タイトル:【DR2】裏切りの竜騎兵マスター:碧風凛音

シナリオ形態: シリーズ
難易度: 難しい
参加人数: 15 人
サポート人数: 1 人
リプレイ完成日時:
2010/05/14 23:25

●オープニング本文


前回のリプレイを見る


「ねえねえ、今回のドラグナイツ見た?」
「見たよ。衝撃のラスト。アタシ達視聴者には大体のところはわかるけど、キャラクターから見たらやっぱりショックよね」
「それよりもネクロマンサーどうなるのかしら? ハインとの展開が気になるわよね」
「ドラマ要素盛りだくさんよね‥‥」
 そんな街の声を聞きながらサラはグリューンムービーに到着した。
 
「というわけで、前回以上に注目されています。物語も折り返し地点。セルゲイ、この後どうなるの?」
「そうだな。脚本次第だがドラグナイツの敗北とパワーアップと言うところか。まあ、詳細はキャストに任せる。光の竜を封じるとかがいいかもな。あとは白夜がキーマンだ。白夜の行動次第で物語は大きく変わるだろう。まあ、とにかく、制作会議を始めよう」

撮影の形式 

■場面 
1.人質を捕らえたバグラム内の風景 
2.基地周辺に到着後、二手に分かれて行動を開始するドラグナイツ 
A班は陽動、B班は隠密に行動しつつ、基地内の人質を捜索 
3.B班は、発見後バグラムの幹部Aと幹部Bに改造された人質達と戦闘 
4.人質の少女の洗脳が解けた後にA班と合流、敵のボスと最後の決戦 
5.究極の必殺技の発動と勝利。脱出用に用意された自動操縦KVの到着と脱出 
6.エピローグ 

の様にシーンを決め 

3 戦闘中にニュクスによりダメージを受ける。 
「くっ。ニュクス‥‥自分を取り戻すんです」 

4 ドロマイトとラストバトル。 
「力を取り戻したドラグナイツは無敵だ!」 
ガラティーンでドロマイトを斬る。 

6 兄の遺志を継いで新生ドラグナイツを指揮し戦う。 

のように自分の登場するシーンだけ書いてもらうことによって報告書を執筆します。 
ちなみに『場面』の部分は全員が書く必要はありませんができるだけ分担して盛り込むなどしてください。

●参加者一覧

ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416
20歳・♂・FT
ゼラス(ga2924
24歳・♂・AA
優(ga8480
23歳・♀・DF
イスル・イェーガー(gb0925
21歳・♂・JG
チェスター・ハインツ(gb1950
17歳・♂・HD
月影・白夜(gb1971
13歳・♂・HD
烏丸 八咫(gb2661
23歳・♀・EL
ドニー・レイド(gb4089
22歳・♂・JG
クラリア・レスタント(gb4258
19歳・♀・PN
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
ウレキサイト(gb4866
22歳・♀・DF
キャプテン・エミター(gb5340
14歳・♀・DG
安藤ツバメ(gb6657
20歳・♀・GP
望月 美汐(gb6693
23歳・♀・HD
ファタ・モルガナ(gc0598
21歳・♀・JG

●リプレイ本文

●アバンタイトル
「では、我らも引くぞ。来い、裏切りの竜騎兵!」
 そう言ってカインと白夜は消えた。
(「一体何が‥‥? いや、彼のことだ、なにか理由があるのだろう‥‥」)
 漆黒の竜騎兵ハイン・リーヴェルは茫然としているドラグナイツの前に現れると、
「仲間を信じ、今は自分たちのすべきことに全力を挙げることです‥‥」
 と告げる。
「貴方は、誰?」
 しかしカレンの問には答えない。
「‥‥見える敵だけに気を取られないように。バグラムには、まだ影の勢力が居るようです」
「影の‥‥勢力?」
 そのカレンの言葉にも答えずにハインは無言で姿を消した。
 何事もなかったかのようだが、彼のいた足元には血溜まりが出来ていた。

