タイトル:【KV☆】三度目の正直マスター:きっこ

シナリオ形態: シリーズ
難易度: やや易
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/07/04 20:49

●オープニング本文


前回のリプレイを見る


●社長、奮起する!
「地球(テラ)パワー・セット!」
 声の直後、地球戦隊・KV☆STARのメインテーマ曲が流れ出す。
「正義の翼で悪を討つ、地球戦隊・KV☆STAR!」
 ビシィッ!!
 ‥‥とポーズを決めたのは、外ハネレイヤーヘアの金髪に青い眼を持つ白スーツの青年‥‥イベント会社『イツメパイユ』の社長その人である。
 バン!!
 ‥‥と机の上に書類を置いたのは、KV☆の発案者でありマネージャーである真壁秋良だった。きりりと結って流した髪にパンツスーツが良く似合っている。
「社長! 遊んでばかりいないで、書類決済をおねがいします」
「ほらほら真壁くん、すごいだろう? トランシーバー機能もついているんだよ!」
 至極嬉しそうに社長が腕にはめた腕時計型の玩具を見せる。それは舞台で使われているKVテクターの発動スイッチに良く似ていた。
 それは公演時にグッズとして販売しようと社長が企画した玩具の試作品だ。発動スイッチを押すと、変身時のエフェクトとメインテーマが流れるようになっているらしい。
 さらに社長は蓋を開けて別のスイッチを押す。
「水瀬君、聞こえるかね?」
『はいはい、良く聞こえますよー! 社長、イチゴミルクでいいですか?』
 押したのは通信スイッチらしい。外の自販機にお遣いに行ったスタッフ、水瀬はるかの声がKVテクターの玩具から聞こえて来る。
「いや、今日はバナナオレにしよう。頼んだよ」
 蓋を閉じ通信を切ると、社長はKV☆グッズの企画書を広げた。
「KVテクターの売行きが好調だったら、他のグッズも考えなくてはいけませんね」
 前回の公演までに、キャラ色応援メガホンとサントラを販売しているが、どれもコンスタントに売れているようだ。
 KV☆は地元を中心に着実にファンを増やしつつある。ハリウッドの映画会社からコラボ企画を持ちかけられもしており、KV☆が全国区の人気になるのはそう遠くないはずだ。
「‥‥で、なんでしたか真壁く‥‥」
 社長が顔を上げた時には、秋良は書類だけを残して第三回公演の調整のために事務所を出た後だった。

●というわけで
 LH本部では、オペレーターの小野路綾音(gz0247)により第三回KV☆公演の説明が行なわれていた。
「今回も、前と同じ演劇場での公演となるそうです〜。やはりなんとしても満席にしたいという思いがスタッフさんたちにもあるようですねぇ」
 前回公演では僅かに空席が残っていたが、その後の人気を鑑みても今回は満席を狙えるのではないかという事らしい。
「傭兵の皆さんは『役者としての出演』をし、そのために『ストーリ構成』を考えてもらいます〜」
 会社の方でストーリーを固定しないのは、参加できる傭兵の人数や配役によって傭兵が演じやすいようにとの気遣いもあり。これまでも傭兵達に任せることで成功を収めてきたという実績からの事でもあった。
「あら、今回は出演枠が2名分増えているみたいですねぇ。今回増員してみて、結果が良ければ今後もその人数で回していくようですよ〜」
 綾音は集まった傭兵達に資料を配る。
「秋良ちゃんから聞きましたけど、ハリウッドとの合同企画もあるらしいですね〜。第三回公演の成功に向けて、皆さん頑張ってくださいねぇ」

●以下資料
【地球戦隊KV☆STAR(テラセンタイ・ナイトフォーゲル・スター)】
 クラッシュバグに対抗すべくテラ・ネットワーク財団が生み出したヒーローがKV☆STARである。
 財団所有のKV☆養成所では、地球の平和を守るための戦士達が日夜訓練を重ねている。
 普段は白と銀をベースにしたKV☆養成所のジャケットとブーツを着用。
 変身時は「地球(テラ)パワー、セット!」の声と共に腕時計型の通信機兼発動スイッチを押す。
『KVテクター』というKVを思わせる装甲(口元以外を覆うヘルメット、胸・腕・脚装甲。背中に機翼)を纏った戦士となり、数倍の能力を発揮できる。
(舞台では、ジャケットやベルト、ブーツの模様に紛れるように装着されたパーツが展開し、装甲へと変形する仕組になっています)

