●オープニング本文
前回のリプレイを見る●社長、大絶賛
KV☆第五回公演も盛況の内に終わった。
物語内で昏睡状態のため出番の少ないルミナが、変身前の姿でチケットのもぎりや呼び込みを行うというサプライズにもファンは喜んでいたようだ。
中には、早速兄弟の間で入替えごっごが始まっている兄弟もいるようだった。
一方、大人のファンは子供達とはまた違った楽しみ方をしているようで。
「キャラ入替えって、定番だけど私は好きだなぁ。こういうの」
「いつもならウォッシュが絡んできそうなところだけど、やっぱルナの一件でキャラ変った感じだったよねー」
そう言っている女性の二人組がいれば、ひそひそと話しているマニアックそうな男の三人組もいる。
「ラピスのテクターは今回も公開されなかったな。俺、絶対ステアーだと思うんだよ」
「いや、案外大規模で発見された新型機かも知れんぞ」
「えー、ないない」
この毎回観に来ている大きなお友達はどうやら傭兵らしい。
シリアスパートだった前回と違いコメディパートである今回は、コミカルな要素を多分に含み客席からも頻繁に笑いが起こっていた。その一方で全体的なストーリーや次回への布石も絡めつつ、新旧のファンを裏切らない物語を展開して見せた。
結果、これまでよりも大きな会場を用意したにも関わらずほぼ満席という成果をあげている。
ファンも増えて来ている上に、各メディアもKV☆を注目し始めていた。
「これは、いよいよ映画化の話も夢では無くなりましたしね‥‥」
社長はもらった名刺を大事にしまいこむと、いそいそと事務所へ戻る準備を始めた。
●というわけで
LH本部では、オペレーターの小野路綾音(gz0247)により第六回KV☆公演の説明が行なわれていた。
「何とですねぇ、『イツメパイユ』さんにKV☆映画化のお話が来たそうなんですよ〜、おめでとうございます〜」
綾音は自分の事のように喜びながら、出演者に資料を手渡していく。
「舞台公演は今回を含めてあと二回。今回と、最終回と。舞台公演を見事終了させた暁にはぜひ映画を作らせて欲しいと申し出てくれた会社があったそうで〜」
遊園地のヒーローショーから始まったKV☆だが、映画化を目指して舞台公演を続けていただけにこの話は皆の熱意をかきたてた。
「映画化目指して、今回も盛り上げていきましょうねぇ」
●以下資料
【地球戦隊KV☆STAR(テラセンタイ・ナイトフォーゲル・スター)】
クラッシュバグに対抗すべくテラ・ネットワーク財団が生み出したヒーローがKV☆STARである。
財団所有のKV☆養成所では、地球の平和を守るための戦士達が日夜訓練を重ねている。
普段は白と銀をベースにしたKV☆養成所のジャケットとブーツを着用。
変身時は「地球(テラ)パワー、セット!」の声と共に腕時計型の通信機兼発動スイッチを押す。
『KVテクター』というKVを思わせる装甲(口元以外を覆うヘルメット、胸・腕・脚装甲。背中に機翼)を纏った戦士となり、数倍の能力を発揮できる。
(舞台では、ジャケットやベルト、ブーツの模様に紛れるように装着されたパーツが展開し、装甲へと変形する仕組になっています)
・決定済KV☆
スターブラック・黒木メイ
スターホワイト・吹雪レイナ
スターブルー・天野ユウリ
スターピンク・春風サクラ
スターシルバー・星川ショウキ
スターオレンジ・時雨アヤメ
スターパープル?・下部戸レイ
(名前はお子様に判りやすいようカタカナに変えてあります)
【クラッシュ・バグ】
地球を乗っ取り占領するために宇宙から来た悪の組織。ボス、幹部、魔獣、戦闘員という縦社会によって構成されている。
魔獣は地球の生物をベースにメカ改造を施したモノが多い。名前は『改造元生物の名前+バグラ』。
また、ドクター・ウォッシュの開発した『D(ダーク)テクター』を装着した戦士も新たな戦力となっている。
