タイトル:ナイトゥフォーゲル出撃マスター:疾風

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/03/03 01:09

●オープニング本文


「これが新型機の開発計画書です」
 とある研究所の一室。
 真剣な顔で男が社長に提出したのは、新型のナイトゥフォーゲルの計画書だった。社長はその計画書を受け取る。
 社長は椅子に腰掛け、じっくりとその内容を一枚ずつ確認していく。計画書自体の厚みはそこまでない。
 4,5ページ目をめくったあたりだろうか。社長は急に目を大きく見開き、驚きの顔をする。そして、次に見せたのは笑みだった。
「すばらしい! まさか機体の開発案に、こんな発想があったとはな。このアイディアはまだ誰も考え付いてすらいないだろう!!」
「ありがとうございます」
 社長に褒められて、男はやや照れたようにはにかむ。
 そして椅子から勢いよく立ち上がった社長は、研究室に響き渡る声で叫んだ。
「今こそ、見せてやろうじゃないか!! わが社の本気を!! 次世代型合体ナイトゥフォーゲルの威力を!!」





「‥‥依頼です」
 オペレーターはいつもどおり事務的な口調で言う。
 しかし、いつもと違いその顔はどこか疲れているようだった。まるで、めんどくさい仕事をおしつけられたかのように。
「ドイツにあるおもちゃ会社からの依頼です。どうも、次世代型の新型機が出来たのでぜひ傭兵さんに見て感想をもらいたいと」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!!」
 思わずツッコミをいれたのは居合わせた傭兵の一人。
「‥‥なんでしょうか?」
「何故におもちゃ会社が新型の機体を製作してるんだ?! 機体ってKVだろ? そんなものがおもちゃ会社に作れるのか?!」
 当たり前だ、現代の最先端兵器の結晶でもあるKV、ようするにナイトフォーゲルがおもちゃ会社に作れるようなレベルならば毎日必死に開発にいそしむクルメタルやカプロイア等があまりに‥‥かわいそうだ。
 するとオペレーターはその疑問に答えるべく一枚の写真をディスプレイ上に表示した。
 表示された写真を見て、傭兵達は
「おぉ‥‥」
 と驚きの声を上げる。
 そこに現れたのは三つの機体だった。それぞれ1、2、3とナンバリングまでしてある。機器類もしっかり装備されており見た目は非常にまともだった。
 ただ、
「‥‥これ、飛ぶのか?」
「飛びません」
 オペレーターの即答にその場にいた傭兵全員が思わずずっこけた。
 傭兵達の美しいずっこけぶりを無視してオペレーターはさらに言葉を続けていく。
「三つの機体は互いにナイトゥフォーゲル1号、2号、3号。変形前なら『走行』、合体変形後なら時速4キロほどでの『歩行』はできますが飛べません。」
「一体、なぜこんなものを‥‥」
「この会社の目玉商品『三神合体ナイトゥフォーゲル』の1分の1モデルだそうです。記念碑的作品として制作したようで‥‥」
 軍事マニアというかロボットマニアの執念はどんな時でも恐れ入る。
 だが、
「なぁ、本気でこれ見に行く事だけが依頼か?」
 と、傭兵の一人がこぼす。
 さすがに、これを見るだけで仕事完了と言うのならば傭兵業って何なんだろうと小一時間ほど考え込みたくなる。
 もちろんオペレーターも同じ事を考えている。
「安心してください、それだけで終了させるほどULTも人手に余裕があるわけじゃありません。この1分の1ナイトゥフォーゲルを制作した工場をナイトフォーゲル生産工場と勘違いしたのか、周囲にキメラらしきものが出現したとのことです。ですが依頼主はキメラはついで、むしろわが社のナイトゥフォーゲルを見て見ての一点張りで‥‥」
 オペレーターは頭痛がするかのように頭を抱え込んだ。どうやら、この社長、相当しつこく電話で来てくれるよう催促をしたみたいだ。商魂たくましいとはこのことである。
「もうめんどくさいのでついでにナイトゥフォーゲルを見て適当に褒めてあげてください。あの会社の社長がナイトゥフォーゲルで『決めろ!! 正義の特攻ボンバー!!』とかキメラに対して行う前に‥‥」
 オペレーターの憔悴振りを見て、正直行くのやだなー、とか思いながらも傭兵達は出発の準備を始めることになった。