 一方、バグラム基地、司令室。
「てめえ、なんで裏切った?」
 シュトゥルムヴィントが如何にも白夜を信じられないと言った様子で詰め寄る。
「人類の技術に見切をつけたからです‥‥それだけでは不満ですか?」
「成程ねぇ?」
 白夜の言葉にそう呟くと、おもむろに近づく。
「お前から吹っかけてきた無理な願いだ。何を賭ける事になっても‥‥文句ないな?」
「‥‥」
「腕一本だ」
 無言の白夜に対し、背中の鎌を回し取ると、素早く白夜の肩寸前で止める。
『不審に思うのは当然だな。当面はそれを証明する為に働いて貰うとしよう。
 ‥‥互いに気を付ける事だ』
 仮面越しに殺気を放ちシュトゥルムヴィントを止めるカイン。
『それでも尚不服があるなら‥‥その時は、私が相手をしよう』
 しばし睨み合うカインとシュトゥルムヴィント。が、シュトゥルムヴィントはすっと鎌を引き
「‥‥まぁいい。こういうのはあんた等の方が得意だろ。任せてやるよ」
 と呟いた。と思いきや鎌を一閃し、白夜の目の前の床を切り裂く。
「ただし‥‥下手な真似を見せたら、容赦しねぇぜ」
「警告ですか‥‥いいでしょう」
 白夜はすました顔で答える。
「クリュス。基地内では監視してろ。動きを見せたら許可はいらん。自己判断で‥‥裂き飛ばせ」
「全ては、主の御心のままに」
 袖の中に苦無をそっと潜ませたまま、クリュッタロスは静かに答えた。
「これぐらいはいいだろ? じゃあな」
 そう言ってシュトゥルムヴィントは退室していく。
「裏切りか‥‥目的はどうあれ、楽しくなってきた」
 元某国諜報員で、国に裏切られて暗殺される寸前、バグラムに拾われたクロッカは小さく呟く。
 バグラムに洗脳を施されたが実効はなく、表向き忠実を装う彼は、元人間として戦争を【祝祭】と見做し、【破滅】を見て愉しんでいた。
「くく‥‥」
 クロッカは小さく笑うと転移で姿を消した。
「色々と面白いデータが取れましたね。それにしてもシュトゥルムヴィントと戦っていた者は、彼に確認を取らないといけませんか、まあそれよりも今は‥‥」
 バグラム内研究施設で観測した戦いのデータを収集・解析を行っていたナナシは、頃合を見て司令室に通信を入れる。
「司令、話しは終わったでしょうか。そろそろデータを受け取りたいのですが」
 ナナシはカインを司令と呼ぶ。そして小型のワームが一体司令室に漂ってくる。
「初めまして白夜。私のことはナナシと呼んで下さい。このワームの後についていけば、研究施設に着きます。そこで、あなたの持っているデータを渡して下さい。あなたの開発したものもお願いしますよ?」
「お断わります。情報としてはドラグナイツのモノで十分でしょう。僕の様な非力な子供の研究等提出する理由も無いでしょう‥‥」
「‥‥まあいいでしょう。では、待っていますよ」
「ええ‥‥」
 そう言って通信は切れる。
「さて、クリュッタロス、私は白夜に話がある。少し外せ‥‥」
「‥‥承知」
 クリュッタロスは一瞬考えてから頷くと退室した。

 ――回想
 
 白夜に手渡された番号に電話を掛けるカイン。
 それを受ける白夜。
「‥‥」
「‥‥」
 無言が続く中、不意に
「藍祥龍、UPC軍中尉‥‥」
 と白夜が呟く。
『人違いだ。俺は、そんな男は知らん。お前は誰だ?』
「ドラグナイツ白竜騎兵、月影・白夜ですよ、バグラム幹部のカインさん‥‥」
『なぜ俺がそうだとわかった?』
「喫茶店での会話で‥‥」
『それで、なんの用だ?』
「僕を其方に受け容れて頂きたい‥‥」
『何故だ?』
「貴方の感じる違和感の理由を知りたくないですか?」
『ふむ‥‥?』
「勿論、手土産も用意します‥」
『‥‥私の独断になるが、良かろう』
「助かりますよ、是は部外秘で‥‥」
『了解した‥‥』
「では、また‥‥」

