タイトル:博士の暗号マスター:石倉蛇

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/05/28 07:03

●オープニング本文


 ロマエ博士は、久々にとある場所を訪れようとしていた。
「あそこに行くのも何ヶ月ぶりかのぅ」
 草をかき分けその場所へと着こうというところで、キメラが徘徊しているのが博士の目に入った。幸いキメラのほうは博士に気づいていないようだ。
「ぬ‥‥これでは行きたい場所へも行けないではないか‥‥」
 UPCに依頼して倒してもらおうと思い、一度自室に戻ってきた博士は悩んでいた。
 普通にキメラを倒してもらって、お終いでは実に面白くない。へそ曲がりな博士はそう考えたのだ。
 数分後、博士は勢いよく立ち上がった。
「フフフフフ‥‥」
 いいことを思いついたのだ、意地の悪そうな笑みを浮かべ博士はつぶやく。
「私の得意な暗号を使って隊員達に訓練をさせよう」
 場所などを隠して告知し、当てさせようというのだ。
「楽しみになってきたぞ‥‥フハハハハハ!」


 ULTの募集モニタに依頼内容が映し出され、付近の地図が配布されることも添えられている。
「ロマエ博士から訓練を兼ねたキメラ退治の要請である。地図には1〜5の番号が振ってあり、いずれかの場所にキメラが居座っているらしい。
 下記が暗号だ。

 今日の試合には4口賭けた。
 ゴロー対サブの試合だ。
 ビローンと合図がならされ始まった。
 そして終わり、私は賭に負けてしまった。
 隣の男は一口買っていたようで喜んでいた。
 トロフィを持って勝った方の選手も喜んでいた。
 ルロウノサブが勝つと思ったんだがな‥‥。

 この暗号はロマエ博士がよく使う暗号だそうだ。上記には数、場所、キメラの種類が書かれているらしい。戦闘の準備を怠らないように」

●参加者一覧

ジェット 桐生(ga2463
30歳・♂・FT
稲村 弘毅(ga6113
23歳・♂・GP
ミンティア・タブレット(ga6672
18歳・♀・ER
クロスフィールド(ga7029
31歳・♂・SN
草壁 賢之(ga7033
22歳・♂・GP
古郡・聡子(ga9099
11歳・♀・EL
天狼 スザク(ga9707
22歳・♂・FT
コリン・マクルフ・弓削(gb0090
21歳・♂・GP

●リプレイ本文

●解読
 皆、暗号解読のために集まっていた。
「とりあえず、博士のツケで超高級コーヒーでも淹れながら‥‥冗談です。何かふつーのでいいからないかな‥‥」
 草壁 賢之(ga7033)はそう言ってあたりを漁りだした。
 そしてどこからか持ってきたコーヒーをいれながら言った。
「うしッ、博士が相談期間一週間もくれた事を絶対後悔させてやるッ!」
「ですね。私たちをなめてもらっては困ります」
 古郡・聡子(ga9099)が同意の言葉を述べたのに続いて、クロスフィールド(ga7029)がタバコをふかしながらつぶやく。
「こいつは暗号と言うよりかは、ナゾナゾだな」
「そこまで暗号ぽくはないですよね」
 そのつぶやきに反応したのはミンティア・タブレット(ga6672)である。
「暗号には数、場所、キメラの種類が書かれているんですよね」
「そうみたいだな。順番はこのままでいいのか?」
 ここで天狼 スザク(ga9707)は後ろからちょろっと顔を出して様子をうかがいながら言う。
「ふむ、さっぱりですねっ。私は皆さんのを聞いてましょう」
 皆静まりかえり思考することを場が促す。
 その場を打ち壊して第一声を発したのはミンティアだった。
「ロマエ博士‥‥ロマエ‥‥ロ、口の前って事ですよね?」
 皆を見渡し、同意を得ると次の作業に移る。
「暗号から抽出していくと‥‥4、ゴ、ビ、一、ト、ルですね」
「ロマエねぇ、全く自分が好きなんだな」
 ミンティアは話を進めていき、その横でクロスフィールドは皮肉を口走っていた。
「でも‥‥ロの前だけだとあまりにシンプルな気もしますし、数、場所を当てはめる根拠もない。でも他にヒントも見つからない。最終手段で縦読みでもして見ましょうか? 今ゴビそ隣トル‥‥今こそ隣と乗れ‥‥うーん? やめておこう‥‥」
「他に方法も特に思いつかないですし、いいんじゃないでしょうか」
「だな」
「‥‥皆、頭の回転早いですね‥‥い、いや、もちろんわかってましたよッ!? 解き方まで」
 これにて一時暗号の解読自体は終了とし、次に敵と遭遇した際について話し合うことになった。
 そして、敵に出会ったら陣形を組み一匹ずつ確実にキメラを倒していくという事に決まった。
「博士がそこに何しに行ったかすっげー気になる‥‥よっし見に行こう!」
 コリン・マクルフ・弓削(gb0090)が席を立ちながら言ったのを聞くと。
「決まったようだな‥‥時間が惜しい、行くぞ」
 今までだんまりを通していた稲村 弘毅(ga6113)が言い、地図上での5の場所に向かうこととなった。

