タイトル:炎纏う災厄マスター:Celaeno

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/11/04 12:13

●オープニング本文


『其は偉大なる原初の煌きにして、万物を灰燼と帰す破壊の化身
 逆巻く焔より生まれし御姿は恐ろしくも神々しく
 荒れ狂う厄災が如き御力は猛々しくも禍々しい』

 サラマンダー‥‥炎に包まれた身体を持ち、その口から炎を吐くをとされる、世界的にも有名な怪物である。
一説には四大元素論における火の元素を司る精霊の一種であるとも言われ、また神話・伝承やコンピュータゲーム等でも広くその名を使われている事から、誰もが容易に想像できる恐怖を体現した怪物の代名詞と言える。
 しかし、あくまでもそれは想像上の産物であり、あらゆる観点から見ても地球上には存在し得ないモノのはずだった。

 ――――そう、バグアという、正に地球外から来たモノの介入さえなければ。

 ‥‥ある日、某火山近辺に自生する亜熱帯林が一夜にして焼失するという事件が発生した。
 同火山は活火山であり、小規模な噴火は現在も断続的に発生しているため、事件発生当初は突発的な噴火による自然災害と思われていた。当然、現地へ調査に赴いた警察や消防関係者・地質学者たちも、その推測を信じて疑わなかった
 ‥‥それを目にするまでは。

 炎の塊が歩いている。
 巨大な口から時折火の粉を吐き散らし。
 無感情な瞳であたり一帯を睥睨しながら、ゆっくりと。

 幸い彼我の距離は遠く‥‥逆を言うとそれだけ離れてもその存在感は際立っていたという事だが‥‥彼らは襲われる事はなかった。そして、その非現実的な光景に茫然自失としていた彼らの一人が、うわ言のようにこう呟いた。
 「‥‥サラマンダー」

●参加者一覧

白鐘剣一郎(ga0184
24歳・♂・AA
ゼンラー(gb8572
27歳・♂・ER
ソウマ(gc0505
14歳・♂・DG
シクル・ハーツ(gc1986
19歳・♀・PN
イレイズ・バークライド(gc4038
24歳・♂・GD
ティナ・アブソリュート(gc4189
20歳・♀・PN
龍乃 陽一(gc4336
22歳・♂・AA
ミコト(gc4601
15歳・♂・AA

●リプレイ本文


 最初に目撃された場所から南西に広がる荒野。発見時から衰えることなく燃える炎を纏うサラマンダーは、今ゆっくりとその荒野を歩んでいた。
 見るもの全てを焼き尽くしながら進むそれを止める術はなく、普段はそこを横行する様々な野生動物たちも今は息を潜め、荒野は彼に蹂躙されるままとなっていた。

 その様子を、やや離れた丘の上から観察する影が二つ。
「炎が移動してる‥‥あれか?」
 照りつける日光に目を細めながら、シクル・ハーツ(gc1986)がやや疑問系で呟いた。
「‥‥そのようだな」
 そんな彼女の言葉を双眼鏡を覗きながら肯定するのは、イレイズ・バークライド(gc4038)。視界が良好な事あり、自然界でも特に目立つ姿をした目標を見つける事は、難しくはなかった。
「とりあえず一旦戻って、他の連中と合流しようか」
「そうだな。‥‥それにしても、暑い‥‥」
 やや暑さに参っているシクルをイレイズが促し、二人は待機している仲間の元へと戻った。

「二人とも、お疲れさんだったねぃ!」
 戻った二人を、ジーザリオの運転席に座ったゼンラー(gb8572)が労う。ちなみにサラマンダーについては既に報告を聞いており、彼と共に待機していた三人の青少年は既に準備を進めていた。
「‥‥僕はいつでも行けますよ?」
 その中の一人、後部座席に座ったソウマ(gc0505)がニヤリとした笑みを浮かべる。
 続いてミコト(gc4601)が、ソウマが弄んでいる銀色の銃をチラリと見て、やや気だるげな口調で呟く。
「ま、ファンタジーじゃあるまいし、銀とか魔法の武器でなきゃ倒せないって事はないだろうから、何とかなりそうだね」
「いやいや、二人とも気が早いって‥‥とりあえず、みんな揃うのを待ちましょうよ」
 既に戦闘準備万端‥‥といった二人を宥めるのは、龍乃陽一(gc4336)である。
 そんな青少年らのやり取りを横目に、ゼンラーは偵察へと向かった残りの二人へと連絡した。

