タイトル:【RAL】ジハイドの逆襲マスター:文月猫

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/02/25 03:15

●オープニング本文


「なにやらまた北アフリカの方が騒がしいと聞くが」

 無機質な金属の壁と、これまた無機質な未知の金属でできているテーブルにその両脚を載せ、なんとも不遜な格好で彼の部下らしき男に話しかける細身の銀縁メガネの一見ひ弱そうな青年。

「どうやらそのようですな。ゼオン・ジハイドの10」

 話しかけられた相手である長身で筋肉質の男がゆっくりと相槌を打つ。

 そう。今彼の目の前にいる不謹慎な格好で足を組んだこの男こそ、かのゼオン・ジハイドの10、すなわちアルザーク、である。
 思えば。かつて【AA】において、一敗地にまみれ、挙句の果てにはジハイドのメンツにも関わる恥辱を味わわせられた大地たる北アフリカ。ティターンもろとも傭兵達にものの見事に打ち砕かれた無念さを忘れることはなかったこの男。そしてその耳に入ってきたのが‥‥。

 作戦名【RAL】(Roller for African Liberty)。チュニジアを拠点とし、一気にアフリカ北西部を攻略しようとする人類側の一大攻勢。その結果そこかしこで繰り広げられる人類とバグアの激戦。そんな情報はむろんアルザークの耳にも入っていたし、作戦の趨勢も刻々と情報として入手できていた。ならば、かつて自分が敗北を味わったこの地に再度赴き、汚辱を灌ぐ、というのも彼の思考からすれば当然の帰結だったのかも知れない。

「俺はアルジェリアへ向かう。前回の『借り』もあるしな」

 そう部下に告げ、上げていた足をもとにもどしそのまま立ち上がる。そして音もなく静かに部屋を出ていこうとする。

「まさか、またティターンということでもありますまい?」

 部下が皮肉っぽく声をかける。前回人類を甘く見すぎ、ティターンで十分と豪語して出かけて行った結果はすでに部下の誰もが知ることとなっていた。彼の予想以上に人類は手強く、侮れず、一筋縄ではいかない相手だったのだ。

 それにこたえる代わりに、アルザークは壁に据え付けてあったモニターのSWをいれる。するとそこには彼の現在の愛機たる漆黒のジハイド専用機〜ゼダ・アーシュ〜が主を待ち受けるかのように静かにその機体を横たえている姿があった。

「‥‥これなら文句はあるまい。もっとも‥‥」

 アルザークはゆっくりと部下の方を振り返った。

「傭兵達を相手にするより、あのお方に酔狂沙汰をとがめられる方が俺はやっかいだがな」

 そしてククク、と不気味なつくり笑いを浮かべると静かに部屋を後にしていったのだ。

「‥‥フフフ。アルザーク様らしくもない発言ですな。もっともその外見にふさわしい、とでもいうべきでしょうか?」

 部下が冷たい笑いを浮かべつつ答える。

 それほど時間のたつこともなく、漆黒のゼダ・アーシュが轟音とともに天空に消えていく。そのの行く先は砂塵と硝煙の立ち込める北西アフリカの地。

●参加者一覧

榊 兵衛(ga0388
31歳・♂・PN
篠崎 公司(ga2413
36歳・♂・JG
ティーダ(ga7172
22歳・♀・PN
飯島 修司(ga7951
36歳・♂・PN
堺・清四郎(gb3564
24歳・♂・AA
澄野・絣(gb3855
20歳・♀・JG
エイラ・リトヴァク(gb9458
16歳・♀・ER
リズィー・ヴェクサー(gc6599
14歳・♀・ER