●退治
 獣道を進む。
 もしかすると、敵がいきなり襲ってくることも考えられなくはないので周りに注意を払っている。
「草壁センサー始動‥‥っと」
 ここで草壁が覚醒して辺りの様子にさらに注意を払う。
「どうですか? やはり5の位置であっていますか?」
 ミンティアが草壁に尋ねる。
「ええ、敵は‥‥やっぱこの先にいるようですねー」
 皆、ビートルが視認できる位置まで移動する。
「お、いたいた。ビートル、ゴキブリじゃないだけまだましか」
 キメラの数は4。暗号を解いたとおりだった。
「当たって砕けろってやつだ! 行こうぜ!」
「ああ、陣形を取って突撃だ!」
 コリンが言ったのを聞き、ジェット 桐生(ga2463)が皆に合図を送る。
「了〜解、奇襲と援護は任せておけ。‥‥間違っても射線にでるなよ」
 クロスフィールドがそう言ったのと同時に全員が覚醒して、こちらに気づいていないキメラに奇襲をかけた。
「先手必勝‥‥行かせて貰う!」
 まずコリンが瞬天速を使い一気に間合いを詰めてビートル2に攻撃を仕掛ける。
 そしてクロスフィールドが後方からビートル1へと銃撃する。
「カブトムシはおとなしく、スイカでも喰ってろ」
 二匹とも為す術もなく、喰らって悲鳴を上げた。隊員達はその勢いのまま攻撃を仕掛ける。
 ジェットと草壁がビートル2へと。ミンティアが味方を強化し、稲村、天狼、古郡の順にビートル1へと攻撃する。
「フンッ!」
「こんな所にたむろしてるなんて無粋じゃないか‥‥? お帰り願うッ!」
「フフフ」
「ハッ!」
「セーラー服と日本刀、とでも言っておきましょうか!」
「てやっ!」
 奇襲はかなりうまくいきビートル1を撃破、ビートル2はもう瀕死の状態だ。
 だが、攻撃されていることに気づいたビートル達が反撃する。少し離れた位置にいたビートル3とビートル4が前衛のほうへと突進してきた。
 さほどダメージを受けなかった隊員達は2回目の攻撃に移るために態勢を立て直す。
 瀕死状態になっているビートル2にコリンとジェットが攻撃を仕掛ける。
「フッ!」
「ジェットインパルス!」
 ジェットがトドメを刺すのと同時に叫ぶ。
 これで残りは半分の二匹となった。
 クロスフィールドと草壁が後方から攻撃を仕掛ける。その攻撃直後に天狼、コリン、稲村は後方へと行かないようにと敵と味方の直線上に入る。
「大丈夫です。私が守りましょう」
「行かせはせん!」
 ミンティアは先ほどの突進で多少ダメージがある味方を回復した。
「少し横にずれてください!」
 古郡が後方から声をかけ、ビートル4の付近にいた稲村と天狼は横っ飛びをする。そこにスパークマシンの電撃が走る。
 ズガガガガガガッ!!!
 これでもうビートル4も瀕死の状態だ。
 残り1匹にしてしまう魂胆でコリンが瞬天速でビートル4に駆け寄り撃破する。
「この一撃、貫き通す!」
 ズシュッ!
 これで残り1匹‥‥ビートル3は1人でも倒そうとがむしゃらだ。一気に後衛へと間合いをつめミンティアへと突進する。
「フフフ、実は私に近づくことが一番危険だったということを身を持って教えてあげますよ‥‥」
 ビートル3の突進を多少のダメージと共に受け止めそのまま電波増幅をかけた超機械で反撃する。
 抵抗の弱いビートル3はひとたまりもない。あっけなく沈んでしまった。
「皆! ケガはねぇか!」
 コリンが声をかける。皆大した傷は負っていなく、ジェスチャーで肯定を示した。
「任務完遂、ですね」
 天狼がポツリと言ったのと同じくらいに後方の茂みから博士が現れた。
「ごくろうさんじゃったのぅ」

