●リプレイ本文
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「え〜。私も参加するの?」
と戸惑うレニファー。本人は依頼に同行するつもりなど端から頭になく、傭兵から受け取ったメモを見たときは、さすがに少しばかり動揺が見えた。ジェーン・ドゥ(
gb8754)からのメモには以下のように書かれていた。
「現地で雑誌とのつなぎをするために絶対に同行が必要ですよ」
などと書かれていた。それはお願いというよりかなり説得に近く、無視するとなにか起きそうな予感が漂う文面。
「え〜〜やだな〜〜。水着でしょ。スタイル自信ないし兄さんにだって見せたことないのに」
とさんざん悩んだ挙句、結局
『まあ、現地に行くだけなら』
と思いつつ、OKと返事をする。だがこのときすでに彼女を取り巻く陰謀は着々と実行に移されようとしていたのである。そんなことは露程も知らない本人。その割にはまとめた荷物の中に、しっかりとトリコロールカラーの水着が入っていたりするのだが。
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「ふふ。なんかうまく絡めとることに成功したようね。皆様を楽しませないとね」
などとほくそえむ二条 更紗(
gb1862)。今回レニの参加の連絡があったと聞いて、早速悪巧み中である。
「ここは、せっかくだからめくるめく百合の世界を展開しないと」
すでにその情景を想像して、あんなことやこんなことに備えている。すでに売り上げのために魂も売る覚悟である。ただし、自分はビキニだけは遠慮したいとの事。理由は○○だからだというのだが。それはそれでその趣味の読者もいるのではないだろうか?
そんな傍らでは、
「売り上げのためになりふり構っていられないのよね。きっと。」
とかつての自分に照らし合わせつつ、準備に余念のない乾 幸香(
ga8460)。状況に応じた水着を持ち込もうとあれやこれやと物色中。
「こんな写真集なんて、果たして営業的にどうなのでしょうね」
とはIMPアイドルでもある加賀 弓(
ga8749)。ここは自分を売り込むチャンスとみているのか、言葉の割には積極的である。衣装もグラビア撮影に使うだけとは思えないぐらいに持ち込む予定。この写真集の売れ行き次第では自分の知名度があがるかも知れないと思えば熱もはいろうかというものである。
「まあ、私はビーチでいろいろと」
南国ビーチ、と聞いていろいろ想像している冴木美雲(
gb5758)。さすがにアレは勘弁してほしいと思っているが、なにせ『天然ドジっ娘記念物』といわれている彼女。今回もなにかやらかすかもしれない。
「え〜〜。なんかいろいろ際どいポーズとかあるんですか?」
とかなり消極的に見えるのが神代千早(
gb5872)。依頼を受けた以上、拒否はしないのだろうが、かなり恥ずかしがりやさんとみえ、あんなこんなポーズで写真を撮られることにはかなり抵抗はある様子。撮られるより撮る方で張り切りたい様子。
「うちはイザとなればこれで」
などとなにやら得体の知れない衣装を準備する荒神 桜花(
gb6569)。シマウマ水着やらチャイナ水着、あげく勝負水着が『晒・六尺褌』などとなれば、どうみてもかの大石の同士ではないかと思わざるを得ない。てか、そんな水着姿はいくらクイーンズでも採用するとは思いがたいのだが。
「ここは元モデルの私のがんばりどころね。フフ」
とかなり自信満々なのがジェーン。今回はみな素人集団。もちろん撮影だってプロではない。こういうときに自分の前職が大いに生かされる時なのである、とひとり悦に入る。確かに元モデルがいれば、こんなあんな撮影に当たっても、読者のあんなこんな要望にどう応えるかは誰より精通しているかも知れない。
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でここまでは全員女性である。まあ、普通に考えれば撮られる側。となれば撮影するカメラマンが必要になる。
もちろんお互いに撮り合ってもなんら問題はないのだが、ここにあえて勇気というかあんなこんな下心満点?にしか見えない男がひとり。いうところの「白一点」である、五十嵐 八九十(
gb7911)。
本当におとなしくかつ真面目に撮影に耐えられるのだろうか? とはこの際いわないでおくことに。一応参加理由が『夏の海を満喫』ということなのだが、果たして何を満喫したいのだろうか? まあ、男なら誰でも味わいたいだろうシチュエーションには見える。
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編集部にはネガを提出なのだが、プロがそうするであろうように、事前にポラロイドを使って、構図のチェックやポーズの確認をすることになる。さらにはジェーンはデジタルVTRで現場撮影まで行おうと考える。写真集よりこっちの方が面白そうだが。
今回メインカメラマンはとりあえず五十嵐が勤める。ただし状況によってはモデル兼任で誰かが勤めたり、また裏方的仕事もあるので、結構やることは多い。ましてやここはビーチである。今回特別の計らいで貸切状態になったとはいうものの、なにせ全員が素人である。なので準備にかなりの時間をかけることになる。
