タイトル:【極北】白い海でマスター:紀藤トキ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/02/25 22:49

●オープニング本文


 旧北極基地は、昨年冬の【BV】作戦の際に、参番艦の突撃によって破壊された。しかし、UPC潜水艦隊も、その際に戦力の多くを失い、北極海の掃討を行う事が出来ぬまま、1年。司令部を失いつつも、稼動し続けた生産設備のために、北極の海は再びバグアの勢力が増しつつある。荒れる気配の見え始めた冬の海を、少数の輸送艦隊が航行していた。
 一方、時を同じくして、防御戦力の必要に迫られたチューレ・バグア軍も戦力の糾合の動きを見せている。事態は、競争の体を示し始めていた。

−−−−

 揚陸艦「カシハラ」を旗艦とする輸送艦隊は、護衛艦を3隻伴っていた。守るべき輸送艦は6隻。いずれも砕氷能力を持つ中型の高速艦である。前衛に護衛艦「アルケス」「カノープス」、後方に「ギアンサル」。中央部には「カシハラ」、輸送艦「J・ハーディガン」「C−α114」「ケープ・オマ」「しらすな」「コルヴィ223」「コルヴィ107」の各艦が3列を作って進んでいる。
「艦長、アルケスより入電。我前方にキメラの群れを確認す。転進の要あり」
「了解した、と伝えろ。‥‥しかし、思ったよりも敵が多い。警戒を怠れんな」
 自身を戒めるように、「カノープス」のホーキンス艦長は呟く。彼は50代に差し掛かった老練の艦長で、UPCに志願する前はカナダの商船隊に属していた経歴もあり、この辺りの海にも詳しい。僚艦「アルケス」のシューマン中佐はまだ30代半ばで、これが艦長として挑む二度目の任務だった。
「艦長。こちらもキメラの群れを確認しました。‥‥アルケスに続いて回頭しますか」
 副長が尋ねてくる。水面下の曳航ソナーを巻き上げるか、あるいは切り離す必要があるが、そうすれば一時的に水中の敵の動向が読めなくなる、という危惧からだった。
「‥‥回頭待て。監視を続けろ。向かってくるようなら追い払わねばならん」
 キメラの群れ程度ならば、護衛艦とKVで一蹴することは出来る。しかし、数が多い敵を叩くと散り散りになり、輸送艦に思わぬ危害が出る事をホーキンスは警戒していた。幸い、敵の動きに戦術的なものは見当たらず、これまでは迂回する艦隊を追撃してくる様子はなかったのだが‥‥。
「上空レーダーに感。単機です」
「‥‥敵機だと? バグアのUFOが監視に張り付いていたか‥‥!」
 はっと、見えるはずも無い空を見上げるホーキンス。離れた先では、アルケスが氷を砕きつつゆっくりと回頭に入るのが見える。
「敵キメラの群れ、前進してきます。その奥に、ワームを確認。メガロワーム多数にゴーレム2!」
「横腹を見せるのを待っていた訳だな。‥‥本艦は前進だ。アルケスに魚雷を撃たせるな。傭兵へ出撃要請。アルケスのシューマンにも伝えろ!」
 矢継ぎ早に命令を下しながら、ホーキンスの脳裏にふと、残してきた家族の顔が過ぎった。

●参加者一覧

ドクター・ウェスト(ga0241
40歳・♂・ER
鏑木 硯(ga0280
21歳・♂・PN
シャロン・エイヴァリー(ga1843
23歳・♀・AA
クラウディア・マリウス(ga6559
17歳・♀・ER
美海(ga7630
13歳・♀・HD
リスト・エルヴァスティ(gb6667
23歳・♂・DF
オルカ・スパイホップ(gc1882
11歳・♂・AA
一ヶ瀬 蒼子(gc4104
20歳・♀・GD

●リプレイ本文

●海は暗く
 40体ほどの、群れというには小規模のキメラに高速メガロワーム、ゴーレムという編成のバグアは、明らかに突破を狙っている。空中部隊が帰り際に爆撃を仕掛けたそうで、報告よりはキメラの数が減っているようだ。傭兵達はそれに対抗すべく、前衛4機、後衛4機のシフトで迎撃態勢を組んだ。
「シャロン・エイヴァリー、配置に着いたわ。皆、準備は良い?」
 中央やや右側のリヴァイアサンから、シャロン・エイヴァリー(ga1843)が声を上げる。空を行くロビン同様、青いイルカの略でB・Dと名づけた機体は、素のままの濃紺色だ。
「北側、配置につきました。負けませんよ?」
 その更に右へ、鏑木 硯(ga0280)も機を並べる。硯の隣に現れた、オルカ・スパイホップ(gc1882)のレプンカムイ。イルカとシャチ二頭のエンブレムが、仲良く列を為す。彼ら3機を含めて、前衛は全てがリヴァイアサンだった。登場後1年を経過するが、いまだにその座を明け渡さない海の王者だ。
「‥‥ハッカペル」
 叩き潰せ、という意味の母国の言葉は、リスト・エルヴァスティ(gb6667)の今の心境を表すようにそっと海へ放たれた。こんなに静かで、深い海の静寂を乱すことはしたくない。