●ロマエ博士の動向
「ちと暗号のほうは簡単すぎたかのぅ?」
 そう言いながら隊員達の方に近づいてくる博士。
「だけども、任務内容は完璧にこなしてくれたようだのぅ」
「いったい、こんなところに何の用があるんだ?」
「しっかし‥‥こんな危ないトコへ何しに来たのですか? 言いにくい事ですか?」
 クロスフィールドと草壁は同時に博士へと質問をぶつけた。
「いやはや、ほらそこに洞窟が見えるだろう? そこには私の研究室があってだな。まあ、そんなに使ってはいないのだがちょっと用があったのでな」
 博士は髭をさすりながらとある方向を指さして言った。
「ぬぬぬ? それにしてもあんた。セーラー服とは粋がいいのぅ」
 天狼は服のことを聞かれたのを待ってましたと言わんばかりに即座に返答する。
「気に入ってくれたのでしたら服を交換しましょう」
「いや、私は白衣が好きだから遠慮しておこう」
 これまた博士も即座に返答した。
 次にジェットが暗号について一言文句を言った。
「博士、ビローンはあんまりです」
「ぬはははは! すまぬ、良い言葉が思いつかなくてな。今回は勘弁してくれ」
 博士は佇まいを直し、最後だと言わんばかりに皆に告げる。
「今回の訓練はよくやってくれた! UPCの本部の方へも伝えておくとする。それでは私は少し用事があるのでこれで失礼する」
 皆、任務が成功したことに喜び、博士を見送る。
 ここでミンティアがある提案を持ちかけた。
「暗号よりもこんな草むらに博士は本当は何をしに来たのでしょうか。気になるから黙って見ていきませんか? 誰かが言ったようにイヤラシイ本とかあったら嫌ですね‥‥」
 そして皆、博士が何をするのか気になったので、コッソリと後をつける事にした。
「くぅーっ! あんな簡単に解かれるとは抜かったな‥‥悔しいったらありゃしないじゃないか‥‥」
 博士はぶつぶつと言いながら研究室の方向へと歩いて行き、中へと入って行った。
 そして中から出てくると段ボール箱いっぱいに猫のエサを抱えて戻ってきた。
「お? お前達まだそんなところにいたのか。ついでだからこれを持つのを手伝ってくれるかのぅ?」
 ポカーンと博士の方を見る隊員達。
「博士、その為にこんなとこ来たのか! こりゃ想像以上だわ!」
「ぬはは! ペットのエサをここに在庫として仕舞ってあるのでのぅ」
 隊員達は博士のペットのエサを持ちながら帰路へと着いた。