●参加者一覧

藤田あやこ(ga0204
21歳・♀・ST
潮彩 ろまん(ga3425
14歳・♀・GP
アヤカ(ga4624
17歳・♀・BM
鈴葉・シロウ(ga4772
27歳・♂・BM
智久 百合歌(ga4980
25歳・♀・PN
阿野次 のもじ(ga5480
16歳・♀・PN
シアン・オルタネイト(ga6288
16歳・♂・FT
シャレム・グラン(ga6298
31歳・♀・ST

●リプレイ本文

●行け、行け、僕らのナイトゥフォーゲル


 都市部より少し離れた緑の森に囲まれた場所に件のおもちゃ工場は存在する。
 なぜ、こんな場所におもちゃ工場があるのか?
「だって、秘密基地っぽいじゃない」(by社長)



 まぁ、そんなことはさておき、工場に到着した傭兵達を出迎えたのはやはりというか、当たり前だが、社長と、
「これが新型のナイトフォーゲルかニャー?」
 と呟くアヤカ(ga4624)の指の先に存在するのがあの三種の機体の組み合わせにより様々な戦闘形態になるという、あのナイト『ゥ』フォーゲルだった。



‥‥あれ?



 待って、アヤカちゃん!! それは『ナイトフォーゲル』じゃない、『三神合体ナイトゥフォーゲル』なんだ!! この小さな『ゥ』があるかないかが本当に重要!!

(ナイトゥフォーゲル豆知識1:ナイトゥの名前の由来は製作者の内藤さんから来てるんだ。決して名前付けるのがめんどくさかったからじゃないよ!! これでひとつ賢くなったね!)

 どうやら、アヤカはこの依頼を新型のナイトフォーゲル開発依頼と勘違いしていたようだ。

 だが、社長さんにとってはむしろそう思われるのはありがたい。だって、本物の傭兵さんが自分の製品を本物のナイトフォーゲルと思ってくれてるんだから。
 それほど自分の製品がよく出来ていると思うと、やはりうれしいものだ。
 
「いやー、本日はお集まりいただいて真にありがとうございます」
 だらしなくゆるんだ笑顔で語る社長につめよったのは阿野次 のもじ(ga5480)だ。
「バカモノーーー!! 貴社は機甲師団シリーズを作った際のゲルマン民族の誇りを忘れたか!? 見て貰おうと言う低姿勢が気に入らん。そこは『我が社の技術力は世界一ぃぃぃ〜〜〜この新作はKVのデーター値を基に作られておるのだぁぁ』ぐらい居直りなさい」
 お、落ち着いてのもじちゃん!! 気持ちはわからなくはないけど!! この依頼は社長を喜ばせなきゃならないんだよ!!
「ハハハ‥‥あの当時くらいの人気があればKVのもとになるようなもの作れたかもしれないんですが‥‥」
 ほ、ほら、社長、落ち込んじゃったよ!!
 すかさず、シアン・オルタネイト(ga6288)がフォローに入る。
「やっぱ合体は外せない要素ですよね! 俺こーいうの欲しかったんです! 社長サイン下さい」
「き、君は分かってくれるのか!!」
 涙目で社長はシアンの手を両手で握る。
 やっぱり、男の子ですから、合体が役に立たない機能って知っててもそれが浪漫なら追い求めるのです。
 鈴葉・シロウ(ga4772)はその光景を眺めながら笑顔でつぶやく。
「社長さんは褒め言葉の意味で莫迦な人。だがそれがいい。これからも美事に傾いて頂きたいですね」
 と、そこに潮彩 ろまん(ga3425)が少し、遅れてやってきた。
 事前に、キメラの目撃情報と工場周辺の地図などを探していたのだ。
 そして工場につくやいなや、1分の1ナイトゥフォーゲルを発見し、嬉々として近づいていく。だが、近くまで来たところで何かを思い出したかのように、ピタッと止まり社長に振り向く。
「あっ、今はそんな場合じゃない‥‥大変だよ社長さん、バグア帝国の超進化キメラ獣が迫ってきてるんだ!!」
「な、なんだってー!!」
 わざとらしく、驚く傭兵達。
「社長!! これは急いで合体して出撃しないと!!」
 智久 百合歌(ga4980)が社長に言う。
 もちろん、社長が合体に手間取ってる間にキメラを倒そうという作戦だ。

