タイトル:五輝願望マスター:九重陸

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 7 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/07/05 16:22

●オープニング本文


 UPC北方軍、グリーンランド・チューレ基地の高級将校の一人娘が18の誕生日を迎える。
 娘の名はカグートゥヤと言い、美しいと評判ではあったが‥‥とにかく物凄いわがままだった。

「そのカグートゥヤお嬢様の婿探しを、高級将校様(おえらいさん)がしてるんだけど‥‥」
 カンパネラ学園の聴講生、フォルスト・ウェンアーは歯切れ悪く切り出した。
 彼の話によると、大切な一人娘の婿となる者は将来有望でなければならないと言う。結婚後は士官候補生として教育し、ゆくゆくは軍で指揮を執れる様な才能が必要だとか。
 フォルストの父親が件の高級将校直属の部下だったので、年頃の息子であるフォルストにお声が掛かり、何の因果だろうか婿候補の一人として選ばれたらしい。
 婿候補は彼をあわせて5人。誰が一番婿に相応しいのか、一方的に試験が行われる事となった。
 試験の内容は、カグートゥヤお嬢様がすごく欲しがっている5つの物を入手してくると言ったもので、候補者の5人にはそれぞれ1つずつ入手してくる物が指定されていた。
 更に試験には条件があった。婿となる者は将来人を指揮する立場に就くと言う事から、人を見る目が確かな方が良い。
 なので婿候補の5人は、指定された物を直接入手しに行くのでは無く、信頼出来る者達を選び出して入手してきて貰う‥‥‥‥要するに、任務に適した人材を見抜く力を試される。

「僕が指定されたのは、鎧亀の額に輝く銀‥‥」
 鎧亀とは、グリーンランド某所で存在が確認された陸亀型キメラの事らしい。強固な甲羅を持ち、額には銀色に輝く一本の角が生えている。
 このキメラが発見されたのは岩場の多い小高い丘で、付近に街や村、施設など何もない事から、地下資源の発掘を行っているものと推測された。
 素直にキメラ退治の依頼を出せば良いのに‥‥と愚痴てから、フォルストは溜息を吐いた。
「結婚が嫌ってわけじゃないんだけどさ。尻に敷かれるの目に見えてない?」
 とは言え、父親の顔を立てるために指定の物は何としても入手しなければならない。結婚に関してはその後で話し合いの余地くらいはあるだろう。
 報酬は高級将校の方で用意してくれているらしい。キメラ退治の依頼も兼ねているのだろうが、それを娘の婿探しに利用するとは何ともたくましいと言うか親ばかと言うか。
 他の候補者達もきっと似たような状況なのだろうが‥‥ともあれ、指定された物の入手を頼みたいと彼は頭を下げた。
 
 そう言えば確か日本の古い書物に、5つの無理難題を求婚者に課した女性の物語があった‥‥女性の名は確か、かぐや姫。どことなくカグートゥヤと語感が似ている。
「‥‥月に帰ればいいのに」
 もう一度溜息を吐いた。

●参加者一覧

ドクター・ウェスト(ga0241
40歳・♂・ER
御山・アキラ(ga0532
18歳・♀・PN
新条 拓那(ga1294
27歳・♂・PN
ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416
20歳・♂・FT
ロナルド・ファンマルス(ga3268
28歳・♂・FT
ヒューイ・焔(ga8434
28歳・♂・AA
グレン・アシュテイア(gb4293
15歳・♂・FC

