タイトル:【Pr】怪獣大乱闘マスター:橘真斗

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2007/12/20 23:09

●オープニング本文


 名古屋で、大規模な戦いをしているさなか。
 一人の傭兵が南米から日本へ向かっている人物がいた。
「まったく、長旅だっての‥‥高速艇も使えないってのはしゃれになんないね」
 ナイトフォーゲルR−01にて単機で向かってきている彼女はベルディット=カミリア少尉。
 南米で”ナパームレディ”との異名を持つ能力者だ。
 禁煙である機内でも遠慮なく煙草をすい、名古屋へ向かっている最中だった。
 突如、無線機から連絡が届いた。
『こちら、大阪! 福岡よりバグアの増援を受けている。すぐに来てくれ!』
「なんだいなんだい。どこでもドンパチやってんのかい? 楽しいじゃないか」
 にやりとベルディットの口元が緩んだ。
 無線をオンにし、返事を返す。
「こちらUPC南中央軍所属、ベルディット=カミリア少尉だ。能力者だから安心しなっ! 敵は何だい?」
『敵のキメラは‥‥なんだ、あれは! まるで映画じゃ‥‥』
 ザザーッと突如ノイズが走り、無線がきられた。
「わくわくするねぇ。どんな相手か見せてもらおうじゃないのさっ!」
 ベルディットのR−01は名古屋から大阪へ進路を変え、ブースターで加速した。
 あっという間に視界にヘルメットワームの大群が列を成して大阪に向かっているのが見えた。
 そして、大阪の港まで近づくと海より3体のキメラが向かっている。
 キメラは近づくほどにその大きさがはっきりしてくる。
 どれもこれも全長10mを越えていた。
 姿は、日本のカイジュウ映画というものによく似ている。
「なんだい、ありゃ? ジャパニーズカイジュウじゃないかい!」
 偏屈な日本語を叫びながら、ベルディットは大阪の大地に降り立った。
 ”ナパームレディ”の日本での第一戦。
 それは、3体の巨大怪獣となった。

●参加者一覧

MIDNIGHT(ga0105
20歳・♀・SN
水鏡・シメイ(ga0523
21歳・♂・SN
メディウス・ボレアリス(ga0564
28歳・♀・ER
フェブ・ル・アール(ga0655
26歳・♀・FT
ジュエル・ヴァレンタイン(ga1634
28歳・♂・GD
ソフィア・リンドホルム(ga1825
19歳・♀・SN
直屋孝敏(ga3783
20歳・♂・FT
三島玲奈(ga3848
17歳・♀・SN
夕凪 沙良(ga3920
18歳・♀・JG
UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER

●リプレイ本文

●オペレーションBBB
「よく来たさね、あたいがベルディット=カミリア(gz0016)少尉さ」
 能力者達が到着すると、高級煙草を咥えた褐色の女性からの出迎えを受ける。
 2m近い長身と豊満な体形をしながらも、UPC軍服をラフに着こなした女性だった。
「ウチの名前はゴノレゴ・十三。ウチの後ろにたたんといてやー、バキューン」
 三島玲奈(ga3848)は大阪のちへ降り立つと、何を思ったか後ろに向かってハンドガンで撃つまねをした。
 それをベルディットはきっとにらんで、銃をはたく。
「あんたな、暴発とかしたらどうするつもりさね! いいかい、あたし達の敵はバグアさね。冗談だろうと、変なことはすんじゃないさ!」
 軍人として、厳しい訓練を受けたりしたものならばわかる。
 銃口を向けることの恐ろしさというものを。
 一般人だった、能力者にはいまいち理解できない考えであることも、もちろんわかっている。
「ウチのネタやのに〜」
 突っ込みと思い、反省しているのかいないのかよくわからない返事をする玲奈。
「すまないね、そうやって銃をオモチャにしているのをみるとついね。まずは車ん中にはいるさね」
 指揮車両を指差して一同を中にいれた。車内は狭く、7人の能力者が入ると手一杯だった‥‥。
「ん? 頭数が一人分足りやしないかい? 二人はナイトフォーゲルに乗っているとしても」
「一緒の便で着ていた‥‥多分、大阪の町‥‥食べ歩いている」
 MIDNIGHT(ga0105)は見かけない水鏡・シメイ(ga0523)についてそう語った。
 無論、根拠も何もない。
「とりあえず、現状を我(オレ)らに知らせてもらおうか、ナパームレディ」
 メディウス・ボレアリス(ga0564)は煙草をふかしつつ自信ありげに問う。
「現状は『バジラ』が航空機隊よる第一次防衛ラインを突破。海岸沿いの戦車隊による第二次防衛ラインまで、後1時間そこそこで到達ってとこさね」
 ベルディットは大阪の地図を広げ、ペンでぐりぐりと円を書く。
 軍人らしくない大雑把なやり方だった。
「んでもって、バグモスは航空機隊の一部をバジラが落としたことによりもう上空にくるさね。ただ、破壊工作をしていないのが妙さね」
「バグイールは現在海中にいるのか姿が見えない。上空から見ている限りは川のほうから昇ってくるようさね。好都合っちゃ好都合さ」
 にやっとベルディットは笑い、メディウスに返した。
「大体は打ち合わせどおりで動かせそうか、たまらないな。この緊張感は」
 ふふふと、不敵な笑みを浮かべ、メディウスの目が怪しく光った。
「話をつけてもらいたいリストはこちらでっせ、姐御ぉ」
 玲奈はそういって、サルベージ船や網の注文書の束をベルディットに渡した。
「ずいぶんふっかけてきたね。時間的に厳しいから、全部はそろえるのは難しいさね。頼めるだけ根回しはするさ」
 リストを眺め、集めれそうなものを現地の隊員と話をつけ、指示をだしていた。
「我はどこで指揮をとればよいのだ? 生身でいては逃げ遅れる可能性もあるからな」
 メディウスは概要を頭に叩き込みながら紫煙を揺らした。
「この指揮車両を使いな、指令系統がつぶれたらこの手の作戦はおじゃんさね」
 メディウスにベルディットは返して指揮車両を降りた。
 各自に無線機を貸し出し、周波数をあわせる。
「それでは、作戦を開始しようではないか! 日本の軍隊の底力を見せてやろう、オペレーションBBB(Bug Buttle Buster)始動!」
 メディウスは手を振りあげて、声高らかに作戦の開始を宣言した。

