聖剣グランカイザー南北アメリカ

種類 ショート
担当 ゆうきつかさ
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 普通
報酬 9.4万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/31〜01/04

●本文

【物語】
 バラバラに飛び散った魔王の肉体を完全に消滅させるため旅に出た勇者の物語です。

【シーン説明】
・シーン1 魔王
 魔王と戦う勇者達。
 仲間達は次々と倒れ、勇者も疲れ果てている。
 そして、魔王にトドメをさそうとした瞬間、王女を人質に取られて倒し損ねてしまう。

・シーン2 魔王の身体
 バラバラに飛び散った魔王の身体を探して旅する勇者達。
 魔王の身体を取り込み怪物と化した存在と戦っている途中で、副官達の邪魔が入り戦闘に‥‥。
 何とか副官にトドメをさしたが、そこで魔王の邪魔が入る。

・シーン3 ライバル
 魔王の心臓を取り込み、王女の肉体がみるみるうちに変化する。
 しかし、そこでライバルの邪魔が入り、ソウルイーターを使って魔王の肉体を取り込んでしまう。
 ようやく王女を手に入れる事が出来たライバルは満足するが、そこで魔王の肉体が暴走。
 勇者は捨て身の覚悟でライバル共々魔王を封印する事に‥‥。

【募集キャスト】
・勇者
 ダンテの山に突き刺さっていた聖剣グランカイザーを引き抜き、勇者として認められた者。
 魔王を倒し損ねたせいで、非難の的に‥‥。
 今までの旅で魔王の左腕と下半身を破壊する事に成功した。

・魔法使い
 勇者と共に旅をしている天才魔法使い。
 少しキザ。

・僧侶
 勇者と共に旅をしている僧侶。
 上位の回復魔法を習得している。

・魔王
 伝説の勇者によって封印され、今までデスバレーに封印されていた存在。
 勇者の末裔である王族に恨みを持っており、王女を生贄にして完全復活を目論んでいたが、勇者に阻止され身体をバラバラにされてしまう。

・王女(魔王の心)
 勇者に倒される寸前で王女の体に乗り移り、難を逃れた魔王の心。
 バラバラになった肉体を求めて、世界を旅している。
 ようやく翼を取り戻す事が出来たのだが‥‥。

・ライバル(魔王の右腕)
 王女の元婚約者。
 魔王によって王女が連れ去られてしまったため、婚約が破棄され勇者に恨みを持っている。
 現在は魔王の右腕を取り込み、魔剣ソウルイーターを扱う事が出来るようになっているのだが‥‥。
 時折、右腕が疼くため、勇者を倒し損ねている。

・副官(魔王の心臓)
 魔王の心臓を取り込み、不老不死になっている。
 魔王を裏切ってバラバラになった肉体を探していたのだが‥‥。

・怪物(魔王の身体)
 偶然、魔王の身体を取り込み、凶暴化した存在。
 勇者に遭遇した時には理性を失いかけている。

●今回の参加者

 fa0204 天音(24歳・♀・鷹)
 fa0892 河辺野・一(20歳・♂・猿)
 fa2573 結城ハニー(16歳・♀・虎)
 fa2903 鬼道 幻妖斎(28歳・♂・亀)
 fa3623 蒼流 凪(19歳・♀・蝙蝠)
 fa4550 リリン(18歳・♀・豹)
 fa4555 シトリー・幽華(29歳・♀・豹)
 fa4584 ノエル・ロシナン(14歳・♂・狸)

●リプレイ本文

●キャスト
 ノエル(勇者)役:ノエル・ロシナン(fa4584)
 イグニス・ストーム(魔法使い)役:河辺野・一(fa0892)
 リリス(僧侶)役:リリン(fa4550)
 ドン・デ・ラマンチャ(魔王)役:蒼流 凪(fa3623)
 フリージア(王女)役:天音(fa0204)
 ギャブレー(ライバル:魔王の右腕)役:結城ハニー(fa2573)
 シトリー(副官:魔王の心臓)役:シトリー・幽華(fa4555)
 カイザン(怪物:魔王の身体)役:鬼道 幻妖斎(fa2903)