 後衛についた4機は、自分達が突破阻止のラインであることを認識している。
(見た目は華奢でも、戦闘機動はビーストソウルよりもはるかに荒々しい‥‥でも、乗りこなしてみせるわ、じゃじゃ馬)
 一ヶ瀬 蒼子(gc4104)の言葉に、蒼牙・破 と名づけた機体のエンジンが低く応える。
「横は任せてくださいね。ふふ、こう見えても水中戦の経験は豊富なんですよ?」
 やや緊張気味の蒼子に、クラウディア・マリウス(ga6559)がそう声を掛けた。掛けつつも、周囲の冷たく蒼い海を見て、僅かに身震いした。機内は断熱されているが、こんな海に投げ出されたらと想像すればそうもなる。
「絶対に、護らなくちゃ!」
「そう、その通りね、クラウディアさん」
 冷静にそう応える蒼子。一方、北側の二機はやや趣が違った。
「地球の海は美海の海なのです〜♪」
「その音楽のセンスは良いが、ソナーの邪魔にはならないのかね〜」
 ご機嫌で、どこかで聞いたような雰囲気のオリジナルソングを流す美海(ga7630)に、ドクター・ウェスト(ga0241)が苦笑する。とはいえ、もはや距離は数百メートルのオーダー、エミタAIの補正があれば見落とす心配はない距離ではあった。全域を見渡せる後衛中央に機体を据え、ウェストは鋭い目と意志で敵の動きを注視する。散開したこちらの意図に気づいていない筈は、ない。
「いくぞ〜、超獣巨蟹猛進撃滅騎士団〜♪」
 背景に流れる美海のセンスとあいまって、微妙にシュールな絵面だった。ちなみに、超獣(略)は彼女の機体名である。


●氷下の乱戦
 彼我の先頭同士の距離が、200mを切り、150mを割った辺りで、交戦が開始された。先手を取ったのは、硯機。ガウスガンで動きの鈍いキメラを射撃しつつじわりと間合いを詰め、魚雷を射出する。目標はゴーレムだ。
「‥‥避けた? やっぱり、有人機か」
 硯を敵と認めたのか、正面に対したゴーレムは大型魚雷を切り離しつつ抜剣する。あるいは、硯を抑えている間に突破を図るという手はずか。メガロワームが3機、それぞれ少数のキメラを牽引しつつ速度をあげた。
 後手になったシャロンが、動き出したメガロワームの頭を抑える位置に入る。人型、近接戦武装のシャロンを突破は困難と見たのだろう。これも大型魚雷を切り離し、身軽になってから連れていたキメラと共に交戦態勢に入った。
「ウェスト、敵の1体に取り付くわ! 後ろ、お願い!」
 魚雷を撃ち落すのは諦め、ワームの迎撃に集中するシャロン。
「さあ来なさい! 海の主役が鮫かイルカか、教えてあげるわ!」
 盾を構えて威勢良く挑発するシャロン機を、メガロワームの突進が襲う。叩きつける反動で勢いを逸らし、がら空きの横腹へ機斧を叩き込もうとした横から、キメラが体当たりをかけてきた。
「くっ、この‥‥!」
 本能に根ざしているかのように、ワームと連携した動き。僅かに狙いをそれた一撃は、それでもワームのひれの一つを引きちぎった。

 後方、ウェストの位置から見える状況は、シビアだった。自走魚雷4本が射出されており、それは走り出る前に撃ち落すのが望ましい。が、まだ魚雷を抱えたままキメラを引き連れているメガロワーム2機も叩く必要がある。いや、叩くとまで言わずとも、突破を止める必要があった。
 ぐん、と速度を上げるメガロワーム。バグアにとってのブーストに相当するものなのだろう。
「ソッチは任せたよ〜、コッチはコイツらを何とかしよう〜」
 自機に近いメガロワームの進路上に割って入りつつ、ウェストは動き出す前の大型魚雷めがけて対潜ミサイルを放つ。計算どおりならば、美海とウェストがワーム1機、魚雷2発を担当すれば切り抜けられる状況だった。
「外れたでありますか!?」
「む、これは〜」
 コクピットのウェストが、口から魂を吐くような出来事が、実戦ではまま起きる。美海の二度目の斉射が、命中しなかったのだ。2度の射撃後にワームへ対応しようとしていた美海は、その機動を放棄。魚雷への迎撃を3度、行う。10発の大型魚雷は、しばしの後に逃した獲物を無事、捉えた。
「美海の目の黒いうちは護衛艦には指一本触れさせないのです」
 運が良かったのは、美海の初期位置がメガロワームの正面だったことだ。特に回り込まずとも、相手の動きを阻害できる。ただし、それは相手から見ても同じことだ。前進してきたメガロワームが大型魚雷を切り離し、戦闘態勢に入った位置は、目の前と言って良いほどに近い。

