4930)
 猪(花札の兵士)役:マモル・ランスロット(二役)
 リドリー(極道B)役:コーネリアス・O(fa3776)
 鹿(花札の兵士)役:コーネリアス・O(二役)
 アキ(極道C)役:志羽・明流(fa3237)
 蝶(花札の兵士)役:志羽・明流(二役)
 ジンギ(不思議の国の住人)役:志祭 迅(fa4079)
 女王様役:結城ハニー(fa2573)
 裁判官役:蒼流 凪(fa3623)

●シーン1 バニーガール
「さっきのヤツら、アニキの迫力に恐れをなしてましたね」
 満面の笑みを浮かべながら、リドリーがレニスを手放しで褒める。
 一仕事終えて訪れた夜の繁華街。
 リドリー達の兄貴分であるレニスは手下の極道達を連れ、ほろ酔い気分で街をフラついていた。
「当然でしょ! あたしの惚れたオトコだもの」
 ウットリとした表情を浮かべ、アキがレニスと腕を組む。
 ちなみにアキは混じりっ気なしの純粋なオカマなので、レニスはあまり喜んでいない。
「まぁ、そうかも知れねぇけどよぉ。おっ! ハクいスケ(死語)が!」
 メガネをキラリと輝かせ、リドリーがバニーガールを指差した。
 そして、バニーガールは何やら慌てた様子で裏通りに消えていく。
「ハクいスケって‥‥。一体、いつの人間だ」
 呆れた様子で溜息をつきながら、マモルがリドリーにツッコミを入れる。
 しかし、レニスは興奮した様子で鼻を鳴らし、ダッシュで裏通りへと入っていく。
「ちょっとぉ〜! 目の前にこんなイイ女がいるのに浮気をする気ぃ〜!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、アキが大きく頬を膨らませる。
 仲間達もツッコミを入れたそうにしているが、何をされるか分からないので口には出さないでおく。
「よっ、カノジョ〜、俺達とイイとこ行かねえか〜」
 バニーガールの肩を掴み、レニスがニンマリと笑う。
 そこで初めて相手が男だった事に気づくレニス。
 いまさら誤魔化すわけにも行かないため、バニーボーイを見つめたままで固まっている。
「ちょっと、ボクはそんなに安い女じゃないよ。いっけな〜い☆ もうすぐ時間だ、宴会に急がないと、じゃあね」
 携帯電話を取り出して時間を確認しながら、バニーボーイの丹がスタコラサッサと逃げ出した。
「て、てめぇ! 俺を騙しやがったな。‥‥許さねぇ。俺はしつこいんだ、舐めんじゃねえぜ」
 怒りに満ちた表情を浮かべ、レニスが丹を追いかけていく。
 しかし、丹がすばしっこいため、捕まえようとした瞬間、油断していたせいでマンホールの穴に転がり落ちる。
「アニキ!? アニキ〜〜〜!!」
 ‥‥そしてリドリーの絶叫が辺りに響く。

●シーン2 不思議の国
「アイテテテッ‥‥」
 気がつくとレニスは不思議の国にいた。
 マンホールの穴に落ちた所までは覚えているのだが、どうやってここまで来たのか分からない。
「‥‥ん? なんだこりゃ? 冷てぇじゃねえか」
 キョトンとした表情を浮かべ、レニスがゆっくりと立ち上がる。
 そこにあったのは、壊れた氷細工の薔薇。
 『はて?』と言わんばかりに首を傾げる。
「あー、じょ、女王様の──でも、今のフレーズ気に入ったぞ『じょ』と『女』を続けて言うのか、アニキ、あんたの事は『じょ女』と呼ばせて‥‥ってそんな場合じゃなかった! 大変だあ〜!」
 青ざめた表情を浮かべながら、丹が壊れた氷細工の薔薇を指差した。
「誤魔化すんじゃねぇ! 俺から逃げられると思っていたのか!?」
 すぐさま丹の胸倉を掴み上げ、レニスがドスの利いた声を響かせる。
 それと同時に動物の着ぐるみを着た極道(花札の兵士)達が現れ、あっという間にレニスを囲む。
「お前、女王様の氷細工のバラを壊したな!」
 猪の着ぐるみ姿で槍を構え、マモルがいかつい顔でレニスに迫る。
 しかし、レニスにはマモル達がコスプレをしているようにしか見えないため、まったく驚いていない。
「なんだ、お前らも来てたのか。そんな格好で何をやってんだよ?」
 ホッとした様子で笑みを浮かべ、レニスがマモルの背中を叩く。
「動くな!」
 レニスの顔に槍を突きつけ、リドリーが鹿の着ぐるみ姿で警告した。
 そのため、レニスは訳も分からず、不思議そうに首を傾げる。
「どうやらシラを切るつもりのようね。そういうコはお仕置きよっ♪」
 含みのある笑みを浮かべながら、蝶のコスプレをしたアキがレニスに迫っていく。
「か、勘弁してくれ!」
 壊れた氷細工を丹に渡し、レニスが慌てた様子で逃げ出した。
「あー! ボクひとりだけ置いていかないで、ね。後生だから」
 花札の兵士達のジロリと睨まれ、丹が青ざめた表情を浮かべてレニスの後を追いかける。
 彼の逃げた先が行き止まりだとは思いもせず‥‥。