●シーン1 魔王
「ふふふっ‥‥、もうお終いですか? 随分と呆気ないのですね」
 含みのある笑みを浮かべながら、魔王ドン・デ・ラマンチャが床に降り立った。
 ‥‥決戦の場所はデスバレーにある古城。
 魔王はこの場所で伝説の勇者と戦い、今まで封印されていた。
 そのため、封印が解かれた後、勇者の末裔である王族に恨み、王女を生贄にして完全復活を目論んでいた‥‥。
 しかし、その野望もダンテの山に突き刺さっていた聖剣グランカイザーを引き抜いた勇者によって阻止されそうになっている。
「‥‥冗談は顔だけにしてくれるか。この程度の事で爆炎の魔術師イグニスが倒れるわけがないだろ」
 険しい表情を浮かべて右肩を押さえ、イグニスがジロリと魔王を睨む。
 魔王は幻影などの精神攻撃を得意としているため、イグニス達は予想以上に苦戦を強いられていた。
「惑わされないでください。これはすべて幻です。聖なる祈りよ、我に力を」
 青ざめた表情を浮かべながら、リリスが癒しの魔法を使う。
 しかし、魔王の力が強過ぎるため、魔法が発動したのと同時に大量の血が噴き出した。
「人間の意志に限界はない! 我が剣は神の裁き! 我が盾は神の加護!」
 自分自身に言い聞かせるようにしながら、ノエルが一歩一歩踏みしめるようにして魔王に近づいていく。
 それに合わせて魔王が指をパチンと鳴らし、幻影の刃物でノエルの身体を切り刻む。
「まさか、ここまで力をつけていたとは‥‥、ぐはっ!」
 凄まじい激痛が全身を襲い、イグニスが血反吐を吐いて膝をつく。
 精神に負荷が掛かったせいか、現実と幻の区別がつかない。
「ここで‥‥、負けるわけには、いかないのです‥‥」
 虚ろな表情を浮かべながら、リリスが回復魔法を唱えようとする。
 しかし、魔王の幻影が発動し、リリスの身体がドロドロに溶けていく。
「まさか‥‥、これを使う事になるとはな。‥‥受けて見よ、グランカイザーを触媒にして、ようやく発動する我が剣技最大の奥義! ルミネス・スパイラル」
 雄叫びを上げて聖剣に力を込め、ノエルが魔王に向かって斬りかかる。
「ぐあああああ! ば、馬鹿な! 私の身体が溶けていく‥‥」
 次の瞬間、魔王の肉体が崩壊を始め、断末魔の悲鳴が辺りに響く。
「ノエル!」
 魔王の呪縛から解放され、フリージアがノエルの名前を呼ぶ。
「ご無事でしたか、王女様」
 ホッとした表情を浮かべ、ノエルが両手を開いてニコリと笑う。
 それと同時にフリージアの身体に魔王が取り憑き、純白のドレスを漆黒に染めて一体化した。
 そして、激しい爆発音と共に、古城が音を立てて崩れていく。
「しまった! 罠か!」
 ノエルが覚えているのは、そこまでだった。
 気がつくとノエルは崩壊した古城の中で倒れており、魔王と一体化したフリージアは姿を消していた‥‥。

●シーン2 魔王の身体
 それから本当の意味で勇者の旅が始まった。
 この数ヶ月間のうちに破壊した肉体は、魔王の左腕と下半身。
 ‥‥未だに王女の消息は掴めない。
「ここに‥‥魔王の肉体が‥‥」
 廃墟と化した村を見つめ、ノエルがゆっくりと辺りを見回した。
 ‥‥事件があったのは数日前。
 この村に住んでいた美食家が魔王の肉体に取り込まれ、一夜にして村人達を食い尽くした。
「‥‥美味い‥‥美味い‥‥美味い‥‥」
 次々と瓦礫を口の中に放り込み、カイザンが幸せそうに溜息を漏らす。
 魔法の肉体を取り込んだ事でカイザンの肉体は変化し、まるで巨大なスライムのような姿になっている。
「どうやらアレのようですね」
 険しい表情を浮かべながら、リリスがシールドの魔法を展開した。
 それと同時にカイザンがリリスに気づき、大きく口を上げて飛び掛っていく。
「ば、化け物め!」
 カイザンめがけて火球を放ち、イグニスがリリスを抱きかかえて横に飛ぶ。
 次の瞬間、カイザンの肉体が吹っ飛び、シトリーがリリス達の前に現れた。
「ふっ‥‥、誰かと思えばおまえらか。邪魔をしないでもらえるかな?」
 含みのある笑みを浮かべながら、シトリーが呪文を唱えていく。
「させるか!」
 それに合わせてイグニスが最大級の火球を放ち、シトリーの身体を炎に包む。
 しかし、シトリーは炎の中で高笑いをあげ、負のエネルギー放ってカイザンの息の根を止める。
「ははははは、愚かなヤツめ。その程度の火球、痛くも痒くもない」
 紅蓮の炎に包まれたままイグニス達を睨みつけ、シトリーがカイザンを取り込もうとした。
「‥‥あいつ。魔王の心臓を取り込んでいたのか」
 透視眼を使って魔王の心臓を見つめ、イグニスがチィッと舌打ちする。
 魔王の心臓を取り込んだ事でシトリーは不老不死になっており、いかなる攻撃も受け付けないようになっていた。
「ふたりとも頼む。結界で封印して、その中に超弩級の攻撃魔法を炸裂させるんだ!」
 すぐさま仲間達に合図を送り、ノエルが聖剣を抜いてシトリーを睨む。
 それとどうじリリスが結界魔法を発動させ、イグニスが超弩級の火球を炸裂させる。
 それでもシトリーは攻撃を仕掛けようとしていたが、ノエルの放った一撃によって魔王の心臓が切り離され、あっという間に肉体が崩壊し始めた。
「最初から、私の心臓を‥‥。ぐわあああ!」
 ‥‥断末魔の悲鳴をあげ、シトリーの肉体が崩壊する。
 そこでノエルは大事な事に気づく。
 いつの間にか、魔王の肉体が無くなっていた事を‥‥。
「‥‥感謝するわ。裏切り者を始末してくれて‥‥」
 漆黒の翼を大きく広げて魔王の肉体を取り込み、フリージアが氷のように冷たい表情を浮かべてシトリーを睨む。
 次の瞬間、シトリーの身体が炎に包まれ、一瞬にして消し炭と化した。
 まるで最初から何もなかったように‥‥。

