タイトル:摩天楼強化依頼マスター:菊池五郎

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/07/31 22:54

●オープニング本文


 北アメリカの西海岸にある、サンフランシスコ・ベイエリア。
 ここには北米を代表するメガコーポレーション、ドローム社の試験施設がある。

 試験施設内にあるサーキットを疾走する一台のプロトタイプレーシングカー。白の機体に青いラインが走り、クローズドコックピットは半透明のエメラルド。側面には青地でドローム社のロゴが入っている。
 ドローム社が誇る陸戦型ナイトフォーゲル、LM−01『スカイスクレイパー』だ。
 そして、半透明のコックピットに座っているのは、レーシングスーツ姿の、弱冠27歳でドローム社の社長の座に着いているミユ・ベルナール(gz0022)だ。
 ブーストを吹かしながらホームストレートを最高速で駆け付けブーストをオフ、第一・第二コーナーを巧みなハンドルワークで曲がりきる。
「スカイスクレイパー、トランスフォーメーション!」
 緩やかなS字カーブに差し掛かると、彼女が叫んだ。コックピットの側面のパーツから手が出て車体の前輪部分を押し上げる。後輪のみのウィリー走行をしながら、後輪部分の側面のパーツが折り畳まれて足と化し、コックピット部分が前へ倒れると赤いモノアイの顔が現れた。
 コックピットも変形に合わせて、シートは常に地面と平行になるよう展開していた。
 歩行形態へ変形を遂げたスカイスクレイパーは、プロトタイプレーシングカー時のスピードを保ったまま、今は足となった後輪で走行を続け、ダンロップカーブをクリアーした。
「スカイスクレイパー、ラウンドブースト作動! そのまま砂浜へ行くわよ」
 ハンドルを握り、アクセルを踏み込みながらミユが言うと、スカイスクレイパーのモノアイが輝く。跳躍してコースアウトし、サーキットの横に広がる砂浜へ着地した。
 ラウンドブースト――一般的には『回避オプション』と呼ばれている。回避しながら隣接する8スクエアのいずれかへ移動できる事から、ミユはそう呼んでいた。
 ここはドローム社のプライベートビーチで、W−01『テンタクルス』の開発にも使われた場所だ。
「よし、砂漠用のサスペンションとタイヤはいい具合ね」
 今、ミユのスカイスクレイパーが履いているのは、通常のスカイスクレイパー用のタイヤではなく、砂漠でも走行可能なスタッドレスタイヤだ。元々、スカイスクレイパーのタイヤはランフラットのスリックタイヤだが、砂浜程度なら走破可能だ。
 しかし、本格的な砂漠では機動力が落ちるという試算が出ており、そこでサスペンションをオフロード仕様にし、タイヤもスタッドレスに変えたのだ。
「スカイスクレイパー、横転した後に突撃仕様ガドリング砲を目標に向けて発射!」
 ミユの言葉と同時にスカイスクレイパーは砂浜を横転し、体勢を整えると、左手に持っている突撃仕様ガドリング砲を設置されたゴーレム――木偶の坊――に向けて撃った。
「スカイスクレイパー、マイクロミサイル全弾発射!」
 両肩に搭載された6連装マイクロミサイルが、射出口のカバーを吹き飛ばしながら発射する。計12発のミサイルはゴーレムを吹き飛ばした。
 ミユ曰く、スカイスクレイパーはハンドル+アクセル+ブレーキ+シフト操縦だという。加えて先のように音声入力で動くが、実のところ、歩行形態用の操縦桿はあるし、エミタが能力者の「次の行動」を読み取り、補助しているのだ。その為、反復横飛びや腹筋だって出来る。
 しかし、音声入力はロボットに乗る者にとって浪漫だと言いたい。スカイスクレイパーに乗った時は、是非音声入力を演じ、堪能して戴きたい!
 ‥‥さて、それはさておき。
「1番のネックは積載量よね」
 コックピットから砂浜へ降り立ったミユは、ヘルメットを取って髪の毛を直しながら、サンフランシスコの暑い陽射しを受けるスカイスクレイパーを見上げて呟いた。
 スカイスクレイパーは陸上での速さを追求したプロトタイプレーシングカーであり、従来の戦闘機型ナイトフォーゲルに比べて積載量が少ないのは仕方ない。
 しかし、ロールアウトを控えている、同じ陸戦型ナイトフォーゲル、LM−04『リッジウェイ』は歩兵戦闘車型地上用だ。
「サスペンションを砂漠仕様に強化する事で、積載量は増やせるけど、それはアクセサリスロットも増やせる事なのよね‥‥どちらを増やすべきか、能力者の意見を聞いてみようかしら?」
 レーシングスーツの胸元を開け、衿で扇いで涼しい風を呼び込みながら、ミユは誰もいない、打ち寄せるさざ波の音だけが聞こえる浜辺を眩しそうに見渡していた。