着替え用として借り受けたテントはかなり大きく、その組み立てには苦労したが、でも完成するとそれなりの広さになり、これなら恥ずかしがることなく着替えられるスペースが。もちろん着替え中は男子禁制なので、その間外であれこれ動き始める五十嵐。当然まだ命は惜しいので、あんなこんな行動は慎んでいる。というかそんなことしている余裕もないのだが、実際。
やがて、
「準備できましたよ〜〜」
とテントの中から声がかかる。そのはやる気持ちを抑えつつテントを開ける五十嵐。
そう。そこにはすでにこのために選りすぐって準備してきた女性傭兵達の○○○な姿が。
「五十嵐殿。まずは、外にある大きな荷物から運んでや」
と荒神。みればまだそこには借り受けた機材の一部がそのままに残っている。
「はい。はい。力仕事はおまかせ」
と視線に注意しつつ荷物を運搬。だがどうしても気になってしまう。なにせ周りは女性の水着だらけである。しかもかなり際どいものも。女性陣も依頼が依頼とあって、勝負水着で挑んでいるのであろう。荷物を運び終え、セッティングは大詰めへ。その間もメイクに余念がない女性達。あれやこれやと加賀がお手伝い。さすがIMPである。手馴れたものだ。今回は水着以外の衣装も多数もってきているが、やはり水着が一番と決めているようだ。
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とそこへ。悪巧みなど何一つ予想していないレニが遅れて到着。獲物が、とこっそりほくそえむ二条。
「あら。みなさんすっかりおそろいなのね」
と暢気に話しかける。
「あら。レニファーさん。まさか、お一人で見学というわけではないでしょう?」
とジェーン。せっかくの獲物のがしてなるものか。
「え? それって‥‥」
だんだんと状況が見えてきたのか、思わず言葉が上ずるレニ。だが次の瞬間女性陣に囲まれ、あっというまにテントの中へ。さらになにやら嬌声と歓声とも思える声が。
「なんや。その気だったんやないか」
と荒神。なんのことはない。すでにレニは下着代わりに水着を着ていたのである。どうやらその気だったらしいとわかると余計にテンションがあがる女性陣。それもトリコロールカラーのそれなりの露出の高い物。
「あら、素敵。そしてスタイルいいですわ。なんかうらやましい」
と加賀。うなずく他の女性陣。何のことはない、脱いだらすごいのは何もみんな同じだったようだ。自分の胸を眺めつつなにやらお悩みに見える神代。かくしてレニも巻き込まれる羽目に。そしてさらにこのあと恐ろしい展開が待ち受けていようとは。
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「まずは、生ポラから行きます〜〜」
と五十嵐、そう。本格撮影の前にまずポラロイドで予備撮影するのだが、今回はその写したポラロイドにモデル全員でサインをするということに。で、さっそくポーズを決めるのだが、そこは『天然ドジっ娘記念物』の冴木のこと、早速移動中に撮影用のカメラコードにお約束の如く躓いて。
「うわ」
と、思わず彼女ではなくカメラをかばう五十嵐。なにせ撮影用の大事なカメラだ。冴木よりよほど重要である。
カメラが落下するより先に、頭から仰向けにスライディング。と、そこへ蹴躓いた冴木が豪快にヘッドバット気味に落下。最後にカメラがスローVTRのように倒れてくる、というドタバタ喜劇のような展開に。むっくり起き上がる冴木。ピクリとも動かない五十嵐、みればその視線はしっかり冴木のあんなところに‥‥。撮影一時中断、というか○○○な事態がこの後展開されたのはいうまでもない。
その後全員で並びポーズを決め撮影。なぜか顔が少しばかり腫れている五十嵐。でその生ポラに全員がサイン。
『Twilight Yukika』とサインするのは乾。自分のバンド名だそうである。そのほか思い思いにサインをする。が、そんなものしたこともないレニは、とりあえず自分のイニシャルでごまかすことに。こうしてみるとなかなか見栄えよくできたようだ。続けて何枚か撮影。すっかりその気の五十嵐、あんなこんなポーズを要求する。ツインだったりソロだったり、中には神代が思わず赤面してしまうあんなポーズも要求してみたり。まわりがすっかりその気なのでいつしか皆が皆あんなこんなポーズに応じるように。
「さすがにこれはちょっと」
と口にはするものの、そこは現役IMPアイドル。恥ずかしながらも実に堂々とした加賀。元モデルのジェーンにいたっては、1ポーズごとに入念にメイクケアしたり、状況に応じて率先して水着を着替えるなど、実に楽しんでいる雰囲気である。
「う〜〜ん。メガネっ子というのもそれはそれで」
波と戯れる乾を撮影する五十嵐。波と戯れるその姿が気に入ったらしい。ストライプ柄のビキニが白いビーチに映える。
さらに大胆になりつつある荒神。チャイナスタイルの水着から、さらには例の褌まで着用しようかという勢いだが、さすがにそれは採用されないだろうということでやむなく断念を考える。だが、周りには誰もいない。とあればこっそり生ポラするのが当然の流れであろう。早速着替える。まさに、公には絶対に見せられないスタイルだが、そこはこの場の勢い。だがしかし。この1枚の生ポラがのちのち思わぬ状況を生み出そうとは。