・決定済KV☆
 スターブラック・黒木メイ
 スターホワイト・吹雪レイナ
 スターブルー・天野ユウリ
 スターピンク・春風サクラ
 スターシルバー・星川ショウキ
 スターオレンジ・時雨アヤメ
 スターパープル?・下部戸レイ
(名前はお子様に判りやすいようカタカナに変えてあります)

【クラッシュ・バグ】
 地球を乗っ取り占領するために宇宙から来た悪の組織。ボス、幹部、魔獣、戦闘員という縦社会によって構成されている。
 魔獣は地球の生物をベースにメカ改造を施したモノが多い。名前は『改造元生物の名前+バグラ』。
 また、ドクター・ウォッシュの開発した『D(ダーク)テクター』を装着した戦士も新たな戦力となっている。

・登場済幹部:クリムゾン船長、ドクター・ウォッシュ
・『D(ダーク)テクター』:ルナゴールド
・故 魔獣:クマバグラ、ライオンバグラ、クモバグラ

【国連地球防衛軍・特別即応班】
『Union Deffence Force』『Special Counter Team』
 財団所有のいわゆる民間戦力であるKV☆と対極にある公的な軍。
 KV☆と協力体制をとることもあるが、戦力的にはクラッシュ・バグ戦闘員と互角程度なので言わばやられ役。

・登場済:沢渡ユキ少尉

●参加者一覧

ジャンガリアン・公星(ga8929
27歳・♂・JG
瑞姫・イェーガー(ga9347
23歳・♀・AA
RENN(gb1931
17歳・♂・HD
鬼道・麗那(gb1939
16歳・♀・HD
天戸 るみ(gb2004
21歳・♀・ER
狐月 銀子(gb2552
20歳・♀・HD
Y・サブナック(gb4625
18歳・♂・DG
シャーミィ・マクシミリ(gb5241
14歳・♀・HD
カイト・レグナンス(gb5581
18歳・♂・FC
桂木穣治(gb5595
37歳・♂・ER

●リプレイ本文


 館内にKVテクター制御AI・アリスの声が響き渡る。
「始める前に注意。携帯はマナーモードにするか電源を切ってね。劇場のみんな、それとフェアリーシートのみんな準備はいいかな?」
 フェアリーシートは戦災孤孤児などを対象にした招待席を、出演者達が出資して用意したものだ。
「それじゃ始まるよ」
 アリスの声と入れ替わりにKV☆のメインテーマ曲とOPナレーションが響く。
 舞台は浜辺。広がる海と青い空を背景に、ショウキとアヤメが組手を行なっていた。
「次は‥‥ロードワークか」
「もうダメ。これ以上やったら死んじゃう!」
「貴女ねぇ、さっきから時々手を抜いていたでしょう?」
 パラソルの下で白いイスに優雅に腰掛けていたレイナが咎めると、ショウキが諭す。
「ずるしちゃ駄目だって。せっかく先輩が特訓メニューを組んでくれたんだから」
『そんなこと言えるんだ。子供の頃は同じ事してたくせに』
 腕に填めたKVテクターから聞こえるアリスの声に、ショウキは小さく呟いた。
「そうだよ。僕がしっかりしてなかったから、ありすは‥‥」
「ショウキ?」
 アヤメに声を掛けられ、ショウキは顔を上げた。
「なんでもない。とにかくアヤメには後悔してほしくないんだ」
「‥‥わかった。私、頑張る!」
「才能のない一般庶民は精々頑張りなさい。私はリゾート気分を満喫させてもらいますわ」
 ロードワークに出かける二人をレイナが見送った所で舞台は暗転する。