●リプレイ本文


 北アフリカ沿岸部上空。‥‥蒼空を切り裂くように進むのはさながら死神を思わせるような機体。その漆黒のゼダ・アーシュは一人のゼオン・ジハイドを乗せ今まさにアルジェリア上空に到達しつつあった。
「フッ‥‥思えばここが俺の地球での戦いの始まり」
 ひとりコクピットの中で何を思うのか、ゼオン・ジハイドの10たるアルザーク。過去の屈辱が脳裏をよぎる。
(そうだ。だが今の俺にはこいつが‥‥)
 今の自分にはこの『ゼダ・アーシュ』がある。だがそのことがこの男に悪い癖‥‥すなわち過度の余裕と慢心をもたらしていることを本人は知る由もなかった。

 やがて。その高性能機上レーダーにいくつかの輝点が明滅し始める。それは彼を歓迎?してくれるであろう人類の出迎えであった。
「ほお。さっそくお出迎えか。ククク。いつもながら手回しのいいことだ」
 ニヤリ、と口元をゆがめるアルザーク。獲物を狙う時のその残忍さが表情に現れる。



「敵はアルザークか。奴とは因縁があるらしい。」
 同じころ。やはりアルジェリ上空へ向け蒼空を飛来するKVが8機。その軌条は長い尾を引いて揺らめいていた。
 その声の主は榊 兵衛(ga0388)である。初対面以来アルザークとは因縁持ちだが、常にその愛機は「忠勝」である。
 そしてやはり、アルザークと因縁深い傭兵、飯島 修司(ga7951)。そしてその愛機は『悪魔』たるディアブロ。以前同様、今回も少数でお出ましであることにいぶかしみつつも、今回は敵機が以前とはまるで違うことに警戒する。今回の相手はジハイド専用機なのだ。
(ボリビアでの借り、返させていただきます)
 ティーダ(ga7172)もまた、ゼダ・アーシュに一撃で撃破された苦い経験を忘れることはなかった。アルザーク同様、彼女にとっても汚辱を灌ぐチャンスなのである。
「シェイドの時に比べれば‥‥」
 かつての苦しい戦いを再び思い起こすのは堺・清四郎(gb3564)。その時の光景が今フラッシュバックのように思い返されるのだろうか。だが人類は油断した相手に簡単に藻屑にされるような愚か者ではない。そのことを改めて思い知らせてやる好機である。


 アルザークに遅れることしばし、KVの機上レーダーにゼダ・アーシュの機影が捉えられる。それは明らかにHWなどとは違うスピードで一気にKVに接近してくる。現在の高度は3000m。お互い視認できるまでもうわずかである。
「さて‥‥どれほどの強さなのか」
 ジハイドと初対戦の澄野・絣(gb3855)。ジハイドのお手並み拝見、というところなのだろう。その愛機「赫映」のコクピットは虹色に彩られている。
「こいつをぶちかましてぇが‥‥無謀すぎっか」
 エイラ・リトヴァク(gb9458)。その愛機の片腕に装着した電極型の「籠手」。ゼダ・アーシュ相手に0距離でぶちこめば破壊力抜群だが、それは同時に限りないリスクの裏返しである。運が悪ければ一撃撃墜になるとあって、さすがにためらいがある。がいざとなれば‥‥その覚悟はしているつもりなのだ。

 初陣は誰でも緊張しかつ怯えすらある。しかもその相手はあまりにも強大。リズィー・ヴェクサー(gc6599)にとっては、ジハイド自体はよくわからないらしいがそれでもでも自分もなんとか戦力として役立ちたい気持ちは他の誰にも負けずに強い。当然一抹の不安はぬぐいきれない。そんな自負と不安が表情にも表れているようである。

 そしてただ1機の電子戦機である篠崎 公司(ga2413)の『フェンリル01』、ウーフーがその中和装置を発動させたとき、アルザークもそして傭兵達も互いにその機影を敵の視界にさらすまでになったのである。その慢心とも取れる余裕か、あえて射程に分があるはずのゼダ・アーシュが先制攻撃を仕掛けることもなく、である。
 そんな傭兵達の狙い、それはDレーザーが発射される直前の静止状態。それこそが最大にしてひょっとすると唯一のチャンスかもしれない。だからこそ、
 
