タイトル:【BV】緑土の海マスター:姫野里美

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/04/05 12:47

●オープニング本文


 グリーンランドは、雪と氷に閉ざされているが、かと言って決して平坦な土地ばかりではない。今回、要請があったのは、そんな起伏に富んだ土地に関する事だった。
 カラスがUPCからの要請で向ったとある入り江。輸送中に落としたパーツを探す為、水中カメラを持参して向った。ところが、4方2kmと言う、大型兵器で動き回るには、結構狭いエリアに、ワームが16匹も潜んでいたのだ。
「確かにワームのようだね。中身はマンタかな」
 カメラに映っているのは、優美とも言えるフォルムを持つカレイだった。ただし、近くにあった岩と比べると、サイズが3倍は越えている。グリーンランドに大きなカレイがいるなんて聞いた事もないし、それだけ大きなカレイが存在しているはずもないので、まちがいなくワームだろう。
「他にシャチが3匹‥‥。上のは調教師役と言ったところかな」
 その巨大カレイを護衛するように、白と黒のフォルムを持つ巨大なシャチが回遊中だ。比較的北の海にもいるらしいシャチなのだが、流石に大きさから言ってワームなのだろう。その背中には、海に潜みやすいようにか、紺色の塗装を施したヘルメットワームが5体。細かい隙間に出たり入ったりしている。まるで、何かを探すように。
「この間の輸送作戦の尻拭いなんて‥‥と思ったけど、以外と良い拾い物したみたいだね。探す者は同じ、かな」
 カラスはそう言って、見つからないうちに水中カメラのスイッチをオフにすると、准将へと連絡するのだった。

 その頃、カンパネラでは。
「今時、HWなんざどこでもいるだろう。何でいちいち俺ンとこ持って来るんだよ」
 報告を受けたジジィことキャスター准将が、モニター向こうのカラスにぶうぶうと不満を漏らしている。が、カラスも流石になれたもので、状況の画像を出しながら、こう反論してきていた。
『KVの出撃許可権限持ってるの自分だって事、忘れないで下さいよ。ただの偵察にしては、どうも数が多すぎますし、だいたいあんな所に16匹も送り込んでくる目的が分かりませんよ』
 入り江の画像のあちこちに、マンタワームの姿が垣間見える。何れも強化されたものだ。その証拠に、画像には酷いノイズが走っており、妨害電波が垂れ流されているのがよく分かる。
「俺ぁ別に何も隠してはいないぞ」
『そうですか? 変な超機械とか隠し持っていません?』
 まーたオモチャを隠してるんじゃないのか的なふりに、眉をひそめる准将。
「あったらとっくの昔に、実験に放り込んでるつーの。とりあえず地図は出るか?」
『相変わらず昔の航空写真しかないですけどね』
 超望遠の画像へと切り替わる。細かい造作なんぞ欠片も分からない地図だったが、かなり狭い入り江で、深さもそれなりにと言うのは見て取れた。水の下にも、起伏のとんだ切れ込みがあるのも若る。
「‥‥あー、こりゃあこの入り江そのものが狙いだな」
『どういう意味です?』
 怪訝そうに聞き返すカラスに、准将は手元のコンソールを操作し、青いラインを浮かび上がらせた。
「グリッド引いてみると分かるんだが、まぁいわゆる戦略的以下略って場所なんだ。あいつらどうやら上陸地点を探してるみたいだな」
 水の深さから割り出した場所も、上陸するには適した場所だ。しかし、それにしては16匹は多いかもしれない。
『何か探していると言う可能性は‥‥』
「あるだろうな。ここは潮流の流れが早そうだし。他の残骸が流れ着いていても不思議はあるまい」
 それを、准将は先の作戦で落ちた兵器を探していると予想していた。入り組んだ地形は、水の流れを早める事がある。いわゆる吹き溜まり現象と言う奴だ。
『それを捜索と言うわけですか‥‥。やっちゃって良いでしょうかね』
「ああ。あんまり気分のいいモンじゃないしな。水中戦になりそうだし、キットだけはこっちで用意しておくが‥‥武器までは回せなさそうだな」
 ただの偵察を迎撃するのに、武器防具一式丸ごと揃えては無理だろう。それでも、水中キットがあるだけマシである。まだまだ物資はあまり豊かとは言えないのだ。
「それじゃ、何かあったら連絡頼むなー」
『わかりました』
 一通りの調達を終わらせたカラスは、そう答えるとその依頼を本部へとまわすのだった。

