宇宙トラック野郎南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
ゆうきつかさ
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
9.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
12/30〜01/03
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●本文
【物語】
男気溢れる箱絵と、七色のイルミネーションが特徴のデコレーショントラック(通称:デコトラ)に乗った漢達のドラマです。
ただし、舞台は近未来。
火星から地球を行き来する宇宙トラックに乗ったオトコの名は……!
【シーン説明】
・シーン1 酒場
酒場で酒を相棒と酒を飲んでいたジョニーは、そこでライバルに絡まれているヒロインに出会う。
彼女の話では父親の借りた借金を返す事が出来ないため、地球に売られてしまうらしい。
そこでジョニーはトラック勝負を申し出た。
普通の人間なら断っているかも知れないが、ライバルは宇宙トラックの運転に自信がある。
しかも、レースの目的地は地球。
暇つぶしにはもってこいである。
・シーン2 レース開始
そして始まった宇宙トラックレース。
ジョニーも地球に下ろす積荷があるため、途中でリタイアする事は出来ない。
サポートにはお互いの相棒。
仲間達の協力もあり、レースはジョニーの勝利に見えたが……。
そこでスペースパトカー登場。
・シーン3 スペースパトカー
次々とリタイアしていく仲間達。
そして最後に残ったには、ジョニーとライバルの宇宙トラックのみ。
捨て身の攻撃を仕掛けるライバル。
それでもジョニーはライバルを追い越し、地球にゴールするのであった。
【募集キャスト】
・ジョニー
伝説の宇宙トラック乗り。
義理人情に厚いオトコ。
・ジョナサン
ジョニーの相棒。
子沢山。
・ヒロイン
悲劇のヒロイン。
ワケアリ。
・ジョニーの仲間
ジョニーの飲み友達。
無線で色々とアドバイスをする。
・ライバルA
ジョニーのライバル。
トラックの腕は宇宙一。
・ライバルB
ライバルAの相棒。
彼の良きパートナー。
・ポリスA
スペースパトカーに乗って、宇宙トラック野郎を追っている。
また宇宙トラック野郎を目の仇にしているらしい。
・ポリスB
ポリスAの命令に忠実。
今年が厄年。
●リプレイ本文
●キャスト
ジョニー(伝説のトラック乗り)役:ヴァールハイト・S(fa3308)
ジョナサン(ジョニーの相棒)役:守山脩太郎(fa2552)
エミリー(不運なヒロイン)役:佳奈歌・ソーヴィニオン(fa2378)
サード・スター(ジョニーの仲間)役:コーネリアス・O(fa3776)
ジョン(ライバルA)役:朝守 黎夜(fa0867)
フェルマー(ライバルB)役:羽生丹(fa5196)
シマツリ(ポリスA)役:志祭 迅(fa4079)
コタツ(ポリスB)役:琥竜(fa2850)
●シーン1 酒場
「‥‥嬢ちゃんには悪いが、借りた金を返せないんだから、仕方ねえだろ?」
不機嫌な表情を浮かべながら、ジョンがエミリーの胸倉を掴む。
彼の左手には借用書が握られており、既に返済期限が過ぎている。
「そ、そんな‥‥。いくらなんでも酷過ぎます!」
納得のいかない表情を浮かべ、エミリーがダラリと汗を流す。
エミリーは両親の残した借金を返すため、朝から晩まで休まず仕事をしていたのだが、膨大な利子が膨らみ返済する事が不可能になった。
「‥‥酷過ぎるのは、どっちだか。こっちは返済期限まで待っていたんだぜ」
含みのある笑みを浮かべながら、フェルマーがエミリーをジロリと睨む。
フェルマー達は、この辺りでも札付きのワル。
エミリーの両親も彼らに騙されて多額の借金を負わされた。
