世紀末覇王伝南北アメリカ

種類 ショート
担当 ゆうきつかさ
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 普通
報酬 9.4万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 01/22〜01/26

●本文

【物語】
 舞台は人類の大半が滅亡した後のアメリカ。
 東京は覇王と名乗る独裁者に支配され、住民達は奴隷のように扱われていた。
 そこに現れた、ひとりの男。
 その男が現れた事によって、住民達は覇王の独裁から解放される事となる。

【募集キャスト】
・主人公役
 覇王によって連れ去られた恋人を救うため、地獄から舞い戻ってきた男。
 殴る事によってあらゆる物を融合させる拳を持っており、覇王とは相反する存在。

・恋人役
 覇王によって連れ去られたヒロイン。
 実は神王の妹だったりする。
 強い男が好き。

・師匠
 主人公がピンチになると、ヒョッコリと脳裏に現れる。
 適当な事を言っているようだが、主人公には有り難い言葉に聞こえてしまう。

・ザコ&住民役(CG加工+増殖)
 みんな似たような顔をしているが、単なる気のせいらしい。
 色々な場面に登場するが、大抵はヤラレ役。

・レジスタンスのリーダー
 覇王に敵対するレジスタンスのリーダー。
 旧世界の武器を隠し持っており、意味ありげ。

・キュート様
 可愛らしい物が大好きなゴッツイオカマ。
 とても温厚な性格をしているが、血を見ると性格が豹変し、凶暴な性格に。
 全身の筋肉を隆起させて、あらゆる攻撃を防ぐ事が出来る。
 唯一、恋人の居場所を知っている人物。

・アビバ
 アビバ流治療術を使って患者達を葬ってきた迷医。
 自分では名医だと思っているため、患者の意見はすべて却下。
 指先ひとつで相手を死に追いやる事が出来る。
 覇王の主治医のため、唯一パスカードを持っているらしい。

・覇王
 あらゆる物を破壊する神の拳を持っており、住民達から恐れられている。
 普段はデスブリンガーという名の漆黒の馬に乗っており、まるで手足のように扱う事が出来るらしい。

【シーン説明】
・シーン1 キュート様
 キュート様によって支配された町。
 世紀末とは思えないほど、町はメルヘンチック。
 しかも住民達まで可愛らしい服を強制的に着せられ、色々な意味で危険な領域になっている。
 そのため、レジスタンスのリーダーがキュート様暗殺に動くが、返り討ちに遭って捕らわれの身に。
 そこに主人公が現れ、キュート様と戦うが苦戦。
 脳裏に浮かぶ彼の師匠。

・シーン2 アビバ
 ザコが大怪我をして病院に運ばれてくる。
 担当医はアビバ。
 不敵な笑みを浮かべながら、ザコを殺害(シルエットシーン)。
 そこに主人公とレジスタンスのリーダーが登場。
 苦戦する主人公。
 アビバの技で倒れるリーダー。
 その時、師匠が脳裏を過ぎる。

・シーン3 覇王
 ようやく覇王の宮殿に辿り着く主人公。
 捕らわれのヒロイン。
 怒りに我を忘れて主人公が覇王に攻撃を仕掛けていく。
 しかし、覇王には攻撃が全く効かず、主人公はピンチに陥ってしまう。
 再び脳裏に師匠が浮かぶ。
 そして、主人公は‥‥。

●今回の参加者

 fa1058 時雨(27歳・♂・鴉)
 fa2573 結城ハニー(16歳・♀・虎)
 fa3308 ヴァールハイト・S(27歳・♂・竜)
 fa3776 コーネリアス・O(32歳・♂・猿)
 fa4455 夜野星冶(23歳・♂・猫)
 fa4878 ドワーフ太田(30歳・♂・犬)
 fa4930 マモル・ランスロット(20歳・♂・豹)
 fa5035 ラファエロ・フラナガン(12歳・♂・狼)

●リプレイ本文

●キャスト
 カスミ・ケンザブロウ(主人公)役:マモル・ランスロット(fa4930)
 ナオミ(恋人)役:結城ハニー(fa2573)
 師匠役:時雨(fa1058)
 ザコ&住民役:夜野星冶(fa4455)
 シヴァ(レジスタンスのリーダー)役:コーネリアス・O(fa3776)
 キュート様役:ドワーフ太田(fa4878)
 アビバ役:ラファエロ・フラナガン(fa5035)
 覇王役:ヴァールハイト・S(fa3308)

