●オープニング本文
前回のリプレイを見る「キメラなどの相手は任せて欲しい」
海軍ファラン・サムット少尉が、UPC事務官ティム・キャレイ(gz0068)へと、笑みを向けた。
空母『ダーオルング』の甲板に並ぶ十二機のタイKV。うち、六機は水中用KVだ。
KV部隊が、それぞれの持ち場に散って行くのが見える。
タイ海軍水中KV部隊の中には、バグアの島から救出された、ポーン・キングペットがちらりと見える。
六名からなる水中KV部隊は、現在は五名。
リヴァイアサンはUPC軍から新しい機体が補充されており、六機がフルに戦闘に回れるのだが、生死不明のウィーラ・レックングンの変わりの人員補充は見送られている。
用意万端整った。
バグアの島を放ってはおけない。
キメラプラントがあるなら尚更だ。
「援護は任せて欲しい」
ファラン少尉は、上層部と連絡を取り合い、集まった傭兵達へと軽く敬礼をした。
●
「キメラはぎょうさん出来たんやけど、あれや。何やら雲行きが怪しいなあ」
「せや。何やら年貢の納め時言う感じや」
「キメラ盾にしてオーストラリアへ撤退ちゅうのは無しやしなあ」
「あかんやろ。ドレアドル様ならともかく、居るんは、ウォン司令やて言うし!」
「せやなあ。ドレアドル様の元に戻るにしても、UPC掻い潜って行くんは辛いやんか」
「せや、挽回しとかんと、後があらへん」
「後、あるんやろか?」
「‥‥ある‥‥やろ?」
ぷかりと海面に浮かんだ魚人バグア達は、盛大な溜息を吐いた。
「戦ってこーいて、ダメ押しみたいに、オーストラリアから、無人機よこしてくれるて言うし」
「十体で、あのバグアかて思う程の能力者相手せい言うねんなあ」
彼らの姿は、頭から背中を通ってヒレがあり、尾が伸びている。パッと見、トカゲのヒレ付きのような姿だが、みっちりと青緑の鱗で覆われ、白銀の腹は固そうな皮膚。ぽっこり出ている奴や、ぱっくり腹筋の割れている奴やら太め細めと様々に居る。
彼等は、引き際を失していた。
戻る場所がもう、無い事を、薄々感じていたのだ。
小太りのバグアが、ざぶんと海中へと潜るのに続いて、魚人バグアは次々と海中へと潜る。
キメラプラントで製造した蛇キメラ、鮫キメラが、うじゃうじゃと海中に泳いでいた。
●
明るい場所に閉じ込められているパイロット、ウィーラ・レックングンは、バグアの様子がおかしい事に気が付いていた。脱出する時期は近いかもしれないと、淡々と毎日を過ごしていた。
「あんさん盾に逃げおおせる言うんが、正しいバグアのありようやと思うんやけどなあ」
「‥‥そうしたら良い」
「もう、用済みやさかい、サクッと殺しとくのがええねんけど」
「‥‥何故殺さない」
「何ちゅうんやろな、人類の復讐いうん? 反撃に勢いつけさせるだけやん」
「妙な事を気にするんだな」
「せやなあ。がんがん戦うタイプやったら、こないな回りくどい事考えんのやけどなあ」
首を振り、尻尾を振りつつ項垂れ姿で去る魚人バグアをウィーラは何度か見た。
(奴等に何があったと言うんだ‥‥)
今、魚人バグアは、気もそぞろであるようだった。
●リプレイ本文
いよいよ総攻撃かという思いは傭兵達の中に流れている。
「まあ、いつもでも放置しておく訳にもいかないだろうし、この辺が決着の付け所だろうな」
軽く笑みを浮かべる威龍(
ga3859)。
相手はバグアだ。隠し玉のひとつふたつ、あるだろうと威龍は思う。
「海といえば、そろそろでっかい人魚キメラ出てくるかもねっ」
真剣な顔つきで、語るのはヨグ=ニグラス(
