廃ビルデスマッチP南北アメリカ
種類 |
ショート
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担当 |
ゆうきつかさ
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
9.4万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/21〜01/25
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●本文
<募集内容>
ルール無用デスマッチに参加してくれる命知らず猛者を募集しています。
<参加資格>
怪我をしても賞金の欲しい方。
<詳しい内容>
優勝賞金10万円を懸けて廃ビルを舞台に戦います。
ルール無用のデスマッチ形式です。
廃ビルは全部で4つのエリアに分かれています。
次のエリアに進むためには、専用のキーが必要になります。
ひとつのエリアで選択する事の出来るキー(○、△、×、□)はひとつだけ。
そして屋上にあるトロフィーを手にした者が優勝です。
<エリア説明>
1階:ワンニャンルーム
可愛らしいわんことにゃんこがお出迎え‥‥というわけにはいきません。
飢えた犬と猫が参加者達に襲い掛かってきます。
しかも動物達を傷つけた場合、動物保護団体からクレームが来て、失格になるとかならないとか。
2階:ジャングルルーム
ライオンや虎が徘徊している部屋です。
仕込かも知れませんが、襲い掛かってくるので注意しておきましょう。
やはり動物達を傷つけた場合、(以下略)。
3階:ポイズンルーム
毒蜘蛛から毒蛇まで危険なペットが沢山放置されている部屋です。
解毒剤は用意されていないため、ギブアップしないと危険です。
屋上:優勝トロフィー
優勝トロフィーが置かれています。
これを手に入れる事によって賞金10万円。
場合によっては何かトラップがあるかも知れません。
●リプレイ本文
●1階:ワンニャンルーム
「どうやらワイズマンは俺との約束を守って廃ビルを開いてくれたようだな。この日が来るのを風呂に入らず、ずっと同じパンツで2週間も待っていたぜ!! 鶸の奴が優勝できたんだ。俺にだってそれくらい出来なきゃおかしいだろ! ‥‥やってやるぜっ!! こうなりゃ、手段は選ばねぇ!」
完全獣化した状態でパンダの覆面を被り、常盤 躑躅(fa2529)が自分自身に気合を入れた。
既に廃ビルのまわりには参加者達が集まっており、試合開始の合図を待っている。
「さすがは自由の国アメリカ、とことん自由だな! 責任が全て自分にかかっているというあたりもとても自由だ! そこに痺れる! 憧れる! いちおう!」
今回の舞台となる廃ビルを眺め、ミーツォ・アムール(fa4508)が感心した様子で溜息を漏らす。
このビルは元々ペットショップであったのだが、社長が夜逃げしたためワイズマンが買い取った。
「知名度でもキャリアでもおいらとは比べものにならないようなダンナ方がお揃いで‥‥。ま、このメンツを食ってこそおいらの名も売れるってもんだ」
参加者達の顔を眺め、鳳雛(fa5055)がニヤリと笑う。
それと同時に入り口の扉が開き、試合開始のゴングが鳴った。
「‥‥行くぞ!」
一番乗りで部屋の中に入っていき、大神 真夜(fa4038)がアクロバティックに軽業を披露する。
次の瞬間、暗闇の中から沢山の犬と猫が現れ、興奮した様子で真夜の身につけている肉付きチョッキに群がっていく。
「わあ、なんて可愛いワンコやニャンコ達なんだろう! 俺のチョッキについている餌が欲しいんだね? ‥‥そうかそうか。しかし! これは俺のもんだー!!」