「オイオイ、ジョンよ。金と力づくで女の子くどくなんざ、ずいぶんと落ちぶれたもんじゃねえか?」
ジョンの腕をガシィッと掴み、ジョニーが呆れた様子で溜息をつく。
「人聞きの悪ぃ事言うなよ、これはちゃんとしたビジネスだぜ。ビジネス。文句を言うなら、借金こさえた、この嬢ちゃんの親に言ってやれ」
不機嫌な表情を浮かべながら、ジョンがエミリーを突き飛ばす。
その拍子にエミリーが床に倒れ、ジョニーがすぐさま駆け寄った。
「お、おい! 面倒ごとはカンベンだぜ。俺には妻と子供がいるんだぞ」
険悪なムードが漂ってきたため、ジョナサンがジョニーの説得をし始める。
しかし、ジョニーは聞く耳を持たず、睨みを利かせてジョンの胸倉を掴む。
「けっ、なにがビジネスだよ。そんならレースでカタつけようぜ。俺が勝ったら、お嬢ちゃんの借金はチャラだ。それで文句はねえだろ。それとも俺に勝つ自信がねえのか?」
このままではエミリーが借金のカタに売られてしまうため、ジョニーがレース勝負を挑んで借金をチャラにしようとする。
「なんだと‥‥!? よしっ、受けてやろうじゃねぇか! ‥‥ジョニー。今言いやがった事、忘れんなよ!」
殺気に満ちた表情を浮かべ、ジョンがジョニーの胸倉を掴む。
このままブン殴る事も出来るのだが、それはジョニーが負けた後でも遅くない。
「ほ、本気か‥‥?」
やれやれといった表情を浮かべ、ジョナサンが疲れた様子で溜息を漏らす。
面倒ごとに巻き込まれるのはいつもの事なので、既にジョニーの説得を諦めている。
「本気も何も、それしか方法ないだろ。‥‥この状況じゃ」
気まずい様子でトラックのキーを掴み、ジョニーがエミリーと一緒に酒場を出た。
どちらにしても、ここで後戻りする事は出来ない。
●シーン2 レース開始
『それじゃ、コースの説明をしておくか。俺達のいる火星から、水星、太陽を通って、金星、月、地球の順番だ』
トラックに積まれたナビゲーションシステムを作動させ、ジョニーがコースのデータをジョンに送信した。
惑星の配列は10年前に起こった大戦によって変化しており、コースの途中には小さなブラックホールが出来ている。
『こりゃあ、ありがてぇ。‥‥まさか俺を陥れるための罠じゃないだろうな?」
ジョニーからデータを受け取り、ジョンがボソリと呟いた。
そのため、フェルマーがコンピュータを操り、ジョニーから送られてきたデータが本物なのか確かめる。
『どうやら本物のようだぜ、相棒。こりゃ、いい土産が出来たな』
含みのある笑みを浮かべながら、フェルマーがコンピュータのデータを更新した。
ブラックホールに関する位置情報は不確かなものが多いため、地球に行って売れば金には困らない。
『正気か、ジョニー!? これを作るのにどれだけ苦労したのか分かっているだろ?』
唖然とした表情を浮かべ、ジョナサンがジョニーに対してツッコミを入れた。
『ああ、途中で事故られても困るしな。アイツのトラックにはエミリーが乗っているんだぜ』
エミリーが人質に捕らわれているため、ジョニーがさらりと答えを返す。
彼女の安全を考えれば、これが最良の手段と言える。
『それじゃ、レース開始だ!』
次の瞬間、ジョンのトラックが唸りをあげ、大戦後に出来た小惑星群を抜けていく。
「‥‥あれか」
スペースパトカーに乗って小惑星群の中に隠れ、シマツリがジョニーのスピードを測定した。
『測定不能』
スピード違反をしている上に改造車だ。
「今度こそ捕まえてやるぜ!」
シマツリの合図でサイレンを鳴らし、コタツがジョニー達を追いかけていく。
『貴様らー! 宇宙交通法違反で逮捕だー!!』
拡声器を使って大声をあげ、シマツリがジョニーを追いかける。
しかし、ジョニーのトラックは改造されているため、なかなか追いつく事が出来ないようだ。
「あ、あの‥‥、スペースポリスの皆さんが何か言ってますよ」
