●リプレイ本文
●Here We Go!
「さーってぇ‥‥前回は顔出せなかったからね。今日のあたしは始まる前からクライマックスよ。このテンションでいくから、ちゃんとついてきなさいよっ」
IMPの人気筆頭アイドルの鷹代 由稀(
ga1601)のハイテンショントークから小悪魔らじおはスタートする。
「相方の由稀さんもいますから少し安心して番組を進められますね。けれど、折角ですので、一緒にタイトルコールからお願いします」
加賀 弓(
ga8749)が前回よりも落ち着いた様子で番組の進行をしはじめた。
「そうだったわね、それじゃあいっくわよ!」
『『ラストホープの小悪魔らじお〜あい、えむ、ぴー!』』
由稀が音頭を取ると葵 コハル(
ga3897)と大和・美月姫(
ga8994)もタイトルコールに乗る。
「コハルだよ。小悪魔らじお第2回放送開始、ハイ拍手ー! いえーーーーーー!!」
「相変わらずテンションが凄く高いですね‥‥美月姫です。今回はIMPの方として番組をお送りします」
コハルが由稀に負けずとテンションを上げて挨拶をすると美月姫は気圧されるように続いた。
「はじめは小悪魔の覗き見らしいので、コハルちゃんと美月姫ちゃんはこれから現場に行って来るのよね? よろしく〜」
「うい、いってきますよ。何処に行くかは現場からのレポートでのお楽しみ!」
由稀がコーナーを確認していると、コハルと美月姫は機材を整えてスタジオから出て行く。
「小悪魔の覗き見はラストホープのどこかにアイドル達が出かけてレポートしてくるコーナーです。皆さんの近くに現れるかもしれませんよ?」
弓が落ち着いた調子でコーナーの解説をいれた。
司会の進行役も板についてきた感じである。
「今回はこの4人でお送りしまーす。それでは、移動時間の合間に一曲。DVD−BOX”IMPact”にも入っている『For You』より大和・美月姫ちゃんの『あ・り・が・と・う』をどうぞ」
締めの由稀らしい曲紹介でもって、番組は加速しはじめた。
●Are You Ready?
「さーて! ちょっと準備に時間取れなかったけど、何とかネタもそろった!」
収録当日、夏らしく紫陽花模様の浴衣姿で田中 アヤ(
gb3437)がRedio−Hopeへと姿を見せる。
「ちゃおー。いま先輩が収録中だよ。ミーティングルームでこっちの打ち合わせしておかない? といってもすることはそんなにないんだけどね」
自分が差し入れた羊羹と水出しの煎茶を食べながら沖田 神楽(
gb4254)がアヤに手を振り招いた。
『ON AIR』と赤いランプが点る収録ブースではIMPの大御所であり、恋人の姉でもある由稀もいる。
(「由稀さんとは現場初!? うーむ、緊張してきた‥‥」)
「アヤさん大丈夫です? 顔色がよくないようですが」
青ざめてきたアヤの顔を覗き込むようにして水無月 春奈(
gb4000)は神楽の用意した煎茶をアヤに手渡す。
「春奈ちゃんありがとう。フォローしたいなって思っていたのにな、あはは‥‥」
「アヤさんはいつも通りにすればいいと思うの。今日も宜しくお願いしますの♪」
いつもながらに猫耳をピコピコさせ、ゴシックロリータ風のワンピースの終夜・朔(
ga9003)が頭を下げるとONAIRのランプが消えた。
「よろしくーって、順番着ちゃった。ともかく、皆一緒にガンバロー!」
アヤは流されかけながらも踏みとどまり入れ替わるように収録ブースへと足を向ける。
手の中にある皆で作ったCD「ALP合宿行進曲」を無意識に握りなおした。
●小悪魔の覗き見 From IMP
「こちら現場に到着しました。水族館には涼しく過ごそうというカップルさんが一杯いますよ」
人ごみに紛れながら美月姫のレポートからコーナーがスタートする。
「暑さに負けずに熱々なカップルをちゃかし‥‥もとい、突撃取材してきまっす! そこの出てきたカップル! 面白かったスポットとかありましたか?」
『ほどほどに突っ込みなさいよー、相手は素人さんなんだからー』
勢いを更に増していくコハルを由稀が宥めた。
「ここ? イルカのショートかあるのがよかったよな」
「うん、すっごくよかったよねー?」
10代後半の男女ペアがコハルのインタビューに答えだす。
「え、イルカのショーがあるんですか? 時間はいつとか‥‥」
インタビューの内容の一部に火が付き美月姫がぐぐっとカップルに近づいた。
『えー、美月姫さんも落ちついてレポートしてくださいね?』
