●リプレイ本文
●罠にはまったレニ
「へ〜〜。これが今回の参加者の名簿かあ」
宴会に参加する傭兵の名前が書いてある一覧表を手に、感慨深そうなレニファー・ドレイク(gz0256)。
まあもともとこの依頼、以前にあの突撃記者であるマリの依頼に、傭兵達が120%以上の努力を持って要望に応えた結果なのだから、すべて前回参加された方の功績によるところが大きいと考える彼女。
(「でも、前回はひどい目にあったしなあ」)
と内心穏やかでないレニ。なにせうまく篭絡され、あわやあんなこんな目に会いかけたのである。
で今回の名簿を見てみると、前回の依頼に参加された傭兵が4名もいる。そのことがさらにレニの不安を増大させるのだ。
(「この方たちって、ひょっとして」)
さすがに今だトラウマの残るレニ。今回はなにやら理由をつけて断ろうかと考える。
だが。そうはさせまいとなにやら蠢くピンク色の陰謀。それは今回最年少の11歳の参加者、来栖・繭華(
gc0021)の1通の手紙に始まる。それはこんな内容だった。
『ドレイクおねえちゃんに、ほ、保護者としてご一緒してもらいたいのです』
それはあたかもあどけない幼い少女からの手紙を装っていた。
(「11歳の女の子が宴会に? あ、皆でお風呂にはいりたいのかな」)
などと単純に考えてしまうレニ。2つ返事でOKをだす。瞬間、どこかでガチリと何かが落ちるような音が聞こえた気がするレニ。あ、気のせいか? と気にも留めない。
同じ頃、どこかレニの知らぬところで。
(「獲物捕獲成功。これで無事に決行できますわ」)
一人不気味?にほくそえむ傭兵が。そう。彼女こそ他ならぬ二条 更紗(
gb1862)である。彼女の今回の狙いはただ1点しかない。
不覚なりレニ。またしてもそのカゴの中にまんまと篭絡されたことは、本人だけは気がつかぬのであった。
●じわり
マリが指定してきたスパ施設は、よく聞けば現在改装中ということらしい。のだが、そのプレオープンをかねて貸切りで使えるということを支配人から聞いたレニたち参加者。なにせ宴会+お風呂+お泊りまでできてタダ、なのである。もっともスパ側にしても、有名人を大金払って招くよりは、世間に知名度の高いあの傭兵様御一行に利用していただいた方が、宣伝にもなるし費用対効果が大きいと思ったか。
「マリさんからの好意なんだから、目一杯楽しみましょうね」
前回も参加した癒し系ホンワカ美女の乾 幸香(
ga8460)。前回のあんなこんな経験がいろいろと思いだされてくる。
「あの写真集、そこまで売れるとは思いませんでした。凄いですね」
これも前回参加者、IMPアイドルの 加賀 弓(
ga8749)。彼女たちの予想を遥かに超える売り上げを記録していた写真集に自分がかかわっていたことがアイドルとしてはうれしはずかしなのだろう。
(「お招きいただきありがとうございます」)
その頭を下げたその方向にあるのは、よもや「クイーンズ」の編集部か?