『クラ・バグMETAL』が流れ舞台が照らされる。
 左袖から悠然と現れたのはドクター・ウォッシュだ。後ろにはクラゲの魔獣と、白地に金糸を施した巫女装束姿のルナ・ゴールド。
「我こそは偉大なる科学者ドクター・ウォッシュ!」
 ウォッシュは眼鏡の下、赤いメイクを施した眼で客席を見渡す。白衣から覘く機械の右腕で背後の景色を示し両腕を広げた。
「この青空、美しい海。実に気分がいい。どうだ、クラゲバグラよ」
「美しい海! 砂浜! 我々の計画に相応しいゲラ〜」
 高めのエフェクトを掛けた声が響き、半透明な笠状の頭部をぶよんと揺らし頷く。笠の中心部、顔の奥に透けて見える機械はそのまま胴体へと続き、無数の足が揺れている。笠のすぐ下、二本のひときわ大きな腕がある。
 昼ドラの恋人まがいにはしゃぐ二人に、ルナは溜息をつく。
「ウォッシュ様、塩水で義手が錆びますよ」
 そんな冷ややかな突っ込みもテンションの上がってきたウォッシュには聞こえてない。
「そうだ、その辺りの子供を連れてこい!」
「ドクター・ウォッシュは寛大なお方ゲラ。褒美が欲しい子供は、元気に手を挙げるゲラ〜」
 クラゲバグラは客席に降り、立候補する中から五人見繕って舞台へと上げる。
 ウォッシュが武器とするカメラのスイッチを押すと、空に次々とKV☆が映し出される。
「リーダーのブラック、お嬢様なホワイト、クールなブルー、明るいオレンジ、真面目なシルバー、お姉さんなピンク。誰が好きか言ってみろ!」
 五人が順に答え、最後の女の子だけはウォッシュの後ろに視線を向けた。
「私、ルナがいい‥‥」
「KV☆じゃないけどいいのか!? ‥‥良かったな、ルナ・ゴールド」
「‥‥身に余る光栄です」
「答えた褒美に戦闘員にしてやろう!」
「待ちなさいっ!」
 舞台右袖からKV☆の三人が駆け出す。
「良い子の皆はこっちよ」
 レイナが子供達を舞台から逃がし、ショウキが敢然とウォッシュに言う。
「クラッシュ・バグ! 何故こんな所に!?」
「KV☆! 何故こんな所に!?」
 ウォッシュと台詞がばっちり被ってしまい、気まずい雰囲気に。
「ここで会っ‥‥」
「この間はよくも騙してくれたわね!?」
 気を取り直した所をアヤメが遮り、ウォッシュが地団太を踏む。
「ここは我の台詞が先だろうが!」
 もちろん打ち合わせ済。客席から起こった笑いが収まったのを見計らって、どこからともなく声が響く。
「無様なものだな、ドクター・ウォッシュ」
 激しいミクスチャーロックをバックに、これまで登場したことの無い若い男が姿を見せた。
「世を照らす光るあるところに影あり‥‥クラッシュ・バグ幹部の一人、コマンダーシャドウだ」
 シャドウは品定めするようにKV☆達を眺める。
「貴様らが主に仇なす者たちか。せいぜい楽しませてくれよ? KV☆共よ」
「待て!」
 一色即発かと思われたところに、黒木メイと春風サクラが駆け込んでくる。
「皆、久しぶりね。余計な奴等もいるみたいだけど〜?」
 サクラは客席にも両手を振り、おもむろにクラッシュ・バグを振り向いた。
 メイは勇ましく身構えて言い放つ。
「オレが戻って来た以上、お前達の好きにはさせない!」
「ほう、貴様がリーダーか‥‥悪くない面構えだな」
 シャドウはメイにむかってにやりと笑む。手甲を填めた両の拳を握りしめ、戦う構えを見せたその瞬間。
「シャドウ! 今日の目的はKV☆ではないのだ!」
 意外にもウォッシュが止めに入る。
「目的‥‥ボスの命令か?」
「いいから、この場は退くぞ!」
 不可解な言動をいぶかしみながらも、シャドウはウォッシュ達と共に舞台左袖へ撤退した。


 歓迎するアヤメとショウキに、メイは笑顔を見せる。
「新人も入って来たようだし楽しみだな、サクラ」
「ええ。二人ともよろしくね」
 素直になれないレイナはメイに突っかかる。
「あ〜ら、お早いお帰りで。一般庶民はお気楽で宜しいわね!」
「その言いぐさは何なんだ。礼儀ってモノないのか、お嬢のくせに」
 二人が言い合いを開始する影で、ショウキとアヤメはひそひそと相談を始める。
「予定より早く帰って来るなんて‥‥」
「まだ準備が‥‥」
「ちょっと〜、感動の再会なのに仲間外れなの〜?」
「いいええぇ! 何でもっ」
 サクラの言葉で挙動不審に首を横に振るアヤメ。慌ててショウキが取り繕う。
「特訓‥‥今日の反省をしてたんです」
「お二人には関係のない事ですわ」
 レイナのその一言でメイの怒りが爆発した。
「せっかく帰って来たって言うのに、どいつもこいつも!」
 舞台端に移動したサクラは腕組みをし、客席に大仰に頷いてみせる。
「なるほどね〜。お姉さんは解っちゃった♪ でもメイは気付いてないみたいね」
「帰ってくるんじゃなかったよ」
 言い捨てて去ろうとするメイにサクラが駆け寄る。
「もう、メイ〜。折角逢えたのに何でそんなに喧嘩腰になるのよ〜」
「ほっといてくれよ!!」
 サクラを振り切り、メイは舞台左袖へ走り去った。