『お前の言葉が本心で無い事等、承知している。
 だが、我等がその程度の信念に敗れるものか。気をつけろよ、裏切りの竜騎兵』
「別に、困ることはありませんよ‥‥」
『なら、構わん。クリュッタロスは容赦しないぞ』
「‥‥気をつけます」
 白夜はそう言うと退室し、ワームのあとを付いていく。その後ろをクリュッタロスが監視していた。
 白夜と入れ違いで部屋に入ってきつつリシアはカインに甘える。
「カイン様ぁ、おかえりなさ〜い」
 そしてすれ違った白夜について意見を述べる
「さっきの子、喫茶店で見かけた子じゃありません?」
『その通りだ‥‥』
「後で紹介してくれませんか?」
『ほぅ?』
 リシアには一瞬の沈黙がカインの嫉妬のように感じられた。
 そして面白いと思って笑いながらカインの腕に絡みつく。
「もう‥‥男性では貴方が一番なんですから」
 と言って頬にキスをする。

「これでデータが着くのを待つだけですね。後はネクロマンサーの居場所ですが、クロッカなら居場所を知っているでしょうか」
 そう言ってナナシはクロッカに通信を入れる。
「俺だ‥‥」
「クロッカ、ネクロマンサーの居所を知りませんか? 彼女に少し用がありまして」
「わからんな。だが、探して繋ぎはつけてやるよ」
「お願いします‥‥」
 お互いに相手を胡散臭いとは思いつつも奇妙な信頼関係で成り立っている二人の会派は、これで終わる。
 だが、これがさらなる悲劇の幕開けであった。

 ハインの自宅。
「ただ‥‥いま‥‥」
 そう言ってハインは倒れた。

●OP
   『Blaze Dash』
   作詞・作曲:シャンリークィ
   歌:シャンリークィ

 クレジットとともに、前口上から。

   光の導き 闇の胎動
   心通わす 鋼の身体
   解き放ちし 竜の力は
   闇を切り裂き 舞い上がる
   悲しみの向こう 光差すその先へ
  「機装戦隊ドラグナイツ!」

   何度でも歩きだそう
   幾度でも手を伸ばそう

   大切なモノ 手にするまで

   満天の星々に誓う
   固き決意
   水面に映る流星の影

   咲き誇る 桜の向こうに
   揺らめく 過去の幻影

   あの日
   胸に灯った 確かな炎
   夜を越え 今走りだす
   力の限り

●Aパート
 数週間後、UPC軍基地。
「ツバメ、甘いにゃ。隙を見せたんだから攻め込んでこなくちゃダメにゃ」
「はい!」
 メイがツバメと真由を相手に特訓を行っている。
「イェル、今だにゃ!」
「了解。姉さん!」
 イェルも加わり特訓は激しさを増す。
(「どうしてあちら側に‥‥そんなに希望がないのかな」)
「真由、考え事している暇があるのかい!?」
 ツバメの二連撃が真由に飛んで真由は大きく弾き飛ばされる。
「っく‥‥それとも、私がこんなだから。『次』なんてないって思ったのかな‥‥」
「そんなことはないにゃ。白夜には白夜の考えがあるにゃ。それじゃ、生身戦闘はここまでにしてKVの模擬訓練を行う‥‥にゃ?」
 ぐらり、と視界が揺れる。気がついたときには倒れ込んでいた。
「っ! ‥‥メイ姉‥‥さん?」
「イェル、ツバメと真由を頼むにゃ‥‥」
 そう言ってメイは気を失った。
 メイは医務室に運ばれる。
 体を丸くして、激痛と高熱にうなされるメイ。
「うう‥‥父さん‥‥」
 一体何を夢見ているのか?
「メイさん、大丈夫かな?」
 ツバメがそういうが、イェルは分からないと首を振った。
 イェルもメイも人とキメラの融合体。バグラムを抜けた時から『時間』が無いのはわかっていたことだ。
「メイさんの‥‥体が!」
 真由が驚きの声をあげる。
 メイの体つきが幼くなり、アルビノのように体毛が真っ白に変化する。
 そして、変化とともに次第に熱が引き、やがてメイは目を覚ました。
「‥‥にゃ‥‥にゃ?」
 メイは自分の体を見て戸惑いの声をあげている。
「イェルお兄ちゃん、ぼく、どうしちゃったにゃ?」
「‥‥大丈夫だよ、メイ。少し休んだらきっと良くなるから」
 メイはどうやら精神が幼児退行化してしまっているようだった。そんなメイを心配させないように、イェルは優しい口調で話す。
「うん。やすむ‥‥にゃ」
 そう言うとメイは再び気絶した。
「姉さん!」
 イェルが叫ぶ。だが、医師にストップをかけられ三人は医務室をあとにする。