【入り江での水中戦。相手はおそらく偵察部隊なので、水中キットくらいしか貸し出せないが、持ち込みそのものは自由。狭いわりに敵の数が多いので、別な目的があると思われる。迎撃部隊メンバー求む】

 なお、参加人数は用意できる水中キットの都合らしい。

●参加者一覧

ゴールドラッシュ(ga3170
27歳・♀・AA
威龍(ga3859
24歳・♂・PN
百地・悠季(ga8270
20歳・♀・ER
依神 隼瀬(gb2747
20歳・♀・HG
澄野・絣(gb3855
20歳・♀・JG
佐渡川 歩(gb4026
17歳・♂・ER
橘川 海(gb4179
18歳・♀・HD
イーリス・立花(gb6709
23歳・♀・GD

●リプレイ本文

 今回、参加した傭兵達は、皆自分の水中機を持ち合わせていた。その為、ゴッドホープから海に入り、そこから水中経由で現場海域へ向っていた。
「上手く撃退できればいいんだけど」
 KVを動かす為には、覚醒する必要がある。その為、澄野・絣(gb3855)の口数は少ない。
「こっちも初陣だしな。新たなる俺の手足として存分に活躍してくれると良いんだがな」
 コクピットの中で、パシッと拳を打ち鳴らす威龍(ga3859)。ある依頼をきっかけに、リヴァイアサンへと乗り換えたが、果たして機体が己に馴染んでくれるか。
「うー……初めての水中戦だし、緊張するなぁ。でも、とにかく、諦めて帰って貰わないと困るよね」
 依神 隼瀬(gb2747)も、水中機を扱うのは初めてなようで、苦笑しながら、コクピットの中でこきこきと体を動かしている。
「私は今回こそ酷い目に合わないように‥‥。私に出来る事を‥‥」
 絣が短くそう言った。何しろ、過去2回の水中依頼では、片腕がもげたり、装甲がボロボロになったりと、整備員泣かせな状況になっている。今度こそは、そう言った状況のないようにしたい。
「だって絣さん、ここ最近、水中戦になると、怪我ばかりして帰ってくるんだもん。アルバトロス、お願いねっ」
 親友の橘川 海(gb4179)が、そう言って心配しているのも、わかる気がする。そんな彼女達の様子を玩味していた佐渡川 歩(gb4026)、眼鏡の表面がきらんと輝く。
「ふむ‥‥」
 光の加減で、その下の表情を伺う事は出来ないが、モニターに映る姿は、何やら熟慮しているようだ。
 ところが。
「あー、まぁたえっちな事かんがえてるでしょーっ」
「‥‥こほん、作戦を確認しましょう」
 ツッコミを入れた海の一言に、否定はしない佐渡川。何か考えているように見えて、そうじゃないってのは、間違いないようだ。
「准将通じて廻ってきたのは、近海でのワーム16体相手の水中戦ね」
 ゴールドラッシュ(ga3170)から回ってきた地図で、状況を確認していた百地・悠季(ga8270)がそう言っている。
「敵さん、いったいここで何してたんだろうねっ?」
「とっとと全滅させて、沈んだ財宝サルベージと洒落込むわよ」
 今回はそれに加えて、何かお宝が沈んでいるんじゃないかと皮算用しているゴールド姉さん。
「何か索敵してる様だけど、どうせあたし達に都合が悪い事に決まってるから、それを妨害しない手は無いわね」
「そう言う事です。では、交戦したら、連絡を下さいね」
 百地にそう答えたイーリス・立花(gb6709)は、陽動班にそう頼んでいる。
「氷点下近い水面下戦闘か‥‥まあ、3人で行くならどこまでもよね」
「いくよ、華王」
 微笑を浮かべる百地。モニタを小突いて願をかけるイーリス。それぞれの手法で、思いを繋げる傭兵達だった。

