タイトル:学校の五不思議マスター:九頭葉 巧

シナリオ形態: シリーズ
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/10/27 17:20

●オープニング本文


前回のリプレイを見る


『時間の歪んだ大時計』
 ボーン。

 学校にはいつも、生徒たちに時間を報せる大きな時計がありました。とても立派な時計でした。その大時計はとても古いのにも関わらず、正確な時をいつまでも刻み続けていました。

ボーンボーン。

 しかしあるとき、この大時計は役目の終わりを告げられました。学校の改修と共に、古いものから新しいものへと変えられ、古いものは学校からその姿を消していきました。

 ボーンボーンボーン。

 新しい校舎にあるのは無機質なプラスチックが鳴らすカチカチという無機質な音。ただそれだけのはずでした。
しかし、どこからともなく聞こえてくるのです。大時計の鳴らすあの音色が。

 ボーンボーンボーンボーン。

 放課後。とある生徒が遅くまで残って先生に頼まれた作業をしていました。片付けるだけ。随分と遅くなってしまい、教室の廊下は真っ暗でした。教室を出て廊下を歩いているとき、聞こえてきました。

 ボーンボーンボーンボーンボーン。

 何故こんな時間に鳴るのでしょうか?どうしてか生徒はそんなことを考えてしまいました。こんな夜に、なんで時計の音が聞こえるんだろう。どこから聞こえてくるんだろう。どうして音が追ってくるように聞こえるんだろう。
 姿の見えない時計の音が不気味に響き続けていました。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

「深夜の学校に響く時計の音!なんか学校の怪談っぽいわねぇ!」
 何故かとても嬉しそうに依頼書を眺める宮原 ルイカ。しかし、その表情もすぐに引き締まる。
「それにしても、この一連の依頼‥‥なんだかキナ臭いことになってきたわね。どこまで偶然なんだか‥‥」
 ここまででキメラが関係する話が3件。危険の可能性があると判断され、さらに前回、傭兵に指摘をされて廃校とその周辺は封鎖状態を封鎖してもらった。これで一般人の被害は無くなったと思うのだが‥‥。
「とにかく、今回は大時計だわね!よし!」
 と頷きながら、近くに歩いていた傭兵に向けてびしりと指で指して、こう言った。
「そこのあなた!七不思議を解明してみない?!」

●参加者一覧

Letia Bar(ga6313
25歳・♀・JG
キヨシ(gb5991
26歳・♂・JG
相賀翡翠(gb6789
21歳・♂・JG
相賀 深鈴(gb8044
17歳・♀・ER
ヘイル(gc4085
24歳・♂・HD
天野 天魔(gc4365
23歳・♂・ER
月読井草(gc4439
16歳・♀・AA
峯月 クロエ(gc4477
16歳・♀・FC

●リプレイ本文

■昼間の映像
「キメラ蔓延る裏山に女性の足跡ね。調べてみるか。‥‥足があるなら幽霊ではないだろうし」
 天野 天魔(gc4365)は行方不明者全員の顔写真と裏山の地図を手にし、裏山の入り口を見つめる。一つ大きな息を吐き、裏門から山へと入っていった。

「鳴り続ける大時計か‥‥何を訴えてんだろうな‥‥それじゃあ、行くか」
 相賀翡翠(gb6789)は愛車のドアを開ける。
「くれぐれも、安全運転でお願いいたしますね」
 沢渡 深鈴(gb8044)は不安と心配を混ぜた目で翡翠に問いかけた。
「とばしゃしねぇ‥‥ああ。分かった」
 翡翠は深鈴の両親――交通事故で帰らぬ人となった――のことを思い出し、いつもより安全運転で目的地へと向かった。
 辿りついた先は松田小枝の自宅であった。
「ほら。これは手土産だ」
 彼女に翡翠は手作りのどら焼きを渡す。どうも、と短く言った小枝は、手土産を持ってきた2人を適当にあしらうわけにもいかず、家の中へと通した。
「度々お邪魔をいたしまして申し訳ございません。廃校のことについて再度お聞きしたいことがございまして‥‥」
 丁寧な言葉を並べる深鈴。どうしてもぶっきらぼうな態度となってしまう翡翠は隣で静かに座っている。
「それで、本題はなんなんだい?」
「そうですね。聞きたいのは‥‥七不思議の一つの話にある、学校の大時計についてです」
 深鈴はまず、話にあった学校の改修時の大時計の形状と所在、取り外し後の行方について尋ねた。
「随分と昔のことを穿り返すね。大時計‥‥そういえば昔の校舎の玄関にそんなものがあったね。なんて言えばいいのか‥‥洋館に出てくる大きな古時計、と言えばいいのかしらね。改修したあとは‥‥どこに行ったかなんて知らないわ」
「なるほど。その大時計は、子供たちや学校関係者にとってはどんな存在だったのですか?」
「今で言うチャイムの代わりだったわ」
「そうなんですか。それでは、時計にまつわる噂や出来事などはありましたか?」
「そうね‥‥仕事で遅くまで学校に残っているときに大時計の音が聞こえるのは‥‥正直、不気味だったわ」
 懐かしいわね、と言いながらどら焼きを食べる小枝に対し、今度は翡翠が問いかける。
「そういや、廃校決定した頃に行方不明者が増えたって言ったんだよな?当時の記録にゃ、そんな事件は残されてねぇ。どういうことなんだ?」
「そうなのかい?それじゃあ、あれも噂話の中の1つだったのかしら?いやだねぇ、年ととると記憶力がなくなって」
「‥‥そうか。それじゃあ最後に興味本位で聞きてぇんだが‥‥あんたは廃校が決まった時、どう思ったんだ?」
 そこで小枝は一瞬だけ、どこか昔を懐かしむように目を細めた。だがすぐにもとの表情に戻ってぶっきらぼうに、
「いい気分になるやつなんていないだろ」
 と言った。それで話は終わりだと言わんばかりに、沈黙が続いた。2人は礼を言い、小枝の家をあとにした。車に乗り込んだ深鈴は運転席の翡翠に言う。
「やっぱり、寂しかったんでしょうね」
「‥‥もしかすっと、大時計もそうだったのかもな」
 そう言うと、翡翠はエンジンをかけて車を走らせた。

