タイトル:【JTFM】不死鳥01マスター:碧風凛音

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/11/12 07:36

●オープニング本文


 2009年10月

 膠着した南米戦線に一つの変化が訪れた。
 独立戦争時に南米で身柄を拘束したルイス・モントーヤが自白をしバグアの基地や戦力の情報が明らかになったのである。
 UPC南中央軍のジャンゴ・コルテス大佐はこれを元にコロンビアへの先手を撃つことで流れを変えようと動き出した。

 作戦コードは【JTFM=ジャングル・ザ・フロントミッション】。
 泥臭いジャングルに傭兵達が集う‥‥。

 コロンビア、レティシア。
 度重なる偵察の結果、レティシアの端にバグアの基地を発見したのはつい先日。
 今度は威力偵察でバグアのレティシア基地を偵察ついでに攻撃し、どのような戦力があるかを見極める作戦が立案された。
 そして、召集を受けて集まった傭兵とUPC南中央軍レティシア基地のKV隊共同での偵察作戦が開始された。

●不死鳥
 レティシアバグア基地
「フィッシャーマン司令‥‥」
「なんだい?」
 有能だが昼行灯として有名なレティシア基地の司令官フラッグ・フィッシャーマンは気だるそうに部下に答えた。
「地球人のKVが侵入してまいりました。指示をお願いします」
「適当にあしらえ。それだけの戦力はあるだろう?」
「それが、いわゆる傭兵と呼ばれる連中が今回は参加しているらしいのです。この基地のHWだけでは限界があります」
 言いにくそうに部下がそう報告すると、フィッシャーマンは目の色を変えた。
「傭兵か! それはいい。全HWを下がらせろ。俺が不死鳥で出る!」
「司令!」
「何だ? 不服か?」
「いえ‥‥」
 司令の悪い癖が出た、と思った。この男は個人での戦闘となると人が変わったように好戦的になるのである。
 そして、傭兵達の前にいたHWが全機基地に撤収し、変わりに一機のKVが現れた。フェニックス。しかも東洋の龍と鳳凰(不死鳥)のペイントが施されたフェニックスだった。

●甦る悪夢
「おい、ニック、奴を見ろ。あのフェニックスは‥‥」
「まさか、フィッシャーマンの。おい、そこのフェニックス、答えろ。フィッシャーマンか?」
『クックック‥‥お久しぶりですねニック中尉。そうですよ、私はフィッシャーマン『元』少尉であります。今はこの基地の司令なんぞをやっております』
「お前はバグアとの戦闘で行方不明になったと聞いていたが‥‥」
『元少尉は死んだよ。その体は私がこうして頂いた。そしてこの美しい機体も私が頂いた。ニック中尉殿、私はあなた方には興味はありません。興味があるのはそこの傭兵達のKVです。さあ、傭兵達よ、甦った不死鳥の前で足掻くがいい!』
 そしてフェニックスから発射されたミサイルでレティシア基地のKV隊は全滅した。

●参加者一覧

ノエル・アレノア(ga0237
15歳・♂・PN
御影・朔夜(ga0240
17歳・♂・JG
周防 誠(ga7131
28歳・♂・JG
キムム君(gb0512
23歳・♂・FC
セレスタ・レネンティア(gb1731
23歳・♀・AA
煌月・光燐(gb3936
16歳・♀・FT
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
フィルト=リンク(gb5706
23歳・♀・HD