・登場済幹部:クリムゾン船長、ドクター・ウォッシュ、コマンダー・シャドウ
・『D(ダーク)テクター』:ルナゴールド、ダークラピス
・故 魔獣:クマバグラ、ライオンバグラ、クモバグラ、クラゲバグラ、バクバグラ、アゲハバグラ
【国連地球防衛軍・特別即応班】
『Union Deffence Force』『Special Counter Team』
財団所有のいわゆる民間戦力であるKV☆と対極にある公的な軍。
KV☆と協力体制をとることもあるが、戦力的にはクラッシュ・バグ戦闘員と互角程度なので言わばやられ役。
・登場済:沢渡ユキ少尉
●リプレイ本文
●
残る二公演は前後編。事実上最終回の前半を見逃してはならないというファンで客席は満員だ。チケット同時購入でイベント招待券が当たるという施策も功を奏していた。
お馴染みのテーマ曲とナレーションが流れ、舞台の幕は開かれた。
「私は陽ノ下ルミナ‥‥出雲で巫女をやっています。ワケあって別に暮らしてはいますが吹雪レイナの実の姉です」
KV☆養成所内。前回まで意識不明の状態だった巫女服の彼女は、改めて皆に自己紹介をする。
刹那、出動を知らせるアラームが鳴り響きアリスの声が事態を報告する。
『クラッシュ・バグがこの養成所の場所を突き止めたみたい。移動形態になるまで、何とか時間を稼いで!』
「よし、行くぞ!」
メイを先頭に皆が舞台左袖へ駆けていく。
「シルバー、お願いがあります」
逡巡していたルミナは、最後尾のショウキを呼び止めた。振り向いたショウキに歩み寄り言う。
「私のD(ダーク)テクター‥‥もう一度、使えるようにしてください」
何かを言い返そうとしたショウキだったが、彼女の真摯な瞳に頷いた。
「わかりました‥‥アリス、システム面のサポートを頼む」
ショウキを祈るように見送るルミナを残し、舞台はゆっくりと暗転した。
●
舞台は森に包まれた山岳地域へと切り替わる。
「世を照らす光ある所に影あり。クラッシュ・バグ幹部の一人、コマンダーシャドウだ。この辺りにKV☆の基地があるらしい。お前達知っているか?」
客席に向けて言うが、子供達は口々に「知らない」「教えない」と声を上げた。
「良い子の皆の言う通りだよ!」
アヤメの声が響き、舞台右袖からKV☆達が走り込む。同時に逆側からダーク・ラピスが姿を見せた。
「あたしが本気を出せば、あんた達なんか一捻りなんだから! Dパワー、セット!」
ラピスが腕のテクター発動スイッチを押す。海を思わせる青い光が満ち、足元から吹き上がったスモークが消えると、紺碧のディアブロ仕様テクターに身を包んだラピスがポーズを決める。
「神秘なる深海の妖精、ダークラピス!」
ポーズを解いたラピスの異変にアヤメが気づく。
「テクターに塗りムラがあるよ?」
「バレた!? だってイメージカラーは青がよかったんだもん! 頑張って塗ったんだから」
レイナは呆れて言った。
「皆さん、とっとと片付けてしまいますわよ! 地球(テラ)パワー、セット!」
「悪を狩る黒き雷光。漆黒の翼スターブラック!」
「大空を翔る自由の翼。蒼天の剣、スターブルー!」
「輝く白は乙女の純心、純情可憐スターホワイト!」
「暗雲切り裂く一陣の光。KV☆、スターオレンジ!」
各人がそれぞれのテクターに身を包みポーズを決める。
「よ〜し、やっちゃえ!」
掛け声と共にKV☆に襲い掛かるラピスに戦闘員達が続く。
「スターブレイド!」
「スターワイヤー!」
ブルーとオレンジがそれぞれの武器で戦闘員をなぎ倒していく中、ラピスはホワイトへ矢継ぎ早に攻撃を繰り出す。パワーでは劣るホワイトは技を駆使しスターバトンで受け流していく。
双方の攻防を退いた位置で眺めていたシャドウにブラックが向かう。
「そろそろ決着付けようぜ、コマンダーシャドウ」
「ご指名とあらば仕方ない、か‥‥」
