●リプレイ本文
●フェチ道は一日にして成らず 〜準備〜
とある兵舎にある大きめの会議室に、傭兵達は今回の話し合いの準備をするべく集まっていた。
そう、分断してしまった兵舎をまた一つにさせるために!!
「いや、こう、『脚フェチ』としては出張らないわけにはいかねぇなぁと、思ってさ」
アッシュ・リーゲン(
ga3804)はさわやかな笑顔で、そう語る。
「新しい制服をお披露目するには絶好の機会よね?」
藤田あやこ(
ga0204)はスカートをたくし上げながら、そう語る。
「ついでに販促販売物も作っちゃえ!」
阿野次 のもじ(
ga5480)は商魂たくましそうに、そう語る。
‥‥分断された兵舎のことはー?
と、問いかけたくなる理由で幾人かの傭兵達は参加していた。
いきなり先行きが不安である。
まぁ、とりあえず準備の仕事は一応、行っているようなのが幸いだが。
そんな、自分のため(?)的な傭兵達とは対称的に、
「全くもう、こんな事で争ってどうするのよ。まあ、解らないでもないけど」
と、愚痴を呟きながら、高木・ヴィオラ(
ga0755)は会議室に机を運び込んでいた。彼女の衣装は、生脚派が「ヒャッホイ」と、飛び上がりたくなるような、スリット入りのチャイナドレスだ。
高木の呟きに、シーヴ・フェルセン(
ga5638)は言う。
「好きなモン主張する分にゃ全然問題ねぇですが、相手に押し付けやがるのは論外、さらに女性の敵。ツッコミ所も多いので、戦うです」
確かにツッコミどころは満載である。
この兵舎が分裂したまま、大規模作戦に参加することになれば、
「俺たちストッキング派が、生脚派の援護なんて受けられるかー!!」
てなことになりかねない。
ただ、シーヴが何と戦うつもりなのかはわからないが。
「俺は、ニーソ派だからなぁ」
そう語りながら会議で使用されるであろう、ホワイトボードを運び入れるのはダニエル・A・スミス(
ga6406)だ。
彼はそこに今回の話し合いの資料として、ストッキングと生脚の女性の写真を貼り付けていく。
「まぁ、あれだ、フェチズムっていうのは押し付けるものじゃいけねぇよな」
そう語りながら、さりげな〜くニーソの女性の写真も貼り付けていたりするのだが。確信犯的犯行なのだろうか?
ちなみに彼をさらにさりげな〜く観察している女性がいた。セリス(
ga7290)である。どうも、何かを企んでいるかのような笑みを見せながら会場の準備を手伝う。
そして、そんな準備にいそしむ女性陣の脚を、激写すべく、阿野次が縦横無尽に走る。
最初に語ったように、どうやら販促販売物として使用するようなのだが、
「いけるわ、名付けてフェチキュアV!!」
「それを販売しようとするなら、使用料をいただきますよ?」
後ろから、満面の笑みで話す弓亜・真琴(
ga0470)に屈して、あきらめたようだった。
彼女が今回一番の常識人なのかもしれない。
●第一回脚フェチ会議〜開幕〜
準備が整ったところで、今回の主役でもある男、いや漢たちと書いたほうがいいだろうか? が、入場をしてくる。
「はい、はい、武器は没収ですよー」
「えー」
入り口にて、彼らがもつ武器を藤田や、ダニエル、シーヴらが没収していく。
「えー」ということは彼らは使う気満々だったのかもしれない。危ない連中である。
だが、チェックしてるシーヴあたりも武器を持っているのだが‥‥
誰も突っ込める勇気がある者はいなかった。
そして、会議室に置かれた長机の前にそれぞれ、二つの派閥の者たちが向かい合う形で着席する。
その数、約30人ほど。しかも、それでも代表者ということなので実際にはもっといるのだろう。配置された長机の間は開かれているため、乱闘ごとになっても、対処出来る時間はあるだろう。
「ひゅー、みんな、美脚は好きか!!」
長机の先頭、ホワイトボードを背にしながら議長席にて阿野次が叫ぶ。
「ぶるぁーーーーーーーーーーー!!」
応じるように言葉で表現できない男達の叫び声が部屋をこだまする。
「私は司会の阿野次のもじ。好きな靴下ニーソックス。よろしくね」
「ぶるぁーーーーーーーーーーー!!」
「馬鹿ヤロウ。台詞の頭と終わりにサーをつけろ」
「サー YES サー!!」
女性相手だったらマムのはずなのだが、そこらへんは気にしちゃいけないらしい。
「最優秀者には、のもじ作成オペレーターR嬢の可動式1/10フィギア(本人未承認)をカスタム贈呈、兎衣‥‥」
さすがに、話が脱線したようなので他のメンバーに引き摺り下ろされた。
だが、司会者が降りたところで盛り上がりは収まらない。
呼応するように立ち上がるのは今回の事件の原因となったエンリコとジョン。
「我ら、生脚派と!!」
「我ら、ストッキング派は!!」