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撮影は合間で小休止を入れながら続く。その合間を縫ってビーチで無邪気に遊ぶ傭兵達。ここは誰もいない貸切状態のビーチ。例えハプニングであんなことこんなことが発生しても周囲に他人の眼はない。とすれば多少過激になってもOKの状態。
「わ〜〜い」
と神代と水遊びに興じる冴木。神代と2人楽しそうだ。もはや傭兵ではなくただの若い女の子である。それが絵になるので、ここでもスナップを撮る五十嵐。その傍らでは、
「そろそろかしら」
と例の作戦決行のタイミングを計る二条。だが同じ頃荒神も同じ事を考えていたようである。傭兵達の撮影中、水着姿で砂浜に座りこんでそれをぼんやり眺めていたレニ。水着に着替え生ポラ撮影に参加こそしたが、その後は撮影風景を楽しんでいる風にも見受けられた。だが、ついにその魔の手が彼女に伸びようとしていた。
「ねえ。レニファーさん、一緒に撮ってもらいましょうよ」
と、下心満点でレニに接近する二条。その気配を察したのか五十嵐は小声で誰かにつぶやく
「カメラマン代わってくれないかな」
同時に、同じことを考えた荒神もさりげなくレニに近づく。その眼はすでに艶かしく。
「え? ちょ‥‥。ちょっと、何? 私そんな‥‥あ」
とただならぬ気配に身の危険を感じたレニが身をよじろうとするが。
「カメラ、カメラ」
と二条が叫ぶ。と見ればいつのまにか手には五十嵐から奪った本番撮影用のカメラが。
「ふふ。そげに緊張せんでも。私に身を任せれば、もっとずっと気持ちいいことに」
と怪しげな雰囲気満点で迫る荒神。ゆっくりとレニにおおいかぶさってくる。さらに顔が紅潮する。逃げようとするレニ。だが、背後から二条が押さえて離さない。
「え〜〜。これって。見ているこっちが」
と思わず顔を赤らめる神代と加賀。と気がつけば顔を手で覆うしぐさ。見てはいけないものを見てしまったという思いと、これから起こる事を半ば期待しつつ、顔を手で覆いつつもしっかりスキマから見てしまう。
「え? ちょ、ちょっと。私にはそんな趣味は‥‥ああ。そこは‥‥」
いつのまにか撮影していたはずの二条までが、荒神に加勢する。完全に2対1である。砂浜に倒れこむ3人。乱れ飛ぶあんなこんな声。はじめはスローに、そしてレニが受身とみるや徐々に過激な攻めに転じる二条。妙に色気づき、かなり乙女チックにかつオヤジ化しつつある。なるほど魂を売り渡すとは、こういうことか。
そんな(ピー)な光景に思わず立ちすくす五十嵐。大慌てでティッシュを取り出す。完全にヤバイ状況である。
その光景をみてなぜかうれしそうな当事者(レニ除く)さらに過激な展開へと移行。
女3人がなまめかしく艶っぽく絡み合っているその姿は、すでにこの依頼の目的を完全に逸脱しているといえなくもないが。まあいいか。しかもこんな場面でもしっかりVTRが回っていたりする。ジェーンもすべてを撮りもらすまいとの形相。レフ板をさりげなく持ちつつも決してそこから動かないのは乾だ。
これ以上は描写できないのが残念である。
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かなりの時間が経過したようだ。今だ興奮がさめやらぬような2人。いや正確には五十嵐含め3人かも知れない。
レニにとっては、それはあまりに刺激が大きすぎたようだ。ショックなのかまた疲れなのか半ば呆然としてその場に座り込んでいる。いやそうではなかった。どうやら彼女の中で何かが変わりつつあるようにも見えたのだが。
まさか、とは思うが、目覚めたのか?
「お疲れ様。撮影は無事終了です」
と声を掛け合う傭兵達。撮影した写真はポラも含めれば膨大な枚数に及んでいた。あとはこれを編集部に送るだけである。もちろんあの場面も撮影したネガも入っているのだが、さすがにこれは採用されないだろう、と思う参加者達。南国のビーチはその情熱的な夕暮れにつつまれようとしていた。
こうしてネガとサイン入り生ポラは無事にクイーンズ編集部に送られ、その後彼らはビーチ近くのレストランでささやかながらも打ち上げを行って、依頼の無事成功を祝ったそうである。五十嵐にとってはさぞや酒がうまかったことであろう。
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出来上がった写真集が贈られてきたのは、だいぶ経ってからの事だった。さすがにプロがネガを厳選してかつ編集しただけあって、とても素人が撮影したとは思えない。同封されていた手紙によれば、予想以上の売れ行きで、編集部には問い合わせが殺到している、と書かれていた。
そしてさらには。そう、例の荒神の褌写真である。誰がリークしたのかこれが大石の手に渡り、彼から直接荒神に手紙が来たそうである。内容は‥‥それは決して他言されることはなかったそうであるが。
それを聞いてニヤリと笑うレニがいたりする。タダでは起きないのだ。
了