 そして、喫茶店。

 何故か落ち着きませんね‥‥今日は。
 分かっていたとはいえあの子には酷な事をしてしまいましたね。
 しかしアロンダイトを受け入れなくてはいずれ‥‥

「全く、騒がしくないと落ち着かないとは‥‥メイの調子はどうですかイェル」
 エオスが厨房のイェルに声を掛ける。
「あまり思わしくないです。人の技術では、どうにか出来ることじゃない‥‥」
「そうですか。白夜がキメラの技術も持って帰ってきてくれるといいのですが‥‥」
「なにか言いましたか?」
 思わず漏らした独り言に、イェルが反応する。
「いえ、何でもありません。それより4番テーブルのオーダー、急いでくださいね」
「はい」
 そう言われてイェルは調理に戻る。
「ツバメさん、オーダー出来ました」
「はーい」
 ツバメはイェルから渡された料理を客に提供する。

 ハインの自宅

「ハイン、怪我はもういいの?」
「ええ、なんとか動けるようにはなりました」
「まったく‥‥怪我人のアタシを拾ったのに逆に看病されるってどうなのよ?」
「面目ない‥‥」
 ハインは傷付いた体でそれでもリハビリを行いながら、レムレースとの奇妙な同居生活を続けていた。
 レムレースも同居生活が長くなり、ハインにはすっかり気を許していた。
 そんな中ハインは情報収集のため仕事といって家を開ける。クロッカが接触を撮ってきたのは丁度そんな時だった。
 TVのスイッチがいきなりオンになる。
 音楽番組の舞台セットを背景に、黒い皮の上下にサングラスをきた美形ロックシンガーが画面に登場。
 ギターを爪弾きつつ、からかい口調でマイクに言葉を紡ぐ。
「やあ。随分と可愛い素顔だな‥‥調子はどうだ、死人使い」
「まさか、クロッカ!?」
 驚くレムレースに、ロックシンガーはヒューっと口笛を吹く。
「ご名答。お前が休んでる間に、例の黒い竜騎兵がまた現れたぞ」
「!? シルベインの敵! あいつは絶対許さないよ!」
「そんなかわいい顔で凄まれても迫力がないねえ。それより、おまえさんの同居人、バグラムに引きぬいてみたらどうだ?」
「ハインを‥‥?」
(「‥‥ハインを‥‥バグラムに‥‥。私の、隣に‥‥?」)
 それは魅力的な提案だった。
「‥‥何だか妙に嬉しそうだな?」
「黙れ。それより、転移装置が壊れたんだ。すぐ送れ」
「了解」
 クロッカが指を鳴らすとレムレースの手のひらに転移装置が現れる。
「で、ナナシから話があるそうだ。どうする?」
「またあとにしてくれないか? 今は機嫌がいいんだ」
「了解。黒いヤツの情報は逐一送る。じゃあな」
 ロックシンガーは破滅的なリズムを爪弾き、スモークと共に姿を消す。
 そしてテレビのスイッチが切れた。
(「ハイン‥‥」)
 レムレースは突如湧いてきた魅力的な提案に心を踊らせていた。
 それが二人を悲劇に陥れるクロッカの暗躍とも知らないままに。

 ニュクスの自室。

 送られてきたDNA鑑定報告書の封を切ろうとしてじーっと悩み、結局封を切れずに、机の上においたまま、ニュクスは呟く。
「‥‥世の中は、『こんな筈じゃ無かった』事ばかり‥‥か‥‥」
 祥龍そっくりなカインの事や、白夜の事や、強大化したバグラムの事や、UPC軍の部下たちの事や、そんないろんな思いを抱えてニュクスは祥龍の写真を見る。
「‥‥私には‥‥重すぎるよ‥‥祥龍さん‥‥」
 祥龍と一緒に取った写真を見ながら、涙ぐむニュクス。
「でも、今は出来る事をがんばろう」
 ニュクスは自分の頬を張ってと気合を入れる。
 そしてバグラムの様子から次は総力で来ると推測、UPC軍のKV部隊の編成・訓練・出撃準備の計画を練る。
 また、前回アロンダイト化した事を反省しエオスとの特訓も考えていた。
 ただ、そこには焦りが、感じられた。自分ですべての状況を改善しようとする焦りが。