気乗りしない様子で身構えるシャドウだが、ブラックの猛攻を手甲から伸びるテグスで巧みにいなす。隙を見ては影弾を放つが、ブラックはそれをかいくぐる。
背景が流れ、二人以外の戦いが遠ざかっていく。二人の攻防に目を奪われている観客からは、二人が戦いの輪から離れていくように見えていた。
一進一退の攻防。一旦二人は離れ、それぞれの武器に力を集中させる。
「フラッシュスマッシャー!」
「シャドウインパクト!」
駆け寄る二人の攻撃が同時に炸裂する。その直前、ブラックは武器を引いた。
「なっ‥‥!?」
拳に宿していた影弾の狙いを反らしたシャドウが問う。
「何故攻撃の手を緩めた」
「覚えているか? オレがクラッシュ・バグの人体改造を受けたばかりの頃。実力を測る戦いで魔獣に敗れたオレの命を救ってくれたのがお前だった」
「‥‥」
「KV☆になってお前と再会してから、ずっと迷っていた。やっぱりお前の命を奪う事など出来ない!」
ブラックは武器を捨てた。
「なぁシャドウ‥‥オレは義に報いるため、お前の剣になる。この闇の力で」
「‥‥好きにするがいいさ」
皮肉めいた笑みでシャドウが言う。加勢に駆けつけていたオレンジは愕然と呟く。
「そんな‥‥」
●
所変わって再びKV☆養成所内、研究室。
アリスが解析しているDテクターのデータが画面上を流れて行く。
「それにしても父さんの設計図とほぼ同じだなんて。KVテクターの情報をどこから‥‥外部からセキュリティをかいくぐって盗む事も不可能だ」
ショウキが呟く。
「もしかして内部の誰かが――? いや、そんな事ありえない!」
『Dテクターの解析と改修は終わったよ』
「後は、ルミナさんに渡すだけかな」
『ルミナはお兄ちゃんの好みのタイプなんでしょう。アヤメとルナミどっちがいいの? アヤメ泣かせたら承知しないから』
「何言ってるんだよこんな時に‥‥! ほら、早く行かないと!」
ショウキが研究室を出たところで舞台が暗転する。
「こちらショウキ。戦況は?」
「それが‥‥ブラックが大変なの!」
「とにかく、すぐそちらに向かうから」
オレンジの声にショウキが答えた所で舞台はブラック達のいる場所へ戻っていた。オレンジが通信を終える頃、左袖から黒い魔獣が現れた。
腹部だけが白い星模様のずんぐりとしたその体型は、紛れも無くハムスターのそれである。
「ハムバグラ‥‥」
かつて敗れた魔獣との再会に複雑な表情のブラックに、ハムバグラは短い腕を振り上げた。
「ハムバグラ様だ! さぁ、KV☆共を蹴散らしクラッシュ・バグに忠誠を誓うのだ!」
「はい、ハムバグラ様」
ブラックはオレンジと、駆けつけたショウキの前に立ちはだかる。
「地球パワー、リバース」
声と共に足元から黒い噴煙が吹き上がり変じた姿。
それはファームライドを模した女性的なテクターに身を包み、腰まである炎髪を靡かせたDテクターの戦士だった。
「破滅の黒き雷光。暁の翼、ダークルージュ」
「その姿は一体‥‥」
『お兄ちゃん何だか変だよ。KVテクターの正義の力と、悪の力が完全に融合してる! 悪の力の源は‥‥』
「そう、オレだ」
「そんな‥‥まさか、テクターの設計図を盗んだのも‥‥」
「真実が知りたければオレを倒してみせろ。ダークグレイブ!」
「こうなったら、戦うしかない。地球パワー、セット!」
薙刀を構えるルージュに、ショウキは意を決しテクターを装着する。
「天翔る不屈の銀狼、スターシルバー!」
「わかった、私も戦うよ」
臨戦態勢のオレンジとシルバーが立ち向かう。戦う三人が遠のいていき、再び対ラピス戦にスポットが当てられる。
「スプレッドエッジ!」
ブルーのスターブレイドから放たれたエネルギー波が戦闘員三人を纏めて弾き飛ばす。
「雑魚は全て片付いたぞ‥‥ぐあっ!」
「何ぃっ!」