●リプレイ本文

●未来の為に
「キメラの角が欲しいとは‥‥俗に言う女難かな?」
 難題を押し付けられた依頼人に同情して、ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416)が短く嘆息した。
 キメラ退治の依頼に娘の婿取り試験を織り交ぜた高級将校は逞しいが、そもそもキメラの角を欲しがる娘も娘だ。
「先ずそんなものを欲しがる娘を、躾直す所から始めるべきではなかろうか」
 御山・アキラ(ga0532)も同様に溜め息を吐く。キメラが関わっている以上は看過する訳にも行かないが、難儀な試験である。
 目的地である陸亀型キメラが発見された場所はもう少し離れている。相手側に発見されない為にわざと遠くで輸送機を降りていた。
「まぁ、お仕着せで気が乗らないのは分からないでもないけど、女の子のわがままに付き合うのも男の甲斐性ってもんだよ?」
 出発前に同じ言葉をフォルストに掛けている新条 拓那(ga1294)。一度相手に会ってから嫌がるならば兎も角、会わないうちから敬遠するのは失礼である。
 会えばもしかしたら気に入るかも知れないし、これも何かの縁ではあるのだから‥‥と前向きにアドバイスをしていた。
「モテない男はツラいデスネ‥‥シカシ! このロナルドが来たからには安心デス、HAHAHAHA!」
 フォルストがモテないかどうかは兎も角、いじいじ悩むくらいならばはっきりと意思表示をすれば良い‥‥と思ったかは定かでは無いが、ロナルド・ファンマルス(ga3268)は自信満々に、それでも声のトーンは落として笑う。
 彼はダウンジャケットを着てはいたが、下は褌一丁と言う勇ましい姿だ。この時期でもグリーンランドは10度前後の気温しか無いので、本人がどうであれ見ている方は寒くなる。
 そんな中、ドクター・ウェスト(ga0241)だけは眉間に皺を寄せていた。
「能力者は遺伝子、細胞から変質して、真の地球人類ではなくなった〜」
 彼は能力者の婚姻に否定的な意見を持っている。結婚して子孫を成す事の危険性‥‥産まれて来る子に何らかの突然変異的な兆候が無いとも限らない。
 同時に、今でこそ能力者は貴重な戦力として頼りにされているが、将来的にもそうであるとは限らない。バグアとの戦いに人類が勝利して世界が平和を取り戻し始めた時には、特異な力を持った能力者は‥‥一体。
 それでも受け入れてくれる人達はいるだろう。しかし歴史が語る様に、狡兎死して走狗煮らる‥‥とも十分に考えられる。
「人間だと言うなら、ソノ知性と理性で感情を抑える事が出来るはずだがね〜」
 必要な時は重用されても、用済みになると惜しげもなく捨ててしまえるのもまた人類だろう。もしもその時に能力者が子供を成していれば、好奇・偏見の目はその子供にも向けられるのだから。
 それでも恋愛を繰り返して結婚し、子を成してゆくのもまた歴史が証明している事だったが、今は共に力を合わせてバグアと戦い、勝利するしかない‥‥歴史を終わらせない為に。
「婿に選ばれたら色々と大変そうではあるが‥‥何にしても依頼である以上、きちんとこなすとしよう」
 小さく告げるホアキン。その点に関しては皆も同じ意見だったので、余念無く周囲の警戒を始める。そろそろ目的地は近い。

 景色が岩場地帯への到着を告げると、少し先を歩いていたヒューイ・焔(ga8434)とグレン・アシュテイア(gb4293)の二人は立ち止まった。
「この辺りか。手際よく片付けて今度の大規模作戦に勢いを付けたいところだが」
 岩陰から周囲を覗いたグレンは、200メートルほど先に小さな仮設小屋を発見して皆に合図を送る。
 隣ではヒューイが、貸し出して貰って来たワイヤーの先にフックを括り付けているところだ。
 皆は仮設小屋を中心に、その周辺まで視線を走らせる‥‥と、小屋から20メートルほど離れた場所で岩山が動いた。それが目的のキメラである事はすぐに解ったが、確かに大きい。
 甲長だけで3メートルはあるので、首や四肢、尻尾を出している時のサイズは4メートルに近い。太い四肢と硬そうな甲羅‥‥動きは鈍重だったが、それだけ重量があるのだろう。
 そしてその額には、情報通り銀色に薄輝く角が生えていた。螺旋状の溝も持つ角は、長さ30センチほどだろうか‥‥刺されると痛そうだ。
「俺は風上に回って煙でキメラを燻し出す。他にも隠れてるのがいれば姿を見せるかもだ」
「採掘用となれば個体数は管理されているだろう〜。連れ戻しに来るバグアがいるかも知れないね〜」
 ヒューイの言葉にドクターが肯く。それぞれの役割を確認し、素早く持ち場へと散った。