 バグラム基地。

 17,8歳の姿に成長した白夜が居る。
 そして、バグラムの技術で肉体を与えられた電子人格フェンリスも隣に。
「リシアよ、宜しくね。でも、さっきの子と年が違うみたいだけど、どうしたのかしら?」
「白夜です。こっちがフェンリス‥‥よろしくお願いします年齢の変化については、秘密ということで」
 その返事を聞き納得したようなしていないような微妙な表情になるが、サラッと流すと白夜に抱きついた。
「でもでも‥‥可愛いわ♪」
 女性に抱きしめられて白夜の狼耳と尻尾が現れる。
「どういう仕掛けになっているのかしら? でも可愛いわ♪」
 そして上目遣いでカインを伺いながら
「カイン様ぁ、この子ペットにしたいのですけど、ダメですかぁ?」
 と訪ねる。するとフェンリスが
『白夜に色目使ってんじゃないわよ、オバサン!』
 と怒りを露にする。
 それに対しリシアも素早くフェンリスを捕まえて
「ほほぉ、そういう口を聞くと殺すよ?」
 と脅す。
『やってみなさいよ』
 フェンリスが脅しに各部付属機関を起動させ様とする所に白夜とカインの一喝。
「やめろ、フェンリス」
「やめないかリシア。みっともない‥‥」
『は〜い‥‥』
 二人揃って矛を引き互いのパートナーに寄り添った状態で会話をする。
『白夜‥‥』
「なんでしょう?」
『前々回の戦闘で妙な反応をしたり、喫茶店で俺に抱きついてきた少女はなんだ? それと、喫茶店にあった写真だが‥‥』
「UPC軍中尉藍・祥龍‥‥似ているんですよ、貴方は。リシアさんも」
 カインは仮面の奥で眉をぴくっと動かした。
「それより前回僕が斬りつけた少女、どう思います?」
 そう問われて、カインは仮面を外す」
「‥‥知らんな。お前といいあの少女といい‥‥
 俺に対してなにか思うところがあるようだな」
 その顔はやはり死んだはずの藍・祥龍のものであった。
 白夜はその素顔に無言で驚き、内心では確信に繋がる。
「其れは‥‥」
 白夜がそう言いかけたときアラームが鳴り響く。
「出撃命令だ。‥‥何れにせよ、お前は既に我等の手中。
 『仲間』に討たれぬよう心掛ける事だ」

 ゴットホープ

「びゃっくん、大丈夫かな。一応、保険代わりに偽データは渡したけど
 バグラムの連中がどこまで騙されるか。最悪の場合、あっさりと見破られるかも」
 シリウス・ブレイダーはそう白夜の安否を心配しながら、ドラグナイツのパワーアップ計画を完成させるために、パソコンでいろいろと作業をしている。
 心配しながらも、甘いものはかかさない。その証拠に、机の側におかれたゴミ箱には、チョコレートの包装紙が大量に詰め込まれていた‥‥

 CMがはいってBパート

●Bパート
「我等が一切は、全て主が栄光の為に。‥‥出撃!」
 クリュッタロスが部下を集めて出撃を命じる。
 クリュッタロスの上記は鹵獲ペインブラッド。部下たちは黒のなタロスだ。
 シュトゥルムヴィントは鹵獲シュルテン。強敵との死闘の末に入手した愛着のある機体だ。
「行くぜ、相棒!」
 そう言って出撃していくシュバルツメッサー。
「司令、戦場に、MI波搭載型小型ワームを放出したいと思いますが、許可をいただけけますか?」
『マインドイリュージョナーか‥‥まあよかろう。詳細はお前に任せる』
 ナナシはカインに許可をとるとMI波搭載型小型ワームを戦場に放出した。