そしてもうひとり。
「あら、レニファーさん、何たそがれているのかしら?」
入り口付近でさすがにためらったレニを何気なく誘う、ジェーン・ドゥ(
gb8754)。言うまでもなく彼女の今回の楽しみの一つはアレなのだから。この元モデル様もまた、あんなこんな(ピー)なことがかなりお好きな御様子と伺える。
(「え? この方たちって、まさか‥‥」)
かすかな眩暈と頭痛を覚え始めるレニ。だがその時すでに『宴』はそのピンク色の毒牙をレニ突き刺すべく待ち構えていたのである。
●じわじわ
畳20畳ほどの広さの大広間に広げられたテーブル。フローリング張りの床は思ったほど硬くはない。
テーブルの上には簡単なオードブル。料理は中華バイキングで、各自が大広間の一角にある食事コーナーから好きなものを皿に持ってくる形式。アルコールは自前だが、ソフトドリンクは飲み放題である。これで2時間。まあ通常の居酒屋コースに比べればはるかにお得、といえないこともない。
「あら。レニファーさん。この前はお疲れ様。そして前回はいろいろとごめんなさい」
いきなり真摯?なそぶりで謝罪する更紗。『いろいろ』とはもちろん(ピー)や(ピピー)なことを指しているのだが、謝罪が本心で無いことは当然。
「え? ‥‥、いいですわよ。そんなこと。もう忘れてますから」
丁寧に応えるレニ。いえいえ、決して忘れてなどいないのですが。とりあえず体面を繕うレニはひとまず大人の対応。
だが。敵は1枚も2枚も上の百戦錬磨のハズ。なにせ格好の獲物が目の前に何もしらず?に泳いでいるのである。
(「ふふふふ」)
その内心のほくそえみを隠すのに必死。
「今日は楽しみましょうね」
レニに言わしめる段にいたっては。
(「にやり」)
さらに会心の微笑。と横から、
「ほら、ここで皆が飲める食べられるのもひとえにレニファーさんのおかげですよ」
どう見てもピンク色の陰謀をめぐらせつつ包囲網形成にかかるジェーン。
こうして一部人間の見事なまでの企みどおりに宴会は開始された。
●飲めや食べろや
もちろん、皆が皆ピンクに染まっているわけでもない。単純に、『食べられるから』とか『お風呂に入れるから』とかいたって健全な動機で参加している傭兵だっている。それは前回の写真集撮影に参加した傭兵もしなかった傭兵もである。レニは来栖・繭華(
gc0021)の手を引くようにして着席。
「ご飯食べ放題となったらねー。」
お風呂とあわせて存分に楽しみたいのが香坂・光(
ga8414)。小麦色の肌の14歳の元気な少女である。が、この少女。ある意味、YURI属性よりナニな属性を持っているらしい。
え? まさか、なのだが、実は『大石』属性の持ち主だったのだ。う〜〜ん。恐るべし大石。こんな14歳の少女にまで己の属性を感化させるとは、などと感心している場合ではない。なにせ愛用品が
『褌』
『ブルマ』
なのである。(だれかさんが聞いたら泣いて喜びそうな属性)
もちろん酒は飲めないので、ノンアルコールの飲み放題、全料理制覇目指して食べるのだが、本人どうにも食べたモノが『行くべきところ』、つまり主武装のサイズアップに貢献しないと嘆いているのだ。なんと主武装巨大化が夢だったのか。
「皆様、食べすぎ飲みすぎには注意してくださいね。あとでダイエットが大変ですから」
光が見たらたぶん目を瞠ること必至の主武装を隠しもっていると噂の幸香。前回(ピー)や(ピーピー)な光景を目撃してるので、
(「ふふふ。ここは思いっきり暴露」)
と思ったかどうか、言わなくてもいいあんなこんなエピソードをしゃべる。特に前回参加しなかった傭兵にとってはその内容が過激になればなるほど(ぴー)の光景を連想してくる人もいるわけで。
(「こ、これは。かかわらないほうが」)
何かを感じたのかレニ。急にしおらしくなって見たり。すでに遅いような気はするのだが。
(「まあ。がんばってくださいね」)