青ざめた表情を浮かべながら、エミリーがジョニーにしがみつく。
脳裏に過ぎるのは、犯罪者の烙印。
せっかく幸せになれると思ったのに、これでは地獄に真っ逆さまだ。
『またかよ‥‥勘弁してくれよ‥‥』
ブツブツと愚痴をこぼしながら、ジョナサンが水星を越えていく。
『捕まらなきゃいいんだろ? 捕まらなきゃ!』
モニターを操作して加速装置を作動させ、ジョニーが爆音を立ててスピードを上げる。
たった十秒しか持たないが、それでも既に太陽だ。
「‥‥あれが伝説の『カミカゼ』か」
信じられない様子でジョニーのトラックを見つめ、フェルマーが驚いた様子で目を丸くする。
伝説のエンジン『カミカゼ』。
10年前の大戦で開発され、行方不明になっていたエンジン。
『よぉ、ジョナサン。相変わらず巻き込まれているな』
コンピュータ等の機材でごった返した部屋から、サード・スターがジョニーに対してメッセージを送る。
『いいから早く助けやがれ!! こっちは家族がいるんだぞ!』
車内に貼られた家族の写真に目をやり、ジョナサンがサード・スターにメッセージを返す。
いつの間にかジョナサン達を追うパトカーが増えているため、ここままでは確実に捕まってしまう。
『ジョナサン、落ち着け。‥‥つっても無理だわな。速度監視衛星の視野を避けるためのデータを送っておく。それと太陽は避けていけ! あっという間に消し炭だぞ』
コンピュータを操作してデータを送り、サード・スターが口を開く。
サラマンダー現象によって太陽の温度は上がっており、近づけばトラックが溶けてしまうかも知れない。
しかし、そのルートを通らなければ、ジョンに勝つ事が出来ないのも事実である。
『だったらサラマンダーが火を噴く前に突っ切るだけだ。よっしゃ、ここは一丁ぶっ飛ばすぜ!』
そう言ってジョニーがカミカゼシステムを作動させ、太陽の横を一気に突っ切っていくのであった。
●シーン3 スペースパトカー
「こんな場所で加速装置だと!? フザけているのか?」
信じられない様子でジョニーのトラックを睨みつけ、コタツが一気にスピードを上げていく。
太陽はサラマンダー現象の影響で高温化しており、近づく物を紅蓮の炎に包んでいる。
『ジョニー! エンジンが臨界ギリギリだ!』
スロットルを握り締め、ジョナサンがダラリと汗を流す。
荷台には地球行きの荷物が積まれているため、ここでクラッシュするわけには行かない。
『ここが意地の見せ所だぜ』
大戦で破壊された宇宙船の漂う金星を駆け抜け、ジョニーがスロットルを握り締める。
‥‥ジョンとの勝負は五分と五分。
先に気を抜いた方が負けである。
『だーもう、勝手にしろ! 骨は拾えんぞ!』
物凄い速さでキーボードを操作し、サード・スターが愚痴をこぼす。
ジョニー達が事故を起こす前にルートを示さねばならないため、半ばパニックに陥っているようだ。
『‥‥なるほど。そういう事か。こっちも負けられないんだよ!』
徐々にスピードを上げてきたため、ジョンが体当たりを仕掛けていく。
それと同時にテールランプが派手に吹っ飛び、破片がキラキラと宇宙に漂った。
「クッ‥‥、前が見えねえ!」
大量の破片が降り注いだせいで前が見えず、コタツの乗ったスペースパトカーがクラッシュする。
『こ、ここまでか。次こそは‥‥、次こそは貴様を捕まえるからな! ジョニー!』
宇宙に放り出されたコタツを救出し、シマツリが悔しそうにトラックを睨む。
その間にジョニー達のトラックは月を越えて、最後のスパートをかける。
『危険だ、ジョン! それ以上、スピードを上げたら、エンジンが吹っ飛ぶぞ』
真っ赤なランプが点滅したため、フェルマーがハッとした表情を浮かべて叫ぶ。
次の瞬間、ジョンのトラックが吹っ飛び、大気圏の中で炎に包まれ溶けていく。
『‥‥お前らしい最後だったぜ。‥‥じゃあな』
何処か寂しげな表情を浮かべ、ジョニーが地球に降り立った。
流れ星となったライバルを見つめ‥‥。