 ロスの街にワームや鹵獲KVの大群が襲いかかってくる。
 射撃され、燃える建物。
 ハインの部屋。
 TVを見ているハイン。突如ニュースキャスターが現れる。
「ええ、ここで緊急ニュースをお知らせします。ロサンゼルスの動物園でライオンが檻から放たれました。繰り返します。動物園のライオンが放たれました。付近の方々は厳重に注意願います」
(「これは‥‥暗号‥‥まさかドラグナイツが‥‥」)
 ハインはテレビを消すと、レムレースに「仕事があるからまた留守にするよ」
 と言って部屋を出ていく。レムレースも疑わず、「実はさ、ハインにお願いが‥‥帰ってからでいいよ。気を付けてね。行ってらっしゃい」と言って見送った。
 帰ってきたハインに何を食べさせようかなどと考えながら。
 カレン率いるドラグナイツが出動するがMI波がドラグナイツのスーツに干渉して装着者に影響を与える。
 その効果は精神が不安定な者ほど幻覚作用が働くというものだ。
 兄の死がフラッシュバックするカレン。
「にい‥‥さん」
 真由も過去の記憶がフラッシュバックする。
「何、これ‥‥あ、あ、‥‥」
 父親の声が聞こえてくる。
「やだ、やだ‥‥」
『この屑が! なんで俺がお前なんかの面倒を見ないといけないんだよ!』
「やめて、やめて‥‥」
『お前に食わせる飯もなんか無ぇよ、屑が! 何だその目は!!』
「嫌‥嫌‥」
『お前みたいのはな、生きてるだけで迷惑なんだよ! お前がいるから俺の人生はグチャグチャになったんだ!』
「いやあああああああああああああっ!!!」