加勢しようとしたブルーとラピスと交戦中だったホワイトを機関銃のような衝撃が襲った。
「どうだ、ヒマワリランチャーの威力は。オレ様はこれまでの連中とはヒト味違うぞ」
声と共に現れたのはハムバグラだ。ラピスが悠然と彼に歩み寄る。
「二対二なら絶対優勢だね!」
「いいえ。二対三、です」
左袖から現れたのはルミナだ。
「もう迷わない。レイナのため‥‥大好きなこの星のため。私も戦います」
「姉さん‥‥折角なので手伝わせてあげますわ」
思わず笑みを零す妹に頷き返し、ルミナは左腕に装着したテクターを掲げる。
「地球パワー、セット!」
ルナ・ゴールドのDテクターはフェニックスを思わせる金のKVテクターになっていた。その背にある翼だけが、以前のスノーストームの姿を保っている。
「数多を照らす恵みの光、シャインゴールド!」
ラピスは楽しくて仕方ないといった風に笑い声を上げる。
「ふぅん。完全にKV☆になったって訳ね」
「ダークラピス‥‥貴女も洗脳されているのですね。かつての私のように」
「不完全だったあんたと一緒にしないで。あたしはKV☆に負けたりしない」
「私がDテクターを破壊し、貴女を解放して差し上げます‥‥この刃の翼、クサナギと拳に宿るヤサカの力で!」
ゴールドが拳から放ったレーザーの牽制が、戦いの合図となった。
ブルーが振るった一撃をハムバグラが鉤爪で弾き、駆け寄り旋回するゴールドの翼刃をバク宙で回避する。
「ハムスターの身軽さと改造による剛力を兼ね備えたオレ様に勝てるかな? はムっ、はー!」
気合の声と共にハムバグラが口から放つヒマワリランチャー。繰り出されると同時に、ゴールドが大きく広げた翼から日輪の輝きが放たれる。
「ヤタノカガミ!」
無数の光弾がヒマワリランチャーを相殺する。
攻撃範囲から逃れたラピスに、ホワイトがバトンを回転させる。
「プリティハリケーン!」
「甘いっ!」
ハムバグラの鉤爪がホワイトに迫る。が、間に割って入ったゴールドがその爪を受け小爆発が起こる。
「姉さん! うあっ!?」
気をとられた隙に、ホワイトがゴールドもろともヒマワリランチャーの餌食となった。
「ホワイト、ゴールド!」
「余所見は禁物だよん」
懐に入ったラピスがブルーを吹き飛ばす。
立ち上がりながらホワイトがラピスを指差した。
「まだ負けませんわよ、貧乳女さん!」
「好きでこんな胸になったんじゃないわー! あたしだって本当は‥‥本当はなー!!」
泣き出したラピスが両手を高く掲げた。深海を思わせる紺碧の光が満ちる。
「ダークブルーオーシャン!」
大きな火花がKV☆の足元から起こり、三人は吹き飛び地に伏した。敵優勢の状況に、会場から応援の声が上がる。
しかし遠方から薙ぎ払われたレーザーが追い討ちをかけた。
●
「ふはははは! その程度の力で、どこまでやれるというのか。見ものだな」
現れたのはラインホールドを元に形作られた重装兵の如きDテクターの戦士。威圧感のある巨体の両肩と右腕の大砲が発射の余韻を昇らせている。
「我はドクター・ウォッシュ‥‥全てを破壊し、地球を我らの手に。巨大化レーザー!」
左手の砲身から放たれた光がハムバグラに当たった瞬間、舞台から客席に向けてライトが照らされ舞台が見えなくなる。
光が止んだには巨大ハムバグラのセットが現れる。顔から上は舞台の上端に消えるほどの大きさのそれが一歩を踏み出すたびに振動を表すSEが鳴り響く。
「むっるははは〜ム。ウォッシュ様より賜った、オレ様の新たな力を見せてやる。スーパーヒマワリランチャー!」
それまでに無い程の大きな花火が、KV☆の周囲で連続して起こる。舞台床の一部が動き、地割れを発生させた。
爆炎が消え、変身が解けるほどの痛手を受け倒れるKV☆三人が姿を見せる。
「だ、誰が負けるもんですか!」
レイナが立ち上がる。
「私達が負けたら‥‥誰が皆の笑顔を護るのよ‥‥」