●シーン1 キュート様
「この街にキュートと言う奴が居るはずだが‥‥」
 静かに酒を飲みながら、ケンザブロウが酒場のマスターを睨む。
 マスターはフリルつきの可愛らしい衣装を着せられており、酒場にいた客も同じように気まずい様子で視線を逸らす。
 ‥‥みんなキュートが怖いのだ。
 キュートのせいで住民達は可愛らしい衣装しか着る事が出来ず、苦しい思いをしているのだから‥‥。
 それに、この街でキュートに背けば、ピンクのリボン付き下着を穿かされてしまう。
「おい、聞こえなかったのか? キュートは何処だ?」
 険しい表情を浮かべながら、ケンザブロウがマスターの胸倉を掴む。
「ひっ、ひい!」
 それと同時にマスターが悲鳴をあげ、持っていたグラスを落とす。
「おやおや‥‥、なんですか、騒々しい」
 満面の笑みを浮かべながら、キュートが酒場に入ってくる。
「マスター、いつもの頂戴。こっちのお兄さんにも同じものを‥‥」
 ケンザブロウの腕を掴み、キュートがカウンターに手を置いた。
 そこに割れたグラスがあるとも知らず‥‥。
「あ、ああ‥‥! キュ、キュート様!?」
 ピーチワインをカウンターの上に置き、マスターがハッとした表情を浮かべる。
「‥‥あら、血だわ? ふふっ‥‥、よくも私の玉のお肌に傷をつけてくれたわね」
 天使のような笑みを浮かべ、キュートが血塗れになった右手を見せた。
「わ、わざとじゃないんだ! あ、あべしっ!」
 言い訳をしている途中でキュートの張り手を喰らい、マスターが奇妙な叫び声を上げて壁にめり込んだ。
「‥‥なるほど。噂通りの奴だな」
 納得した様子でキュートを見つめ、ケンザブロウがクスリと笑う。
「‥‥何、あなた? この街でそんな小汚い格好は許されないのよ?」
 殺気に満ちた表情を浮かべ、キュートがケンザブロウをジロリと睨む。
 次の瞬間、物陰からシヴァが飛び出し、キュートめがけてマシンガンを乱射した。
「どうやら、御馬鹿さんがもうひとりいたようね」
 全身の筋肉を隆起させ、キュートが張り手を放つ。
 その一撃によってシヴァが吹っ飛び、そのまま意識を失った。
「‥‥答えろ。ナオミは何処にいる」
 指の関節を鳴らしながら、ケンザブロウがキュートを睨む。
「私を倒す事が出来たら、教えてあげるわ」
 ケンザブロウに張り手を放ち、キュートがニンマリと笑う。
 しかし、ケンザブロウは怯む事なく、パンチやキックを放っていく。
「おかしな服を着ているくせに強いな」
 まったく攻撃が効かなかったため、ケンザブロウが汗を拭う。
 それと同時にキュートの張り手が直撃し、ケンザブロウが派手に吹っ飛びテーブルを壊す。
「あらあら、思ったよりも弱いのね」
 含みのある笑みを浮かべ、キュートがケンザブロウを踏みつけた。
『キュートな世界‥‥、それは破滅と隣り合わせなのだ。そこに目がいけばおのずとキュートになれるであろう』
 その時、ケンザブロウの脳裏に師匠の言葉が蘇る。
「‥‥あれか!」
 納得した様子で笑みを浮かべ、ケンザブロウが光手拳を叩き込む。
 光手拳はあらゆる物を融合させる必殺拳。
 その一撃によって壁と一体化するキュート。
「お前はそこで、一生過ごすか、彼女の居場所を言うか、好きな方を選べ」
 光手拳によって壁と同化したキュートを見つめ、ケンザブロウが警告まじりに呟いた。
「ナオミならゴッドランドにいるわ。は、早く剥がしてよ!」
 今にも泣きそうな表情を浮かべ、キュートがナオミの居場所を素直に答える。
「残念だが剥がす方法は‥‥ない」
 そう言ってケンザブロウがキュートを残して酒場を去った。