 一方、戦場の片隅では
「来たなクロウ!待ってたぜ!さぁ、続きといこう!」

 ――ヴィントと出会ったのは幹部候補の選抜試験の時
 試験と言っても殺し合いでしたがその熾烈な戦いをくぐり抜けた彼と戦った時の血の沸き立つのを覚えて居る。
 クロウが唯一引き分けそして初めて惹かれた相手
 交えた瞬間クロウとしての感覚が目覚めるのを感じた
 望むのなら戦いましょう共に私と貴方はワタシなのだから
「イェル、ツバメ私が時間を稼ぎます」
 シュトゥルムヴィント機にミサイルを打ち込みガトリングで牽制する。
「さあ、あの時続きをしましょうかヴィント」
「何時までも引き分けじゃ詰まらねぇ! ケリを着けようじゃねぇか!」
 デュフェンダーで切り込むシルバー・クロウ。
「これで戦うのは初めてになりますね」
「楽しいねぇ! 最高だ! やっぱりテメェは最高だぜクロウ!」
「私も、嬉しいのですよ貴方のような漢とまた戦える事が。
 それにしてもあの娘いえ、クリュスタッロスといいましたか部下に加えるとは貴方も変わりましたね」
「ア? はっ、ハハハ! アレの価値に気付いてねぇ内は、テメェもまだまだだぜクロウ! 俺に勝てねぇようじゃなぁ!」
 熾烈な駆け引きが行われていた。
 その間にハインの部屋のテレビのスイッチがまた勝手に入る。
 クロッカが小型自立式スパイカメラにハインを追尾させていたのだ。
「あれは、あの黒いのは‥‥」
 ――シルベインの仇――
 黒いパイドロスは小回りを活かして生身でワームと戦うも、不意をつかれ小型ワームの直撃を受ける。
 その際ヘルメット部が破損。素顔がさらされる。
「ッ!? ‥‥ぇ‥‥ハイ、ン‥‥? え、何で‥‥だって、仕事って‥‥‥え?」
 フラフラと後ずさり、壁にあたってずり落ちる。
「ハインが? ハインが‥‥‥シルベインを‥‥? 私の‥‥」
(「そんな‥‥」)
「あ、あぁぁア‥‥‥‥ああああああ!!」
 前のめりにくず折れ慟哭をあげ‥‥‥暫く後
「‥‥‥あ、あハは‥‥ふフ‥‥そ、そウ‥‥ハイン‥‥貴方だっタの‥‥貴方ガ‥‥」
 直後、ナナシから通信が入る。
「ネクロマンサー、無事だったのですね。良かった。後学の為、ゾンビ兵を一体頂きたいのですが宜しいでしょうか」
「‥‥‥あァ、ゾンビ。いいヨ。ラボのカプセルに、腐ってル程置いてるかラ。所詮は『只の器』。好きナだけ使いなよ」
「有難う御座います。それでは、どうかご無事で」
「私も、すグ帰るから‥‥そう、すぐ‥‥ね。フフ、ふふフ‥‥」
 最後は、底冷えするような、狂気じみた笑顔。レムレースの、いや、ネクロマンサーの何かが壊れた瞬間だった。
 そして転移装置を取り出すと、バグラム基地へと転移した。
「あれがネクロマンサーの素顔ですか。これで色々と調べることができますね」
 通信が切れたあとナナシはそう呟いた。
 ドラグナイツはカレンと真由と言う要をなくして敗走状態だった。
「くっ、ここまでですね」
 ハインは閃光手榴弾を使って撤退する。
「‥‥」
 青年の姿で戦場に姿を現してからAUKVを纏った白夜もMIの影響を受け満足に戦闘ができない状態だった。
「っく、うわああああああああ。僕の心に入るなぁああああああああ!」
 そこにニュクスの乗るロジーナ率いるUPCの量産KV部隊が割って入る。
「ちっ! 雑魚が寄るんじゃねぇよ!」
「主にふさわしくない木端共を蹴散らせ。散!」
 シュトゥルムヴィントとクリュッタロスがそれぞれ「雑魚」の介入を嫌うセリフを見せながら戦闘行為を続ける。
 ことにクリュッタロスはK−02をばら撒いたり、フォトニック・クラスターなど、とにかく周囲に攻撃を行う。
 陸戦に移行すると、うってかわって白兵戦の単機狩りに早変わり。
 実剣と練剣を使い分け、退いてはレーザーと間断なく攻め立てる。
 その鬼気迫る様は、正に「もう一つの小さな死神」。
 フェンリスの乗るパラディンが無言で白夜のサポートをする。
 MI波をパラディンからカットして白夜が戦える状態にする。
 そうすると白夜はドラグナイツ相手に『肩当部分が竜の翼の形をしている白銀のパイドロス』で竜の翼を使用。
 瞬時に其の場から消えて相手の背後へ移動する。
 敵を即座に斬り、且つ竜の咆哮で他の敵の方向に空気を切り裂く咆哮の様な音を伴い竜の咆哮で吹き飛ばす。
 だが、そこにイェルとツバメがKVで割って入る。
「今のうちに下がります‥‥早く‥‥っ!」
「雷電、来い!」
 戦闘をしつつドラグナイツをゴットホープのメンバーが救助する。
「ちぃっ! 雑魚がァ!」
 シュトゥルムヴィントが叫ぶと、どこからともなくフェニックスが現れる。
「まだだ! 人類はこの程度では負けんよ! ドラグナイツの諸君、希望を失うな。諸君こそが人類の希望なのだから!」
「アァ?」
 シュトゥルムヴィントが斬りつけるがフェニックスは自然な動作でそれをかわす。
「やるな、テメエ‥‥」
「それはどうも。‥‥諸君、バグラムに負けてはいかん! 勝たねばならぬのだ! それが我々人類に与えられた定めなのだから!」
「ア? ‥‥‥クソッ! 鬱陶しいな! 帰るぞ!」
「了解‥‥集!」
 クリュッタロスが集合をかけてタロスが集まる。
 それは人類には一気に攻勢に出るための陣形の集中にも思えた。
「クソッ!煙幕はるよ!」
 それゆえツバメは煙幕をはってドラグナイツを収容しKVで撤退する。
「遂にこの日が来たか‥‥けど、全滅はさせない! 絶対に、連れ帰る。じゃないと、世界が終わる!」
「ツバメ、イェル、ここは私が引きつけます。撤退を早く!」
 エオスがそう叫びながら何故か離れていったシュトゥルムヴィントに変わりワームを相手にしながら叫ぶ。
「すみません、お願いします!」
 ツバメがそう答えて作業を迅速化させる。
「UPCのKV部隊は3機1組で敵に当たれ!」
 ニュクスがKV部隊を率いて善戦するが、数に押されて圧倒されていた。
「UPCの兵士諸君! 絶望してはいかん! 絶望した時、それが本当の終の時だ。あきらめない限り道はある!」
 謎のフェニックスは演説を続ける。
 と、真由を狙うワームの姿があった。
「くっ!」
 ニュクスはアロンダイトの力で空間転移すると真由を庇う。
 そして、その背後で撃墜されるロジーナ。
「正義を名乗らなくていい‥‥でも、ドラグナイツは‥‥人々の『希望』なのだから‥‥勇気を出して‥‥諦めないで‥‥」
 そう言って瀕死の重傷を負い、倒れるニュクス。
「あ‥‥」
 呆然とする真由。
「どうして、私なんかを庇って‥‥」
 力なくてを伸ばしたところで、煙幕に巻き込まれ、そのまま回収される真由。
 そしてドラグナイツは撤退。バグラムもシュトゥルムヴィントが興が削がれるのに合わせて退却。
 重いBGMがかかって、暗転。