●シーン3 ライバル
「これが魔王の力‥‥、感じるわ。凄まじいパワーを!」
 恍惚とした表情を浮かべながら、フリージアが魔王とひとつになる。
 それと同時に彼女の肉体に変化が現れ、みるみるうちに邪悪な姿に変わっていく。
「‥‥フリージア」
 何処か悲しげな表情を浮かべながら、ギャブレーが物陰から現れ彼女の身体に魔剣ソウルイーターを突き刺した。
「う、嘘!? きゃああああ!」
 フリージアの悲鳴と共に魔王の肉体が魔剣の中に取り込まれ、彼女の着ていた服がポトリと落ちる。
「お前は‥‥ギャブレーなのか?」
 信じられない様子でギャブレーを見つめ、ノエルがダラリと汗を流す。
 なんとギャブレーの身体は魔剣の呪いによって女性になっていた。
「イヤらしい目で私を見るな! お前も所詮は外道か!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、ギャブレーが恥ずかしそうに胸元を隠す。
 ギャブレーはフリージアと婚約をしていたが、魔王の出現と共に婚約を破棄され、ノエルに対して今でも恨みを持っている。
 そのため、彼は勇者に復讐するため魔王の右腕を取り込み、魔剣ソウルイーターを手に入れた‥‥。
「何故だ! 何故、フリージアを!」
 納得のいかない様子でキャブレーを睨みつけ、ノエルが聖剣をギュッと握り締める。
「‥‥勘違いするな。例えこの身がオンナになろうとも、フリージアに対する想いは変わらない。俺達はたった今、ひとつになったのだ」
 雄叫びを上げて魔剣の力を解放し、ギャブレーが姿を変えていく。
 魔王の肉体を完璧に再生する事は出来なかったが、それでも多くの力を取り込んでいるため、以前の時と比べて力をつけている。
「しょ、正気なのか!」
 唖然とした表情を浮かべながら、ノエルが警戒した様子でギャブレーを睨む。
 ギャブレーはフリージアと完全に一体化し、満足した様子で笑みを浮かべる。
 が、しかし‥‥。
「ば、馬鹿な!? こ、これは一体‥‥」
 魔剣が音を立てて砕け散り、ギャブレーの肉体が暴走した。
「こ、このままじゃ、マズイぞ!」
 青ざめた表情を浮かべながら、イグニスが呪文を唱えて火球を放つ。
 しかし、暴走したギャブレーの肉体を傷つける事は出来ず、イグニスの火球すら取り込んで大きくなる。
「‥‥早く封印を!」
 すぐさまリリスが結界を張り、ギャブレーの動きを封じ込める。
 チャンスはたったの一度きり。
 ここで失敗すれば、魔王は完全に復活してしまう。
「許してくれ‥‥とは言わない。君との切磋琢磨は楽しかったよ──グランカイザーよ! 大地に魔王を封印せよ!」
 親友だったギャブレーに別れを告げ、ノエルが聖剣を突き立てた。
「ぎゃああああああ!」
 それと同時にギャブレーの肉体が光に包まれ、魔王の肉体が聖剣の中に封印される。
『こ、これで勝ったと思うなよ。人間の欲望がある限り、私は何度でも復活するのだから‥‥』
 断末魔の叫びを上げ、魔王の意識が消えていく。
 こうして世界に平和が戻り、勇者達の名前は永遠に語り継がれるのであった‥‥。