●VSバグモス
「まさに‥‥映画の世界ですね」
 夕凪 沙良(ga3920)は幼きころ施設で見ていた怪獣映画を思い出す。
 目の前にそんな光景が広がるとはあの頃は思っても見なかったが‥‥。
『でかいといっても所詮はキメラ、さっさとかたしちまおうぜ!』
 今回の相棒であるジュエル・ヴァレンタイン(ga1634)の声がナイトフォーゲルの機内無線から聞こえてくる。
「了解、すでに敵は市内上空‥‥埋立地への誘導を行いましょう」
『そうしてくれると助かる、地上は何とかもたせよう。我に任せておけ』
 自信たっぷりなメディウスの声が返ってきた。
 頼もしさを感じ、沙良はクスリと笑う。
「回り込みますので、よろしくお願いします」
『あいよっ、バディ!』
 沙良の鮮やかな青く、一部白でカラーリング機体は緩やかに傾きながらバグモスへ迫った。
「これで‥‥」
 瞬時に迫り高分子レーザーを放つ。
 煌く光の矢がバグモスを撃ち抜くも、動きは止まらない。
 バグモスが羽ばたき、リンプンのようなものを放った。
 その粉を沙良の機体はバレルロールを描いて回避する。
 放たれたリンプンが地上にも降り注ぎ、ビルなどは壊れれず車や人などが壊れたり苦しんだりしていた。
「直接攻撃能力‥‥」
 厄介な相手だと沙良は認識し、埋立地へと急ぎ飛ばした。
 バグモスも、羽ばたき、追いかける。
『おぅけぃ、沙良ちゃんそこでいいぜ!』
 バグモスを引き付けた沙良の耳にジュエルの声が聞こえる。
『シェイドに比べればハエが止まってるようなもんだぜ!』
 ジュエルの機体に搭載されている放電装置の発射口が開き、SESが外気を思い切り吸い込んだ。
『落ちろっ!』
 チャージされたエネルギーが放出され、空を紫電に染め上げる攻撃が唸った。
 バグモスは回避できず、打ち抜かれる。
 だが、雷撃を受けながらもまだ飛び続けているバグモス。
 タフなのは明らかだった。
『しぶとい蛾だぜ!』
「もう‥‥少しです、倒しきりましょう」
『了解』
 沙良とジュエルはバグモスを挟むように攻撃をしだす。
「あれはナイトフォーゲルにバグモス? どうやらまた迷ってしまったようですね‥‥」
 その様子を、シメイはリンプンが落ちてきた場所で見上げながら呟いた。