「‥‥分かった、今から合流する」
 ゼンラーから連絡を受けた白鐘剣一郎(ga0184)は、短く返事をして無線を切った。
「あ、もう見つかったんですね」
 その様子から、彼の傍にいたティナ・アブソリュート(gc4189)も状況を察する。
 彼らはサラマンダーの目撃地点から追跡する方針で偵察を行った。追跡自体は足跡や下生えの焼け跡などから容易だったが、思ったよりサラマンダーの移動速度が速かったようだ。すぐに被害が出るとは思えないが、急いだ方が良いだろう。
「それにしても、サラマンダー‥‥ですか。相変わらず伝説上の生物が好きですね、バグアは」
「はは、全くだ」
 半ば呆れた口調で呟くティナに、剣一郎が軽く笑いながら相槌を打つ。
 そして二人は仲間と合流するべく、荒野を駆け出した。


 合流後、一同は肉眼でサラマンダーが見える位置まで移動し、作戦の最終確認を行った。
 まず最初に、イレイズが分担を確認する。
「前衛が白鐘・龍乃・ミコト・俺の四人。後衛がソウマ・ハーツ・ティナの三人。あとは‥‥」
「俺が中衛、っと。‥‥まぁ中衛が何をするのか、とか知らないんだがねぃ」
 ゼンラーが軽口を叩き、ガハハハ‥‥と豪快に笑う。何人かがそれに釣られ、やや張り詰めていた空気が良い具合に弛緩した。
 そして笑いが収まった頃、シクルが静かに口を開いた。
「今回の作戦は、ヤツが纏う炎への対処が肝だ。
 最初はティナと私の弾頭矢で‥‥効果がなければゼンラー殿が火消しをする」
「分かりました」
「うむ。心得た」
 シクルの言葉に、ティナとゼンラーが頷く。
「炎が消えたら、まず俺が行く」
 そう言うと、イレイズは傍らの巨大な両刃剣‥‥斬馬刀‥‥を軽く叩いた。
「いかにも物騒なヤツの口をこいつで串刺して、ヤツの動きを止めてやる」
「では、僕が注意を惹き付けて、イレイズさんをサポートしますよ」
 と、ソウマ。彼はネコのような人懐っこい笑みを浮かべ、サラッと言葉を続けた。
「だって、イレイズさんが飛び込んだ先に、敵さんが大口を開けてウェルカム♪
 ‥‥みたいな事が起こらないとも限りませんから♪」
「‥‥い、イヤですね、それは」
 それを聞いた当の本人は勿論、傍にいたティナもその光景を想像したらしく、顔を引きつらせた。
「‥‥俺は適当にやっていいかな?」
「ああ、構わないだろう。俺とミコトと龍乃はそれぞれ適宜攻撃だ」
「はい、分かりました」
 その間に他の前衛である三人も短く言葉を交わし、頷きあう。
「あぁ‥‥それともう一つ、ヤツにとどめを刺す時はくれぐれも慎重に、な」
「爆発するかも知れないからねぃ」
 最後に剣一郎とゼンラーが注意を促し、いよいよ作戦決行となった。


 作戦開始後、まず最初に各々が仕掛けやすい位置まで散開する。
 そして、皆の準備が整ったタイミングを見計らって最初に仕掛けたのは、サラマンダーの後方約50mに陣取ったティナ。
 洋弓・エインセルに弾頭矢をつがえ、引き絞ったティナは、同時に意識を集中。覚醒した彼女の漆黒の髪から、星屑にも似た光が零れる‥‥そして。
「‥‥いっけぇッ!」
 小さな‥‥しかし鋭い声と共に、矢を放った。
 矢は狙いを過たずに着弾・爆発。埃交じりの爆風が吹きつけ、恐らくキメラの体液のものであろう、微かな刺激臭が鼻を突く。
「‥‥やったか?」
 傍のシクルが煙る視界の向こう側へ意識を集中する。と、その時、二人の耳に低い唸り声が聞こえた‥‥次の瞬間。
 砂埃を引き裂いて、二人の視界を猛烈な炎が薙ぎ払った。
「きゃぁッ!」
「あ、熱‥‥ッ!」
 直撃こそしなかったものの、先の爆風とは比較にならない熱さに、思わず身をすくめる二人。
 同時に視界が開け、相変わらず炎を纏ったサラマンダーの姿が現れた。
「‥‥くそ、効果は見られないな」
 シクルが言う通り、弾頭矢一本による攻撃の効果は見られない‥‥ならば、次の手を打つまでだ。
「次は同時だ。射るタイミングはティナ‥‥あなたに合わせる」
「分かりました。3カウントでお願いします」
 ティナと並ぶように立ったシクルが、長弓・桜姫を構える。つがえる矢は二人とも弾頭矢。
「いきます!‥‥1、2の、3!」
 ティナの合図で二本の矢が同時に放たれ、着弾。先に倍する爆風が巻き起こる。
「どうだ!?」
 会心の手応えに、シクルが吼えた。果たしてその効果は‥‥。
「よし、ヤツの炎が消えたぞぉ!」
 消火器を手に側面に回りこんでいたゼンラーが声を上げ、二人は会心の笑みを浮かべてハイタッチを交わした。