(ナイトゥフォーゲル豆知識2:ナイトゥフォーゲルの合体はエコを考慮し全手動なんだ。時間はかかるけど正義の味方は地球にも優しくないとね!!)

「分かった!! 急げ!! 合体!! ナイトゥフォーゲル!!」
 そういうと社長は、ナイトゥフォーゲルに社員を集め、さっそく合体を始めた。もちろん、哀愁漂う手動で。
「急がんと、キメラがこちらを襲うかもしれないぞ!!」
 社員をせかすように社長が檄を飛ばす。
「大丈夫、ボク達がそれまで足止めしてるからー‥‥さぁみんな、行くよ!」
 潮彩の声に傭兵達はうなずく。
 ただし、やっぱり社長一人ここに残しておくと、よからぬことをするかもしれないので社長を足止めするために藤田あやこ(ga0204)と百合歌はここに残ることになった。



●レディだってナイトゥフォーゲル


「〜OK、フライホイール接続、点火‥‥波道エンジンの閉鎖弁オープン」
「い、いや、ナイトゥフォーゲルにはそんなエンジン積んでないですよ?」
 と、いきなり社員の人にツッコミをいれられた藤田はナイトゥフォーゲルの合体を手伝っていた。見かけ上は。
 まぁ、実際、別段意味の無い復唱を行ったりして合体を長引かせようという作戦である。
 そして藤田の場合、何故かSFだからと言う理由でミニスカートを着用している。ただでさえ、日夜おもちゃと向かい合って女性との出会いが少ない社員の人たちにとっては非常に刺激的である上に、
「お・ね・が・い☆」
 なんて、ささやかれたらいろんな意味でヒャッホウ!! と、昇天してしまいそうで、集中できずに作業が進まない。一体、何をお願いされているのかよく分からないが。

 一方、智久も合体を少しでも長引かせ、さらにナイトゥフォーゲルをうまくヨイショしようとしていた。
「あ! 今の部分の合体、こう角度的に何か熱くていいですっ! 社長さん、もう1回もっと熱く行きましょう!! おぉ、Armの動きもNatural!」
 褒められて悪く思う人はいないだろうし、さらにお相手はあの社長である。
「おう、お嬢さん、わかってもらえますか! おい、お前達!! いまの合体のプロセスもう一回だ!! 今度はさらにナチュラルに!!」
 と、こんな感じで同じ合体シーンを何度も繰り返されれば当たり前だが時間は消費されていく。

 さらに藤田は社長に秘密基地がないと寂しい、と玩具オプションを提案したり施設内を巡り、底が割れるプールやら新商品やらを社長にどんどん案を出していく。
「いや、もう傭兵さんに来てもらえて、いろいろ案をいただけるとこちらとしてはありがたいかぎりですな」
 と、気づけば、社長はナイトゥフォーゲル合体させてキメラに立ち向かう事を忘れていた。


 おい、社長‥‥



●俺たち、三神戦隊ナイトゥレンジャー(仮)

 ナイトゥフォーゲルには不足しているものがある‥‥らしい。
 そう語るのは、阿野次だ。
「それは‥‥これからこの戦いでその存在を伝えるわ。見ておきなさい」
 まぁ、社長さんに見てもらうためというか、いっそのこと戦闘シーンもPV風にして社長さんに喜んでもらおうと、いわゆる一石二鳥作戦で戦闘を撮影する事を傭兵たちは考えていた。
 アヤカとシャレム・グラン(ga6298)が撮影を、そして残りのメンバーで戦闘を行う。
 傭兵達は戦隊ものとそのロボットみたいなノリでやろうと思ったのだが、あいにく、主役のナイトゥフォーゲルが合体中なのでシアンがロボット役をこなすことになった。
 といっても、ロボット衣装なんてそこらへんに落ちているわけではないのでおもちゃ工場で拾った金属を集めてロボットっぽくアレンジ。いろんな意味で最新ファッション(?)である。


