タイトル:LHの小悪魔ラジオ前編マスター:橘真斗

シナリオ形態: シリーズ
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 4 人
リプレイ完成日時:
2009/06/12 12:17

●オープニング本文


「よいよ本番のON AIRですね」
 米田はライディの住まい兼スタジオの『Redio−Hope』を眺めてはスケジュールの確認をしはじめる。
 コーナーもあらかたきまり、特色を出せる方向でまとまった。
 懸念材料はまだあるが、あとはアイドル達の努力しだいである。
「社長、マネージャーより今後の方針についてのアイディアが来ています」
「見せてください‥‥なるほど、IMPとALPの再編成ですか」
 秘書から差し出された資料を眺めて米田はじっと考えた。
 リスクとリターンを考えると五分五分である。
「担当分野の決定は今はできませんがIMP、ALP、そして合同プロジェクト『IMPALPS(インパルス)』として動くのはいいでしょう」
「正式なのはまた後日改めてという形でしょうか?」
「そうですね、IMPALPSはコミック・レザレクションでのラジオイベント時に公式発表、ライブを同月に開催するということで動かしてください。手配はお願いします」
「かしこまりました」
 秘書は米田から指示を受け取ると手帳を片手にスタジオを後にした。
「現在のIMP、ALPの構成では最後の仕事になるかもしれませんね‥‥マネージャー共々頑張ってもらいましょう」
 米田は再び資料に目を落としながら、静かにスタジオから外にでる。
 小悪魔たちを出迎えにUPC本部へと米田は歩き出すのだった。

●参加者一覧

ジーラ(ga0077
16歳・♀・JG
篠原 悠(ga1826
20歳・♀・EP
葵 コハル(ga3897
21歳・♀・AA
Innocence(ga8305
20歳・♀・ER
加賀 弓(ga8749
31歳・♀・AA
大和・美月姫(ga8994
18歳・♀・BM
鷹代 アヤ(gb3437
17歳・♀・PN
沖田 神楽(gb4254
16歳・♀・FC

●リプレイ本文

●希望のラジオに声を乗せて
「おいっす、どうも初めまして沖田 神楽です。いきなりなんでアレだけどこれからよろしく☆」
「はじめてだね。ボクはジーラだよ。今回はボクも久しぶりの仕事だからお互いがんばろうね」
 元気よく沖田 神楽(gb4254)がアイドルの初仕事に向けた挨拶をすると、久しぶりの仕事となるジーラ(ga0077)が軽く肩を叩く。
「いぇーい! 本放送! 沖田さんは同じALPとしてよろしくやね。初だしやから目立ってもらうから、覚悟しといてな?」
 企画段階から参加していた篠原 悠(ga1826)はテンションをアゲアゲで沖田に絡んだ。
「うっす、よろしく☆ あとこれケーキの差し入れもってきたんで休憩中にでも食べよー」
「ほほぅ、これはこれは賄賂とはおぬしもワルよのぅ」
 葵 コハル(ga3897)は猫のような笑いを浮かべ、いろいろなケーキの詰まった箱の中身を眺める。
「はいはい、まずは収録からですよ。IMP編からとりますので用意してくださいね。出張する人はマイク等をもっていってください」
 マネージャーのライディ・王(gz0023)がコハルの後ろからケーキの箱を取り上げるとアイドル達は収録の準備に取り掛かった。
 