●鎧亀の角
 キメラと仮設小屋を囲む様に配置につく。今のところ視界内で動くものは陸亀キメラ1体だけ‥‥小屋の中はここからでは確認出来ない。
 それぞれに索敵を開始する中、ドクターの青い両眼が威圧的な輝きを宿す‥‥覚醒。そのまますぐに電波増幅を行い、澄まされた知覚で全体の警戒に就く。
 付近の大きめの岩を注視していたのはアキラとロナルド。岩陰に隠れている敵や、岩自体に擬態している可能性も考慮している。
「動き出しそうな岩は見当たらないけれど‥‥小屋の中が不明だね」
「ウマく燻シ出さレテくれるト良いンデスが。それは焔サンに任せマショウ」
 短く首肯を交わして二人も覚醒する。ロナルドには外見的変化は見られなかったが、アキラからは表情が消えた。
「確認出来る範囲では、掘り返された跡に潜んでいる様子も無いと思う」
 キメラが採掘した穴を警戒していたグレンも、現時点では異常は無いと告げる。同時に彼の右腕全体に太古の壁画を思わせる模様が現れた‥‥覚醒‥‥模様は一定の位置を占めるのでは無く、腕の上を静かに踊るようにして動く。
 拓那とホアキンは、岩陰を巧みに遮蔽として利用しながらキメラと小屋に近付いていた。
「上空にも怪しい存在は見当たらないし、地下からも妙な振動などは伝わって来ないな」
 素早く双眼鏡をしまい込むと、ホアキンの左掌が熱を発し始める。覚醒‥‥熱は次第に赤い光となって滲み出て来て、磔の釘痕の様な痣を掌に浮かび上がらせた。
「敵の増援があるとしても、辿り着く前にこっちを終わらせてやるよ‥‥硬そうだけどさ」
 言い終えた拓那の表情から、どこかぼんやりとした雰囲気が消える。覚醒、短くフンと鼻を鳴らすと、風上に回ったヒューイの方を見遣った。
 ヒューイもこちらを意識してタイミングを見計らっていた。全員以上無しのハンドサイン。ドクターが親指を立てたのを合図に作戦が開始される。
 ワイヤー等と同じく貸し出して貰っていた七輪に炭を入れ、その上に焼き網と秋刀魚をセットするヒューイ。さらに塩をまぶして火を入れる‥‥ややあって炭が燃え始め、細く煙が立ち上る。
「さあ、この匂いにどう反応する‥‥かな」
 手にした団扇で煙をキメラの方へと扇いで送り出す彼の首筋から、霊気の様な赤いオーラが零れ出す。これで全員が覚醒を完了した。