こっそり目で更紗と言葉を交わす幸香。傍観を決め込んだようである。気配を感じたのか、
「(にやり)」
微笑む更紗。でその首謀者たる彼女であるが、
(「すべてはこれからのお楽しみ」)
と思っているのか、決して目立つことなく普通に食べ、飲み、歓談する更紗。だがそれはあくまで宴会のこの場だけの仮の姿。どこから調達したか『浴衣』を羽織っているのだが、下着を着けていないため、角度によってはあんなこんなことになりかねない。
親友であり、同じ兵舎に所属する美沙・レイン(
gb9833)と仲良く参加の御崎緋音(
ga8646)。
(「お風呂たのしみだなあ」)
などと待ちわびながら楽しむ宴会。アルコールを持ち込み、飲む気、食べる気満々に見え‥‥、え? この娘18歳? いやいや未成年のアルコールは絶対に‥‥よく見れば自分の前にはジュース。アルコール類はどうやら美沙のために持参したようである。それを甲斐甲斐しくお酌する。な〜〜んだそういうことだったのね。危うく没収しようかと思った。その後の行動も基本的に美沙と一緒の予定。果たして無事に最後を迎えられるのか? 隣に座った弓に料理を勧めたりしている。
「中華はあまり食べないんですよ」
食事中も終始にこやかに歓談を絶やさない弓。アイドルとしての立ち居振る舞いが身についているのかこういう場でも、決して「乱れず」「壊さず」「かかわらず?」に見えるのは立派。バイキングはともすれば食べ過ぎる傾向があるのが常なのだが、彼女適量を選んだ食べ方をしている。前回一緒に参加したジェーンらと思い出話に花を咲かす。
(「このまま無事に終わるわけないか」)
前回のいきさつをどこで聞いたのか怪しく微笑つつ、高級中華に手が伸びる美沙。ににげなく会話を楽しみつつ、さりげなき視線は更紗の方へ。ナニを仕掛けてくるのか興味満々なのだろう。
「繭華ちゃん、もう食べないの?」
レニがまるで本当の保護者のように傍らにひょこんと座っている繭華にそっと声をかける。わずか11歳のこの少女。明らかに宴会の席においては場違いな印象すらあたえる。
「うん。もうおなか一杯」
まるで本当の子供のように受け答えする繭華。
「これおいしかった」
料理に満足したのかオレンジジュースをゆっくりと飲む仕草がなんともあどけ‥‥。いや騙されてはいけない。仮に更紗が『主犯』だとすれば、『共犯』の筆頭はまちがいなくこの少女だろう。
こうしてこれから起きることの気配を何一つ見た目感じさせぬまま、時は過ぎ‥‥
●お風呂にて
開始から2時間後‥‥。
飲み、食べ、騒ぎ、テーブルの上に大量の空き瓶の山と食べ終えた食器の山が築かれる。すでにかなり出来上がっている傭兵もおり、大分席は乱れてきていた。
この頃からぼちぼち言動が怪しくなり始める更紗やジェーン。だがまだ悟られてはいないようである。ここで計画がばれてはすべてが水泡に帰す更紗は特に用心深い。
この少し前、
「先にお風呂いただいてますね」
早々とお風呂に向かった御崎と美沙。それが合図だったかのように皆がお風呂へと向かいだす。もう少し飲みたかったような表情のジェーンだったが、みなお風呂に向かうので、自分もお風呂の方へ。
『女性専用』とかかれたソレは8人全員が余裕で入れるだけの広さ。湯船はまだ改装を終えたばかりらしく、傷みもなく清潔である。女性専用だけあって内装は女性を意識したおしゃれなイメージ。
「あ〜〜。タオルつけるのはマナー違反なのだ。あ、そこのひと! タオルははがす」
あとから入ってくる女性たちのマナーに目を光らせる光。ひととおりそれが終わると、
「任務完了」
待ちかねたように湯船に飛び込む。すでに先に湯船の中にいた御崎と美沙にザブン、とお湯がかかる。それを合図にするかのように続々と湯船に入ってくる女性たち。7人のうら若き乙女が湯船に入る姿は実に(ピー)であって、それはそれでなかなかあでやかにして妖艶。