●参加者一覧

真田 一(ga0039
20歳・♂・FT
幸臼・小鳥(ga0067
12歳・♀・JG
ヴィス・Y・エーン(ga0087
20歳・♀・SN
水理 和奏(ga1500
13歳・♀・AA
流 星之丞(ga1928
17歳・♂・GP
月神陽子(ga5549
18歳・♀・GD
メティス・ステンノー(ga8243
25歳・♀・EP
ヤヨイ・T・カーディル(ga8532
25歳・♀・AA

●リプレイ本文


●サンフランシスコ・ベイエリア
 スナイパーのヴィス・Y・エーン(ga0087)達を乗せ、ラスト・ホープを発った高速移動艇が向かったのは、北米はサンフランシスコ・ベイエリアにあるドローム社の開発施設だった。
「目の前に海があるんだー♪ しかも凄く綺麗ー」
「この辺り一帯は、ドローム社のプライベートビーチですからね」
 赤い瞳をキラキラと輝かせながら、自分達以外人がまったくいない海岸を見渡すヴィス。ダークファイターのヤヨイ・T・カーディル(ga8532)は、このプライベートビーチに来るのは今回が初めてではなかった。
「向こうにあるのは‥‥サーキットのようですね。観戦用のスタンドが見えます」
「‥‥コントロールタワーやコントロールラインもあるようだな。かなり本格的なクローズドサーキットだ‥‥」
 ファイターの流 星之丞(ga1928)と真田 一(ga0039)が見ると、海岸沿いには本格的な設備の整ったサーキット場が鎮座していた。
「しかし‥‥これだけの広大な敷地を持ちながら、ドローム社はまだ施設を拡張するつもりのようですわね」
 ファイターの月神陽子(ga5549)は、一達とは逆の方向を見ていた。そちらは小高い山になっており、斜面は削り取られ、抉られた跡を見せていた。
「いえ、あの山もドローム社の敷地内です」
「ミユお姉様!」
 陽子の呟きに応えたのは、ドローム社社長ミユ・ベルナール(gz0022)だった。グラップラーの水理 和奏(ga1500)が彼女の腕に抱き付く。
 ミユはいつものスーツ姿ではなく、青系のシックな色合いのビキニにパーカーを羽織ったラフな服装での登場だ。
「あの抉られ方は、ミサイルやレーザーの類によるものではない、どちらかというと重機によるものと見たけど‥‥整地した跡ではないという事は、ドローム社もドリルといったナイトフォーゲル用の素敵兵装を開発して実験しているの?」
 エキスパートのメティス・ステンノー(ga8243)は灼熱の炎を思わせる鋭い赤い瞳で、削り取られた丘を見ていた。
「でも、ナイトフォーゲル用のドリルでも、あそこまで大きくは削れないよ?」
「ナイトフォーゲル用ではない、もっと巨大なドリル‥‥TBM(=坑道掘削装置)並み、もしくはそれ以上のドリルを開発しているという事ですわね?」
「はい。この開発施設では現在、戦艦の艦首に付けるドリルを開発しています。あの山はその実験に使ったのです。さぁ、せっかく当社のプライベートビーチに来られたのですから、皆さんも着替えて下さいな」
 和奏と陽子に応えたミユの言葉に、ヴィス達は一斉に驚きの声を上げる。
 ミユはピットの方を指差した。場所が場所だけに、和奏達も水着持参が前提のようだし、ミユの服装を見ればスカイスクレイパーのアイディアコンペの後は息抜きする気満々だ。


