Surveillant南北アメリカ

種類 ショート
担当 ゆうきつかさ
芸能 4Lv以上
獣人 4Lv以上
難度 やや難
報酬 20.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 01/04〜01/08

●本文

【物語】
 ゲートを通じて現世へとやって来た妖魔を狩る者達の話です。

【シーン説明】
・シーン1 監視者
 満月の夜、街外れの教会で儀式を行う契約者。
 生贄の肉体を借りて現世に現れる妖魔。
 それを目撃して逃げる少女。
 間一髪の所で監視者に命を助けられる。

・シーン2 はぐれ妖魔
 バウンティーハンターが、はぐれ妖魔と戦っている。
 しかし、はぐれ妖魔の力は強く、瀕死の重傷を負うふたり。
 危険を覚悟で実験途中だった装置をバウンティーハンターが発動。
 そのまま、はぐれ妖魔を取り込んでしまう。

・シーン3 魔人
 はぐれ妖魔の力を得て、暴走するバウンティーハンター。
 教会から逃げてきた少女が、変わり果てたバウンティーハンターを目撃し、再び悲鳴を上げて逃げていく。
 そこで監視者達が登場。
 魔人と化したバウンティーハンターを倒す事に……。
 そして最後は少女の記憶が消されて終わる。

【キャスト】
・監視者
 永遠の命を得る代わりに監視者としての役目を負わされている。
 本体は剣。
 剣が破壊されない限り、どんな状況になっても復活する事が出来る。

・守護者
 監視者を守るため役目を負っている。
 普段は傀儡として、鞄の中にしまわれているらしい。

・少女
 はぐれ妖魔を目撃し、契約者に命を狙われている。
 監視者に命を助けられるが、最後は記憶を消されてしまう。

・妖魔
 契約者の手によってゲートを通り抜けた存在。
 人間の負の感情を喰らう事によって力をつけていく。

・はぐれ妖魔
 契約者の支配を逃れて、人間を襲っている。
 そのため、かなりの力を持っている。

・契約者
 とある事件がキッカケで妖魔に魅入られた人間。
 連続猟奇殺人鬼として現在、指名手配中。

・バウンティーハンターA
 妖魔を狩る事を生業にしている人間。
 監視者に対して恨みを持っている。

・バウンティーハンターB
 妖魔の死体(角や牙)を使って武器を作っている。
 バウンティーハンターAのサポート役。

●今回の参加者

 fa0867 朝守 黎夜(22歳・♂・獅子)
 fa1077 桐沢カナ(18歳・♀・狐)
 fa2121 壬 タクト(24歳・♂・兎)
 fa3308 ヴァールハイト・S(27歳・♂・竜)
 fa3776 コーネリアス・O(32歳・♂・猿)
 fa4079 志祭 迅(26歳・♂・鴉)
 fa4455 夜野星冶(23歳・♂・猫)
 fa5196 羽生丹(17歳・♂・一角獣)

●リプレイ本文

●キャスト
 監視者役:コーネリアス・O(fa3776)
 守護者役:夜野星冶(fa4455)
 シスター(少女)役:桐沢カナ(fa1077)
 妖魔役:朝守 黎夜(fa0867)
 はぐれ妖魔役:ヴァールハイト・S(fa3308)
 契約者役:志祭 迅(fa4079)
 アズライト(バウンティーハンターA)役:壬 タクト(fa2121)
 アクセル(バウンティーハンターB)役:夜野星冶(fa4455)