満面の笑みを浮かべながら、ミーツォがチョッキについた肉を食う。
そのせいでドーベルマン達が興奮し、争うようにしてミーツォに飛びついた。
「痛い! 痛いって! お、おい! 一体、何日メシをやっていないんだ。こらー! そこだけは噛むなぁ〜!」
そしてミーツォの悲鳴が辺りに響く。
『ペット達は餌の量を半分にしているだけで、健康状態などに問題はありません』と嘘くさいテロップが表示されながら‥‥。
「随分と飢えているようだな。だが、俺を倒す事が出来るかな?」
険しい表情を浮かべながら、平山・粋(fa4530)が動物達に睨みを利かす。
そのため、動物達は飛び掛かる事が出来ず、悔しそうに唸り声を上げている。
「‥‥なるほど。ヤバイ相手には手を出さないのか」
すえた臭いを漂わせ、躑躅が光学迷彩を使って姿を消す。
そのせいで動物達が驚き、自然と道を開けていく。
「面白い事を考えたな。だが、わしもここで負けるわけには行かないのじゃ」
含みのある笑みを浮かべながら、鬼王丸・征國(fa0750)が真空パックの中からジャーキーを取り出し、自分の進行方向から少しずれた場所に撒き始める。
「‥‥悪いな。先に行かせてもらう」
その隙に朱凰 夜魅子(fa2609)が完全獣化した状態で鋭敏視覚を発動させ、動物達に気づかれる前に2階へと続く扉を目指す。
「ふふっ‥‥、油断したわね。あなたの敵は他にもいるのよ!」
それと同時にベアトリーチェ(fa0167)が完全獣化した上で霊包神衣を発動させ、動物達の集まっている場所に夜魅子を投げる。
「ひ、卑怯だぞ! うわあああ!」
油断していたせいで派手に尻餅をつき、夜魅子が次々と動物達に襲われて悲鳴を上げた。
「戦いとは時に非情なものだな」
クールな表情を浮かべながら、粋がポケットに手を突っ込んだ。
しかし、あるはずの鍵がない。
何処かに落としてしまったのだ。
「‥‥残念だったな。鍵がなければ脱落だ」
×のキーを鍵穴に差し込み、真夜が怪しくニヤリと笑う。
次の瞬間、足元の床がパカッと開き、真夜が吸い込まれるようにして穴の中に落ちていく。
「どうやら正解は△のキーだったようだね。それじゃ、先に行かせてもらうよ」
そう言って鳳雛が△のキーを鍵穴に差し込み、2階へと続く階段を上っていった。
●2階:ジャングルルーム
「ぐへへへへっ‥‥、さすがの猛獣も俺の臭さには敵わないようだな。おい、お前ら! ‥‥遠慮しなくていいんだぜ。遠慮せずに掛かって来いよ!」
勝ち誇った様子で胸を張り、躑躅がズンズンと進んでいく。
まわりにはライオンや虎などの猛獣が集まっているのだが、躑躅の身体から放たれるすえた臭いですっかり食欲を無くしている。
「うわっ‥‥、物凄い臭いだな。これじゃ、さすがの猛獣も形無しか。とにかく何とかしないとなぁ‥‥」
ブツブツと愚痴をこぼしながら、鳳雛が鼻を摘んで辺りを見回した。
猛獣達は鳳雛の姿に気づくと涎を垂らし、飢えた目つきで飛び掛ってくる。
「ちょっ、ちょっと待て! おいらを食べても旨くないぞ! こ、こいつの方が旨いぞ!」
青ざめた表情を浮かべながら、鳳雛がベアトリーチェを突き飛ばす。
それと同時に光学迷彩を使って身を隠していた躑躅が足払いを放ち、動物の群れの中にベアトリーチェを転倒させた。
「クッ‥‥、よくもやったわね」
何が起こったのかも分からず鳳雛を睨み、ベアトリーチェが悔しそうに唇を噛み締める。
しかし、猛獣達にまわりを囲まれているため、そこから一歩も動く事が出来ない。
「何だか可愛そうな気もするが、これも勝負じゃからのう。わしを恨まんでくれよ」
近寄ってきたライオン達に肉を投げ、征國が隙を見ながら進んでいく。
そのせいでライオン達が餌に群がってきたが、ベアトリーチェのまわりにいる猛獣達(トラなど)は全く興味を示していない。