 ヤヨイ達はミユの運転する電動カートに乗ってサーキットを横切り、ピットへ向かう。
「‥‥コースの幅は、F1のそれより大きいな‥‥」
「ここは弊社の陸戦型ナイトフォーゲルの走行テストに使用しますので、ナイトフォーゲルが十分走行できる設計です」
「いつか、スカイスレイパーを使ったグランプリが開けるような、そんな平和な世の中になったら面白いですね‥‥そうしたら僕、優勝を狙いますよ」
「スカイスクレイパーを使ったグランプリ‥‥ふふ、素敵ですね。その時は弊社が主催しましょう。私も参加しますよ」
「僕も参加したいな。僕、ラスト・ホープで開かれているレースでランキング入っちゃう程、運転の楽しさに目覚めちゃったんだ☆」
 スカイスクレイパーのグランプリに想いを馳せる一とミユ、星之丞と和奏だった。


●スカイスクレイパーのバージョンアップ
 ピット裏のパドックには、ドローム社のロゴが入ったトランスポーターが停めてあり、陽子達はその中で水着に着替えた。
「ミユ社長、いつもわたくしの夜叉姫がお世話になっております。新機体が続々とリリースされる中、バイパーが最前線で戦えるのも、ドロームの研究員の方が無茶な強化のお願いを聞いてくれるお陰ですわ」
「弊社の機体に愛着とこだわりを持って長く乗って下さるのは、開発冥利に尽きます。お持たせですけど、お茶請けにさせて戴きますね」
 陽子はお辞儀をして、お気に入りの名店の菓子折りを手渡した。ミユはそれを受け取ると、その場で包みを開け、トランスポーター内に設置された机の上に並べていった。
 彼女はセミロングのパレオの付いた、黒のツーピース水着を着ている。
「スカイスクレイパーは良いマシンですよね、飛行機体とは違う振動とGが素敵です」
「LM−01は私も好きな機体だから、他のユーザーさんにも納得してもらえる改良をしてもらえたらいーね♪」
(「音声入力なんだよね‥‥ミユお姉様楽しそう。僕も一緒に乗れたら楽しいだろうなぁ‥‥」)
 星之丞もまた、スカイスクレイパーに魅せられ、日頃命を預けている。赤いトランクス水着に上半身はパーカーを羽織っているが、トレードマークの黄色いマフラーは健在だ。
 ヴィスは、メタリックライトブルーの、結構布面積が少ないチューブトップのビキニを着て、健康美に溢れる小麦色の肌を惜しげもなく晒している。それでも本人は、サンバカーニバルの衣装などに比べれば、まだまだ露出は少ないと思っているようで、海パンにYシャツを羽織った一からすれば目のやり場に困る事この上ない。
 彼女の横に座る和奏は、思い切って学校の水着ではない、ブルーのタンキニ+パレオといった普通の女の子の水着を着ていた。
「LM−01『スカイスクレイパー』はバージョンアップにより、サスペンションと足回りの強化、専用タイヤの交換を行い、砂漠での運用を可能にします。また、サスペンションを強化する事で積載量、もしくはアクセサリスロットを増やす事が出来ます。どちらを増やすか、皆さんの忌憚無い意見をお聞かせ下さい」
「‥‥局地の1つ、砂漠に対応できるようになるのか。良かった‥‥積載量は、確かに重要だ。強化するならまず最初にする事だからな。可能な限り上げたいくらいだ。それにも限度がある。そこに更に増えるなら‥‥だが、実際のところ機体強化でなく、人工筋肉といったショップで出回っていないアクセサリで補っているのも事実だしな‥‥」
 ミユの説明を受けて、一が積載量とアクセサリスロット、それぞれを増やすメリットをまとめた。
「僕は機体強化で増やせないアクセサリスロットがいいかなって思う。一さんが言うように、人工筋肉はショップに出回っていないけど、フォローで積載量を増やせる兵装を開発するのは‥‥厳しいかな?」
「私もアクセサリスロットを推奨いたします。アクセサリスロットは増やせる機会が物凄く少ないですからね、増やせる時に増やしてしまった方が後々重宝すると思うんです。逆に言えば、それほど強化出来ない人にとっては積載量の方が使いでがあると言う事になる訳ですが‥‥まぁ、強化で補うにしても、いつかは頭打ちになってしまう訳ですから、基礎的な積載量が少しでも増えるのも貴重と言えば貴重‥‥特に、最近の武器はどれも重いものばかりですから」
「そうなんですよ。僕も個人的には積載量が少し増えたくらいでは、3つ目のレーザー砲を積めそうにないもので。それでしたら、アクセサリスロットを増やした方が色々な面で対応出来るかなと」
 和奏とヤヨイ、星之丞はアクセサリスロットを推した。和奏の隣に座るヤヨイは、彼女とは対照的に白いスクール水着を着ていた。
「確かにみんなの言う通り、アクセサリスロットを増やせば汎用性は上がるし、アクセサリや強化でカバーはできるよ。でも、全ての傭兵がそんなほいほいナイトフォーゲルにお金を注ぎ込める訳では無いからねー。少なくとも私は、そこまで注ぎ込められる程、手持ち無いしねー」