「うまくいくといいけど」
 心中の不安を吐露するリズィーの気持ちが傭兵すべての心中を代弁しているかのようである。


 意外なことに戦いの戦端を開いたのは傭兵達であった。



 初動。榊と飯島。歴戦の愛機を駆る2名が囮となりアルザークの注意をひきつける。
「‥‥久しいな。俺の事を覚えているか、アルザーク?」
 いきなりゼダ・アーシュのコクピットに飛び込んでくる榊の声。確かに聞き覚えのあるその声に直ちに反応するアルザーク。
「ほお。また貴様に会えるとはなんとも光栄だ」
 その機体のフォルムとインカム越しに聞こえるその声は決して忘れないアルザーク。かつて恥辱を受けた傭兵である。忘れようもないのだ。ニヤリ、とみにくく口元をゆがめる。


「ティターンで来てカプセルで帰って行かれた日から暫く経ちましたが‥‥機体の扱いは上手くなりましたか?」
 慇懃なアルザークの口調に構わず逆にその神経を逆なでするが如く挑発する飯島。ボリビアで不調であったレーザー砲のことまで話題に。アルザークにとっては古傷に塩を塗りこまれるような心境だっただろうが、
「ククク‥‥さてどうかな?」
 表向きは挑発には動じてない様子のアルザーク。だが内心、

(このクソがっ!)

 思わずコンソールを蹴飛しそうになるアルザーク。その飯島の挑発がよほどシャクにでも触ったのか怒りがこみ上げる。がその怒りがまだ収まらぬうちに、それぞれのKVから無数の閃光。KVから放たれた無数のミサイルの軌条がゼダ・アーシュに襲い掛かる。それは前後左右上下を埋め尽くすかのようである。

「フン! 無駄だ」

 迫りくるミサイルの軌条を気にするでもなくそのまま直進する漆黒の機体。瞬間その機体が爆煙に包まれ、KVの視界を遮る。がそれが晴れた瞬間、まるで何事もなかったように平然としているゼダ・アーシュ。殺到する幾多のミサイルをあろうことか漆黒の機体で真っ向から受け止めたのだ。それは機体に対する過剰なまでの自信か?

 あえて回避行動をとらなかったゼダ・アーシュに今度は榊機からの続けざまの2の矢が。UK11AAMが虚空を切り裂くように漆黒の巨人に殺到する。さらに高高度に展開したリズィー機よりきらめくようなミサイルの軌条が殺到する。

「フン。こざかしい」

 巧みな操作でこれをなんなくかわしつつ、返す刀でゼダ・アーシュの機体からまばゆいばかりの閃光一閃。だがそれははずれたのかわざとなのか飯島、ティーダ両機を掠めるように後方へ流れていく。その閃光が収まらぬうちに急降下を仕掛ける堺機の8.8が漆黒の機体に炸裂する。その衝撃は確実にゼダ・アーシュのコクピットにまで伝わる。

「全機コンバットオープン」

 それは篠崎機から味方全機へ向けられたもの。囮機に対しアルザークの注意が引き付けられたタイミングを計るかのようである。自身もそのミサイルを漆黒の悪魔に向かって放つ。ファランクスで迎え撃つアルザーク。
 それに呼応し、残されたKVも最大火力で漆黒の巨人に立ち向かう。かくしてあたりの空域は爆煙と轟音の轟く戦場と化したのである。当の篠崎機は電子戦機ということもあってリズィー機に守られるように高高度後方に展開中。


 初撃終了後、そのまま距離を詰める榊機。再度僚機となる澄野機とロッテを組み直し近接戦闘へとつなげる。同じく初撃を終えた飯島がティーダ機とロッテを組み、4機が前衛的なポジションに回る。

「こいつはどうだ!?」

 傭兵達を試すような口調のアルザーク。前衛の4機に向けゼダ・アーシュから放たれるミサイル。それらは彼らのほぼ正面から一気に迫ってくる。防御も兼ね、飯島と榊機の弾幕がそれに呼応し、瞬間あたり爆煙と衝撃音が支配する世界に‥‥。だが予想以上に放たれた数は少ない。まるでこちらの様子を窺っているようである。