●IMP編「小悪魔の覗き見」
「ラストホープの小悪魔らじお、あい・えむ・ぴー‥‥」
 しっとりした加賀 弓(ga8749)の声と共に番組は始まる。
「こんばんわ‥‥いえ、こんにちわでしょうか? この番組は私、加賀弓と葵コハル、ジーラと‥‥いの‥‥」
 名前をいいつつ姿を確認しようとした弓だったが、スタジオにInnocence(ga8305)の姿は無かった。
 打ち合わせ段階ではコハルとジーラが二人で収録に出かけてスタジオに二人残るという話だったのだが‥‥。
『僕が少し探してきますから番組を進めていてください。編集するにしてもロスが少ない方がいいですから』
 弓の不自然な行動を気にしたライディがスケッチブックに文字を書くと静かにスタジオから出て行った。
「すみません、初めての司会ということで緊張しています。まずは最初のコーナー小悪魔の覗き見からお送りします」
 ライディを見送り、弓は落ち着けるような声で番組の進行を続ける。
「このコーナーは季節に沿った場所へお邪魔してインタビューを行います。今月は5月ということで結婚相談所へお尋ねしていますよ」
『はいはーい、ラストホープの結婚相談所にきている舞闘アイドルのコハルです』
『えと‥‥ボクはジーラだよ』
 ハイテンションで返すコハルとちょっと照れくさそうに返すジーラとスタジオの弓とが通信機器で繋がった。
『ボク達はラストホープの結婚相談所にいるけど、ジューンブライドシーズンということもあって凄く人が多いよ。ちょっと質問してみようと思う』
 ガヤガヤという声がBGMのように流れ込むなかジーラは声をマイクに流しながらインタビューへとはいる。
「賑やかなようですね? 楽しそうな様子がこちらにまで伝わってきていますよ」
 弓がどこか懐かしげに言葉をつむいでいると、一人の女性に対して軽く話が進み質問へと進んでいった。
『付き合ってどのくらいで、そのきっかけは?』
『彼がキメラに恋をしてそれで危険な目にあったりしてからです』
『ある意味、いまどきの恋愛なのかも‥‥どんな結婚式にしたいとか希望はあるの?』
 コハルの質問に答えた女性にジーラは少し驚きながら次の質問を投げかける。
『平和なこの島で家族を呼んで式をあげたいとおもっています。思い出に残るような素敵な挙式にしたいかなって』
『人生の一大イベントだもんね、素敵なものにしたいよねー』
 普段は男の子のようなコハルだがこのときばかりは少女のようにほわわんとした様子で答えた。
『あっと、時間が‥‥それじゃあ最後に子供は何人くらい欲しいのかな?』
『えっ、あっ、そんなことまで聞くんですか? ‥‥その‥‥男女一人ずつは欲しいです』
『どうもありがとうございました。以上、小悪魔の覗き見を担当したジーラと‥‥』
『コハルでしたっ!』
 ものすごく照れる女性に握手お礼を述べてジーラとコハルは締めの挨拶を行う。
「ありがとうございました。幸せそうなインタビューでしたね? それではここで一曲、私のソロ曲『Invisble String』をお聞きください」
 スタジオに一人だけいる弓は曲を流し、一つ目のコーナーを終えるのだった。

●グループで動くということ
「皆様の会話に‥‥全然ついていけませんの」
 ウエディングドレスを試着し、あらいぐまのぬいぐるみをギューッと抱きしめて一人ぽつんとInnocenceは座っている。
「やっと見つけました。次のコーナーがありますしスタジオに戻りましょうか」
 そんなInnocenceへライディが汗を拭き、息を整えて声をかけた。
「でも‥‥皆様は仲良しみたいで入れなくて‥‥」
「うーん、Innocenceさんは入れないからって独りでここに来ましたよね? 他の皆さんとの打ち合わせもありましたけど遠慮せずに自分のしたいこととかいってください」
「『IMPALPS』とか、皆様が知っていることも私は知らないみたいで‥‥」
「人によって活動に差もありますし、わからないことがあるのは恥ずかしいことではありませんし僕にでもいいのでこっそりメールとかで聞いてくださいね?」
 俯きながら話し出すInnocenceに視線をなるべく合わせるようにしてライディは優しく答える。
「ありがとうございますの」
「でも、単独行動がOKということではありませんし皆さん心配するのでちゃんと意思表示だけはしてくださいね? 次回もこんな調子でしたらソロデビューを米田さんに進言します。IMPもALPも皆で仲良くやっていきたいですから」
 顔をあげてお礼を述べるアイドルへライディはマネージャーらしくしっかりと釘を刺したのだった。