「ヴィスさんの意見も一理ありますわ。わたくし達傭兵はバグアに勝つ為、そして生き残る為に、装備にお金は惜しみませんもの。ただ、それは自分自身か、ナイトフォーゲルか、の差でしょう。自分の装備をある程度調えれば、自然とナイトフォーゲルを強化する事になりますし、そうなると積載量は強化で比較的上げやすいですわ。それに、アクセサリは付け替えによって他の能力も上げられますので、能力の中では上位互換的な部分がある、とわたくしは考えておりますわ」
 ヴィスは資金繰りという、全ての傭兵が抱えているであろう切実な問題に切り込んだ。しかし、陽子はナイトフォーゲルの強化は傭兵が一度は通る道であり、今すぐでなくとも、長期的な視点から積載量ではなくアクセサリスロットを推した。
「まぁ、星之丞さんが言うように、重い得物は使いにくいでしょうけど‥‥ソードウィングみたいな変り種とかとは相性良さそうよねぇ‥‥」
「ステンノーさんも真田さんもアクセサリスロットを推していますから、スカイスクレイパーのバージョンアップはアクセサリスロットを中心に行います」
 ミユはそう結論付けた。
「さっきピットに停めてあったスカイスクレイパーを見て思ったんだけど、タイヤはスタッドレスよね? 砂漠戦を想定しての機動試験で使ったのかしら? 砂漠の砂って乾燥して、粒子が凄く細かいせいで流動性が高いから、こういう砂浜じゃあまり良いデータは取れないと思うわよ?」
「弊社の開発施設は砂漠にもあり、今回のバージョンアップ用のサスペンションとタイヤは、そちらで実験を行ったものです」
「‥‥砂漠での行動を考えると、流砂や蟻地獄といったものも、ラウンドブーストで回避できそうだな。砂漠とは違うが‥‥小さな泥沼や川程度も越える事が可能では‥‥」
「なるほど、ラウンドブーストはそういう時の為でもあるのね。その走破性と特殊電子波長装置によるアンチジャミングこそ、スカイスクレイバーの利点だわ。バージョンアップでなくても良いから、この特殊電子波長装置の出力をもっと上げる事は出来ないかしら?」
「現行の特殊電子波長装置では、今の出力が限界です。出力を上げるには、新しい特殊電子波長装置を載せ替える必要があります」
 メティスの憂いは、ミユと一の説明である程度解消できた。ちなみに、メティスは黒のかなり際どいハイレグビキニを着ているが、残念ながらパレオを巻いている。
「メティスさんが仰っていましたけど、ソードウィングをスカイスクレイパーに取り付ける為のアタッチメントは欲しいですわね。後、ステアーの3機目が確認されましたから、対知覚兵器用の盾といった装備と、これは個人的な趣味になりますが、ウィンチ付きワイヤーといったナイトフォーゲル用の一般装備が欲しいですわ」
「既存のメトロニウムシールドを流用したミラーシールドとかでしたら、開発も比較的容易ではないかと思います」
「ステアーかぁ‥‥前回、リリアンちゃんに撃墜されちゃったの悔しいな‥‥リカのバージョンアップや鹵獲したファームライドの技術を駆使した超バージョンアップやリカHって風に、強いのができたら‥‥なんてのは贅沢かな。でも、バグアの高機動機体には攻撃当たらない事多いし、新しくナイトフォーゲルを考えるとしたら‥‥2人で操作系統を分担して、命中精度を飛躍的に高められる、複座専用ナイトフォーゲルなんてできたら凄いかなって‥‥凄く訓練した息のぴったり合う2人限定とかになりそうだけど、大好きな人とならきっと‥‥なんてロマン過ぎるかな、えへへ」
「新しいナイトフォーゲルなら、高速艇型はどうかなー? 現行の水中機は速度が遅いから、カバーする為の機体は必要だと思うんだよねー。水中戦闘ができない代わりに通常の兵装を使用可能にすれば、沿岸警備に艦隊や揚陸部隊の護衛などに使えると思うよー」
「サポートという点でしたら、陸戦の支援や指揮用に、積載量の多いトレーラー型のナイトフォーゲルはどうでしょう? 先程ミユ社長が仰った強化された特殊電子波長装置を積んで司令官にするとか」
 陽子とヤヨイが開発して欲しい兵装の話を始めると、和奏はPM−J8『アンジェリカ』のバージョンアップや複座専用ナイトフォーゲルを提案し、ヴィスと星之丞もその話題に乗った。また、メティスも積載量と爆撃能力を追求し、サブウェポンスロットが多いステルス爆撃機をベースにしたナイトフォーゲル案を出した。
 ミユは兵装は出来るだけ採用したいとしながらも、アンジェリカのバージョンアップはロールアウトしたばかりなので難しいと言い、複座専用ナイトフォーゲルや高速艇型ナイトフォーゲルは、その特殊性から量産には向かないと応えた。また、先日行われたドローム社の社内ナイトフォーゲルコンペティションで、爆撃機型ナイトフォーゲルが不採用だったので、今すぐの採用は難しいが、トレーラー型ナイトフォーゲルに関しては開発してみたいと前向きに返答した。