 ――一方。南側ではそれと対照的な幕開けになっていた。
「そ〜れ、いくよ〜!」
 オルカのレプンカムイが開幕と同時に突出したのである。ブーストを併用した全力の加速で正面にいる僅かばかりのキメラを突破した彼の目標は、正面やや右にいたゴーレムだった。振るわれた水中練剣「大蛇」の破壊力は凄まじく、受けた盾を貫きゴーレムの胴へと食い込む。
『‥‥!?』
「あ!」
 抱えていた大型魚雷2本の誘爆は、オルカの視界を真っ白に染めた。咄嗟にアクティブアーマーを向ける。コクピット内で衝撃に振り回されつつ、オルカは計器盤へ目を走らせた。右半身を中心に警告ランプが一斉に点ったが、まだ戦える。ゴーレムの姿は、もう無かった。胸をなでおろしかけた、瞬間に機体が再度衝撃に軋む。
「わ!」
 魚雷を切り離したメガロワームの体当たりだ。オルカはあずかり知らぬことだが、メガロワームの突破指示はゴーレムが出す予定となっていた。
「敵討ちかあ! でも、やられてあげないよ!」
 指揮官が不在となった今、手近なレプンカムイに矛先を転じたのは、そのように見えなくも無い。側面、背面からぶち当たってくるキメラも含め、打撃の全てを殺すのは不可能だ。
「‥‥無茶をする」
 呆れたように、リストが言う。ブーストの分だけ追尾が遅れた彼は、結果としてオルカを袋叩きにするメガロワームを側面から攻撃できる位置につけていた。近づき、槍を抜いた彼の気配に、遅まきながらワームが気がつくが。
「遅い」
 一瞬、リストの動きが早かった。横腹をさらす敵に水中機槍斧「ベヒモス」を叩きつける。一撃、さらにもう一撃。三発目は回避された。向き直るワームとその直属らしいキメラを前に、リストが周囲の海のように冷たい目を向ける。
「ちゃんと狙えよ、俺はここだ」
 オルカ1機であれば、メガロワーム2機で抑えて突破という選択もあるいはあったかもしれない。が、リストが前線に入った時点で、メガロワームのAIは完全に守勢にたった。


●蒼き海は静寂に
 南側がここまで優勢に、一方的な展開となったのはオルカの突出が最大の要因だが、それだけではない。
「あっちも気になるでしょうけど、しばらくこっちに集中してもらいますよ」
 硯の水中用太刀「氷雨」が、ゴーレムの装甲を削る。状況の悪化を察知したゴーレムは幾度と無く後退、あるいは離脱を試みようとしたが、硯はそれを許さなかった。比較的近距離にいるもう一機のメガロワームも、シャロンに押されている。
「もう、取り巻きのキメラもいないわよ! 勝負!」
 サメとイルカの一騎打ちは、突進する獰猛な牙を優雅に円を描いて回避したシャロン機が、ベヒモスを叩きつける事で終わりを告げた。赤いフィールドでも吸収しきれぬ打撃にひしゃげた装甲の間から、空気や液体が吹き出て、ワームの動きが停止する。
「次は‥‥!」
「こっちは大丈夫です。後ろへ回ってください!」
 やや優勢に押している硯もそうだが、オルカもさらにメガロワームを1機撃破している。リストも押し気味だった。目を転じた後方は――。