脱衣所にレニと仲良くやってきた繭華。視線が気になるのかキョロキョロと周囲をせわしなく窺がうそぶり。
やがてお風呂へ。タオルでその自慢の長い髪をまとめて体を洗い、いざ浴槽へ、というとき、突如、
「きゃ〜〜〜」
可愛い悲鳴。見れば足を滑らせた繭華、そのまま目の前にいた光にダイブ。その上半身がちょうど光の主武装付近にのしかかることに。
「ふぇ? きゃ、なに?」
一瞬パニックに陥るが、すぐにその目の前にある繭華の主武装にその視線は釘付け。なんてたって相手はまだ11歳。なのに、なのにだ! その主武装の性能比では勝負にならないことを直ちに悟る。あえなく轟沈。
お風呂で本性が露になるのは不思議なことではない。その『小悪魔』的な面が顔を覗かせる緋音。最初はのんびりお風呂につかる彼女。美沙と肌すり合わせその肌の美しさに見とれつつも、肌に刻まれた傷跡に目が行く。若干の心の痛みを覚えるものの、やがて彼女に甘えるようにもたれかかる。
(「ん‥‥‥」)
なにやら怪しげな雰囲気。美沙の主武装の感覚が彼女の顔に当たりそれが心地よいと感じ始める。それを敏感に感じ取ったのか美沙。多少の羞恥心をもちつつささやくように彼女に尋ねる。
「ねえ、‥‥『YURI』って。そんなに(ピー)なものなの?」
酒に酔っていることもあってか、口調が普段の彼女には思えぬ程。
「ふふ。知りたいの? なら、あ、と、で」
なにやらはぐらかす緋音。だんだん雰囲気が怪しい。
「なにやら、雰囲気が雰囲気ですけど、お風呂を楽しむのならあまり」
なにやら察知したか、やんわりと注意する弓。彼女の言うこともその通りで、風呂とは本来そういうものなのである。例え同性同士ではあっても、である。
「‥‥‥」
美沙たちとは少し離れたところでゆっくりと他の参加者の主武装やらなにやらを確認する幸香。自分の主武装にはある程度の自信があるのか、特に詳細な性能比較をする風でもなくひととおり観察すると言った風情。その隣にはジェーン。こちらも元モデルであるからして主武装についてはそれなりに水準以上。ただ、気になるのはレニの方。ひとりなにやら周囲をうかがい警戒心を露に?しているかのように見えるレニにさりげなくかける一言。
「もっとこっちへいらっしゃいな。ここはお風呂。多少怪しい雰囲気は気にしないで」
さりげなく誘導を試みる。その『怪しさ?』に殺気を若干感じ取ったかレニ。笑顔で取り繕って多少近づいたものの射程内には入らず?
(「まあいいわ。いずれ」)
内心ほくそえむジェーン。
そんなレニに迫るひとつの影が。それは陰謀渦巻くこの宴のいわばメインキャスト。
「レニファーさん。いつもお仕事お疲れ様です。あ、お背中流しますよ。リラックスしてくださいね」
背後から声をかける今回のいわば『主役』の更紗。あくまで『悟られず』『警戒されず』に注意し、さりげなく接近。
「え? ‥‥。悪いわ。そんな‥‥」
最初はためらうもその誘いに乗るレニ。性格といえばそれまでだが、人を疑う事をあまりしないレニ。酒のせいで理性に多少の緩みが出ていたといえなくもないが。そんなレニの背中にゆっくり手を伸ばす更紗。だがあくまでゆっくり、である。いきなりはいけない。少しづつ警戒心を解き、気分を高揚させ、最後に一気に‥‥が狙いである。
(「お姉さま、と言わせたら勝ち、ね。‥‥ふふふ」)
内心ほくそえむ更紗。背中を洗いながら軽く、決して怪しまれない程度に適度にスキンシップ。背後から微妙に主武装やら副武装やら付属パーツやらなんやらを微妙に性能試験。前回も確認したその以外と高性能に思える主武装のスペックが更紗の心をさらに誘惑する。
(「あ、‥‥まって、ソレ」)
などと思うものの、酒の勢いかはたまた何かが覚醒しつつあるのか、体が微妙に素直になりつつあるレニ。
(「‥‥順調。順調)」
更紗の中の『悪魔』がささやく。
気分が高揚してくるのが押さえきれなくなりつつあるレニ。もはや『陥落』必至?