 その間にイレイズがサラマンダーへと向かって突進する。
 走りながら豪力発現を発動したイレイズは、サラマンダーの手前で斬馬刀を大きく振り上げる。そしてその勢いを殺さず、敵の頭部を目掛けて大きく跳躍。
 同時に、ソウマがやや離れた位置からサラマンダーへと狙いを定めた。
「‥‥お前にこの美しき蒼銀の弾幕、かわせるか?」
 挑発的な呟きと共に放たれた弾丸は、狙いを過たず――むしろ狙ったよりも都合の良い場所へと突き刺さった。
「ふふっ、僕の『キョウ運』は凶器ですよ?」
 この一撃に、サラマンダーの無感情な眼が正面からソウマを捉えた‥‥瞬間、イレイズが黒髪をなびかせ、サラマンダーの頭上から全体重を乗せた一撃を打ち下ろす。この一撃は上顎から下顎を抜けて地面まで貫通し、さしものキメラも苦悶の声をあげた。

 次に飛び出したのはミコト。サラマンダーの側面から一気に懐に入ると、その腹部に渾身の力でデュミナスソードを突き込んだ。
「‥‥内臓は流石に弱いよね。思いっきり、切り開かせてもらうよ」
 傷口から刺激臭のする体液が溢れるが、それが身体に掛かるより早く、腹部を大きく切り裂くように刃を滑らせながら離脱する。
「流石にあのまま火に巻かれるのは勘弁だからね‥‥さっさと離脱、っと」
 ミコトは剣に残った体液を素早く払うと、態勢を立て直しながら小さく呟いた。

 続いてその横から、淡い黄金色の光を纏った剣一郎が猛然と敵に向かう。同時に、サラマンダーを挟むように龍乃も飛び出す。その姿は先程までと一変し、藍色の長髪が龍乃の動きに合わせてなびいている。
「白鐘さん、タイミングを合わせて同時攻撃を!」
「委細承知‥‥!」
 龍乃の呼びかけに剣一郎が応じ、二人が得物を構えて攻撃の態勢に入った、その瞬間。
「うぉッ!?」
「うわぁッ!?」
 その巨体をばたつかせるように、突如サラマンダーが暴れだした。そして口を開いて反撃しようとするが、斬馬刀は外れない。しかし自身の顎を地面から引き剥がして暴れる巨体を前に、剣一郎と龍乃は攻撃の機会を逸してしまった。
 さらに、サラマンダーの口内に火花が散った瞬間、凄まじい勢いで全身に炎が広がり、たちまち周囲一体を灼熱地獄へと変じた。その様子に思わず後退した剣一郎に、ゼンラーが呼びかけた。
「大丈夫かぃ?」
 敵の攻撃に備えるためであろう、覚醒したゼンラーの身体が赤銅色に染まりその目が紅く輝いている。‥‥サラマンダーが放つ炎の照り返しも相まって、正直かなり、怖い。
「‥‥これでは近寄るだけでダメージを受けるな‥‥ならば」
「何か、良い手でもあるのかぃ?」
 問いかけるゼンラーに対し、剣一郎は不敵な笑みを浮かべて頷くと、大声で彼の名を呼んだ。
「龍乃!」
「はい!」
「ソニックブームだ、合わせろ!」
「分かりました!」
 龍乃の返事と同時に再度弾頭矢が着弾し、再び炎が吹き飛ばされる。ふと後衛の方に目をやると、ティナとシクルがサムズアップしているのが見えた。

「ここまでにしよう‥‥」
 剣一郎は愛刀・月詠をゆっくりと構え直し、静かに呟く。
「いきますよ‥‥!」
 同時に龍乃もその細身に似合わぬ巨大な斧‥‥竜斬斧・ベオウルフを担ぐように構える。
各々が纏う金と蒼の光が、彼らの闘気に呼応するようにその光度を増す‥‥そして。
「天都神影流・秘奥義『蒼龍牙』!」
「迅れ!水纏う蒼き龍の刃!」
 同質の輝きを放つ蒼い光がニ条、同時にサラマンダーへと叩き込まれた。この攻撃に深々と身体を切り裂かれたサラマンダーは、断末魔の叫びを上げる間もなく息絶える。同時に、その躯が激しく燃え始めた‥‥制御を失った体液に引火したのだ。
 ――――こうして、伝説の怪物の名を冠したキメラとの戦いは、幕を閉じた。