「すみません、ちょっと興味あったものですから‥‥つい、マンボウもいるようなので興味のある方は来るといいですよ。私もオフで一度着てみたいです」
思わず前のめりで聞いていた美月姫は若干距離を置いて、レポートを返す。
つい私情を挟んでしまうのも愛嬌のうちだ。
「はいはい、続いてで悪いけれど予想外に面白かった生き物って何かあるかな?」
「ああ、クリオネとか意外に」
「えー、グロイってばぁ〜。面白いには面白いかもしれないけどー」
南の海でありながら北海の生き物が見られるのはやはり水族館らしい。
コハルの質問に答えながらも二人してキャッキャとはしゃぐカップルは音声では伝えきれないほどに微笑ましかった。
「回答ありがとうございました。他の方にもちょっと聞いてみますね」
普段の調子を戻した美月姫がカップルに礼を言って別れると、次の来館者へコメントを受けに回りだす。
『夏のデートには最適のスポットのようですね、続いてのコーナーは”小悪魔の囁き”というフリートークコーナーへとなります‥‥』
コメントをいくつか貰ったあと、弓の進行の元で次のコーナーへと番組は軽やかに進んでいった。
●早口言葉特訓 From ALP
「おいっす、沖田神楽です。皆はどうだったのかな? 私のほうは特に話すこともないんだけれど‥‥」
「いきなりつれないよ〜。はいはい! お待たせだよ、前回に引き続きBreak Bit’sのアヤです。今日は相方がいないので神楽ちゃんとコンビ組んでますよ! うわきじゃないですからねっ!」
二人の掛け合いによる楽しい雰囲気でALP番の収録が進んでいく。
「今日は新しい子が二人着ているからその紹介。軽く自己紹介どぞー」
「初めてなので。ちょっと緊張してます。水無月 春奈です。よろしくお願いしますね”」
神楽の進行で春奈が紹介されるも、緊張のためか最後にマイクに頭をぶつけ奇妙な言語が生まれた。
「痛そうですの‥‥あ、Noirですの♪ 世界中の人に歌で心を響かせたいと思っていますの」
「二人ともありがとうね。それじゃあ、早速マネージャーから振られた課題をやっていきましょうー」
「アイドルの基本は早口言葉らしいけど、声優とかアナウンサーの仕事にも使えるから試してみてよね? えっと、今回は『赤てるてる青てるてる黄てるてる』だね」
メンバー紹介も終えると、アヤを主導に神楽が原稿を読んで番組を滞りなく進めていく。
「神楽ちゃんは前回クリアしている分プレッシャーだねぇー。じゃあ、あたしからいきます‥‥赤てるてる青てるてる黄てるてる×3! HAHAHA、更にプレッシャーをかけれたかな?」
ニヤニヤとアヤが笑いながら先陣をきって見事クリアした。
「NoirもバッチリOKなの♪」
「‥‥ふぅ、練習の甲斐ありました。かなりギリギリな感じもありましたけど」
更にNoirと春奈も続けて早口言葉をクリアーし、神楽へのプレッシャーは絶頂を迎える。
「それじゃあ、いくよ‥‥赤てるてる青てるてる黄てるてる、赤てるてる青てるてる黄てるてる、赤てるてる青てるてろりろん。あっちゃ、失敗しちゃったな。いつも上手くいくとは限らないしね」
プレッシャーに負けたのか、はたまた調子が悪かったのかは定かではないが神楽は早口言葉を言い切れずに終わった。
コーナー終了後もミーティングルームでは練習を続けていたとかいないとか‥‥。
●小悪魔の囁き From IMP
「ちなみに、この放送収録時であたしは24歳の誕生日を迎えましたー」
「おめでとうございます」
「おめでとー」
美月姫のもってきたジェラートで休憩をとりつつ、後半の収録へと移ると由稀の誕生日発表が行われる。
マイクを通して拍手と祝辞が流れ、暖かい空気がブースを包んだ。
「小悪魔の囁きのテーマの一つである『「一年に一度」で思いつくこと』にも通じますね」
「一年に一度といったら誕生日っしょ。双子の兄貴とは『同じ誕生日を過ごすの何回目だっけ?』とかそんな話を去年したけど」
「あたしは道場での合宿かな? 水泳の練習がきつかったんだよね。剣道着着たまま泳いだりとか立ち泳ぎとか‥‥」
由稀が少し遠い目をしながらに話していると、コハルが話題を続ける。
「ハードなトレーニングをしていたんですね‥‥」
「辛いことばかりじゃなかったけど、その話はまた別の機会にねー」
弓が口元に手を当てて驚くも、コハルはさらっと話を流した。
「それではお便りの方を読みますね‥‥」
何かありそうな気もした弓だが、時間のこともあって手紙を一枚取り出す。
『
初恋は何時ですか?