 舞台が暗転し、岩のある浜辺にいるクラバグ一行。
「‥‥何故海なのですか」
「夏と言えば海! プライベートビーチは男の浪漫だ!!」
 焚き火でイカ焼きを作りながらウォッシュが叫ぶ。
「そしてビーチと言えば水着ゲラ。ルナお嬢様も‥‥」
『プライベートビーチ』を妙に強調し、きわどい水着を広げて見せる。
「そんな紐のようなものは衣類と認めません」
「いかんな、ルナ。たまには休養も必要だぞ。さて‥‥」
 水着を奪い取るルナに言いながら、ウォッシュはおもむろに白衣を脱いだ。会場から何処か嬉しげな女性達の悲鳴が巻き起こる。鍛え上げた身体に褌一丁のウォッシュが横たわると、クラゲバグラがマッサージを始めた。
「電流の出力を弱めればマッサージに丁度いいゲラ。ルナお嬢様もイカがゲラ?」
 下心丸見えの声を出すクラゲに、ルナはふいと背中を向けた。その様子を呆れ顔で眺めるシャドウ。
「大事な用というのがこれか‥‥ん?」
「なにやってんだ‥‥オレは怒りにまかせて。こんなんじゃリーダー失格だ」
 シャドウが舞台右袖から現れたメイの前に立ちはだかる。
「何故お前がここにいる、コマンダー・シャドウ」
「丁度退屈していた所だ。ククク、手合わせ願おうか」
 言うが早いか、シャドウは拳を武器にメイへ襲い掛かる。格闘戦で応じるも押され気味のメイは腕のスイッチを押す。
「地球パワー、セット!」
 床から勢い良く上がったスモークが晴れると、そこには黒いKVテクターに身を包み、巨大な鎌持つ戦士が立っていた。
「悪を狩る黒き雷光、漆黒の翼スターブラック!」
 二人が繰り広げる白熱の戦いに誰もが息を呑む‥‥のだが。その傍らではウォッシュ達三人が無声でやり取りを続けている。
 一旦間合いを置いたところで、シャドウの掌に影を凝縮したような球体が浮かび上がった。
「シャドウ・ボール!」
 影を拳に宿したまま、シャドウはブラックに襲い掛かる。ブラックはスターサイズに光を宿す。
「フラッシュスマッシャー!」
 二人の技がぶつかり、フラッシュと共に花火の爆発が起こる。
「相殺された‥‥」
「互角、か」
 遠くから聞こえるKV☆達の声に、シャドウは拳を収めた。
「なかなかやるじゃねぇか、気に入った! また、ゆっくり手合わせでもしようぜ。シャドウカーテン!」
 右腕を挙げると、黒い影を模した布が素早く舞い降りシャドウを隠す。布が消えると、シャドウの姿は跡形もなくなっていた。手品のような演出に驚きの声が沸く。
「俺以外の奴に負けんじゃねぇぜ」
 声だけが響き、ブラックの元に皆が合流した。
「アンタたちがリゾート気分なんて百万年早いのよおぉ!」
 レイナの神速のアッパーカットが電気マッサージ組を見事に吹き飛ばす。
「‥‥ばかばかしいので私は帰りますよ。後は頑張ってください」
 ルナは溜息と共に首を横に振ると舞台袖へと消える。身を起こしたウォッシュは白衣を羽織り怒りに身を震わせた。
「またしても我の邪魔を‥‥やれ、クラゲバグラ!」
 クラゲバグラが前に出ると、メインテーマ曲の元KVテクターを発動させる。
「地球パワー、セット!」
「輝く白は乙女の純心、純情可憐スターホワイト!」
「天翔る不屈の銀狼、スターシルバー!」
「暗雲切り裂く一陣の光、スターオレンジ此処に推参!」
「貴方を包む春の風、恋の魔法使いスターピンク!」
 それぞれがポーズを決めると、ブラックを中心に客席へ向けて集合ポーズを決めて声を合わせた。
「正義の翼で悪を討つ、地球戦隊・KV☆STAR!」