議長席に向かい宣誓する。
「「正々堂々、脚の話しをすることを誓う!!」」
見事に重なり合った声は、実はこの二人仲がいいのではないかと思わせるほど、息がぴったりである。
結局、脚フェチには変わらないのだからだろうか‥‥
●第一回脚フェチ会議〜討論〜
先攻の権利を得たのは、生脚派だった。
生脚派が誇る、精鋭部隊が次から次へと生脚の利点を語っていく。
「むっちり感とか!!」
「そう、めっちりなんだよな!!」
「というか、もっちり感?!」
「いや、感覚的に言えば、まっちりだろ?」
‥‥残念ながら、思考が暴走しすぎで会話が成り立っていなかった。
そんな彼らを見かねて、ひとりの女性が背後から助太刀に現れる。藤田だ。
‥‥もちろん、仲裁役のはずである。
「ストッキング派はわかってないわよねー?」
いつのまにか、生脚一派になっていたようだ。
「パンストだとこういうのありえないよねー?」
スカートをちら♪
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
男達の嫌な歓声が部屋に響く。
具体的に書きすぎると、いろいろとまずいので、詳しくは書けないのだが。
藤田がスカートをちらりと、した。
そして、見えたものはブルマと、その脇からすこしはみだした白いものである。
確かに、これは生脚ならではのもの、なのかもしれない。
「これは東京五輪で(略)米国生脚主義万歳!!」
「万歳!!」
生脚派の声が、それに続く。
トリビアを混ぜながら語る彼女の生脚論は具体的例も提示され、ストッキング派の心を大きく揺さぶった。しかし、彼らのストッキングへの思いはそう簡単に折れるものではない。
とりあえず、藤田の活躍(?)にて、著しく生脚派にパワーバランスが偏った。まぁ、このまま全員が生脚派になってしまうというのも一つの手なのだが‥‥
と、そこにさっきまで悠々と茶をすすっていた、シーヴが仲裁に入るべく動き出す。ただし、何故か大剣を携えて。
そして、そのまま、二つの派閥の中央に大剣を振りかぶり、叩き込む。
こう、ドカン!! っと。
「ひぃ!!」
蜘蛛の子が散るように、派閥の者たちが両端に逃げる。
「てめぇら女側のこと、わかっちゃいねぇです!!」
そして、にらみを利かしながら、両派閥に語る。
着物を着ている所為だろうか、なんだか、非常に威圧感を感じてしまう。
「生脚派!!」
「はい!!」
「北欧の寒さ舐めんじゃねぇです。寒いぼ出ようが壊死しようが、それでも生脚でいろと? 熱帯で蛭に食われようが、萌えの為にゃ構わねぇですか」
「いや、それは‥‥」
答えにつまる生脚派。
「そして、ストッキング派!!」
「はいぃ!!」
「24時間ストッキング履いてやがれと? 寝る時ゃ脱ぐんじゃねぇですか、それ? 伝線気にして戦場で重体とか、どう責任取りやがるです」
さすがに、戦場で伝線を気にする女性はいないような気もする。
だが、ストッキング派の鎮静には大いに役立った。
「世の中TPOっつーモンがありやがるです。服や状況で女はニーソかストッキングか他か選ぶです。どっちがダメじゃなく、両方必要認めるが良し、です」
まぁ、確かに自分らの趣味で女性を振り回すわけにはいかない、ということはよく分かっただろう。
「私も少し語らせてもらうわよ?」
今度は先ほどまで議長席の隣で、話しを聞いていた高木が話し始める。
脚を組みなおし、自らのチャイナドレスのスリットから見える生脚を見せ付けるかのようにすると、口を開いた。
「まず生脚の良さから語らせて貰うわ。女性の肉体の魅力の基本は曲線美。それを強く表しているのが脚ね。生脚の最大の魅力は女性のありのまま‥‥つまり“健康的な美しさ”だと考える。あたしはそれで勝負したいから。普段チャイナドレスを着ている訳」
高木の言葉に、なるほどー、とか言いながら頷く者たちはいままで何を考えていたのだろうか疑問だ。
そこまで、語ると、高木は一度部屋の外に出て、早着替えをし、戻ってきた。今度はパンスト装備の女教師風である。
ストッキング派から
「おー」
との歓声が上がる。
高木はまた、脚を組んで席に座ると、先ほどと同じように語り始めた。
「次にストッキング。これには女性を“オンナ”に変える力がある。素のままの脚を艶かしいものにする、魔法のアイテム。だからあたしも好きよ」
「結局のところ、両方ともいいところがあるんですよね」
続けるように、答えるのは弓亜だ。
「双方共に言える事はお互いとも『足を美しく魅せる』という点に集約されていませんか? 好いている根本は同じなのに、どちらの魅せ方が優れているかを決め付ける。愚かな争いだとは思いませんか?」
黙りこくる両派閥。