●ALP編「早口言葉特訓」
「「LHの小悪魔ラジオ えー、える、ぴー!」」
「アヤですっ! あたしたちALPはアイドルになってまだ間もない新米。ということで! 『喋ること』の練習や、私たちの自己紹介をラジオでやっていきたいと思います!」
 ALPメンバー全員によるタイトルコールと田中 アヤ(gb3437)のラップソングで慣らした軽快な喋りでALP編がスタートする。
 収録時間を前後させてはいるが、後に編集でつなげなおすことになっていた。
「こんばんわ、美月姫です。今回は後輩であるALPの方へ手伝いと共に出張させていただきました。よろしくお願いします」
 IMPとALPでメンバーの数が食い違っていたため、今回は大和・美月姫(ga8994)が出張してきて、残りのメンバーも自己紹介をすませると番組が進む。
「『How’s your mouth rolling today!?』いわゆる早口言葉特訓いってみよー! 5月らしく『緋鯉真鯉孫鯉』が課題っ。さぁさぁ噛まずにいえるかなぁ?」
「ソレじゃ、私が一番最初に行くよ一発で成功させてやる。緋鯉真鯉孫鯉、緋鯉真鯉孫鯉、緋鯉真鯉孫鯉っ! よしっ、一発成功!」
 一番手の神楽はびしっと幸先のいいスタートを決めた。
 初仕事としては緊張もなく好印象である。
「ほな、うちやね。緋鯉真鯉孫鯉、緋鯉真鯉孫鯉、ヒゴマギャッ!? ひょうひにろるんりゃなかった‥‥」
 続く音楽活動のキャリアの長い悠がハイペースの早口に挑戦するが、ガチンと顎がなり舌を噛んでもんどりをうつ音が響いた。
 音以上にスタジオでの悠は見ているだけでいたそである。
「一勝一敗な雰囲気だね。負けずにあたしもやっちゃうぞー。緋鯉真鯉孫鯉、緋鯉真鯉孫鯉、緋鯉真鯉孫鯉! どうだー!」
 悠とユニットを組んでいるアヤは難なくクリアをした。
「くぅ、うちが負けるとわ! この口め、この口めー」
 みょんみょーんと悔しさに任せて悠がアヤの頬を引っ張り出す。
 映像で伝えられないのが実に残念な光景だ。
「それではトリを飾らせて頂きます。ひごいまごいまごごい、ひごいまごいまごごい、ひごいまごいまごごい。ちょっと焦ってしまいました」
 悠とアヤが互いの頬を引っ張り合っている間に美月姫がさらりと早口言葉を済ませる。
 言葉とは裏腹におっとりな口調で、完璧だった。
「さすが先輩だね。勉強になるよ」
 美月姫の堂々とした姿に神楽は思わず拍手をする。
「ありがとうございます。少しでも先輩らしくできたのなら嬉しいですね」
「アイドル活動としてはやっぱり美月姫さんの方が先輩やもんね、音楽活動だけならウチも負けへんけどな」
 少しはにかんだ様子で美月姫が答えていると悠がアヤで遊ぶのをやめてフリートークへと入ってきた。
「うおぅ、こうしてみるとあたし負けてる? 神楽さん頑張ろうね!」
「おう、がんばろー!」
 アヤと神楽が悠と美月姫に対して闘志を燃やしだす。
 そのまましばらくフリートークが続き、ALPの前半分が終わるのだった。

●IMP編「小悪魔の囁き」
『みんな用事は済ませてあるカナ? それじゃあリスナーからの質問に答えちゃったりする小悪魔の囁き、すたぁーとぉ〜♪』
 ライディに連れられたInnocenceがスタジオに入ると、『ON AIR』のランプがつきコハルの勢いにノッたタイトルコールで後半の収録が始まる。
「紅茶でも飲んでゆっくり聞くです」
 勝手知ったる家のためシーヴは収録スタジオの見えるミーティングルームで他のリスナーへお茶を振舞っていた。
『いろいろリクエスト着ているようだけれど答えづらいなぁ‥‥Innocenceはどう?』
『あぅ‥‥その‥‥交際したことないので難しいですの』
 ジーラがパスを飛ばすが、Innocenceは照れた様子で答える。
『仮にとかでいいですよ。では私からいきましょうか』



 デートに誘う言葉はなんですか?
 
 PN:あらあらがーる


『「ほらほら、雨だからって部屋でジメジメしてないででかけよーよ。どうせだったら雨の日の楽しい思い出作りに行こっ」かな? 梅雨らしくしてみました』
『「よろしければ、今度‥‥私と一緒に出かけません、か?」でしょうか? 誘われることはあっても誘うことはないので面白くないかもしれません』
 コハルと弓が回答をすると、ミーティングルームのぐるぐる眼鏡のカンパネラ女学生が真剣にメモを取っていた。
『すらっといえる二人が羨ましいよ。じゃあ、次はボクが選ぼうかな? これなら答えれそう‥‥』
 