「‥‥Trick or treat‥‥」
「Trick or treat !‥‥なんてね♪」
 自宅の玄関を開けた黒宮佐貴子はそのままの格好で固まった。目の前に包帯巻きウサギの着ぐるみと、魔女風の格好で背中に羽の生えた人がいるからだ。
「なんてネ。こんばんはですネ」
 と覚醒を解除した魔女風の峯月 クロエ(gc4477)はにこやかに笑いかける。
「やぁ、サキコ!ハロウィン近いから今度のお土産はパンプキンマフィンだよ」
 着ぐるみの顔を取り、現れたのはLetia Bar(ga6313)。
「ちょっと‥‥驚いた」
 2人に聞こえるか聞こえないか、ほんの小さな声を出し、佐貴子は2人を自室に招いた。2人は着替えたのち、改めて佐貴子に向かう。
「さて。今日も新しい怪談を仕入れてきましたヨ」
 前回と同じくクロエと佐貴子の怪談話となってしまい、Letiaは恐怖のあまり目が死んでしまっていた。危険な状態になってしまったのに自分で気付き、慌てて現実界に戻って話に割り込む。
「さ、さぁ〜そろそろ本題だよ〜。この前、廃校を見てまわって、他に気になる所あったかい?」
「山」
「そうかぁ〜。でもあそこはちょっと危険だから、今度かなっ。じゃあ、なんで廃校に行きたかったの?」
「舞台だから」
「10年前の七不思議の内容知ってる?」
「噂だけなら。でも詳細は謎」
「そういえば、依頼の七不思議を何処で知りましたカ?」
「噂を聞いた。それと、人から」
「今回の大時計の情報は無いですカ?」
 七不思議のことを聞くと、相変わらずのように饒舌になり、
「今回のような場合は二つの例が考えられる。恐怖による幻聴。それと実際に鳴った音の誇張。本当に鳴っていたかが重要となるがそれでもどうして現代に過去の遺物が蘇ったのかがわからない。それが面白い」
「そうかー。あ、最後ねっ。白城早季子って人、知らない?」
 Letiaの言葉を聞くと、驚いたような声でこう言った。
「いとこ」

 ヘイル(gc4085)は前回の調査で名前の挙がった白城早季子の勤めているという大学へと辿りついた。学術的興味からと称して聞き込みをしていく。
 まずは彼女の講義を受けていた学生や、同じ学部の講師から彼女のことを聞いていった。どうやら彼女はとても明るく、学生からも同僚の講師からも、みんなに好かれるような人だったという。長い茶髪を揺らしながら笑う美人であったようだ。
 学校に姿を現さないことに関しては、彼女は何かの研究に没頭してしまい、何日も学校や家を空けることがあるそうだ。彼女を少し知る者にとっては『よくあること』のようである。
「果たして本当にそれですませていいのかどうか‥‥」
 大学の総務に行っても、やはり彼女との面会は叶わなかった。そこでヘイルは彼女の自宅の場所を尋ねた。怪しまれながらもなんとか場所を聞きだし、大学を離れる前に早季子の研究室へと入らせてもらった。
 綺麗とは言えない机の上で、ヘイルは見覚えのあるものを見つけた。
「これは‥‥?」
 さらに研究室にある資料などをチェックする。やはり、彼女は地域の伝承や歴史、それに派生する民俗学の研究をしていたようである。職員に礼を言ってから早季子の自宅へとAU−KVを走らせた。
 自宅はごく普通のマンションであった。が、何度インターホンを鳴らしても返事がない。
「やはり彼女は‥‥あの山へ?」
 ヘイルが早季子の研究室で見つけたのは、以前図書館で見たのと同じ、廃校の裏山の航空写真であった。