●シーン2 アビバ
「痛ぇよぉー!」
 大怪我を追ったザコが仲間達に担がれ、アビバの病院にやってくる。
 アビバはこの辺りで有名な迷医。
 例えヤブでも支配者なのだから逆らえない。
「お、おい‥‥。ここって、まさか!?」
 青ざめた表情を浮かべながら、ザコがその場から逃げようとする。
 しかし、両手両足が固定されているため、その場から逃げ出す事が出来ない。
「ん〜、患者は興奮状態にあるようだな〜? そういう時は、この秘孔だ!」
 不敵な笑みを浮かべながら、アビバが人差し指でザコのオデコをツンと叩く。
 それと同時に悲鳴と爆発音が響き、ザコがピクリとも動かなくなった。
「おお、大成功! だが、俺の求める治療術はまだ遠い──」
 血塗れになった顔をハンカチで拭い、アビバがケンザブロウ達に気づく。
「ケンザブロウか。‥‥暴力は良いぞ!」
 含みのある笑みを浮かべ、アビバがケンザブロウの身体を突いた。
 次の瞬間、アビバに突かれた部分が爆発し、ケンザブロウが悲鳴を上げて膝をつく。
「下がれ、ケンザブロウ!」
 ふたりの間に割って入り、シヴァがアビバに飛びついた。
「ふっふっふ、愚かな真似を‥‥。いま、心臓の動きを通常の百倍にした。身体が持つまい、どうだ、これが正義だ! 暴力こそ正義だ!」
 シヴァの身体を突いた後、アビバが高笑いを響かせる。
「どっちが愚かだか、試してみるか。後は頼んだぞ、ケンザブロウー!!」
 身体に巻かれた爆弾をアビバに見せつけ、シヴァがすべてに着火して自爆した。
 その瞬間、ケンザブロウの脳裏に師匠の言葉が蘇る。
『なーんか最近身体の調子が悪いんだよなあ〜。デトックスでもやった方がいいのかなあ。なあどう思う?』
 何気ない言葉。
 だが、しかし‥‥。
「師匠、こんな奴にデトックスされると良い事有りません」
 師匠の言葉に勇気づけられ、ケンザブロウが光手拳を放ち、アビバの身体を病院と一体化させる。
「な、なぜだ、ケンザブロウ! この弟に手を挙げるというのか〜!?」
 信じられない様子でケンザブロウを見つめ、アビバがダラダラと血を流す。
「‥‥俺に弟はいない! お前は一生そこで病人を見ていろ」
 そう言ってケンザブロウがアビバからパスカードを奪い取り、ひとり寂しく病院から出て行くのであった。

●シーン3 覇王
「た、大変です、覇王様! キュート様に続き、アビバ様までが‥‥」
 青ざめた表情を浮かべながら、覇王の部下が宮殿に入ってくる。
 ‥‥ケンザブロウの勢いは止まらなかった。
 既にゴッドランドの入国許可証も手に入れ、覇王のいる宮殿にむかっている。
「ふっ、所詮やつらではそんなものか。尤もあやつも少しは出来るようになったようだな‥‥」
 デスブリンガーに跨り、覇王が部下達を引き連れて宮殿を出た。
 そこにいたのは、ケンザブロウ。
「ひさしぶりだな、覇王! ‥‥貴様、彼女に何をしたか解ってるのか!」
 殺気に満ちた表情を浮かべ、ケンザブロウが覇王を睨む。
 途端に覇王の部下達が殺気立つ。
「‥‥お前達は手を出すな」
 純金の鎧に漆黒のマントをなびかせ、覇王が部下達に対して釘をさす。
 覇王の傍らにはナオミの姿。
 しかし、手枷足枷をされ、猿轡を噛まされている。
「よくぞここまで辿り着いたな、ケンザブロウ。だが、ここが貴様の墓場になるのだ」
 険しい表情を浮かべながら、覇王が馬から降りて腕を組む。
 それと同時にケンザブロウが攻撃を仕掛け、覇王に対してパンチやキックを放っていく。
「どうした! 一向に効かんぞ。貴様の拳はその程度のものか!」
 ケンザブロウの拳を受け止め、覇王が雄叫びをあげて投げ飛ばす。
「もう少しやるかと期待していたが、所詮貴様など、この俺の敵ではないようだな。この場で引導を渡してやる!」
 右手の拳の力を込め、覇王がボソリと呟いた。
 次の瞬間、ケンザブロウの脳裏に師匠の言葉が蘇る。
「豆腐の水切りは徹底的にする事だ。‥‥鍋に豚肉ともやしを入れ、先程の豆腐をぶちこむ。豪快に、だ。そこへ醤油と酒、ダシをいれた後、ニラを投入する。この時も奮起するのだ。ニラの色が変わったらとどめだ!! 隠し味のとき卵をぶちこめ! そうすれば豆腐チャンプルが出来上がるであろう」
 ‥‥料理のレシピであった。
「だ、駄目か」
 魂の抜けた表情を浮かべ、ケンザブロウがパタリと倒れる。
「黙って聞いてりゃ、どいつもこいつも好き勝手言いやがって!」
 それと同時にナオミが手枷足枷を引き千切り、不機嫌な表情を浮かべて覇王を睨む。
「ヌウッ‥‥、まさか!?」
 嫌な予感が脳裏を過ぎり、覇王が防御の姿勢を取った。
「もう少し手加減しなきゃ、ケンザブロウが勝てねえじゃねえか!」
 ナオミの一撃が炸裂し、覇王が天まで吹っ飛んだ。
 そのため、デスブリンガーも気まずい様子で視線を逸らす。
「‥‥たくっ! 帰るぞ、コラァ! 私が鍛え直してやる!」
 そう言ってナオミがケンザブロウをズルズルと引きずっていく。
 その後、ふたりを見た者は‥‥、誰もいない。