「物が違いますけど、同じ様に熱くなれるものを持っている私としては、こんな事を繰り広げる人達に『これが好きだ!』と叫んで欲しくは無いですね‥‥薄っぺらく聞こえますから」
満面の笑みで答える弓亜。
高木も糾弾する。
「生脚とストッキングにはそれぞれの魅力があるの。自分の言い分ばかり主張して相手の意見も聞かないお子チャマには幻滅。そんな子どもが大人の女性を語るなんて一億年早い! そういうこと」
そう、高木が言い終えると場が静かな沈黙に包まれた。
さすがに、彼らも今回の騒動を反省し始めたのかもしれない。
とりあえず、そんな沈黙の空気を打破しようとしたのは、黒服、黒眼鏡を装備して、話しを見守っていたダニエルだった。
「フェチズムってのは押し付けるもんじゃねぇ、同好の士を集めるのはフリーだが、バトルはいけねぇ」
そりゃそうだ、こんなことで、いちいちバトルしてたらバグアが来る前に人類は滅びているだろう。
「互いの意見を認めるというのは、重要だがそのミドルを取るという方法もあるんだぜ? 個人的にはニーソがフェイバリットだな、俺的にはニーソの絶対領域にフェチズムがくすぐられるわけだ」
ホワイトボードに張られた一枚のニーソをはいた女性の写真。
皆がそれに視線を集めた。
両派閥から、
「‥‥あぁ、ニーソもいいかもな‥‥」
という、声が上がり始める。
そして、それに答えるように、セリスがピコピコとハンマーで机を叩き、自分に注目するようにした。
「まったく貴方達ときたら‥‥どうしてそんなに極端‥‥なの?」
そういうと、自らの脚にゆっくりと黒いニーソをはき始める。
セリスの生着替えである。
その、美しい足にするするとニーソがまとわれていく。
声をあげるものもいない。見とれながら、誰かがごくりとつばを飲む音と布ずれの音だけが聞こえた。
ニーソとミニスカートの間に存在するという、絶対領域を見せつけながら、スカートをめくるように男性陣を魅惑的に挑発する。
「ふふっこういうのは‥‥どう?」
(注:リプレイの対象年齢が上がりすぎてしまうため、これ以上の行動の描写は危険と判断しました。ちなみに下着は黒だそうです。みなさんの脳内で補完してください)
「これなら黒ストも‥‥生脚も‥‥味わえるからいい‥‥でしょ?」
何も言わずに従順に男達は首を縦に振っていた。
●フェチ道は永遠に〜閉幕〜
彼らはまとまり始めていた、互いに否定しあわないでも歩めるということが傭兵達のおかげで分かり始めてきたようだ。
最後にと、先ほどまでずっと壁にもたれかかっていたアッシュが自分の中のフェチ道を語り始める。
「お前達の中で、人の笑顔『だけ』しか好きになれないってヤツはいるか?まあ普通そんなヤツはいないよな? なら何故『足』も同様に愛する事が出来ない? パンストだろうと生足だろうとそれは『足』が見せる表情の一つだ、真に愛おしく想うモノならどの表情でも愛せる筈だろう?」
真面目な顔でそう語ると、さらに続ける。
「お前達は『光と影』だ、影は光が無ければ存在する事ができず、光もまた影が無ければその存在の有難みを理解する事が出来ない、相反する存在がある事でお互いはより輝くという事だ。」
集まった男達はアッシュの語りに耳を傾け続ける。
中には涙すら浮かべて、アッシュの言葉に聞きほれている男もいた。
「その芸術品を一つの側面から眺めただけで満足してしまうのか!? そして優れた芸術品に優劣をつける事は愚かな事だと思わないか?」
会場にいる誰もがその言葉に頷く。
「一瞬でも良い‥‥観念を捨て、互いの愛するもの見てみないか? そうすれば新しい世界が見える筈だ、きっと‥‥」
兵舎を揺るがさんばかりの大拍手が巻き起こった。
参加していた男達は誰もが涙を流す。
脚フェチ以外には、分からない世界である。
「ジョン‥‥俺が、悪かったよ。君の好きな生脚を馬鹿にして」
「いや、エンリコ、僕も向きになりすぎたよ。そうだよな、アッシュの言うとおり、俺達は一緒に生きていく事が出来るんだ!!」
「そうだよ、これからは否定しあわないで!!」
「他人に迷惑をかけないように!!」
「「「皆、共に『脚』を愛する者として‥‥道を歩もう‥‥」」」
アッシュ、エンリコ、ジョンの言葉が重なる。
そして、彼らは互いに肩を抱き笑い合う。
気づけば、彼らは純粋に脚を愛する兄弟となっていたのだ‥‥
こうして、傭兵達の活躍で兵舎は一つになることが出来た。
だが、油断してはいけない。
仲間割れをする火種とは常に、あちこちに落ちているのだ。
「ポニーテールのよさが分からんやつは人ではないわー!!」
「いや、ツインテールがさいきょーーーーーーーーう!!」
ほら、今日もまたどこかでフェチ道を歩く者達の戦いが始まっている。