「ま、まさか私の方が旨そうに見えるって事!? カ、カンベンしてよ! じょ、冗談じゃないわ」
魂の抜けた表情を浮かべながら、ベアトリーチェがジリジリと後ろに下がっていく。
ここで視線を逸らしたら最後。
一斉に猛獣達に襲われてオダブツである。
「ははっ、残念だったな。それじゃ、先に行かせてもらうぜ!」
高笑いを響かせながら、躑躅が扉にキーを差し込んだ。
だが、しかし‥‥。
「ば、馬鹿な!? まさか、鍵が合わなかったのか!?」
そして、足元の床がパカッと開き、躑躅の悲鳴が辺りに響く。
いくら幸運付与をしたとはいえ、成功率が100パーセントになるわけではない。
‥‥躑躅は途中で運を使い果たしてしまったのだ。
「やはり、これも運命か‥‥」
□のキーを鍵穴に差し込み、征國が溜息をついて扉を開ける。
‥‥残った参加者は征國も含めてふたりだけ。
果たして運命の女神は誰に微笑むのか。
その答えを知っているのは、トロフィーだけだ。
●3階:ポイズンルーム
「とうとう、わしらだけになってしまったな。ギブアップするなら今のうちだぞ」
険しい表情を浮かべながら、征國が鳳雛をジロリと睨む。
‥‥これが最後の警告だった。
まわりには毒蛇や毒蜘蛛が徘徊しているため、最悪の場合は命を落としてしまうかも知れない。
それだけは何としてでも避けたかった。
「いまさらギブアップなんて出来るかよ! そんなにおいらは慎重派じゃないんでね」
征國の警告を完全に無視して、鳳雛が毒蜘蛛をブチブチと踏んでいく。
それと同時に大量の毒蛇が物陰から現れ、鳳雛を威嚇するようにして妖しく身体をクネらせる。
「‥‥どうするんだ? このまま進めば、毒蛇の餌食だぞ?」
含みのある笑みを浮かべ、征國が黙って腕を組む。
‥‥毒蛇の数が多過ぎて床が見えない。
そのため、先に進もうとすれば、毒蛇達の相手をしなければならない。
「ここで迷っている暇はないだろ? ‥‥襲われた時は、その時さ!」
助走をつけて走り出し、鳳雛が毒蛇達を飛び越える。
しかし、予想以上に毒蛇の動きが速かったため、着地と同時に襲われてしまう。
「‥‥命を粗末にするんじゃない。おぬしだって、こんな場所で死にたくはないだろ?」
毒蛇達を刺激しないようにしながら、征國が警戒した様子で先に進む。
こうする事によって毒蛇に敵意がない事を伝え、噛みつかれる可能性を少しずつ減らしていく。
「ギ、ギブアップは‥‥しない‥‥」
青ざめた表情を浮かべながら、鳳雛がふらりと立ち上がる。
本当なら立っている事さえツライのだが、賞金10万円を手に入れるために気力で歩く。
「‥‥そうか。ならばのんびりしている暇はないな。わしが先にゴールして、ワクチンを持ってくるように頼んでおくか」
このままでは鳳雛が命を落としてしまうため、征國が屋上へと続く扉の鍵穴に○のキーを差し込んだ。
「ま、まさか!?」
‥‥一瞬の沈黙。
征國がダラリと汗を流す。
「うわあああああああ!?」
次の瞬間、足元の床がパカッと開き、征國がバランスを崩して落下した。
「はあはあ‥‥。だからギブアップしないって‥‥言った‥‥だろ‥‥」
朦朧とする意識の中でポケットから×のキーを取り出し、鳳雛が屋上へと続く扉を目指してフラフラと歩いていく。
「あ、頭が‥‥」
毒が回っているせいで頭がズキズキと痛む。
まわりの景色が何重に見えているが、ここで倒れるわけには行かない。
「優勝は‥‥おいらのものだ!」
物凄い吐き気に襲われながら、鳳雛が鍵穴に×のキーを差し込んだ。
それと同時に屋上へと続く扉が開き、鳳雛が壁に手をつくようにして階段を上っていく。
こうして鳳雛は優勝トロフィーを手に入れ、救護班によってワクチンを注射されるのであった。