 あいあい傘に誘う台詞を教えて欲しいっしょ
 
 PN:箱立て娘。

 
『「んー‥‥傘がなくて困ってたらそれとなく差し出す、くらいかな。べ、別に相合傘が恥ずかしいとかじゃなくてだね」‥‥なんか、こういうのも変なかんじが』
 自分で選んでおきながらも最後は照れてぼそぼそになりながらジーラは答える。
『あの‥‥とても素敵だと思いますの』
『にゃははアイアイ傘は相手にも寄るよねー。ジーラやInnocenceは好きな子とかいないの?』
『そ、そうくる!? そのへんはリスナーの夢を壊さないためにノーコメントだよ。曲いこう曲!』
 にゅふふと笑い声をだしつつコハルがジーラたちに突っ込みをいれ、盛り上がったままIMP編は終了したのだった。

●ALP編「ALPの秘密」
『はい、改めましてBreakBit’sの悠です。お茶の間の皆はしっているかもしれないけど、ALPの秘密ってことで自己紹介していくよ。ほい、パス』
『私は沖田 神楽十六歳。クラスは、フェンサーで好きな物は甘い物全部LHの全ての店は一通り制覇したよ』
『改めましてこんにちは、こんばんは! BreakBit’sのアヤです! 悠ちゃんとユニットを組んで、今までにないヒップホップアイドルを突っ走っていくよっ!』
 悠がメインパーソナリティを受け持ち、番組は自己紹介から順調に進んでいく。
「アヤちゃーん」
 ミーティングルームで様子をみているシェリーがアヤに向かって手を振るとアヤも元気に手を振り返していた。
「弓姉さんの後輩さんたちですね。カンパネラ学園生の方もいるそうですが今回はいないようですね」
 円はIMPである姉の仕事振りと共に同年代の活躍も気にしていたので少し残念なようである。
『最後になりますが大和 美月姫です。髪は金髪ですけれど、地毛ですよ? 家計も純粋に日本人です。よく間違われる方が多いですね』
『綺麗な金髪だし、スタイルいいし日本人っぽくないっていうのもわかるなー』
『ウチもなー、美月姫さんみたいに綺麗になりたいもんです。 じゃあ、早速リスナーから届いた聞きたい秘密をいってみよー』
 
 

 どうしても苦手なことを教えてください
 
 PN:紅の炎


『こういうの考えるのが苦手です! 苦手です! 苦手です!! 二回じゃ足りないから三回いいました!』
 悠がメールに書いてある質問に顔をマイクに近づけ、力強く答えた。
『なんかこう「ヌルッ」としたのが苦手です‥‥見た目もそうですけど、動きとか感触とか』
『美月姫さんそういうのが苦手なんだー。ファンの諸君、贈り物には気をつけよう!』
『気をつけよー』
 悠と美月姫が答えているとアヤと神楽が合いの手を入れて番組の雰囲気をあげていく。
『じゃあ、次の質問は私が選ぶよー。そりゃっ!』


 ALPに入る前と後ではどう変わりましたか?
 
 PN:おーらばとらー

 
『ごめん、これがさぁ‥‥まだ実感わかないんだよねぇ。やっとこ初仕事だし‥‥』
『あたしは日が浅いからあんまり実感無いけど、色々スキルアップしてるかな? 知っている人もいると思うけど、今、合宿でギターを練習中なんだ♪』
『次回のCDはアヤちゃんの弾き語りソロとかがはいているかもよ?』
『悠ちゃんそれは気が早いよっ!』
『私もCDだしたいなー。マネージャーどうなの? ‥‥え、リスナーの要望しだい?』
 神楽とアヤがトークでもりあがり、話題がCDに移るとライディはミーティングルームよりスケッチブックで答えた。
『二回目に歌を歌う機会にもなかなか恵まれ無かった先輩から言わせてもらいますと、皆さんは凄くいい環境にいます。だから、チャンスはすぐ巡ってきますよ』
 美月姫が先輩らしく纏めると番組の尺がなくなっていることがスタッフから知らせられる。
『おおっ、時間だ! もっとお話したかったけれど今回はここでおしまいだね』
『あっというまの収録やったね。読めなかったお便りもあるけど、これからも参加してくれると嬉しいです』
 アヤと悠が美月姫に続いてお別れの挨拶に入りだした。
『6月はしめっぽいけど、このラジオ聞いて明るくがんばれたらいいな、それじゃあ次回までばいにー』
 ラストは神楽によって締められ、一回目の放送は無事終わる。
 その後、ミーティングルームで打ち上げをし、アイドル達は成功を喜びあったのだった。