「くらえ、スターライザー!」
 シルバーの必殺技を受けたクラゲバグラは、何と二体に分裂した。
「くっ、スターゲイザー!」
「無駄ゲラ〜」
「斬れば分裂、打撃は吸収」
「貴様らは勝てないゲラ!」
 三体に増殖したクラゲバグラはくねくねとクラゲダンスを踊ってKV☆を挑発する。調子に乗って乱舞するうちに、一体がウォッシュがイカを焼いていた焚火に足を踏み入れた。
「☆●※◇!!」
 焼け落ちたクラゲの足を見たオレンジのKVテクターが発光した。
「特訓の成果を見なさいっ」
 スピードアップしたオレンジは焚火の火で次々とクラゲの足を奪っていく。しかしオレンジは突如猫のように動き始め、舞台の隅で休憩中のウォッシュからイカ焼きを奪う。
――オレンジはバーニングモードによって二倍速で行動できるが、引き換えに知能が猫化してしまうのだ!
「我のイカを返せ!」
「にゃっ!? 危ない危ない、リストリクションワイヤー!」
 ウォッシュにどつかれて正気に戻ったオレンジは二本のスターワイヤーでクラゲ1、2を拘束する。
「ブサイクは消えなさい! プリティハリケーン!」
 ホワイトが華麗に回転させるスターバトンの衝撃波に、クラゲ1の機械部分がスパークする。
「ラブ☆タイフーン!」
 そこへ走り込んだピンクの声と共に、両手のスターブレスレットが光を放つ。桜吹雪が竜巻状に舞う中、ピンクの鉄拳制裁が炸裂。吹き飛んだクラゲは舞台天井へ消えた。
「お家に帰って反省しなさい♪」
 クラゲ1に向かって技を放とうとしたシルバーが片膝をつく。
「こんな時にトレーニングの疲れが‥‥このままじゃ武器のエネルギーが無くなる」
「オレに任せろ! 雷の黒龍、限定解除スーパーノヴァ!」
 ブラックが身体から放出させたスパークがクラゲ1を倒す。シルバーが感嘆の声を漏らす。
「さすが漆黒の翼、ボクなんかより強い。想像してた通りの人だ」
「覚えていろ、KV☆。ヴォルテクスサイン!」
「そんな、ウォッシュ様〜」
 自らが発生させた竜巻で離脱するウォッシュに、クラゲ3は狼狽する。
「庶民の皆さん、今ですわ!」
 ホワイトの声に、全員が武器を重ねる。変形した武器が生み出す必殺の巨砲。
「これで終わりだ、スターキャノン!」
 ブラックが引き金を引き、舞台全体に花火が吹き上がる。
「ゲラ〜〜!」
 悲鳴だけを残し、クラゲバグラは消滅した。


 場面はKV☆養成所へと変わる。
 未だ元気のないメイをサクラが励ましていると、突然照明が落ちた。停電かと思いきや、再び灯りがついた時には他の三人が二人を囲みクラッカーを鳴らす。
「二人ともお帰りなさい!」
 声を合わせて言う三人にあっけに取られるメイ。
「一般庶民には勿体無いのだけど‥‥」
 突如レイナが指を鳴らすと、執事達が巨大ケーキを運んでくる。ケーキには『DEAR FRENDS』と書かれていた。
 嬉しそうにサクラが言う。
「ほらね、皆がおかしかった理由、解ったでしょ?」
「そうだよな、ここに帰って来たんだよな。なのにオレは馬鹿だ全く」
 感涙するメイにサクラが促す。
「じゃ皆に挨拶、ね♪ ただいま♪」
「ただいま、皆! ありがとう、レイナ」
「お帰りなさい‥‥相棒さん」
 レイナは背中を向け、照れ臭そうにメイへ呟いた。

―― 一方その頃、クラバグ本部では‥‥。
「まったく、ウォッシュ様は何をお考えなのか」
 小言を呟くルナは、持ったままの水着に気付き鏡の前で服の上に合わせた。
「似合ってる‥‥のでしょうか」
「ルナ・ゴールドよ!」
「な、何でしょうっ!?」
 突然現れたウォッシュに、ルナは慌てて水着を隠す。
「次こそはKV☆を倒す。地球を手に入れれば海は全て我のものになるのだからな!」
「わかってます。次こそは結果を出して見せます」
 ウォッシュが去り、安堵したルナ。そこへ再び現れたウォッシュが一言。
「遠慮せず海で着ればよかったものを」
「き、着ませんっ!」


 客席から巻き起こる拍手の中、カーテンコールでメインキャストが紹介される。

黒木メイ(ブラック)/柿原ミズキ(ga9347
吹雪レイナ(ホワイト)/鬼道・麗那(gb1939
星川ショウキ(シルバー)・アリス/柿原 錬(gb1931
時雨アヤメ(オレンジ)/シャーミィ・マクシミリ(gb5241
春風サクラ(ピンク)/狐月 銀子(gb2552
ドクター・ウォッシュ/桂木穣治(gb5595
クラゲバグラ/ジャンガリアン・公星(ga8929
ルナゴールド/天戸 るみ(gb2004
コマンダー・シャドウ/Y・サブナック(gb4625

 主題歌を客席含め全員で歌うというサプライズもあり、第三回公演も大盛況の内に幕を閉じ。
 照明の入った客席には一つの空席もなかった。