●シーン1 監視者
 ‥‥満月の夜。
 街外れの教会で祭壇に横たわった美女を生贄にして、契約者が異界から妖魔を呼び出していた。
 契約者は猟奇殺人鬼として現在、指名手配中。
 既に人としての名前を捨て、契約者として生きている。
「‥‥主よ、この女を汝に捧げる! だから、俺にもっと力をくれ!」
 血走った目で美女の胸にナイフを突き刺し、契約者が呪文を唱えて妖魔を呼び寄せた。
「クックックッ‥‥、力が欲しいのか。ならば望みを叶えてやろう」
 美女の肉体を借り、現世に現れる妖魔。
 女の身体が気に入ったのか、満足そうな表情を浮かべている。
「誰か‥‥いるのですか?」
 人気のないはずの教会から声がしたため、シスターが扉の隙間から祭壇を覗く。
 そこにいたのは返り血で汚れたボロボロの服を着た契約者と妖魔の姿。
 ‥‥シスターは思わず悲鳴を上げた。
「見たな‥‥! おまえも生贄にしてやる!」
 殺気に満ちた表情を浮かべ、契約者がナイフを振り上げる。
 それと同時にシスターが踵を返し、妖魔に行く手を阻まれた。
「‥‥助けて、神様‥‥」
 ロザリオをギュッと握り締め、シスターが祈りの言葉を何度も呟く。
「神‥‥か」
 次の瞬間、監視者が満月をバックに登場し、シスターの前に着地した。
 監視者はボディスーツのような着衣の上にロングコードを纏っており、右手には長剣、左手にはトランクのような鞄を下げている。
「‥‥走れ」
 戸惑うシスターに目もくれず、監視者がトランクの蓋を開けて傀儡を放つ。
 そのため、シスターは『神様』と呟き、ペコリと頭を下げて逃げ出した。
「邪魔だ、退け」
 不機嫌な表情を浮かべ、妖魔がジロリと守護者を睨む。
 守護者は黒いローブに身を包んだ青年のマリオネットで、フードを目深に被っている口元しか見えない。
「此処を見られたからには仕方が無い。皆殺しだ!」
 狂ったような笑い声を響かせながら、契約者が滅茶苦茶にナイフを振り回す。
 それと同時に監視者が契約者の背後にまわり、守護者が妖魔に体当たりを喰らわせた。
「永遠に‥‥眠れ‥‥」
 妖魔ごと契約者の身体を貫き、監視者がボソリと呟いて剣を抜く。
 それと同時に妖魔の姿が消滅し、契約者が血反吐を吐いて倒れ込む。
「‥‥ちくしょう」
 そして、契約者は断末魔の叫びを上げて絶命した。

●シーン2 はぐれ妖魔
「チッ‥‥、もう後がねぇな‥‥」
 険しい表情を浮かべながら、アズライトが膝をつく。
 アズライトはバウンティーハンターとして、はぐれ妖魔を狩っていたのだが、予想以上の大物と遭遇し瀕死の重傷を負っている。
「フフフフフ‥‥、ドウシタ? モウ終リナノカ?」
 アクセルの頭を掴んだまま、はぐれ妖魔がニヤリと笑う。
 はぐれ妖魔は契約者の支配から逃れた存在で、ほとんどの場合は力が強過ぎるため、契約者の束縛から逃れて自由の身になっている。
 そのため、元契約者からはぐれ妖魔の処分を依頼される事もあった。
「ふ、ふざけるな!」
 対はぐれ妖魔用に強化された銃を抜き、アズライトが引き金を引く。
 しかし、銃口から放たれた弾丸は、はぐれ妖魔の胸板に弾かれ、アスファルトの地面にポトリと落ちた。
「サッキモ言ッタダロ。ソンナ玩具で俺ハ倒セン」
 邪悪な笑みを浮かべながら、はぐれ妖魔がアクセルを投げ捨てる。
 それと同時にアズライトが銃を投げ捨て、はぐれ妖魔めがけてハルバードを振り下ろす。
「フフフ‥‥、バカメ! ソンナモノガ通ジルト思ウカ」
 まるで飴細工のようにしてハルバードをへし曲げ、はぐれ妖魔が勝ち誇った様子で高笑いを響かせた。
「クッ‥‥」
 既にアズライト達には打つ手がないため、ふたりとも焦りの色が見えている。
「オイ‥‥、アレを使うぞ」
 覚悟を決めた様子でアクセルに声を掛け、アズライトがはぐれ妖魔に攻撃を仕掛けて時間を稼ぐ。
「しょ、正気ですか!? あれは実験段階にあるモノですよ?」
 信じられない様子でアズライトを見つめ、アクセルがダラリと汗を流す。
 アズライトの言っている装置は時空を操るもので、強制的に妖魔を元の世界に帰す事が出来るのだが、実際に使用した事が無いため何が起こるか分からない。
「‥‥わかっている。未完成のアレを使ったら、どうなるかわかんねぇ‥‥。だが‥‥、どっちにしろ、このままじゃ死ぬんだ。やるしかねぇだろ?」
 はぐれ妖魔の攻撃を食らって朦朧とする意識の中、アズライトがフラつきながらも答えを返す。
 そのため、はぐれ妖魔は翼を広げて飛び上がり、トドメをさすため急降下をしてアズライトの身体を切り裂いた。
「フフフフフッ‥‥、イイザマダナ。ワガチカラトナレ」
 アズライトの首をガシィッと掴み、はぐれ妖魔がアングリと口を開ける。
 次の瞬間、アズライトが蹴りを放ち、はぐれ妖魔から逃げていく。
「コノオレカラ逃ゲラレルト思ッタノカ」
 アズライトめがけて火球を吐き捨て、はぐれ妖魔が鋭い爪を振り下ろす。
 それと同時にアクセルが装置を作動させ、はぐれ妖魔を異世界に返そうとする。
「グオオオオオオ!!!! イッタイ、コレハ、ドウイウ事ダ?」
 どす黒い血を撒き散らし、はぐれ妖魔が胸を押さえた。
 ‥‥内側から吸い込まれるような感覚。
 その苦しみから逃れるため、はぐれ妖魔がアズライトに噛みつく。
「ぐわあああああ!」
 悲鳴と共に暗黒に包まれる、ふたり。
 重なり合った部分がスライムのように溶けてくっつき、まったく別の姿へと変わっていく。
「こ、これは‥‥、同化しているのか!?」
 唖然とした表情を浮かべ、アクセルがダラリと汗を流す。
 次の瞬間、アクセルの意識は飲み込まれ、アズライト達とひとつになった‥‥。