●真夏のマーメイド達
 アイディアコンペが一段落すると、メティス達はプライベートビーチへ飛び出した。
 一と星之丞はビーチパラソルで日陰を作り、水や氷菓子の入ったクーラーボックスを準備すると、チェアに腰を下ろした。
「最近、血生臭くて大変な事が多かったですから、心身共に生き抜きしたいと思っていましたの」
「と言うか、ミユ社長もメティスさんも、何食べたらあのスタイルになるのでしょうか‥‥」
「ミユ社長のスタイルは、人類とは何か別の存在だと思って達観した方が気になりませんわよ?」
 陽子達女性陣はメティスの提案で、ビーチバレーを楽しんだ。
 ミユに対抗心を燃やすメティスと、女としての意地を賭け、覚悟完了で臨んだヤヨイ。2人とも見事にミユに勝ったが、燃えすぎたせいでメティスはお約束のポロリをやってしまい、水着を着直しており、今は中断中だ。
「私の食生活は野菜中心ですね。お肉はあまり食べません。後、ピザやパスタは好きですよ」
「社長職はデスクワーク一辺倒と思いがちでしたが、適度な運動に加えて、野菜中心で且つ炭水化物を採るのがポイントですわね」
 ミユの言葉をメモする陽子。
「(疲れを癒してあげたいな‥‥お姉様達がいい機体や兵装を作ってくれるから、僕達も戦えるんだ。ちょっとでも、支えてあげたい‥‥)そういえば、お姉様は七夕の短冊にも書いちゃうほど肩凝りが酷いんだってね‥‥また揉んでいっぱいマッサージしてあげるよ☆」
「じゃぁ、私は前の方のマッサージをするねー。しゃっちょさんって美人さんで好みだから、今夜はお持ち帰りされたいかもー♪」
 和奏がミユの肩を揉み始めると、動けない事を良い事に、ヴィスが前のマッサージを始めた。
「‥‥こういう時間もいいものだ‥‥」
「そうですね、みんな楽しそうで‥‥いつでもこうして笑っていられる世の中を、早く取り戻さなきゃ」
 一と星之丞は一時の平和を謳歌しているが、鼻の下は伸びきっている事を追記しておく。