「これ以上、通しはしない!」
 蒼子が、自身の正面から進んでくる魚雷を迎え撃つ。南側の戦線は、指揮官が早々に落ちたせいもあり、魚雷とワームの突撃のタイミングがバラバラだった。キメラやワームの対応と魚雷阻止を同時にしなくても良いのならば、恐れる程の事は無い。
「これ以上、先には行かせませんっ」
 クラウも近寄ってきた大型魚雷を狙い、撃ち抜く。6本の魚雷は、ある物は動き出した直後に、またある物は進んできた所で危なげなく破壊された。しかし、北側のように乱戦にあっては、先手を取れるかどうかが時に大きく状況を左右する。
「この距離なら、外しはしないよ〜」
 機先を制したウェストが、無防備に漂う魚雷を撃ち抜く。その爆発を囮に、メガロワームが彼のリヴァイアサンを強襲した。
「その程度かね〜」
 今回の戦線において、リヴァイアサン各機のアクティブアーマーは万全の役割を果たしているようだ。一方、先の迎撃に全力を使った為か、美海機は正面の敵へ向き直るのが一瞬遅れた。ゴボ、と目の前の大型魚雷のスクリューが泡を生じるのが感じられる。
「美海の目の黒いうちは護衛艦には触れさせないのです」
 魚雷は二本。動き出した魚雷の両方は止められない。少女は迷う事無く、片方の魚雷の正面へ愛機を滑らせた。強引な割り込みで進路を変えられた魚雷が自爆し、その爆圧が彼女の機体を激しく叩く。まだ、来るべきではないと誰かの声が聞こえた気がした。いや、聞こえたのは――。
「美海ちゃん、大丈夫ですか! 美海ちゃん!」
 クラウの声。ウェスト同様に視野を広く持とうとしていた彼女は北側の状況にも気づいていたが、見ているしか出来ない無力さにまたも歯噛みする。南端の位置から北端の美海へ援護を行うには、純粋に手持ちの射程が足りなかった。
「この程度、どうってことないのであります」
 美海はあっさりと言うが、一撃で受けるダメージとしては随分大きい。それを二発分受けて無事だったオルカのレプンカムイの頑丈さが、どれほどのものか判ろうというものだ。
「撃ち漏らし対応しますっ!」
「一匹も、逃すわけには行かない!」
 魚雷退治を終えたクラウと蒼子が、北側の乱戦に加勢する。というよりは、メガロワームがウェストと美海を忙殺する間に突破を狙っていたキメラの処理に入った形だ。
「身辺警護とは少し勝手が違うけれど、どういう状況であれ守りきれませんでした、じゃプロ失格だってのよ!」
 護る事に掛けるプライドを口に、蒼子は先頭のキメラへ魚雷を打ち込む。距離は開いているが、当てられない程すばしこい相手ではない。クラウはブーストを併用しつつ間合いを詰め、ガウスガンで次々とキメラを狙い撃つ。追撃を逃れえたキメラは僅かに2匹だった。

 ――前衛側。
「これで‥‥!」
 ブン、と振りぬいた太刀筋に、掲げたゴーレムの盾が一瞬間に合わない。肩口から入った一撃は、それまでに破損していたゴーレムの装甲を砕き、内部構造までダメージを及ぼした。浮力を失い、沈んでいく敵を見送る硯。後方でしぶとく残っていたメガロワームが破壊されたのと、リストの加勢を受けたオルカがこの日3機目のワームを撃破したのはほぼ同時だった。
「終わったか。‥‥とりあえずは」
 静けさを取り戻した海に心地よさを感じながら、リストが言う。


●戦い終えて
 取り逃がした魚雷は「アルケス」に命中していたが、艦首付近を大破させるに留まった。砕氷能力が低下する為に後尾の「ギアンサル」と位置を後退せざるを得なかったが、ゴットホープまでの航行には支障が無いようだ。
「一安心、なのであります」
 ぶつけた傷に絆創膏など張られつつ、美海が言う。オルカとリストを初め、前衛4名も結構な傷を受けており、ウェストの付き添いで医務室へ送られていた。無傷の蒼子とクラウは共に再出撃に備えて詰めているが、もう組織だった攻撃は無いだろう、と「カノープス」のホーキンス艦長は言う。海峡の切れ目はすぐ先だし、奇襲を掛けるならばさきの場所に全力をつぎ込まない理由が無い、と。
「ハイ、これでよし。ホント能力者の人の怪我って、治りが早いわよね」
 美海を送り出したタイミングで、ウェストが咳払いしてから声を掛ける。
「‥‥あ〜、うん、まあ、ソノ後どうかね〜」
 傍若無人な印象のウェストにしては珍しいおどおどした雰囲気に、エレンは僅かに首を傾げてから、微笑した。
「え? ‥‥ああ。フフフ、どうかしら」
 自覚症状では身体に変化は無いし、特に変わったことも無い、と真面目に答えるのは、ウェストがエレンの身を――、というよりは「能力者と交際している一般人の身体状況の変化を」気にしているのを知っているから、だ。
「‥‥そうか〜。感謝するよ〜」
「あ。はい。真彼さんにも伝える事とか、あるかしら?」
 首を振り、無言で立ち去る青年の背中は少し丸い。友人の彼女を観察し分析する事がウェストの罪悪感となっているらしいが、彼女はそれを不快と思ってはいなかった。おそらく子供が出来たとかそういう場合になれば、また色々と聞かれる内容も増えるだろう、とは思う。
「でも、とりあえずはそういう予定は無いのよね‥‥。仕事にも、差し障るし」
 早く安心して先のことを考えられる世の中になればいい、と。次に入ってきたシャロンを見て、彼女は微笑する。
「フフ、そういえばそんな話、シャロンから聞いたんだっけ」
「え? 何の事?」
 きょとんとした様子の親友に、エレンはちょっと意地悪く、「なんでもない」と笑った。