●ED
   『軌跡』
   作詞・作曲:シャンリークィ
   歌:サラ・ディデュモイ

 スタッフクレジットとともにキャストクレジットが流れる。

   夜の帳の中
   粉雪が空から
   優しく降りてくる


 クロッカ/ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416
 シュトゥルムヴィント/ゼラス(ga2924
 ナナシ/優(ga8480

   ふわりふわりと舞い踊る妖精たちは
   白いキャンパスに描かれた悲しみの記憶を
   ゆっくりと覆い隠してく


 星河 メイ(ダークキャット)/柿原ミズキ(ga9347)
 イェーガー/イスル・イェーガー(gb0925

   咲き誇る雪桜が
   これはただの夢だと囁いた


 ハイン・リーヴェル/チェスター・ハインツ(gb1950
 月影・白夜/月影・白夜(gb1971


   けれども ほら
   心に宿る氷の楔が
   その悪夢が現実(リアル)だと告げている


 エオス・アイオーン(シルバー・クロウ)/烏丸 八咫(gb2661
 カイン/ドニー・レイド(gb4089


   足が竦む 顔が俯く
   今いる場所から動けなくなる


 クリュスタッロス/クラリア・レスタント(gb4258
 シリウス・ブレイダー/アーク・ウイング(gb4432


   そっと振り返り 見つめるのは
   自分が歩んできた
   足跡(みちしるべ)


 リシア/ウレキサイト(gb4866
 ニュクス・アイオーン/キャプテン・エミター(gb5340


   そして ふと気付く
   自分が胸に抱いていたモノ‥‥
   望み守り抜いた 光
   平凡な日常と言う 掛け替え無き宝物に


 須藤 ツバメ/安藤ツバメ(gb6657
 蔵里 真由/望月 美汐(gb6693


   瞳を閉じ
   その温もりを感じ
   体が熱を取り戻す
   戒めの楔そっと抱きしめ
   ゆっくり溶かしてく


 レムレース、ネクロマンサー/ファタ・モルガナ(gc0598
 藍・カレン/サラ・ディデュモイ(gz0210)
 フェニックスの男/ジョナサン・エメリッヒ北米大統領


   ふと顔を上げれば
   感じる仄かな温もり
   差し込む朝日に溶けてゆく
   白き幻影

   どんな夜に 夢に
   囚われたとしても
   必ず‥‥夜明けは訪れる

   どんなに冷たい氷でも
   いつかは溶けて消える

   今 強き羽ばたきに舞い上がる
   軽やかな白銀の煌き

   透き通る青空に
   太陽が輝き
   駆け抜ける風が翼誘う

   粉雪は白き花弁へと
   姿変え幸せな安らぎを歌う

   咲き誇る桜の向こう側
   揺らめいた過去の幻想
   一陣の風が吹き荒び
   花吹雪と共に消えてゆく

   新緑の風が告げる命の芽吹き
   今 この胸に輝くは大輪の花
   一歩ずつゆっくりと 歩んでゆこう
   現在(いま)を見据えて前へ

   機装戦隊ドラグナイツ 第3話 「裏切りの竜騎兵」
   END

   制作・著作 グリューン・ムービー

●ED明け
 ドラグナイツの敗北後、上司のエオス・アイオーンからの指示で、ドラグナイツのパワーアップ計画を一応完成させる、シリウス・ブレイダー博士。
 研究室に備え付けられている電話を使って、エオスにパワーアップ計画についての連絡をする。
「要求された数値は全てクリアーしているよ。でも、開発中だったシステムがいくつか間に合わなかったからね。その分、使用者の生命保護などで問題があるよ」と問題点があることを報告する。
さらに、「はっきり言うと、使用者は奇跡でも起きない限り死ぬことになるね」
 と問題の内容が最悪であることを告げる。
 パソコンのディスプレイには、ドラグナイツのメンバーが現状のパワーアップを使用した場合の生存確率が表示されている。
 その数値は、『0.000000001%』である。
「シリウス‥‥これは本当ですか?」
 報告の内容に驚愕するエオス。
 しかし、これがうまく行けば逆転することもできるはず。
 絶望的だとしても決して可能性が無いわけではないのだから。
 そう、諦めない限り‥‥

 暗転――