 
●VSバグイール
「‥‥こう、橋に戦車並べて一斉射撃とか、通天閣を槍にとかしたかったんですけどねぇ」
 直屋孝敏(ga3783)は呟き、上流である自分達のほうへ向かってくるバグイールを見ていた。
『後者はあんたが一生あたいの元でただ働きするんなら、許可してもいいさね』
 不意に無線機からベルディットの声がした。
 準備をサボっていたと思われてはいけないと直屋はあわてて作業を続ける。
「はははは、じょ、冗談ですよ〜」
『レディと一生付き合えるのなら、――通天閣を槍にするのは安いかも、ね』
 UNKNOWN(ga4276)の声が続けて聞こえてくる。
 どこで聞いているのかわからない人だと直屋は思った。
『橋脚の爆弾は用意できなかったが‥‥スナイパーが二人いるんだ、いざって時は撃ち抜けばいいさね』
「ウチに任せておき〜」
 どこから現れたのか、玲奈は体操服ブルマの格好で胸を叩く。
 ぽよよんと胸は軽快にゆれた。
 肩にはジュエルから借りたスナイパーライフルを担いでいるが、非常にミスマッチなのは否めない。
「なんか、すんごく不安なんですけど‥‥」
「ほらほら、準備準備!」
 玲奈にけしかけられ、ワイヤーによる網を用意する。
 バグイールはすぐそこまで着ていた。
『そろそろいくよっ、衝撃にそなえなっ!』
 ベルディットの楽しそうな声が聞こえてくる。
 水中をもぐりっぱなしのバグイールが直屋がいる橋の下をくぐり網に体当たりをした。
 ドガァァンという音がし、橋そのものが大きく揺れた。
「今です! 引いて!」
 戦車がバグイールを水揚げしようとギリギリとワイヤーを引きはじめた。
 キャタピラが砂煙を上げ、じりじりと下流へ進む。
 そのたびに、バグイールにフォースフィールドが発動し、抵抗しているのが見えた。
「ベルディット、直屋、三島。BEBOPに行くぞ。激しいダンスを踊ろうじゃないか」
 ベルディットの操縦するボートの後ろにUNKNOWNは両足で立つ。
 スコーピオンを両手に構えてUNKNOWNはウィンクし、ありったけの弾丸を強弾撃で叩き込んだ。
 直屋と玲奈もそれに続いて橋の上からハンドガンを撃ちまくる。
『ギャィィィィッ!』
 バグイールはその攻撃にもがき、全身に冷気をまといだした。
「何だって!?」
 その攻撃に、嫌な予感がしたベルディットは急遽ターンしてバグイールから離れる。
「おいおい、どういうこった?」
「足元をみな! 凍りつくよ!」
 UNKNOWNが川をみればバグイールの周辺だけ凍りつきだしている。
「ちっ、うなぎにしては味な真似をしてくれるものだね」
 帽子を深くかぶり目を隠すUNKNOWN。
 ワイヤーも凍りつき、バグイールを止めることはできなくなった。
 網をつき破り、バグイールは上流へ川を凍らせながら上っていく。
 凍っていく範囲はバグイールの周囲だけのため、ちょっとした流氷がUNKNOWN達を襲ってきた。
「まだ、追いかけっこは続きそうだな。直屋、三島。次の作戦だ」
『作戦失敗か?』
 無線で直屋たちに連絡を取ったUNKNOWNにメディウスから無線がくる。
 どこか楽しげな響きすらある。
「いや、楽しみは最後に取っておく主義でね」
 UNKNOWNもメディウスに負けじと、笑いながら答えた。
「つかまってな、飛ばすよっ!」
 ベルディットがボートを加速させ、バグイールとの追いかけっこは再開した。

●繰り返される歴史の一部
「本物の5分の1って言っても、中々迫力のあるものだね」
 ソフィア・リンドホルム(ga1825)は埠頭でマントをはためかせ、感慨深く呟いた。
 彼女の背後には戦車隊が立ち並び、砲塔をバジラに向けて時をまっていた。
「にゃ〜、キメラは伝説上の怪物を模した物が多い、とは聞いていたが‥‥やつらも伝説にゃか?」
 ソフィアの隣でふとした疑問をたずねるのはフェブ・ル・アール(ga0655)だ。
 煙草をふかし、足をぶらぶらさせている。
「伝説も伝説、彼らは昔から人類の強敵(トモ)だよ。空想上でだけどね」
 そのとき無線機がなり、メディウスから声がかかった。
『射程圏内に入った、砲撃に入るから耳を塞げ』
「はいにゃ〜」
 フェブは気楽に返事をすると、立ち上がり耳を塞いだ。
『総員砲撃開始っ!』
 指揮車両と通じている無線から、メディウスの声が響いた。
 その掛け声と共に横一列に並んだ戦車隊が一斉に砲撃をバジラにしかけていく。
 砲弾はかするか海へ外れるものばかりだったが、バジラの注意をひきつけることに成功した。
「では、私達も動こうか」
 ソフィアはそういい、メディウスから借りた貫通弾を己の得物に装填する。
「さぁ、行進にゃ〜、続けー!」
 戦車隊と共に、ソフィアとフェブは動き出した。
 その光景は、まさに怪獣映画のワンシーンのようだったと、シメイは語っている。
 