「さて、今回のカメラマンはキヨシでお届けするでぇ」
 と言いながら、キヨシ(gb5991)は月読井草(gc4439)を画面一杯に映し出す。
「ノッポの古時計か、学校の怪談か、お楽しみってか‥‥」
 井草も1人呟きながら廃校の廊下を歩いていく。
 2人は他の人達よりも先行して廃校に足を踏み入れていた。まだ明るい校舎全体を見回り、構造の把握と目に付く場所に時計が無いかを調べていく。
「まぁ、ないとは思うけど一応な」
 前回見つけた足跡が気になるキヨシは、カメラを回しつつもこちらに足跡が無いかを注意して見ていた。が、廃校にはそれらしき足跡は見当たらない。
 校舎内には時計らしきものは発見できなかったため、校舎から少し離れた体育倉庫に向かった。埃っぽい体育館倉庫の中を探索していると、倉庫の奥のほうでキヨシの声がした。
「‥‥もしかしてこれとちゃうか?」
 カメラを向けた先には、身長ほどもある大きな古時計が置いてあった。
「これが噂の時計?なんだかあっさり見つけちゃったな。でも、別に鳴らないね」
「一応動いてるみたいやけど、時間がめちゃくちゃや。今は16時なのに、1時になっとるで」
 じっくりと大時計を調べたのだが、特に変わった様子は見られなかった。仕方がないので校舎に戻る2人。
「で、何をやっとるんや?」
 キヨシは、アイマスクをし始めた井草にカメラを向けながら問う。
「夜の再現実験のときに、校内を歩き回れるように特訓だよ。えーと、この廊下を歩くと何秒で角につくかな?」
 目隠しをしながら危なげに歩く井草を見守りながら、キヨシはカメラを回し続ける。
 だんだんと、日が暮れてきた。

■夜の映像
 天魔を除く7人は廃校に合流した。井草たちはまず、古時計を体育館倉庫で発見したことを仲間に伝えた。翡翠たちが聞いた特徴から推測するに、おそらく改修前に学校にあった大時計と同じものだが、肝心の音の正体が分からない。なので、当初の予定通り再現実験を行なうことにした。
 実験内容を確認したところで、ヘイルは廃校に入る前に『不眠の機竜』を発動させる。が、
「反応は無し、か。やはり何か条件があるのか?」
 今回は危険が無さそうだと判断し、再現実験を開始する。
「井草、ほんとに気をつけて?」
 Letiaの心配そうな声に、にこりと笑顔で答えて井草は夜の廃校に姿を消した。他の人達も廃校の中に入る。
 何も音のしない、不気味に静かな時間。
 深鈴は急に肩を叩かれ、思わず飛び上がりそうになる。後ろを振り返ると、クロエが手招きをしていた。2人はみんなと少し離れたところまで移動する。
「クロエさんどうかされましたか?」
「前に言った怪談ですが、まだ続きがありましてネ」
 前回言われた怪談と聞き、深鈴はハッとなる。焦り出す深鈴に対し、さらに恐ろしい怪談を深鈴に話すクロエ。
「‥‥というコトなので、恋人の腕を組んでいないと霊が出てきて命を奪いに来ますヨ。ほら‥‥後ろに霊が‥‥」
「え‥‥後ろに‥‥?ひ、翡翠さんっ‥‥た、助けてください‥‥」
 半泣きで振り向きもせずに翡翠の腕を掴む深鈴。あまりの勢いに翡翠の方が少し驚いているようだ。
「やりすぎましたカ?」
 とクロエが言うと、翡翠は苦笑まじりに答えた。
「深鈴はホント怖ぇんだよ。マジ勘弁な」
 だが、腕の中で震える深鈴には聞こえていなかったようだ。
 その時‥‥。

「あと25秒歩いたら左だ‥‥」
 恐怖からなのか、知らず知らずのうちに口に出しながら廃校を歩く井草。たっぷり25秒歩いたあと、左に曲がるとそこは体育館に繋がる廊下だった。その廊下の先に、何かが見えた。まるで老人のような‥‥。
「は、はろ〜?」
 井草が話しかけようとしたその瞬間。

 ボーン。ボーン。

 遠くから時計の鐘が聞こえてきた。
 その瞬間、見えていたナニかは消え、だんだんと音が鮮明に聞こえてきた。
「大丈夫か?」
 音を聞き、駆けつけてきた仲間たちに、井草は口をぱくぱくと開きながら体育館の方を指差すことしか出来なかった。