そこへ、
「きゃああああ」
ぬれた床で脚を滑らせた繭華がダイブ。その主武装に頭から突っ込む。その勢いで思わず床に倒れこむレニ。
仰向けにひっくり返り、その姿はほとんど無防備状態。おおきく振動する主武装。
「ちょ、ちょっと」
とあわてるが、繭華が横向きに倒れこんでいるので、そちらに気をやるレニ。
(「!!」)
そのタイミングにいち早く反応したジェーン。素早くレニの体に手を伸ばすと、(ピー)やら(ピピー)などをほとんどどさくさのうちに仕掛ける。
「え? え? ナニ、そ、そこは‥‥あ、あ!」
さらに敏感に反応しつつあるレニ。若干顔が紅潮しているのは気のせいか、はたまた(ピー)のせいか?
こうして予想以上に早く、陰謀の罠にどっぷりはまり、覚醒にむかいつつあるレニであった。
(「何事も程ほどがいいんですけどね。それが殿方にはおわかりにならないんですかね」)
そんなゴタゴタを尻目に、ひとり思う幸香。だが彼女がソレを言うのは明らかに逆の意味で説得力不足であることがはっきりわかる。なんといってもそれほどのハイスペックな主武装を持つ身なのだから。
●仮眠所で
すっかり長湯になった傭兵達。宴会ですっかり酔いが回った者もいたし、それがお風呂でさらに加速した者も。その為か、お風呂上りにはすっかりいい気分になり、となれば当然『お泊り』コースに直行する者が現れるのも必然の流れか。
仮眠所は、カウチ風のチェアがいい感じで並べられていて、空調も適温、心地よいBGMも流されていてそのまま朝までいても十分な居心地である。となれば当然ここで一晩泊り込もうと考えるのも自然な流れ。そしてその向きの者達にとって、いよいよ本番のチャンス到来、というわけである。なにせ疲れてもいるし、すっかり気分がハイになってもいるのだ。何かコトがあっても、最悪『酒宴での事故?』ですまされるだろう。
先ほどのことがあったにもかかわらず、すっかり湯あたりしたのか着替えもそこそこにフラフラと仮眠所に向かうレニ。すでに疲れきっているように見えるその体はある種無防備状態である。
「むにゃむにゃ」
と倒れこむようにしてチェアに倒れ込むとそのまま寝息を立ててしまう光。だがなんとその格好『褌』一丁である。別に『大○』のミニチュアがいるわけではないのだが、明らかに褌一丁。上は何も着ていない、いや付けていないので、主武装がそのまま露に露出している格好。いくら同性だけとは言え、決してみせびらかす物ではないのだが、それはそれで可愛いさがかいま見えるから不思議。
「『YURI』? いえ、私そのような趣味はありませんので」
一切無関心を決め込む弓。確かにかかわらないほうが妙な属性が立たなくていいとは思います。
そろいの浴衣に着替えた緋音と美沙。仮眠所で仲良くソファを並べ談笑をするが、何かが起こるであろうことはすでに予測しているので心の準備は怠らない。というかむしろ巻き込まれたいご様子。
「お姉ちゃん。添い寝してほしいんだけど」
純粋無垢?な瞳でレニに頼む繭華。とそこへジェーンがそっとささやく
「レニおねえちゃんは、これから大変なことになるから、こっちへおいで」
と伝え、自分の隣に移動させる。この娘を巻き込むつもりはないのだろう。レニから離れるさせる。
さていよいよメインイベントの主役である更紗。すぐに仕掛けるのかと思いきや、とりあえずその体をソファに沈め仮眠の体勢に。どうやらお楽しみはまだ先の腹づもりなのだろう。
こうして。宴会の疲れが直ちに睡魔に変わった傭兵達。すぐに深い眠りに落ちたのである、‥‥そう一部を除いては。
●ついに禁断の扉
(「さて、そろそろかな」)
どのくらいたったのだろう。ついに動き出す更紗。その気配に反応するジェーン。そして何かを?察知したのか目を覚ます緋音と美沙。この時点で目覚めたもの4名、そして2つの影がこっそり動き出す。