 煙が風に乗ってキメラの鼻先を刺激すると、鎧亀はその太い首を風上に向けて動かした。食欲からかは解らないが、興味を持ったのは確かだ。
 それと同時に、ドクターの輝く眸が仲間達の構えた武器を素早く確認し、練成強化を行う。武器が淡い光に包まれる。
 拓那の膝より先は透明な光を纏っていた‥‥疾風脚。キメラが気付くよりも迅く、前足を狙って斬撃を叩き込む。
 苦しみながらもキメラは反射的に攻撃者を噛み砕こうとノコギリの牙を剥くが、既に拓那は射程の外にいた。キメラの目に怒りの色が宿る。
 キメラの注意が拓那に向いた刹那、アキラのエネルギーガンが二度吼えた。初弾は前足を、次弾は甲羅を狙って放たれていた。
「耐久性と体力は大したものだが‥‥甲羅越しでも非物理攻撃は有効か」
 抑揚の無い口調でアキラは独り言ちると、間髪入れずに円閃で旋回するグレンの双斧が、今度はキメラの後ろ足を襲う。
 連続して叩き付けられた攻撃に、キメラは耐えかねて悲鳴に似た呻きをあげる。怒り狂う‥‥と言う表現が適切だろうか。
 ここで変化が起こった。異変に気付いた何者かが仮設小屋から出て来たのだ。現れたのは一見して人間の男性‥‥歳は40くらいだろうか。黒いジャケットを羽織り、ツルハシを握っていた。
「何者だ! 発掘作業の邪魔をするとただじゃおかんぞ!」
 待ってましたとばかりに、キメラの防御力や運動性能、攻撃能力などの分析をしていたドクターが誰何に応じる。
「けひゃひゃ、我輩こそがドクター・ウェストだ〜」
 ドクターの名乗りに男は少し怯んだ。が、すぐに小屋の中から援軍を出動させた。先程のキメラよりも一回り小さい鎧亀が現れる。
 こちらのキメラにも銀色の角は生えていたが、もう一体と比べると色はくすんでいたし、長さも半分程しか無い‥‥が、サイズが小さい分だけ動きは早かった。
 勿論早いと言っても所詮亀ではあるのだが‥‥小型の鎧亀は精一杯の速度で大型の救助へと向かう。
 それが男の誤算。小型キメラには自分を護衛させるべきだったのだ‥‥。
 男の死角から近付いたホアキンは、先手必勝で機先を制した。完全な不意打ちで男の足元を斬り払うと、倒れ込んだ男の背中を踏み付けて自由を奪い、流れるように手際良く後ろ手に手錠を掛けた。
「悪いが‥‥身柄を拘束させて貰う」
 男は何が起こったか解らないままホアキンに捕らえられた。本部に連行すれば何かしらの情報源にはなるかもしれない。