●リプレイ本文

『さあ、傭兵達よ、甦った不死鳥の前で足掻くがいい!』
 そしてフェニックスから発射されたミサイルでレティシア基地のKV隊は全滅した。
 さらにミサイルが発射される。それはフィルト=リンク(gb5706)にめがけて飛んでいく。バグア製ミサイルの追尾性能には回避も受動防御も無意味だった。一撃で結構なダメージを食らう。
 そして孫六 兼元(gb5331)にもミサイルが飛んでいく。やはり回避行動は無意味だった。装甲の三分の一ほどが削れる。
 そこで反撃とばかりにスナイパーライフルを御影・朔夜(ga0240)が発射する。だがそれは強力なフォース・フィールドに阻まれて届かない。そしてリロードするころには距離が詰まっておりスラスターライフルを放つ。
 それもフォース・フィールドに阻まれて敵の装甲を傷つけられない。
 そして周防 誠(ga7131)が朔夜をフォローしエニセイでの射撃を、朔夜のスラスターライフルの二発目に併せて叩き込む。
「食らえ!」
 その同時攻撃も、だが敵機のフォース・フィールドに阻まれる。
 朔夜がフィッシャーマンとすれ違うころには誠が再度エニセイでの射撃を敢行しようとしていた。
「手は休めません。このまま押しますよ!」
 二度、三度、四度。連続して行う射撃は、ダメージはないがフォース・フィールドの維持によるエネルギーの消耗を激しくしていた。
「ええい、鬱陶しい!」
 フィッシャーマンは忌々しげに叫ぶ。だがそれは誠の企みが成功している証でもあった。
「攻撃を開始します、FOX2!」
 セレスタ・レネンティア(gb1731)がフィッシャーマンに突っ込む。セレスタはB班に所属し、連続攻撃で敵の足止めをする役割を負っていた。
 UK−10AAMがフェニックスに向かって放たれる。だが、フェニックスの圧倒的な回避性能の前にその攻撃はかわされてしまう。
「くっ! 翼宿、鬼宿任せましたよ」
 セレスタは離脱するとキムム君(gb0512)こと君田 夢野にバトンタッチする。
「月狼朱雀、『鬼宿』君田夢野、参る!」
 夢野は高速機動でフィッシャーマンの注意を惑わす。
「夢見幻想、夢幻変!」
 そして90mm連装機関砲で弾幕を展開する。
「蝿めが! 小賢しい!」
 これも命中させることはできなかったが足止めという目的は果たした。煌月・光燐(gb3936)にバトンタッチする。
「‥‥不死鳥か‥‥相手として‥‥申し分無い‥‥」
 フィッシャーマンと同型のフェニックスを操る光燐は、敵機を前に名乗りをあげる。
「‥‥月狼二十八宿が一星‥‥朱雀七星宿翼宿‥‥参る‥‥」
 光燐はレーザーガトリング砲を放つ。だが、それもかわされてしまう。
「くっ! 早い!」
 光燐はほぞを噛む。だがこれも作戦。離脱してC班に委ねる。
「ノエル氏、フィルト氏、ここは同時攻撃で行くぞ!」
「了解!」
「わかった」
「いまよ」
 フィルトがG放電装置を放つタイミングに併せてノエル・アレノア(ga0237)がミサイルを撃つ。
「了解! やらせない!」
「まかせろ」
 そして兼元がバルカンを撃ち放す。
 だがそのどれもがすんでのところでフィッシャーマンにかわされてしまう。
「遅い遅い」
 フィッシャーマンが笑う。
 二撃め、三撃目もかわされてしまう。
 だが、その攻撃は朔夜と誠が攻撃できる隙を作った。
「やるな傭兵め!」
 フェニックスが空中で体制を崩しながらもミサイルを発射する。
 3発のミサイルがノエルに向かって放たれる。
「くっ!」
 ノエルはブーストも使ってミサイルから逃れようと試みるが、速度を出し切る前にミサイルにつかまってしまう。
「うわぁああああああ!」
 3発のミサイルが命中しノエルは撃墜される。
「死ぬのかな‥‥?」
 ノエルは一瞬そう考えるが、機体は大破して墜落し、本人も大ダメージを受けるが何とか生きていた。
 そして次はフィルトに二発のミサイルが発射される。
 回避行動の甲斐もなく命中。
 フィルトも撃墜されてしまう。
「きゃああああああ!」
 墜落する機体。だがフィルトも何とか命だけは拾った。
 そして、そして兼元へと向かっていくミサイルが一発。それは命中し、兼元の機体の生命力をあとわずかというところまで削る。
「ダメージは与えられなくても、やつに命中させられるのは私たちしかいないようだ。周防、とにかく攻撃を当てていくぞ」
 朔夜はとにかくフォース・フィールドの展開によるエネルギーの消耗を狙って、誠にそう提案した。ノエルやフィルトがせっかく作ってくれた隙である。これを活用しない手はない。