「そちらばかり見ていてよいのですか」
 ティーダがゼダ・アーシュの死角に回り込もうとするが、機動性でははるかにKVを凌駕するゼダ・アーシュ、あっというまに死角をつぶされる。だがその転回機動中に浴びせられる飯島と榊らの弾幕。
「ちょろちょろと!!」
 歯噛みするアルザーク。多少のダメージには構わず目障りな前衛4機を振り払うべく大きく進路を変える。が‥‥、

「蝶のように舞い、蜂のようにさす!」
 堺の放ったK−02が待ち構えていたようにゼダ・アーシュの機体に殺到し、それにエイラのスラライが追い打ちをかける。さらにファランクスを放つアルザーク。
「相手がジハイドだろうがやってやるぜ!」
 喧嘩腰の口調は気の発露となってアルザークに浴びせられる。さらに榊とロッテ編隊を組んだ澄野機がそれに迫る。
「挨拶代りの一撃、しっかり受け取りなさい!!」
 眼前のゼダ・アーシュにドッグファイト気味に仕掛ける澄野。初手に合わせゼダ・アーシュに一撃を浴びせんと一気に迫るが‥‥、

「フン。こざかしい」

 あえて正対するゼダ・アーシュ。高速度でのすれ違いざまの強烈な一撃が澄野機に大きなダメージを与える。それはKV自体の交戦能力を奪うに十分なもの。白煙を上げ急激に落下していく澄野機。今までそれがいた空間をすり抜けようとするゼダ・アーシュの背後から飯島機とティーダ機からのG放電とプラズマライフルが襲い掛かる。


ガアアアアンン


 大きな衝撃音。並みのHWなら確実に爆炎を上げているところだろうがさすがにゼダ・アーシュ。この程度では見かけ上のダメージはまったくない。速度も落ちない。
「この程度か‥‥貴様ら」
 インカム越しにあざ笑うかのようなアルザークの雄叫び。


「てめぇのそのメガネ、気に入らねえんだよ!!」
 漆黒の悪魔に向けレーザーの雨を浴びせるエイラ。だがその小うるさい攻撃がうざったかったのかアルザーク。憤怒のごとき意味不明の気を発するとエイラ機に向けビーム砲の集中砲火を浴びせる。むろん他の機体からの攻撃を受けつつ、である。よほどエイラ機が目障りに感じたのかもしれない。致命的な直撃こそかわしたエイラ機だが、急激に機体出力を失ない、陣形から脱落していく。


 そのまま一気に突破を図るゼダ・アーシュ。囲まれれば不利と見たのかはたまた何か策でもあるのか。巧みな連携で飯島機、ティーダ機が背後から迫る。だがエイラ機が戦域から脱落したことでKVの包囲網にも綻びが。その間隙を縫って包囲網を突破すると急激に高度を上げ、一気にKVを振り切ろうとするアルザーク。

「貴様ら‥‥この俺様を本気にさせたようだな!」

 まるでいままでが「遊び」だったとでもいうような口調のアルザーク。他のKVより高高度に展開する篠崎とリズィー機のモニター一杯に迫る漆黒の機体。篠崎機を守るべくバルカンの最大射程まで一気に迫るリズィー機だが‥‥。

「邪魔だ!!」

 アルザークが喚き、次の瞬間、リズィー機のモニター全面を覆い尽くす閃光が浴びせられる。100%の力ではないとはいえその空ごと掠めとるような破壊力の前に、片翼を半分ほどもぎ取られ、そのまま落下していくリズィー機。邪魔者を蹴散らし、KVの追撃をあざ笑うかのように高高度へ突き抜けるアルザーク。