gb1949)。以前、そんな事を思い浮かべた事がある。
「大勢で訪問するなら大物出てくるかなっ? 頑張らないと。うん!」
真剣な顔でヨグに相槌を打つティムへと、ヨグはコクリと頷いた。
「前回救出出来なかったウィーラ様が、この攻撃に乗じて脱出して下されば良いのですが」
リュティア・アマリリス(
gc0778)が呟く。
ティムへと声をかけるのは、櫻小路・なでしこ(
ga3607)。
「ティム様には空母にてタイ軍との連絡役をお願いします」
すっかりなでしこに懐いたティムが了解だとこくこくと頷く。
「人質の救出状況とかを教えてもらえると助かるかも!」
ティムが元気良く答えるのを見て、大泰司 慈海(
ga0173)はお願いねと手を振った。
鯨井昼寝(
ga0488)は、ファラン少尉と対峙していた。
「並行して、ウィーラ・レックングンの救出を進めるべきだと思う」
「聞こう」
ファラン少尉は傭兵等に好意的である。
「ここまで時間を引き延ばしたのは、人命優先の為だと思う」
「対外的にはそうなっている」
そのタイの主張は通した方が良く、今更人質の安否は意に介しませんでは意味は無いと。
主力を引きつけるのは自分達がやると、昼寝が言う。
「もし、可能であれば、ポーン・キングペットを救出の任務に就かせてほしい」
依頼の中で見た彼の気質を考えれば、キメラと戦わせるよりは、他人の命がかかった任務の方が、良い結果が生まれるのではないだろうかと。昼寝は、ファラン少尉が笑みを浮かべるのを見た。
「良いだろう。貴君が率いる小隊の功績は華々しいものだ。貴君の提案を受け入れるよう話を通そう」
ファラン少尉は、傭兵の案を蹴るタイプでは無いのが幸いした。
歴戦の実績をも尊重され、昼寝の提案は快諾の決議がもたらされる。
●
空と海に分かれたバグアが、迫ってくる戦域へと、傭兵達が飛び込む。
「少々数が多くても、通すわけには行きません」
雷電、閃影を駆るのは辻村 仁(
ga9676)。後方のタイ軍を気にかける。
射程の長いプロトン砲の淡紅色の光線が、傭兵達へと延びる。
「どうやら、普通機のようですね‥‥行きますよーっ」
平坂 桃香(
ga1831)が、雷電に受けた衝撃を感じて口にする。
空戦に回ったKV達がまともに受けたが、どの機体もさしたるダメージは負っていない。
淡紅色の光線を弾き飛ばすかのように、桃香機はHWへと迫ると、四体をターゲットに捉える。狙い済ましたK−02が、連続で射出される。雨の様なその攻撃が、HWへと降り注ぐ。桃香機は、続くHWからの攻撃をかわすべく、上方へと機体を逃がす。凶悪な破壊力を伴うその攻撃は、いくばくか中和されているとはいえ、バグア機によるジャミング強化のレベルを簡単に貫き、大打撃を与えた。四つの爆炎が上がり、木端微塵となったHWが破片の雨を海上へと降り注いだ。
マリアンデール、藤姫から繰り出されるレーザーガンが、迫るHWへと撃ち込まれる。
「‥‥上手く固まって来てくれれば‥‥」
掃射モードを発動出来るのにと、なでしこは呟く。
リュティア機ディスタン、エオールから、キャノン砲が飛ぶ。
「近くにいらっしゃいませ‥‥?」
接近するHWがあれば、とリュティアは笑む。
「行きます」
その後方から、仁機が躍り出る。やはり撃ち放つのは、K−02。三機のHWを捉え、撃ち放つ。
爆炎を上げるHW。ふらつくその機体を仲間達は見逃さない。
慈海機ウーフー2が、ジャミングを中和している。
続け様に落ちて行くHWを見て、慈海は小さく呟く。