「了解!」
 誠もその案に乗る。何よりバグアに狙われている兼元を助けなければいけない。
「楽しいか? ――あぁ、それならば僥倖だ」
 朔夜は既知感に苛まれ心中は退屈でしょうがないのだが、そんなことを考えている暇もないほど事態は緊迫していた。
 飽和攻撃を行うために、朔夜は接敵してスラスターライフルを連続で発射する。そしてリロードして再度発射。
 誠もエニセイを5連射する。そしてそこで弾が切れたのでリロード。攻撃は相変わらず強化型フォース・フィールドに阻まれて届かないがエネルギーの消耗自体は激しいらしく、フィッシャーマンは焦りの色を浮かべ始めていた。
「流石だな、朔夜と周防。やはりエースと呼ばれるだけの実力がある」
 夢野がそう感想を漏らす。
「こっちも負けてらんない。せめて足止めだけでも!」
 夢野がそう言うとセレスタが「了解しました」と言ってAMMで攻撃する。
 それは回避されるが、フィッシャーマンは忌々しげに「鬱陶しい!」と叫ぶ。
 夢野もセレスタに続きAMMで攻撃する。
 これも回避されるがフィッシャーマンに与える心理的ダメージは少なくないらしい。
「ええい。カトンボめが!」
 と叫ぶフィッシャーマンの声が聞こえる。
 光燐も接近しレーザーガトリングで攻撃を加える。
 だがそれも回避される。
 そしてフィッシャーマンが練力を消費して自機を強化し、兼元に向かって一発のミサイルを発射する。
 回避の術もなく命中するミサイル。兼元も、落とされた。
「こちら兼元‥‥何とか生きてる‥‥あとで回収を頼む」
 そんな通信を残しながら。
「落ちろ!」
 夢野に向かって三発のミサイルが発射される。
「うわあああああああ!」
 夢野は必死になって回避行動をとるが、それもむなしく撃墜される。
「何とか、生きてるか‥‥」
 夢野は己の生存を確認し、通信を入れると気絶する。
「鬱陶しい!」
 接近していた光燐にフィッシャーマンはフェニックスを変形させレーザーの剣で攻撃を仕掛ける。
 そして三連閃。
「くっ! ああああああああああ!」
 落とされる光燐。機体は大破するが生存の通信を入れられるだけの機能は残っていた。
 そして朔夜がスラスターライフルでの攻撃を試みる。
 しかし強化された機体は朔夜の攻撃を余裕で回避し、フィッシャーマンに余裕の笑みを浮かべさせる。
「そうだ、面白いぞ傭兵ども」
 だが強化された機体も誠の命中能力の前には無意味だった。
 誠はエニセイを6連射しフォース・フィールド発生によるエネルギー消費を試みる。
 その攻撃自体はフォース・フィールドに阻まれるが、強化フォース・フィールドが発生しエネルギーは消費される。
「くっ! このままではエネルギーもあと僅かか」
 フィッシャーマンが呻く。
「機体コンディション確認、まだいけます」
 セレスタはなおも果敢にフィッシャーマンに喰らいつく。
 しかしセレスタの攻撃は強化された期待の前に命中するはずもなかった。
 そしてさらに自機を強化するフィッシャーマンに喰らいつかれ、レーザー剣で切り裂かれる。
 三閃。
 それでセレスタの機体が落ちるには十分だった。
「くっ‥‥こちらセレスタ。回収願います」
 セレスタも命は拾ったようだが自身はひどいダメージを受けている。そして、残るエース二機とバグアとの闘いになった。
 フィッシャーマンは空戦形態に変形するとミサイル二発を誠に放つ。
 誠の機体能力も高かったが、強化されたバグアの機体能力のほうが僅かに勝った。ミサイル二発が共に命中し誠はダメージを受ける。
「ククク‥‥傭兵諸君、なかなかに面白かったよ。だが、あいにくとそろそろエネルギー切れでね。これで失礼させてもらう。お仲間の回収をする分には、こちらは邪魔はしないから自由にしてくれたまえ」
 そう言って去っていくフィッシャーマン。朔夜と誠は撤退するバグアをただ黙って見送るよりほかに術はなかった。
 そして強引にジャングルに着陸した二人は撃墜された味方を探し出して応急処置を施すと、ダンデライオン財団に救援を頼んだ。
 Mリッジウェイに乗せられ去っていく味方を見ながら、朔夜と誠は空しい思いで一杯だった。
「なあ、今度あいつが集団戦で出てきたらどうする?」
「勝てる自信は少ないですね。まあ、その前に基地を落としたほうがいいのでしょうが‥‥」
 朔夜の言葉に誠はそう答える。
「そうだな、そう具申するか」
 そして二人は陸戦形態のままMリッジウェイが通ってきた道を帰還することになったのである。