 さて、肝心の蠍型キメラなのだが事前に調べたろまんの情報からも特に詳しい場所の特定までには至らなかったため、やはり森をかたっぱしから探索して発見するしか方法はないようだった。
 一塊となり森に入り探索を始める傭兵達。
「ところでシャレムさん。その透明な液体で満ちた程よい大きさの瓶は一体」
 シャレムに尋ねるのは、シロウだ。
 だが、シャレムは微笑むだけだ。ちなみに彼女はまだ覚醒はしていない。
 なんとなく嫌な予感がしながらも、その微笑が怖くなり、シロウはそれ以上追求できなかった。


 キメラを探し始めて一時間が経過したあたり、シロウが不自然に倒れた木を発見した。もしかしたらキメラが通過したあとなのかもしれない。
 そうすると、この周辺にキメラがいる可能性は高い。
 そう判断すると同時に、近くの茂みから何か大きなものが移動するような音が聞こえる。
 音の方向に傭兵達はそれぞれ、武器&カメラを構えた。
 瞬間、茂みから飛び出すようにキメラが現れる。
 それは目撃情報どおりの蠍型キメラだった。
 全長は尻尾を含めて大体2mほどだろうか? 体色はやや茶色っぽく、見た目からして硬そうな甲殻に覆われている。
「お前、私のファンタスティックテクニックに釣られてみる?」
 覚醒し頭部がシロクマになったシロウがまずけん制とばかりにリーチが長い槍で突きをぶち込んだ。甲殻で多少攻撃力は軽減されるものの、この一撃は確かに効いたようだ。キメラは傭兵達を危険な存在と認識したのか、後ろに飛ぶように退く。
 だが、そこにいつの間にか木に登っていたいたのもじが飛び降りるようにして攻撃を加える。セーラー服だと落ちてくる時にスカートがめくれるわけだが、スパッツ着用で安心らしい。まぁ、こんな時にそこまでして見たい人もいな(削除)
 さらに追い討ちをかけるようにキメラの背後に回ったろまんが急所突きで甲殻の隙間に斬撃を与える。
「悪い宇宙怪獣め、ボクこれから死ぬほど合体させたり、分離させたり、変形させて遊ぶんだ、その邪魔は絶対させないんだから」
 そこまでやったら、戦闘形態に変形というよりは、形状自体を変形させてしまいそうである。
 さすがにここまでやられてキメラも黙っているわけには行かない。
 その長い尻尾の先端をシアンに叩き込むが、あっさり紅でガードされる。
 鋏を使い、シロウにも攻撃を仕掛けようとするが、これまた回避。
 また、背後から援護攻撃のような形でシャレムがスパークマシンαから電撃を放ち、相手の攻撃を止める。
 自分の出す攻撃が通用しなかった事で、キメラは自らの身の危険を感じる。
 これ以上戦うと確実に負けると、本能で悟ったようだ。
 ここから逃げ出そうと、隠れやすい茂みに飛び込もうとする。
 もちろん傭兵達もそう簡単に逃がすわけには行かない。


(ナレーション:アヤカ)
 さぁ、今こそナイトゥレンジャーの必殺技を見せる時がきたよ。
 みんなの必殺技を一つにすれば、どんなキメラもイチコロだね。
 それじゃぁ、みんな、いくよ!! せーのっ!!
「ハーケンディストール!!」
「波斬剣、縦一文字斬っ!」
「‥‥風鈴五月雨斬り‥‥ふっ、またつまらぬものを斬ってしまった」



 ‥‥出来れば、必殺技の名前はある程度共通点を持たせたほうがよかったのかもしれない。
 それはともかく、三人分の攻撃を一度に食らったキメラは瀕死の状況まで追い込まれる。
 そして、やはりトドメはロボット役の人に刺してもらうのが戦隊もののルールである。