 戦闘終了後、一同は暫しの休息を取った。

「‥‥さすがに喉が渇いたな」
 偵察からずっと炎天下にいた剣一郎に、お疲れ様です、と声を掛けながら冷たい水を渡す龍乃。それを受け取った剣一郎も、穏やかな表情で礼を言う。
 と、ふと思い出したように、剣一郎は彼に話しかけた。
「‥‥そういえば最後の攻撃の時、何か言っていたな‥‥あれは?」
「あ、あれは夢中で‥‥別に必殺技でも何でもないですよ‥‥」
 考えてもなかった事を突然言われ、照れたような調子で龍乃が呟く。それを見た剣一郎が、何食わぬ顔で言葉を続けた。
「ふっ、水纏う蒼き龍‥‥日本でいう蛟か‥‥サラマンダーに相対する良い言霊だったな」
「って、しっかり聞いてるじゃないですか!?」
 からかわれた龍乃が怒鳴り声をあげ、剣一郎が笑い声をあげる‥‥実に平和な光景だった。

「今度は他の四大精霊と戦ってみたいですね」
 未だに燃え続けるキメラの亡骸を供養するゼンラーに、楽しげな調子で話すのはソウマ。
 ちなみにゼンラーはなぜか全裸だった。恐らく汗を乾かすためだろうが‥‥不思議な事にどこからも、そう‥‥見えない。
「四大精霊ってぇと‥‥ファンタジーとかで良く言われるアレかぃ?」
「そうです♪」
 そんな状態のゼンラーを前にいつもの調子を崩さないソウマも、相当なものである。
「まぁ連中にその気があれば、そのうち出てくるかもねぃ」
「かのパラケルススも、実際に四大精霊を倒す人間がいるなんて思ってなかったでしょうしね」
「ふむ、そんなもんかねぃ‥‥っと、いかん、車に忘れ物をした」
 そう言って、ゼンラーが歩き出した‥‥その瞬間。
コ‥‥ッ!
 微かな音と共に、彼の額に先を丸めた矢が当たった。驚いて辺りを見回した彼の目に映ったのは、弓を構えたティナ。やや釣りあがった目が「見せんな、服着ろ」と言っている。
 それを見たゼンラーは、実に済まなそうな調子でソウマに言った。
「‥‥あ〜、すまんがソウマちゃん、ちょいと頼まれてくれるかねぃ?」

「‥‥暑い」
 一方その頃、シクルはジザーリオが作る数少ない日陰ですっかり脱力していた。彼女は周囲に誰もいないのを良い事に着物の襟元を大きく開けており、透き通るように白い胸元があらわになっている。
「‥‥シャワー、浴びたい」
 普段の勇ましさもどこへやら。心頭滅却すれば火もまた涼しとは言うが暑いものは暑い‥‥など、半ば無意識状態でぼやくシクル。
 と、そんな彼女の顔の前に、水が入ったコップがスッと差し出された。ボーッとしていたシクルは何も考えずにそれ受け取り、顔の見えない相手に礼を言う。
「‥‥ありがとう」
「いえいえ、こちらこそ♪」
 一体、何が?‥‥彼女の脳裏に微かな疑問が浮かんだが、まぁどうでもいいか。
「‥‥美味しい」
 親切な誰かがくれた冷たい水を飲み、心地良さそうに目を閉じる‥‥そんな、長閑なひと時を過ごすシクルであった。

「役得、役得っと‥‥おや?」
 ゼンラーからの頼まれものついでに、ささやかな親切と役得をしてきたソウマ。その帰り道、剣の手入れをしているミコトの姿が目に入った。
 ミコトは真剣な面持ちで自分の剣を見つめながら、今日の戦いを振り返っていた。
「‥‥結構大きいのも居るんだなぁ」
 実際、今回の相手は大きかった。作戦が功を奏して被害ゼロで終わったから良かったが、もしあれが大暴れしたら‥‥と思うとゾッとする。
「大型の奴を相手にする方法も考えないとダメ、か‥‥」
 小さく呟くと、ミコトは剣を収めて大きく伸びをし、そのまま寝転ぶ。
「ま、おいおい考えようかな‥‥」

 辺りが夕闇に包まれた頃、ようやくイレイズはサラマンダーに突き刺さっていた斬馬刀を回収した。まだ若干熱が残った斬馬刀を手に、暫し物思いに耽るイレイズ。
「‥‥イレイズさん」
 その背中に、静かに呼びかけるのはティナ。
「ティナか」
 振り向かないまま応えるイレイズに無言で頷き、それっきり会話が途切れる。
 どのくらいの時間が経ったか‥‥やがて、沈黙に耐えられなくなったティナが、静かに言葉を紡いだ。
「その‥‥返事は、まだ‥‥頂けませんか?」
「‥‥」
 イレイズはすぐには答えなかった。その背中からは彼の思いが分からず、不安になるティナ。
「まだ‥‥決まってない」
 ややあって、イレイズが静かに呟く。
「そう、ですか‥‥」
 それを聞いたティナは、半ば消え入るような声を残し、その場を後にした。
 彼女が去った後もそのまま立ち尽くすイレイズを、荒野を吹く風が静かに撫でていった。