 ごぽり、とKVの周囲に気泡が浮かぶ。リヴァイアサンに搭乗した4人は、該当する海域へとその機体を進めていた。水面近くに浮かぶ彼らの眼下に、ちらちらと青い姿が見え隠れする。
「いたね」
 それだけのマンタワームが入れば、自然、バグアの妨害ノイズもはなはだしくなるもので、モニターは使っても無駄だろう。防水処置の施された風防越しに、目を凝らすゴールドラッシュ。
「やっぱり、何か探してやがるな」
 同じく威龍も目を凝らせば、そこに数匹のマンタの姿があった。 リヴァイアサンの巨大が、水面で身をくねらせるように動く。敵をひきつける為に、まるで鯨が跳ねるように、ばしゃりと盛大な水音を立てている。KVで動きまわるには狭い入り江だ。横に並ぶと、圧迫感が生まれた。
「敵を引きつけるんですよね。皆が上手くやってくれると良いけど‥‥」
 下のマンタは、こちらの事などお構いないだ。その様子に、絣が不安そうに強襲班の様子を探る。
「確かにこれじゃ、上手く頭上を取れるかわからないな」
 隼瀬も、会場付近を回遊しているが、頭上が取れても、そこから上手く攻撃できるかが分からなかった。しかし、そんな2人とは対照的に、根性的には前衛の威龍が、潜行形態を取った。
「さて、敵の目を引き付ける為に精々派手に暴れてやろうじゃないか」
 刹那、対潜ミサイルが、ばしゅばしゅと発射される。命中精度の高いミサイルだが、海底のマンタまでは距離がある為、当たったようには見えなかった。
「考えてばかりいても仕方ないしね、まずはぶつかってみましょ」
 それでも、ゴールドラッシュはそう言って、気付いたワームに向って行く。敵の狙いが分からないため、まずはそれを確認しようと言う腹のようだ。
「空中戦の応用でいければ良いけど‥‥」
 隼瀬がそう言って、まずは小手調べと言わんばかりに、水中用アサルトライフルをお見舞いする。空中戦と違うのは、潜行に水圧と言う名の抵抗感があること以外は、撃った弾の軌跡さえ同じだ。
「こっちよ」
 同じく序盤はホーミングミサイルを撃ち込み、こちらの存在をアピールしている絣。上から爆撃されたような格好となったマンタのうち、4匹がこちらへ泳いできた。
「1対1に持ち込んだ方が良いっ」
 威龍のガウスガンが、ばしゅっとエアをばら撒いた。分断するように打ち込み、気泡が盛大に上がるわずかな隙を使って、人型へと変形する。しかし、そこへ今度はマンタワームからの尻尾の一撃が降り注いだ。
「こんのぉっ。食らえ、レーザークロー!」
 その一撃を、アクティヴアーマーを盾のように使い、岩場へ激突しつつも、なんとか耐えた威龍、お返しとばかりに、高分子レーザークローで、そのボディを貫いていた。
「空戦と違って、人型変形でも、コントロール不能にならないのはいいよなー」