「なんやこの時計?」
 キヨシはカメラをぐいぐいと近付けながら古時計を観察する。
 鐘の音は確かに、体育倉庫の時計から発せられていた。しかし、時刻がおかしい。時計の針は9時ちょうどを指しているのだが、
「今は11時42分ですね」
「どうやら、壊れた大時計が人知れずに鐘を奏でていたようだな。針が壊れているのか、鐘の部分がおかしくなっているのか‥‥」
 ヘイルは腕を組んで考える。
「いつ鳴るかわからない時計をたまたま耳にした誰かが流した噂なのかもしれないな」
「9時っていえば、子供たちが登校するくらいの時間だよね。こんな姿になっても、ちゃんと学校のために鐘を鳴らそうとしてくれてたんだ」
 Letiaは少し悲しそうに時計を見つめた。
「永い間、頑張ったね」
 井草は大時計を丁寧に拭いてやる。さらに大時計の中身を開いてかちゃかちゃと動かし、時計を直してあげた。
「バイバイ」
 さっき見えた老人みたいなのは、ひょっとしたらあの古時計なのかなと井草は思いつつ、その場をあとにした。
 一番後ろを歩いていたヘイルは廃校を出る前に振り返り、
「残りは2つ、か。さて、聞こえているな?―――言いたいことがあるのなら直接来い。逃げる心算などは無いぞ?」
 そのまま数秒待ち、振り向かずに肩をすくめて廃校を後にした。

■山
「そういえばキヨシ!あなたこの前‥‥初デートであんな事‥‥キヨシは私の身体が目当てだったのね!」
 廃校を出たLetiaはこの前の竹林での攻防戦を思い出し、キヨシに詰め寄った。
「そうや!その通りや!」
 Letiaの問い詰めに対し、悪びれもなく手をワキワキとさせるキヨシ。
「えっち!すけっち!わんたっちぃ!お風呂に入って火傷しろぉぉ!」
 とLetiaが泣いて去ろうとしたとき、
「相変わらずだな」
「天魔!大丈夫だった?」
 裏山の方から天魔が歩いてきた。彼は今回、七不思議の方には関わらずに独自に裏山の調査を進めていた。
「ああ。思っていたよりも時間がかかってしまった。が、収穫はあったぞ」
 天魔は今日一日のことを皆に報告した。
 昼間に裏山の頂上に登った天魔は、頂上から螺旋を描くように山を下りながら虱潰しに調査をしていった。
「とにかく歩き回ったんだ。人には会わなかったが‥‥ちょうどこの場所から山を挟んで反対側辺りに、洞窟を見つけた。とりあえず中に入ったんだが‥‥こんなものを見つけてな」
 天魔が手にしているのは財布だった。その中の免許証を取り出す。
「どうやらこれは‥‥白城早季子のものらしい」

□鑑賞会
「今度こそ俺が勝‥‥ぶっ!」
「‥‥あまいっ!怪奇・廃校のデコレーション男!」
 今回は先手必勝を狙ったキヨシであったが、Letiaにあっさりと見破られてしまった。
「ふっ、そのホイップは甘くないっ‥‥て、アッー!」
「くそっ!なんでうまくいかんね‥‥あら?」
「‥‥また何をしてくれやがるのかしら、キヨシくん」
 顔面ホイップまみれの宮原ルイカ。これで2度目のとばっちりである。
「あの‥‥ルイカちゃん‥‥これは不可抗力ですよ?」
 青ざめつつ後退るキヨシだが、ルイカの手にはLetiaから渡された大量のホイップが握られていた。
「ホイップまみれにしてやるわー!!」
 数秒後には全身真っ白となったキヨシが横たわっていた。
「実はですネ。呪いの話、全部嘘だったんですヨー」
 横では深鈴にネタばらしをしているクロエの姿があった。
「そ、そうなんですか?!よかったー」
 ホッとして腰を抜かす深鈴。それを翡翠に支えられ、結局は離れない2人だった。
「それでは少女。俺が集めた資料を提出しておくから、分析を頼むぞ」
 Leitaから貰ったタオルで顔を拭くルイカに向かって天魔は頼んだ。
「‥‥わかったわ。こっちも調べておく」
「それじゃあ、俺は依頼人にビデオを渡しに行ってくるよ」

□鑑賞者
「この前は夜更けに連絡してすまなかったな。あのとき約束した土産だ、少女」
 天魔は佐貴子を尋ねてビデオを渡した。
「ありがとう」
 お礼を言う佐貴子に対し、天魔は言う。
「残る不思議はあと2つ。やりたい事があるならそろそろ動かないと間に合わんぞ?」
「‥‥」
 佐貴子はじっと天魔を見つめるだけだった。

□観察者
随分楽しんだし、そろそろいいかな。

<続>