●シーン3 魔人
「‥‥感じる。感じるぞ! この力‥‥、素晴らしい」
 恍惚とした表情を浮かべ、アズライトが新たに得た力を解放する。
 それと同時にアズライトの背中から漆黒の翼が生え、みるみるうちに邪悪な姿へと変わっていく。
「あ、悪魔!?」
 青ざめた表情を浮かべながら、シスターが慌てた様子で逃げ出した。
 せっかく正体不明の存在から逃れる事が出来たのに、これでは何の意味もないと心の中で思いつつ‥‥。
「く、食わせろ!」
 化け物染みた雄叫びを上げ、アズライトがシスターの後を追う。
 はぐれ妖魔と同化した事で人間らしい感情が失われ、まるで獣のような形相を浮かべながら‥‥。
「‥‥堕ちたか」
 傀儡が出ようとしているトランクを投げつけ、監視者が剣を握り締めてアズライトに斬りかかる。
 それに合わせて守護者が短剣を構え、アズライトの胸を突き刺した。
「オ前ハ‥‥監視者!」
 激しい怒りと共に感情を爆発させ、アズライトがまわりの空間が歪ませる。
 アズライトの両親は、はぐれ妖魔に襲われ、命を落としていた。
 その時、監視者ははぐれ妖魔を退治したが、家族までは助けてくれなかったのだ。
 もちろん、何か意味があったのかも知れない。
 しかし、アズライトには、それを許す事が出来なかった。
「ウォォォォォォォォォォ!」
 人間だった頃の感情が完全に失われ、アズライトが本能の赴くまま、折れたハルバードを振り回して、監視者に攻撃を仕掛けていく。
「‥‥」
 そのため、守護者が身を挺し、監視者の身代わりになった。
「邪魔ダ、退ケ!」
 鬱陶しそうに守護者を放り投げ、アズライトが咆哮をあげる。
 それと同時に監視者が攻撃を仕掛け、アズライトと相打ちになった。
「か、神様‥‥!?」
 信じられない様子で監視者を見つめ、シスターがボロボロと涙を流す。
 アズライトに身体を貫かれたせいで、監視者はピクリとも動かず、その場に血溜まりが出来ている。
「ハァハァ‥‥、次ハ‥‥オマエダ‥‥」
 血に飢えた表情を浮かべてシスターを睨みつけ、アズライトがヨダレをダラダラと流す。
 次の瞬間、監視者がムックリと起き上がり、アズライトの首を刎ねる。
「きゃああああ」
 あまりの出来事に悲鳴をあげ、シスターがペタンと尻餅をつく。
 信じられない事ばかりが起こっていたため、意識を失ってパタリと倒れる。
「‥‥大丈夫。すべて夢だ‥‥」
 そう言って監視者が剣の宝石部分を彼女の額に押し当て、妖魔に関する記憶を消すのであった。