●VSバジラ
 大阪沿岸の埋立地へとバジラは誘導されていく。
 ドシンとバジラの足が埋立地へと入った。
 ザバァと水からあがったバジラは二足歩行で歩く人間に尻尾がついているような姿だった。
 普通の爬虫類とは違っている。
 巨人がキメラの着ぐるみを着ていると言われても納得できそうな姿をしていた。
 ズシン、ズシンという音と共に、埋立地がゆれた。
「照準‥‥少しぶれる」
『今、バグモスと上空で戦闘中‥‥。リンプン攻撃に、気をつけてください‥‥』
 適切な狙撃ポイントから狙おうとするも、地響きによって照準に誤差が生じていた。
 そんな時の沙良からの無線にMIDNIGHTは突拍子もない答えを返した。
「いっそ、バジラに‥‥ぶつけちゃえ」
『それもありです‥‥ね、やってみます』
 沙良の返事に頷き、MIDNIGHTは褐色の顔でスコープを覗く。
 スコープの円の中ではバジラに対し、航空機と戦車による砲撃が浴びせられていた。
「まずは、初撃で‥‥目を潰す」
 スナイパーライフルが吼えるも、70メートル先のバジラに対して威力の高まった弾丸は目に中々当たらない。
「難しい‥‥」
 しかし、衝撃はバジラを揺らした。
 二発目はあさっての方向に飛ぶ。
「これで、決める‥‥」
 いつになく真剣さをおびた視線でバジラの目を見据え、弾丸を撃ち込んだ。
 目に弾丸をもらったバジラは雄たけびを上げ、暴れだす。
「フェブ姐さん、ソフィアちゃん‥‥えんげーじ」
 無線機に無味乾燥にエールを送ると、MIDNIGHTは移動を始めた。
「こっちも突撃にゃ〜」
 フェブとソフィアは全力で、バジラに対して突撃していく。
 スコーピオンの弾幕がもがくバジラの足に叩き込まれた。
「バジラ君、私の手でクスリを飲ませられなくて残念だよ!」
 ソフィアのスコーピオンは連射性の高い武器であり、射程が短い。
 そのため、フェブと共に突撃射撃という作戦になったのである。
 二人のSES武器による攻撃バジラはもがき、ついに倒れた。
 ズシィィンと振動がおき、二人もバランスを崩す。
「にゅおっ!」
「くぅっ!」
 倒れた二人の目の前にはバジラの顔。
 そして、その口から光が今、飛び出そうとしていた。
 
●怪獣たちの最後
 バグイールを追いかけていたメンバーは次の橋まで追い込む。
「予定通りじゃないが、あの橋を潰させてもらおう。支払いは持ってくれよ、レディ」
「やっちまいな!」
 ベルディットの声と共に、UNKNOWNと玲奈が貫通弾を使ってバグイールがもぐりこむときに橋脚を潰した。
 ガラガラと崩れ落ちる橋にバグイールはグシャリと潰される。
 しかし、尾がぶるぶると揺れ動きまだ息があることを伝えていた。
「このこのこのっ!」
 水上から出て暴れる尾に対して直屋はハンドガンを乱射。
 UNKNOWNもスコーピオンをありったけ叩き込んだ。
 カラカラカラと高速艇に空薬莢が転がっていく。
「トドメはうちやっ!」
 ブルマをぷるんぷるん揺らせながら装飾の綺麗な刀を抜き放つと玲奈はバグイールを三枚におろしたのだった。
「こちらは作戦完了、そっちはどうだい?」
 UNKNOWNはバジラ対応に回っている傭兵たちに声をかける。
 応答はなく、代わりにズシャァァアという大きな物音が響いてきた。
「おい、大丈夫か?」
『問題、ありません‥‥バグモスと共に、バジラは串刺しになりました』
 沙良がUNKNOWNからの質問に答えた。
 ディフェンダーによる空中落下攻撃でバグモス、そしてバジラをまとめて潰したという。
「こっちの傭兵も無茶するヤツがいるもんだねぇ」
 無線を隣で聞いていたベルディットは笑いながら感心していた。
 
●エピローグ
 ベルディットはフェブ、ジュエル、直屋と共に大阪名物の串揚げによる打ち上げを行い、酒と煙草を楽しんでいた。
 大阪の平和は守られたのだ。
 しかし、それをソフィアは素直に喜んでいない。
「こちらが強くなればよりバグアも強くなる。終わりの無い血を吐きながらするジョギングだよ」
 夕日を背にする姿は決まっていたが、言葉の意味は不明だったとシメイは語る。