「そうだ、俺達は負けられない‥‥」
ユウリとルミナも立ち上がったが、それをハムバグラは一笑いに伏す。
「一思いにとどめを‥‥は、ハムっ!? か、身体が、う、ウォッシュ様ぁっ!!」
砕けるような音が鳴り響き、巨大ハムバグラの身体入った亀裂から光が放たれる。
「巨大化光線の威力が強すぎるか‥‥調整が必要だな」
「以前の彼は、こんなに残虐ではなかった。あのDテクターの影響なの?」
ルナゴールドとしてあれ程大切にしていたルミナに、KV☆にウォッシュは全身の砲座を向けた。
「我自ら貴様らを葬ってやる。地球侵略の為には何を破壊しても構わん」
「ウォッシュ様!? あたしがいるのに‥‥」
ラピスの言葉は一斉掃射の爆音にかき消された。煙る舞台の端に、気を失ったラピスを肩に担いだシャドウが現れる。
「敵味方見境無しか‥‥どうかしちまってるぜ」
呟きを残し、シャドウカーテンで撤退した。
爆炎が晴れた舞台端でユウリは動かない。辛うじて立っていたレイナにウォッシュが歩み寄る。
「邪魔者は全て排除する」
抵抗する力の無いレイナを、ウォッシュは地割れの中へ突き落とした。
「うあぁぁ!」
「レイナ!」
ルミナは力を振り絞り地割れへと飛び込んだ。
勝ち誇った笑いと共にウォッシュが舞台袖に消え、舞台は暗転する。
●
ゆっくりと照らし出された舞台ではシルバー、オレンジの二人とルージュとの戦いが。
オレンジがルージュの攻撃を抑え、シルバーが合間を縫って攻撃を仕掛けるが、次第に押され始める。
「このままじゃ‥‥」
シルバーが呟いた瞬間、オレンジが勝負に出た。
「このままじゃやられちゃう! 倍速バーニングモード!」
素早さを増したオレンジの攻撃に、一時は防戦を強いられたかのように見えたルージュだったが、
「見切った! 引き裂け、ダークスマッシャー!」
「きゃあああっ!」
黒い稲妻を宿した鎌がオレンジに炸裂する。吹き飛んだオレンジのテクターは電撃によるダメージで解けてしまう。
「よくもアヤメを‥‥許せない! ゲイザーストーム!」
「破滅の烈風、レイジングサイクロン!」
黒い雷渦が発生し、跳ね返されたゲイザーストーム諸共シルバーを襲う。
「うわあっ!!」
うつぶせに倒れるアヤメの横に背中から打ちつけられたショウキはそれきり動かなくなった。
「この程度か、とどめを刺す必要もない」
武器を収めたルージュの前に、ウォッシュが姿を見せる。
「こちらも片付いたようだな。お前がKV☆からこちらへ寝返るとはな‥‥クラッシュ・バグの為に力を尽くせ」
立ち去るウォッシュに続いて歩き出すルージュに、アリスが呼びかける。
『どうしてこんなコトするの? ‥‥お姉ちゃん』
ルージュは足を止めた。しかし振り返ることは無く。
「皆に伝えておけ。悔しいのなら這い上がる事だ」
それだけ言い残しウォッシュと共に舞台袖へ消えた。
『皆‥‥思ったより時間が掛かっちゃったけど、基地が移動形態になったよ。今助けに来るから、もう少し待ってて』
アリスが言う間にも上空にユニバースナイトの模型が飛来し、緊迫したBGMの中静かに幕が閉じていく。
客席に満ちる拍手の中には、多くのどよめきが入り混じっていた。
●メインキャスト
黒木メイ(ブラック)/柿原ミズキ(
ga9347)
天野ユウリ(ブルー)カイト・レグナンス(
gb5581)
吹雪レイナ(ホワイト)/鬼道・麗那(
gb1939)
星川ショウキ(シルバー)・アリス/柿原 錬(
gb1931)
時雨アヤメ(オレンジ)/シャーミィ・マクシミリ(
gb5241)
陽ノ下ルミナ(ゴールド)/天戸 るみ(
gb2004)
ドクター・ウォッシュ/桂木穣治(
gb5595)
ハムバグラ/ジャンガリアン・公星(
ga8929)
コマンダー・シャドウ/Y・サブナック(
gb4625)
ダーク・ラピス/桜井 蒼生(
gb5452)