 その間、隼瀬はそう言いながら、やはり人型へと変形する。ベヒモスの槍斧が取り出され、水の流れを断ち切るような動きを見せる。足場となる岩は小さく頼りないが、それでも空中ではその動きすら出来ないのが、大きな違いだ。
「やらせないわよ!」
 絣も、同じ様にベヒモスを振り回し、マンタワームと近接戦にもつれ込んでいる。ガトリングガンがばしゅばしゅと音を立て、周囲に泡と弾を撒き散らした。
「さて、何人向ってくるかな‥‥」
 そのすぐ前にいたゴールドラッシュが、ガウスガンをばら撒いた。ばしゅばしゅと高速で撃ち出されるものの、狙いは定めていない。1匹が生贄になったが、攻撃を積極的に仕掛けてくる風情ではないようだ。
「ふむ、どうやらあたし達には構いたくないって所かしら」
「だったら、無理やりにでも向かせるまでだ!」
 威龍がそう答えて、人型に変形すると、海底へ下りて行く。しかし、そこまで近づいても、マンタは相変わらず何かを探す方を優先しているようだ。
「こっちへ目を向けさせないと」
 それまで、予算の都合であまり強化できなかったが故に、回避へ専念せざるを得なかった隼瀬、それでもエキドナのスイッチに手をかけた。練力残量は気になるが、使いどころはここしかない。
「‥‥発射!」
 ばしゅばしゅばしゅっと魚雷が発射される。それは、螺旋の軌跡を描きながら、マンタ達に命中する。さすがにこちらを向いたマンタ、まっすぐ隼瀬に距離を詰めた。
「やらせないわよ!」
 だがそこへ、アクティヴアーマーを纏い、エンヴィー・クロックを発動して、絣が間へ割り込む。どかっと強い衝撃が走り、装甲がやはりボロボロになった。また海に心配されるなぁと思ったが、それを口に出す前に、ゴールドラッシュがスクリュードライバーをマンタに食らわせる。
「ほらミサイル代も勿体無いから、さっさと沈みなさいって!」
 システム・インヴィディアで強化したその一撃で、マンタが落ちる。そこへ、刺激を受けたのか、カレイの形をしたメガロワームが浮上してくる。
「もっと、もっとこっちに‥‥!」
 そのカレイに、隼瀬がベヒモスを片手に突っ込んで行った。とは言え、相手は結構な巨体。1体1で相手にするには、やはり装甲がボロボロになってしまう。
「潜行形態に変えろ! 突破するぞ!」
 しかし、今度は威龍のエンヴィー・クロックが発動していた。機動力の上がったその一撃で、カレイが身を翻す。その間に、残ったミサイルをありったけぶち込む威龍。開いたそこから、浮上する二機。無謀すぎるかもしれないが、攻撃的防御と言う奴だ。
「HWがこない?」
 しかし、ゴールドラッシュは気付いた。いるはずのHWがかけらも姿を見せていない事に。
「裏を書かれたのかもしれないな。追撃した方が良いだろう」
 威龍がそう判断し、潜行する事を告げる。強襲の声が聞こえるまでは、耐えなければ。
「2人とも、どうか無事で‥‥」
 その強襲班にいる親友の事を、祈り願う絣だった。