「お間抜けなトカゲバグアたちとも、今回でお別れかな‥‥いやに人間臭いバグアだったけど」
接近するHWへと、10AAMを撃ち出した。
問題の島は、戦場とは離れていたが、攻撃が島に流れて行かないようにと気を配り。
●
海中からは、無数のキメラに囲まれたリヴァイアサンとHW二体が現れていた。
「ふっふっふ〜‥‥お久しぶりですよ〜。同じリヴァイアサンでどんな戦い方をするのかすっごく楽しみですよ〜。いっぱいい〜っぱい遊びましょうね〜っ」
音符が舞うかのような、楽しげな笑みを浮かべているのはオルカ・スパイホップ(
gc1882)。
愛機リヴァイアサン、レプンカムイが、シャチのようなフォルムを海中に躍らせながら、狙うはただ一機。
「リヴァイアサンたんとー! ‥‥倒しちゃっていいんでしょ?」
オルカに頷くのは昼寝とヨグ。そして、威龍だ。
「早めに数を減らしたいな」
昼寝だ。
キメラの動きと、後方で空母を守る布陣のリヴァイアサン三機を確認すると、
タイ軍海中KVは五機。うち二機は戦域を一旦離脱。大回りで島を目指している。
オルカ機は、ブーストをかけると、キメラの群れを突っ切る。
正面に立ち塞がろうとするキメラを吹き飛ばし、ただ狙うのは捕獲リヴァイアサン。
魚雷が海中をかき分けて、オルカ機を襲う。
鈍い振動がオルカ機を揺らした。被弾。かする程度だ。
と、みるや、捕獲機は再びキメラの群れの中へと逃げる。射線が仲間達との戦域と重なる。
「逃がさないよーっ」
再びブーストをかけるオルカ機。
一方、後方から、抜けてくるキメラを退治しているのはヨグ。
ガウスガンが、キメラを吹き飛ばす。
「この海での撮影は‥‥もうベテランだよっ」
昼寝機と、威龍機がHWを狙いに行く背後から、援護射撃に徹する。
抜けて空母へと迫るキメラは、タイKVがそこそこの腕を見せて迎撃しているのを横目で見る。
プロトン砲が昼寝機を揺るがす。だが深手では無い。
そのHW目がけて進もうとする昼寝機は、壁に手を焼いていた。
「相変わらず姑息な戦い方を‥‥っ!」
キメラが壁になっているのだ。
HWだけを狙い撃ちにするには、これを排除しなくてはならないだろう。
ガウスガンを撃ち込みながら、昼寝機が前に出る。
捕獲機相手のオルカ機を横目に、昼寝はキメラの壁の向こうのHWへとガウスガンを撃ち込み続ける。
「‥‥後方機を狙い撃ちしようと思ったのだが」
威龍機は、狙い済ましながら、ミサイルを撃ち出すが、思うように届かない。
HWへと着弾するかわり、キメラがその餌食となり、粉々に砕け散った。
●
ぐっと接近すると、桃香機は、フェザー砲をものともせずに剣翼でぶち当たる。
金属が砕ける音が盛大に響き渡る。
「逃がしはしませんっ!」
仁機が降下するHWへとツングースカを撃ち込むが、かわされる。
「海に潜る‥‥? にしても、あれは海中専用というわけではなさそうですが」
なでしこだ。
後方に控えていたHW二体が、急速に垂直降下を始めていた。
「いっくよ〜っ!」
捕獲機にようやくぶち当たる事が出来たオルカは嬉しげに連続攻撃を繰り出す。小型魚雷発射すると、かくりと変形。蒼い流れ星の様な軌跡を描き、再度接近するオルカ機の手には練剣、大蛇。構えを取る捕獲機へと叩き込む。捕獲機が避けるが、全て避けきれない。凝った金属音が海中に響く。
「!」
変形した捕獲機が、オルカ機を抱え込む。爆発が起こる。
オルカ機は、その爆風に吹き飛ばされるが、機体操縦が不可能な程では無い。