●シーン3 裁判
「放せ! 放しやがれ!」
 花札の兵士達に捕まったレニス達は、氷細工の薔薇を壊した罪で裁判にかけられていた。
「う〜、なんでボクまで‥‥」
 魂の抜けた表情を浮かべ、丹がブツブツと愚痴をこぼす。
 ふたりとも縄で身体を縛られ、花札の兵士達に囲まれている。
「言い訳をしても無駄よ! 大人しく判決を待ちなさい!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、女王様が素早く鞭を振り下ろす。
「‥‥なんだ、テメエは?」
 殺気に満ちた表情を浮かべ、レニスが女王様をジロリと睨む。
 そのため、花札の兵士達がレニスに槍を突き出した。
「無礼者、そこへ直りなさい!」
「このお方をどなたと心得る」
「天知る」「地知る」「人が知る」
「天下のビューティフラー(捏造語)、みんなの女王様にあらせられますよ!」
 息の合ったローテーションで次々と口を開き、リドリーが最後にキッチリと締める。
「それじゃ、さっき俺が壊した氷細工はコイツの物か!?」
 ハッとした表情を浮かべながら、レニスがようやく自分の置かれた状況を理解した。
「首をちょん切ってしまいなさい!」
 裁判官のクールな判決が下る。
 ‥‥判決は死刑。
 途端に傍聴人達の拍手が響く。
「ちょっと待てや! 俺だって落ちたくて落ちたんじゃねえや。でも、壊しちまったもんはしょうがねえだろうがよ」
 納得のいかない様子で立ち上がり、レニスが裁判官に文句を言う。
 しかし、裁判官はクールな表情を浮かべ、再びレニスに判決を言い渡す。
「死刑!」
 何度も木槌を振り下ろし、裁判官がレニスを睨む。
 傍聴人達も裁判官の判決に異議がないため、いつまで経っても拍手が鳴り止む事はない。
「お、おい! こんなの裁判じゃないだろ!」
 怒りでこめかみをピクつかせ、レニスが傍聴席を睨んで抗議する。
 そこで傍聴人の大半が花札の絵柄と同じである事に気づく。
「‥‥何やら困っているようだな」
 茂みの中からヒョッコリと顔を出し、ジンギが溜息混じりに呟いた。
「頼む、助けてくれ!」
 青ざめた表情を浮かべながら、レニスが必死になってジンギに頼む。
「それじゃ、おまえを助けてやる。その代わり、女王を倒してくれ」
 交換条件を出した後、ジンギが魔法を使って縄を解く。
 それと同時に女王様を睨みつけ、ジンギがレニスの肩を掴む。
「やい、女王! おまえの横暴さにはもううんざりだ! この男がおまえを倒すってさ。覚悟しな!」
 女王様にキッパリと言い放ち、ジンギが脱兎の如く逃げ出した。
「‥‥って、オイ! いきなりかよ! まぁ、いいや。どうせ死刑になる予定だったからな。この俺が一肌脱いでやるぜ! オイ、女王! てめえの悪行もこれまでだ。この俺が引導を渡してやるぜ」
 指の関節を鳴らしながら、レニスが女王様の逃げ道を塞ぐ。
「アタシを倒す? アタシはアナタなのよ?」
 次の瞬間、女王様の姿がレニスに変化した。
「のわあ! お、俺がいる!? しかもボンテージ姿じゃねえか!」
 あまりのショックに血反吐を吐き、レニスがガックリと膝をつく。
 自分と同じ姿をしているせいか、心に受けたショックもデカイ。
「さっきまでの威勢はどうしたの?」
 勝ち誇った様子で笑みを浮かべ、女王様がジリジリとレニスに迫っていく。
「や、やめろ! こっちに来るんじゃねえ!」
 大粒の涙を浮かべながら、レニスが嫌々と首を横に振る。
 ‥‥あり得ない。
 絶対にあり得ない!
 と心の中で叫びつつ、レニスは意識を失った。

「アニキ〜死んじゃイヤ〜! アニキが死んだらアキも死ぬわ〜!」
 気がつくとレニスはマンホールの穴の底で、アキから人工呼吸を受けていた。
 悪夢の原因はこれだったのかと思いつつ、とりあえずアキを殴っておく。
「俺は一体‥‥」
 まわりにいた手下達と顔を見合わせ、レニスがボソリと呟いた。
 随分とリアルな夢を見ていたような気がする。
 不意に下腹部に激痛を感じ、レニスが痛みの原因を確認した。
「夢じゃ‥‥、なかったのか!?」
 氷細工の欠片を見つめ、レニスがダラリと汗を流す。
 ひょっとするとアキのおかげで助かったのかも知れない。
 そう思わなければ唇を奪われたショックで、立ち直る事が出来なくなってしまう。
 流し目を送るアキから視線を逸らし、何度も自分自身に言い聞かせる。
 それが新たな世界へと誘うキッカケになるとは夢にも思わずに‥‥。