「レニファーさん」
熟睡中と思われるレニを起こすジェーン。自分の隣で添い寝させた繭華はよく寝ていておきる気配はない。
(「ん、‥‥。え? なに」)
まだ半分寝ぼけ眼ながら反応するレニ。誰かの声が聞こえたのだがだれかよくわからない。
「ま、繭華ちゃん?」
そう思ったのか周囲を見渡す。そのスキに素早くレニの隣のソファに移動する更紗。それを何事か、と半分寝ぼけた状態で見つめる緋音と美沙。
「レニさん。さあ、これから私とじっくり語りあいましょうね」
ささやくような更紗。もはや『夜這い』というより『奇襲』に近いが。
「え? ‥‥語るって、もうこんな時間ですし、って、ちょ、ちょ、と〜〜〜」
あっという間であった。篭絡されたレニはすでにまな板の鯉。ジェーンと更紗に囲まれ逃げ出せない。ふふふ、という微笑が暗闇で見えるジェーン。
「同じ体ですから、同性の私はよくわかるんですよ。あなたのす、べ、て、が、ね。例えば、ここ、とか、そこ、とか」
艶かしくささやきレニに覆いかぶさってくる更紗。その主武装こそスペックでは劣るが、それを補う技量の持ち主である。レニのあんなこんな武装に手が伸びる。その性能を徹底調査しようというのか。
いつしか浴衣を脱ぎ、生まれたままの姿で攻略にかかる。
薄暗い闇にあやしく蠢く2つの影とあまりに(ピー)な声と吐息。さすがにレニ、その毒牙?から逃れようと這うようにして逃げる。が、その手が何かに触れる。やわらかい下半身の感触。なにかいけない副武装に手が触れる感触。
(「あ、ダメ、それは」)
レニが触れたものは禁断の緋音の武装の一部。それに触発されたのか緋音、思わず隣で寝ていた美沙の手をギュっと握る。突如のことにあわてる美沙。ソファからスベリおち、仰向けになる。浴衣が乱れ、(ピピー)な光景が。だがまだ目が暗闇になれていないので周りがどうなっているのか把握できない。逃げたと思ったレニ。だが決して逃がさない更紗。その行為は果てしなく続くかと思われた。
気がつけば闇に怪しく蠢く4体の女体。それは怪しく艶やかに、男は決して触れてはいけない禁断の世界。それが今目の前で展開している。そしてついにその時が。
●そして陥落
(「ああ、この感覚、ナニ。どうしてこんなに。ああ、こんなことが。コレって」)
自分の中で何かが壊れていくのがわかるレニ。それはひょっとして‥‥?
「あ、あ、更紗‥‥お、‥‥お、ね、え、っさ、ま、!!」
ついにレニが叫ぶその言葉、『お姉さま』。それははっきりと聞き取れるほどの声。
(「勝った!」)
心でガッツポーズの更紗。そしてほとんど同時に果てたような声で崩れる2つの影。さらに追いかけるように崩れる影2つ。
ついに陥落したレニ。だがこれで終わりではない。今度は『攻め』を体験させる更紗。まだ不慣れなレニをうまく誘導し、その手をあんなこんなところに導く。さらに動きと声が大きくなる2人。レニの主武装がおおきくたわむ。繭華が目覚めないか、もはや気にする余裕もなく。
「ふふふ」
そんな光景をずっと高みの見物?していたジェーンのかすかな笑い声が聞こえた。
かたや。偶然とは言え巻き込まれた形になり、やはり禁断の世界に迷い込んだ緋音と美沙。
「‥‥‥‥」
放心状態の美沙。何か大切なものを失ったようである。まさか巻き込まれるとは思っていなかったのか、それとも本人の予想以上の衝撃だったのか。
禁断の世界の魔物ははついにレニをエジキとし、ここにその門を閉ざすのであった。
レニファー・ドレイク。こうして「YURI」の属性がついたのである。
あれ以来。オペレーターとして勤務中に、同僚の女性オペレーターに接するレニのその目の配り方が以前とはかなり違っていることに気がつく者はほとんどいなかった、という。
了