「どうやら俺様の本気が見たいようだな」

 それは恫喝にも似た叫び。そして逆光の中、KVの視界から一瞬姿を消したように見えたゼダ・アーシュだが‥‥。


 突如、再びKVの前に忽然と姿を現したそれはまるで全身から破壊的なオーラがにじみ出ているよう。人型に変形し、宙に浮いた状態でKVを見下ろしているゼダ・アーシュ。その手にした無機質な巨大なレーザー砲のようなライフル状の武器が強烈な陽の光で輝いて見える。

「貴様ら‥‥このDレーザーの藻屑と消えるがいい」

 それは全てを威圧するようにKVのインカムに響く。次の瞬間空中で静止したような体勢からその巨大な光線砲の銃口をKV達に向ける。千載一遇のチャンスとみたかKV各機から一点集中で浴びせられる砲火の雨。いつの間にか手にしていた盾でそれを受け止めるゼダ・アーシュは微動だにしない。6つの閃光を受け止めているのだ。

「くらえええええええ」

 前回は戦闘機形態でそのまま放ったゼダ・アーシュの誇る超必殺兵器、『Dレーザー』。やはり受け払いをする意味では人型の方が使いやすいのだろう。
 大見得を切るようにゆっくりと武器を持った手をKVの方に延ばすその姿に‥‥。


「‥‥! 皆さん、来ます!」
 とっさに察知したようにティーダが叫ぶ。
「レッドアラート! Dレーザー発射体勢を確認!!」
 同じく篠崎の声が重なる。全力のブーストで射程外へ退避するKVの描く軌条がまさにその四方へ拡散しようとしていたその時‥‥。
 ニヤリとほくそえみ、勝利を確信するアルザーク。勝ち誇ったような眼の色に変わる。


 次の瞬間。目もくらまんばかりの超弩級の閃光がそれまで相見えていた空域を切り裂くように突き進む‥‥かに思われたのだが。


「何!!」


 コクピット内で今起こった事実に呆然とするアルザーク。その視点はコンソールの警報ランプに釘付けになっていた。
 そう。そこには一つの赤いランプが煌々と点滅していたのだ。それが意味するものは‥‥。

 『Dレーザーエネルギー充填不良』

 まさにこの瞬間、いままであえて傭兵達の苛烈な攻撃を余裕かまして受け止めていたアルザーク。その外見こそまったく損傷はないように見えたゼダ・アーシュだが、そのダメージは予期せぬところに及んでいたのだ。
 Dレーザーが発射できぬ状態のゼダ・アーシュに回避反転したKV達が逆襲に転じる。榊、ティーダらがゼダ・アーシュに迫る。ティーダの狙い澄ました一撃がゼダ・アーシュの腕部を掠める。さすがにわずかながら動揺するアルザーク。

「クソがっ! ‥‥人間ごときにやれるとでも」

 Dレーザーは使えなくてもたかが8機程度、通常兵器で十分、と反撃の体勢に入ろうとするアルザークだが‥‥そのとき。


 プープープー

 
 コンソールの一つのランプが明滅する。ブライトン博士からの帰還命令を告げるものであった。出撃前にわずかばかり気になっていたことが現実になったのだ。

「チッ!!」

 コクピットを蹴飛ばすアルザーク。だが命令は絶対。止むを得ず体勢を立て直すとKVに弾幕をはりつつ全力で退避行動に移行。そのままこの空域を最大戦速で離脱していくのであった。KVが追撃するにはあまりにも敵は速すぎた。
 悔しさに顔をゆがめるアルザーク。汚名がそそげなかったことに対する憤懣がありありと見て取れた。



 戦いの終わりはあっけなく。とりあえずゼダ・アーシュ撃退だが、あのまま戦闘が続いていたらどうなったか? だが傭兵達の知恵と勇気ある奮戦が、ゼダ・アーシュの一部機能喪失、という結果を招いたことは事実である。澄野、エイラ、リズィーの3機大破という傭兵達が受けた代償も決して小さくなかったことを付け加えておく。

END