捕獲機の破片に混じり、魚人バグアが脱出をしていた。
小型魚雷、ガウスガン。立て続けの攻撃で、HWの壁を剥いで接近する威龍機。
「この期に及んで逃げるっ?!」
昼寝だ。
HWは、昼寝機と威龍機から遠ざかるように海面へと向かい、急速に後退を始めていた。
と、その時。ノイズ交じりの音が聞こえてきた。
何人かは聞き覚えのある声。
楽しげな声だ。
『あんさん等とは、あかーんてのは、ちょっと様子見た時から、わかっとった事やけどなあ』
『せやなあ、幹部があないな事になっとるし』
『あれや、敬意を表してやな』
『せやなあ、下っ端なりの意思表示、させてもらおうかい』
『まあ、なんちゅうん? 人類と遊ぶんは‥‥』
──楽しかったなあ‥‥。
高い音がハレーションを起こしたような広がりを見せた。
海中でも同じような状況が起こっていた。
HWを中心として、空域、海域と円を描くように広がるその高音。
戦場が、音波によって一瞬沈黙した。
もこもこと膨れ上がる、HW。
周囲のキメラをも取り込み、あっという間に、その体積が増える。
海上に突き出たのは、今まで見た魚人バグアの上半身がそのまま巨大化したかのような姿。
そして、海中では、蛸のような触手が、金属の破片を突き出しながら、うねる。
「合体した?!」
慈海だ。
上空に突き出す海獣は、20m程もあろうか。
「限界突破は、命を賭した技だったはずだよね‥‥中間管理職とか、窓際族っぽい哀愁が漂うバグアだったけど」
本気には本気で応えないと。
慈海は、どんな攻撃があるのだろうかと、慎重に距離を取り、スナイパーライフルを撃ち込む。
「奥の手と言うわけですね」
なでしこは機は、海獣距離を取り、上半身目がけて、ミサイル攻撃を仕掛ける。
「うん、まあ、こういうのもアリっちゃー、アリだと思いますがっ」
桃香機がブーストをかけ、スキルを起動すると、ツングースカで弾幕を張りつつ、海獣の視界の死角へ回り込むと爆雷を投下。目立つ飛行をし、島からなるべく引き離すようにと心がける。
海獣が軽く動くだけで、空圧が起こる。
大振りの海獣の手が飛ぶが、届かない。だが、風圧が凄まじい。
僅かにミサイルの弾道が逸れるが、ほぼ思い通りの場所へと着弾し、爆発の飛沫を上げる。
攻撃の痛みからか、咆哮が上がり、ぎょろりとした魚の目がKVへと、向けられると、口から水鉄砲の様な攻撃が発射された。水鉄砲ではあるが、その威力は半端無い物だと見て取れた。
様々に飛ぶKVにつられて動く海獣へと、仲間達の攻撃が、立て続けに襲う。
「適時、距離を取りましょうか。爆雷を投下します」
仁は投下ポイントを仲間達へと連絡し、爆雷を投下する。
仁は島やタイ海軍に影響が出ないかと気を配り、攻撃が単調になり、敵に把握されないように機体操縦を心がけながら、攻撃を叩き込む。
「ミサイル、発射しますわ」
リュティアだ。
温存していたAMMを発射する。
海中の戦いも時を合わせて畳み掛けるように行われていた。
動く度に巻き起こる渦もまた半端では無かった。大きく海中の流れが変わる。
人工的に作られた流れは、酷く重く、急だ。
「最後の最後になんでこんなのになるかなっ!」
巨大な分、射程は長いだろう。ヨグはすかさず、撮影演算システムで情報を読み取ると、大海獣から距離を取る。うねる触手はおおよそ30m程。 威龍機は、いざとなれば接近を考えつつ、距離を取る。
「ええと、特殊攻撃は無さそうですが!」
「良いわ。どうせ当たらなきゃわからないしね! ‥‥やるじゃない」