(ナレーション:アヤカ)
 さぁ、みんなの思いが一つになったナイトゥレンジャーの思いが通じて、ナイトゥフォーゲルの登場だ。
「見よ、ナイトゥフォーゲルクラーシュ!」


 技の名前が何か頼りない気はするが、その実態はシオンが豪力発現と豪破斬撃のスキルを発動させ紅とイアリスの両刀で放つ、強力な二段斬撃である。
 もちろん先ほどの攻撃で弱っていたキメラに防ぐ術はない。
 額の甲殻が破壊された音と同時に軽く身をよじらせたあと、キメラはその生命活動を停止した。


 キメラを倒し一息ついたところで
「ばっちし、撮れましたか?」
 と、撮影を行っていたシャレムにシアンが尋ねる。
「大丈夫です、みなさんの活躍はしっかり撮れましたわ」
 その声に皆は、ようやくほっと一息ついた。



●合体せよ!! ナイトゥフォーゲル

 社長がキメラ倒す事を忘れても社員はとりあえず、どうせ途中まで合体させたのなら最後までやる。
 ナイトゥフォーゲルがちょうど合体を終了しようとしていた時に、傭兵達はキメラを倒し工場に帰還することが出来た。
「これがナイトゥフォーゲル‥‥」
 誰かが呟く。
 よく考えたら当たり前の話だが、普通のナイトフォーゲルと違い三体で一体分の大きさになるのである。ゆえに、ナイトフォーゲルよりさらに一回りでかい。
 さらにパイロット席が全部で三つあるので合体時は三人で上半身、腰、下半身を別個に担当する事になる。
 使えない機能だって? わかってないな、だからこそ浪漫なんだよ。



 さて、件の社長はすっかりキメラ退治のことを忘れていたわけだが、傭兵達が撮ってきたビデオを渡され、ようやく思い出した。
「いや、というか、本当にご迷惑かけてスイマセン。本当だったら自分も戦いのお手伝いをしたかったところなんですが‥‥」
 社長が申し訳なさそうに言うのに対して
「でも、戦いは俺らに任せて、社長は子供に夢を与える為に、これからも格好いい玩具をたくさん作って下さいねっ! 怪我したら社長のカッコイイロボを待ってる子供達が可哀想ですよっ」
 と、シアンが諭す。
 続くようにシロウが言葉を続ける。
「これは依頼に参加できずに悔しがっていた友達からの伝言です。熱く語り合い3体合体を手伝いたかった。だそうです」
 そう、ロボットファンは目に見えるだけじゃない、それこそ世界中にいるのだ。彼らのためにも社長はがんばってロボットを作っていかなければならない。それこそ、夢と希望を与えるために。
「そうですね、いや、ホント、これからもっとがんばりますよ!!」
 二人の励ましに社長は更なる元気がわいてきたようだ。
「ねぇねぇ社長さん、こんな合体もできるよ!」
 と、ナイトゥフォーゲル玩具版を見せてきたのは潮彩だった。
 ただし、コレをロボと言うのか、むしろ前衛芸術に近い形に変化していたが。
 まぁ、ただこういう無邪気な子たちの笑顔を守るのもおもちゃを作る人たちの仕事なのだろう。
 そして、最後に、阿野次が社長に告げる。
 それは先ほど、社長に告げなかったこと。この会社に足りない存在だ。
 そう、その存在とは!!
「それはミー!! 燃えに対する萌え! 絶対可憐美少女パイロットの存在! つまりのもじ1分の1スケールをつくって販b‥‥うわ、なにをす‥‥」
 せっかくの社長の感動をぶち壊しにして、阿野次は他の傭兵達に連れ去られていった。


 最後に残ったのはなんともいえない、よくわからない余韻であった。



●後日談

 PVはその後、おもちゃ会社の手で再編集され、ナイトゥフォーゲルの宣伝用にあちこちのおもちゃ屋で流される事になったり。

 そして、シャレムが隠れて作ったキメラの蠍漬け酒は、知らない人に飲ますのは危険としてどこか、キメラの研究をしているところに流れたそうだ。