「さて、他にキメラは出て来ないか。どうやら岩に擬態はなさそうだな」
 警戒を続けていたヒューイがワイヤーフックを手に前衛戦へ向かうと、同じタイミングで大型の鎧亀は甲羅に閉じこもった。
 防御態勢に入った大型キメラのところに向かって懸命に進む小型キメラだが、その間に割り込むように天使が舞い降りた。ロナルドはキューピッドアローに弾頭矢を番え、小型キメラに引き絞る。
「ソレ以上は行かせマセーン! ファイア!!」
 放たれた矢は小型キメラの足元に突き立って炸裂した。その衝撃でキメラはひっくり返って無防備の腹を空に見せる。
「HAHAHA、今デス!」
 天使の羽を爆風に靡かせながら、誇らしげにロナルドが叫ぶ。そこに完璧なタイミングで走り込んでいたアキラの一撃‥‥蜃気楼を映し出す斬撃は小型キメラの首を斬って捨てた。
「さようなら小亀くん」
「うわ、何て事を!」
 抑揚無く囁いたアキラの声に被せて、身動きのとれない男が焦りの叫びを上げた。這ってでも逃げようとするがそれを許すホアキンでは無い。不自然さを直ぐに読みとると、男の首筋に剣を当てて問い詰める。
「何か企んでいた様だが‥‥喋った方が利口だと思うぞ」
「ここは危ないんだ! はやく、はやくしろ!」
 逃げ出す事さえ出来ない男は、顔を蒼白にして叫ぶ‥‥が、ホアキンは応じずに鋭い視線でただ睨む。根負けした男は観念して呻くように言葉を吐き出した。
「攻撃を受けると‥‥小型キメラの体内に仕掛けた爆弾のスイッチが入る。あと3分で周囲20メートルは吹き飛ぶぞ‥‥」
 大型キメラが甲羅に籠もって防御態勢を取り、そこに小型キメラが周りを巻き込んで自爆‥‥シンプルな作戦だったが、自爆の範囲に自分がいたのでは堪らない。怯える男に小さく舌打ちしてから、ホアキンは皆に指示を飛ばした。
「出来るだけ細胞がある状態で持ち帰りたかったのだがね〜」
 自爆作戦に苦々しく唸るドクターは、それでも任務遂行の為のプランを瞬時に創り出す。彼の目は大型キメラに走り寄るヒューイを見ていた。
「ヒューイ君が鎧亀をひっくり返したら、腹部に攻撃を集中させて頭を出させるのだ〜」
「そこまでを1分で頼むよ。そしてもう1分使って首ごとでも良いので角を回収だ、それから最後の1分で全力離脱だね〜」
 拘束した男をドクターに預けて、ホアキンも前衛に向かう。ヒューイがワイヤーに括り付けたフックを、閉じこもった大型キメラの甲羅に引っかけたのもその瞬間だった。
「がっちり食い込んだな。ロナルド手伝ってくれ!」
「HAHAHAHA! お安いご用デース」
 フックを甲羅に引っかけると、ヒューイは亀の上を踏み越えて小さな岩の上に昇る。そのまま反対側に岩を降りて、ロナルドと二人して力一杯ワイヤーを引く‥‥滑車の原理の様にして、大型キメラをひっくり返したのだ。
 小さな地響きを立てて裏返されたキメラの腹部に、グレンの双斧がスマッシュで重い一撃を叩き込む。その強烈な衝撃で、亀の頭や四肢が押し出されるように外に出てくる。
「もう一撃キツイのを頼む、それで隠れんぼもお終いだ」
 グレンはそのまま横に飛び退き、駆け込んでくるホアキンに場所を空けた。ホアキンの狙い澄ました切っ先は、グレンが一撃を見舞った場所に寸分違わず急所突きを打ち込んだ。
 堪らずキメラは頭を、四肢を、尻尾を甲羅から露見させて藻掻く。ワイヤーを握るヒューイとロナルドの手にうっすらと血が滲んだ。
「時間が無い‥‥決めてしまえ」
 現れた頭部に向かってアキラのエネルギーガンが追撃を掛ける。今やキメラの頭は完全に無防備だった‥‥虚しく四肢をばたつかせる。
「角の一本や二本減るもんでも無いだろうに‥‥いや、やっぱり減るのかな?」
「いいから‥‥疾く」
「急いでくれ、手が痛い!」
「HAHAHAHAHA!」
 3人からのツッコミに応えるようにして、拓那が必倒の構えに入る。引き絞った弓から矢が放たれる様に、瞬即撃を繰り出した。
「これで、チェックメイトだ!!」
 電光石火の一撃で、キメラの角は首ごと斬り落とされる。それを急いで回収して全力でここから離れる皆‥‥しかしヒューイが立ち止まった。
「あー! 焼いた秋刀魚忘れてきた!? 後で食べようと思ってたのに!」
「HAHAHA、逃ゲないト爆発に巻き込まれマスヨ」
 ロナルドに引きずられて、ヒューイも渋々離脱する。ドクターも拘束した男を引きずって離れた岩陰に身を隠している。
「そろそろ爆発だね〜。3‥‥2‥‥」
 そこで爆発が起こった。男の言った通り周囲20メートル程を薙ぎ払う威力だったが、避難が済んでいるので怪我人は無い。
「今‥‥2で爆発したよな」
 口から魂が抜けかけているドクターの肩を、グレンがぽんと叩く。風が吹き抜けて行った‥‥。

 キメラの頭ごと角は無事回収。付録としてキメラの管理者と思われる謎の男1名。そして七輪は爆風で吹き飛ばされ壊れていた。
 連行した謎の男から何か情報が引き出されれば、別の形で依頼が行われるかも知れないが‥‥それはまた別の機会となろう。
 帰還後、貸し出しの七輪を壊した事は勿論怒られた‥‥!
 秋刀魚を食べれなかったヒューイの夕食は、きっと焼き魚定食だろう。角を受け取り、何度もお礼を述べていったフォルストの婿取り物語の結末は。
 様々な余韻を残しつつも、無事に任務は遂行されたのだった。