にやりと笑うと、昼寝は楽しそうに海獣へと向ける。
昼寝の声はもう聞こえないのか、海域を振るわせる程の咆哮が上がる。
歴戦の昼寝にしてみれば、力でいけば格下の相手だと思っていた。けれども、この異様を見た途端に、その気持ちは吹き飛んでいた。やれば出来る子を見る気分だ。
(こういう隠し玉があるから‥‥)
バグアとの戦いは楽しいと、笑みを浮かべ、攻撃を開始する。
「触手をレーザークローでしゅぱっと切って行けばいいかな〜」
爆風で弾き飛ばされたオルカが、ようやく接近。
うねる蛸足を掻い潜り、練剣を叩き込めば、ざっくりと切り飛ばされる足。
オルカ機を別の足が何本も狙っており、一本に絡め取られる。ぎしぎしと締め付けられるオルカ機を捕まえている触手へと、ヨグ機から魚雷が飛び、派手な爆発が起こる。
「身代わりは間に合いませんでしたがっ!! その手というか足を離すのですっ!」
昼寝機が、取り込まれつつあるHWへ向けて、ガウスガンで攻撃を仕掛ける。
「‥‥海中で俺たちを撃破出来なっかたのが最大の敗因の一つだろうな」
小型魚雷を再度撃ち込むのは威龍機。
攻撃の激しさに、蛸足が揺らぐ。
その揺らいだ隙に、オルカ機は練剣で捕まっていた足を切り裂き、脱出する。
ティムから傭兵達へ、人質の無事確保の連絡が入る。空母を護衛する為、急ぎ戻る旨が伝わる。
なでしこは安堵の息を吐くと、スキルを乗せたなでしこ機は、DR−Mを撃ち放つ。光が伸びる。
人質確保の連絡に軽く頷き、ほっとした表情を仁は浮かべた。だが、すぐに、表情を引き締める。
動きが鈍い。その機を逃さず、仁機が、慈海機がドゥオーモを叩き込む。雨あられのようにミサイルが降り注ぐ。
嫌嫌をするように身をくねらせ、咆哮を上げる海獣から、水鉄砲が飛ぶが、注意をしている傭兵等は食らう事が無い。
ブーストをかけ、機体を操るリュティア機が、海獣へと突進する。ぶち当てるのは剣翼。それに気を取られたその合間に、桃香機がやはり突進。ツングースカを浴びせかけた。
咆哮が海中まで響いている。蠢く足も半数までに減ってきており、その動きも弱まっている。
オルカがざくざくと足へとレーザークローで切り裂いて行く。
中距離からの攻撃をしつつ海獣へと迫っていた威龍が変形をすると、レーザークローを叩き込む。
「元々、近接戦を得手とするものでな。決着はこの手でつけるのが確実だろう?!」
光が海中を切るかのように動き、そのまま威龍機を絡め取ろうとする足がざっくりと割れる。ヨグ機から魚雷が撃ち込まれ、派手な爆発を起こす。
爆風を受けながら、昼寝がざっくりとレーザークローを叩き込んだ。
空海と、畳み掛ける様な攻撃の果て、海獣は絞り出すかのような細い呻きを響かせる。
その途端、海獣の異様がぶれた。
どろりと崩れた輪郭。
蒼いそれは傭兵等が見守る中、海に還るかのように溶けて消えて行った。
傷だらけのKVもあったが、起動不能に陥る者は居なかった。圧勝と言って良かった。
空母はキメラの突進はあったが、ほぼ無傷。
帰還すると、涙で顔がしぐしゃぐしゃのポーンが恐縮するウィーラと共に、傭兵達に礼を言いに来た。
「あの魚人キメラ、ここで何してたのかなー」
海を見、ヨグが呟く。
「それ程、悪い感じの方々ではなかったと思うのですが‥‥」
関わった日々を思い出し、なでしこが、小首を傾げた。
最後はバグアらしい終わり方ではあったが、彼らなりに、生き残る術を模索していたのかもしれない。
人類の転機ともいえる大規模作戦は、バグアの転機でもあったのやもしれなかった。