 その頃、絣の心配する親友2人は、強襲班として、潜行形態のまま現場海域へと進んでいた。海底の起伏を利用し、こっそりと進む彼らの目に、何やら捜索をしているらしきマンタとHWの姿が見える。
「陽動班は海面近くにいるようね。海、目立たないように」
 パッシブソナーに映る味方が、攻撃を解したのを音声から悟る百地。と、数体のマンタが浮上していった。おかげで、その周囲には、HWとカレイしか残っていない。
「はーい。隼瀬先輩、絣さんのことよろしくねっ」
 海面を見上げ、リヴァイアサンの姿を確かめる海。どの機がそうなのかは、ここからではわからない。だが、その中に確実にいる。
「イーリスさん、佐渡川君も、よろしくっ」
 なら、せめてその友人達の思いに答えようと思う海、そう言って、無線機を受信状態に切り替える。
「昔の海戦は、気付かれたら負けだったそうですから」
 イーリスがコクピットの中でそう答えている。そんなわけで、4人はリヴァイアサン組が上から陽動を行う中、アルバトロス三機とビーストソウルは海底を気付かれないように近付き、陽動に釣られた敵に側面から奇襲をかけるという策に乗っていた。
「上は‥‥交戦中のようですね」
 反応を見ていた佐渡川がそう呟く。陽動は半分成功と言うところだろう。有人機がいるかどうかは分からないが、護衛と思しきマンタが、リヴァイアサンに引っ張られるようにして浮上し、少し離れた岩場で格闘戦に持ち込んでいる。
「絣さん、どうか無事で‥‥」
 本当は駆けつけたい海。だが、そんな彼女を、百地は押し留めるように言い聞かせていた。
「大丈夫、きっとね」
 皆がついているから。
「敵機、至近にて確認」
 気になる海を、現実へと引き戻したのは、イーリスの警戒した音声だった。すでに、陽動班からの連絡を受け取っている。ここなら、一息で近づけそうだ。
「陽動に引っかからないのは、有人機なのかもしれません。第一目標はそいつにしましょう」
「了解。行きます!」
 通信をオンにした海が、そう言って突っ込んで行った。続いてイーリスも、インベイジョンBを使い、変形して水中用HWにホールディングミサイルをぶち込む。見えたのは、彼らが手元に持っていたKVの部品だ。
「なるほど、あれが目的かしら‥‥」
 見れば、戦いの残骸がいくつも散らばっている。部品回収がミッションの重要な位置をしめるのは、人類とて変わらない。
「気をつけて。カレイ、1匹しか浮上していない」
 海が周囲を警戒しながらそう言った。刹那、ぶわさっと海底の砂が舞い上がる。視界が閉ざされる中、海は落ち着いて言い放った。
「下から、きます! 多対少だし、焦らず即立て直して迎撃しましょっ?」
「了解」
 その言葉を受けて、佐渡川が一気に変形させる。手ごたえは、今まで使っていた機体よりも滑らかだ。
「テンタクルスと比べて機動性が上がっていますし、変形もスムーズで使いやすくなっていますね・・・」
 でも、テンタクルス使ってた身としてちょっと寂しい。
「近接戦闘は任せたわ。こっちは遠距離からやりこむわよ」
「は、はいっ」
 それでも、佐渡川はイーリスの指示に従い、魚雷を撃ち込み、ガウスガンをお見舞いする。彼が打ち込んだすぐ後に続くように、ガウスガンとホールディングミサイルを、HWへお見舞いするイーリス。駆けつけたHWに、百地が指示を飛ばしてきた。
「気をつけて。海、はさみうちよ!」
「わかったっ。調教師っぽいHWを叩けば、カレイがばたつくかもしれないしねっ」
 後方支援機のイーリスは、囲まれた時用に、レーザークローを取り付けてはいたが、使わないに越した事はない。その為の、前衛役なのだから。
「蝶が鰈に負けるわけにはいかないっ!」
 人型へと変形し、強化したレーザークローの爪を振り下ろす。狙うは調教師らしい動きのHW。相手の目的がわかっても、撤退させなければ意味がない。迷彩のない下の方から、影をめがけてざっくりと刺す。
「上手く行くと良いけどね」
 刹那、百地が岩場の影からエキドナを放った。HWを撹乱すると、その間に割り込もうとしたカレイの懐に飛び込み、即座に変形する。
「貫け!」
 スクリュードライバーが唸った。その後ろへと貫く形となった百地の機体。ぐりんと振り返れば、HWが海めがけて砲を発射した所だ。そんな事はさせないと、後ろからガウスガンを発射する百地。それは、海が放ったガウスガンとクロスし、HWを屠る。
「逃げてく?」
「いや、もしかしたら部品回収や上陸が目的じゃないのかもしれない。見て、あれを」
 強襲が成功した形となったHWは、メガロを引き連れて、浮上して行った。イーリスが指し示した先には、マンタと交戦中の陽動班。どうやら敵は、マンタと合流して海域を離脱するつもりのようだ。
「助けに、いかなきゃ‥‥!」
 海が、人型から再び戦闘機形態となって浮上する。と、その後から、同じ様に浮上する百地。
「手伝うわ。絣を、氷点下の海に放り出すわけに行かないでしょ」
「うんっ」
 嬉しそうに答える海。佐渡川もイーリスも追いかけてくる。こうして、傭兵達は、なんとか水中部隊を追い払う事に成功するのだった。なお、証拠品は分別が進まなかったので、専門家にお任せする事になったそうである。ジジィが仕事増えたと嘆いていたが、気にしないで置こう。