また、可能なら初恋のエピソードを一つ語ってください
PN:チョコスキー
』
「一瞬アスレードを思い浮かべたあたしゃ職業病かも‥‥」
思わず由稀がボソリと呟くもその声は小さく聞き取れたものは少ない。
「初恋ですか‥‥私は15歳のパリでモデルデビューの時にしたんですよ。同い年の英国紳士な男の子でした、うふふ」
美月姫がその頃の淡い気持ちを思い出してか顔をほころばせ、目元を緩めた。
「さっき流したのにこう来るかっ! えーっと、さっき話した道場でのことだけどあたしが中二〜中三で、相手は30歳くらいの人」
「‥‥若いっていいですね」
「弓さーん、戻っておいでー」
コハルと美月姫の初恋話を聞いていた弓が何故か少し黄昏て上を見始め、弓がそれを引き止める。
「話続けていいかな? それで、あたしが子供でも真剣にぶつかってきてくれて‥‥「毎日真面目にやっていて偉いぞ」って終わったあとには優しく撫でてもらってすっごい嬉しかったー」
「今もそういう年上の方がよかったりとかするの?」
「そ、そのへんはノーコメントで! 次いこ、次!」
珍しく照れたコハルが誤魔化すように次のメールを読み上げた。
『
本格的な夏の到来に向けて
アイドルの皆様が行っているプロポーション維持の秘訣をお聞きしたいです
‥‥少しでも、体を引き締めて大きく見せたいのでお願いします
PN:神社の巫女みこ
』
「プロポーションの維持ですか‥‥あの、その私は太りにくい体質で‥‥しいていえば傭兵としての活動でしょうか?」
「うわー、そのプロモーションしていてそれはきついわ。なんか希望を打ち砕かれた気分になりそう」
弓のたどたどしい返答に由稀は机の上で存在を誇示する二つの膨らみを眺めてコメントをつける。
「あたしとしては食う寝る遊ぶを徹底的にね。お酒も飲むし、ストレスをためないように意識しているわね」
「お、さすが姉さんフィーリングがあいますなー、にゅふふ」
そのまま女性らしい話題で盛り上がりつつIMPの収録は終わるのだった。
●ALPの秘密 From ALP
「今回は春奈ちゃんとNoirちゃんの秘密を公開するから、ファンの子はメモだよ。メモ!」
アヤのテンションの高いノリで後半のコーナーは始まる。
「ファンっているのでしょうか‥‥確かにALPに入る前からカレンダーとか雑誌とかでお仕事はしましたけど‥‥。遅れました、改めまして水無月春奈です」
やや気圧され気味の春奈は自分のプロフィールを話していった。
ALPとしての活動は少ない分引け目はあるも、楽しい雰囲気を作るようにゆっくりとマイクに声を届ける。
「あと趣味は読書とお菓子作りですね、一応普通にご飯も作れますよ? 休日はお友達のアクセサリーショップに出向いたりとかお散歩したりとかします」
「大人しい感じの趣味なんだね。Noirは趣味とかある?」
「趣味ということではないですけど、歌を歌うのが好きですの♪」
神楽が春奈からNoirこと朔に振ると朔は耳を動かして答えた。
音声で伝えられないのが残念である。
「それではお手紙いってみよー」
『
皆様がアイドルを目指そうと思った理由を
差し支えない範囲で結構ですので教えてください
PN:神社の巫女みこ
』
「アイドルになった理由は本当は母を捜すためだったのですが、あっさりと叶ってしまいましたので皆さんを楽しんで貰えるのが一番だと思います」
「私は前もどこかで言ったような気もするけど、剣術ばかりやっていたら腐っちゃう気がして‥‥それでもってどうせやるなら全然方向性の違うことをね、憧れがなかったわけじゃないけれど」
春奈が苦笑しつつ、神楽が静かにはっきりとした口調でコメントを述べた。
「同期ではあるけれど、皆違う思いでアイドルになったんだね。それじゃあ、次の質問いってみようか!」
『
好きな四文字熟語はなんですか?
また、可能ならその理由も教えてください
PN:チョコスキー
』
「これは一斉に言った方がいいかな?」
「どうなんでしょう?」
「理由は跡付けで、一斉でもいいと思いますの」
「そんじゃ、せーのっ!」
神楽が音頭をとリ、4人がタイミングを合わせて四字熟語を決めた。
「「「一期一会」」」
「行雲流水‥‥あら?」
春奈以外は一期一会でそろい、春奈は驚く。
「行雲流水はあまり聞かないでしょうから、私からいきますと意味は自然の成り行きに任せることです。ですから、移りゆく季節を感じながらゆっくり過ごしたいですね」
「出会いが大切だと思うのは皆一緒みたいだね? 猪突猛進と悩んだけど‥‥春奈ちゃんの言葉も素敵だよね」
神楽がそろったことに嬉しさを感じつつも、春奈のフォローをしつつそのままトークを盛り上げていくのだった。
●See You Next
『今回のLHの小悪魔らじお、楽しんでもらえたかな? まだまだ終りじゃないんだな、これが。詳しくは‥‥』
『はいはい、アヤです。またまたゴメンなさい。えっと、ALPのCD”ALP出陣行進曲”が現在販売中です! 購入よろしくお願いします!』
『あー、アヤちゃん。CDかざしても聞いている人には見えないからね?』
由稀とアヤがやり取りがラジオから流れ始める。
『Noirの歌も幼姫ユニット『DIVA』で入っているので聞いて欲しいですの。皆さんにはもう一つ告知がありますの』
『LHの小悪魔らじおがライブ会場で公開録音されます。詳しい日程は後日連絡しますが皆さん楽しみにしていてくださいね?』
朔と弓からの特別放送の告知が行われた。
ALPの限定ライブもあるらしく、イベント尽くしである。
この夏、アイドル達は更に高く羽ばたこうとしていた。