●リプレイ本文
●1200 作戦決行
「アシュラウォー作戦以来ね、元隊員同士今日はよろしく」
シェリー・神谷(
ga7813)は護衛についている頼もしい岩龍に向かって話しかける。
『こちらこそです。そろそろ基地が近ぇですが準備は良いでありやがるですか?』
岩龍のパイロットであるシーヴ・フェルセン(
ga5638)は国道25号線を先陣を切って進運しながらシェリーを含めた仲間に注意を呼びかけた。
『できてますよ。新婚のクラークさんとレオノーラさんの為にも、頑張っちゃいましょうね、皆さん』
乾 幸香(
ga8460)が本来の目的以外でも頑張る目標を見つけている。
敵の多くは北から攻めてくるレオノーラ・ハンビー(gz0067)率いる海兵隊の方へ向かっているため、こちらに来る戦力は比較的少ない。
それでも100近いワームやゴーレムが確認されているのだから油断はできない。
「地殻変化計測器に反応。やっぱり来たわね‥‥アースクウェイク!」
シェリーが移動しながら設置していた地殻変化計測器が捕らえた揺れを各自に伝えた。
緊張が走るなか、はっきりとわかるほどに大地が唸る。
『自慢のリニア砲と2門のライフルでブイブイ言わすで!』
唸りを上げながらその巨体を現したアースクウェイクへ三島玲奈(
ga3848)の雷電が持つスナイパーライフルRが唸りを上げた。
直撃を受けて怯んだアースクウェイクへ向けて桜庭 結希(
gb9405)のヘルヘブン250が<高速移動モード>で国道を駆け抜ける。
『悪の宇宙人め、正義の鉄拳を受けてみろ! 必殺! バニシングゥゥゥナッコォォォォォォォオ!』
渾身の力を込めた叫びと共にヘルヘブンの腕が制御用のワイヤーを張りながらアースクウェイクの横っ腹に叩き込まれた。
「施設破壊が目的なのだから、ここで手間取るわけにも行かないわ。集中攻撃して潰すわよ」
シェリーがさらにガドリング砲とP−115mm高初速滑空砲を撃ち込み巨大なミミズを沈黙させる。
『残りはα班に任せてシーヴ達は施設へ急ぐです』
「もちろんよ、各機メデジン基地へ向かって進軍せよ」
シェリーの一声と共に1200時、LineBarrel作戦は決行された。
●1230突破口を開け
『レオノーラも頑張っている‥‥やってやるさ』
クラーク・エアハルト(
ga4961)は海兵隊と共に戦う妻のことを信頼し、目の前のこと仁集中する。
心配なのもあるが、それでも夫として彼女の実力は十二分にわかってもいた。
メデジン基地から南側へ迎撃に出て来る部隊はゴーレムでも20機、レックスキャノン7体、アースクウェイク6体と防衛戦力としては少ない。
基地の外壁に並んだ4体のレックスキャノンが足を踏みしめ、背中のキャノン砲をこちらに向けて発射してくる。
「前方、敵機から熱源きますよ」
ハイン・ヴィーグリーズ(
gb3522)が注意を呼びかけた刹那、巨大なプロトン砲が4本の光刃を生み出し、そこにあるものを全て破壊した。
『ひゅぅーっ! これくらい張り合いがないと、経験値にする価値もないってな!』
光刃を避けきった九条・縁(
ga8248)は口笛を吹きながらも強敵に対して闘志を燃やしてディアブロを駆る。
『近づきすぎたら直撃でやばいよ。道が道でなくなっているし‥‥』
縁に続くように<強化ジャミング装置>を稼動させていたM2(
ga8024)のウーフーはアイスのようにどろどろとなった国道を見て身震いした。
『だとしても、襲ってくるアースクウェイクだって放って置けませんよ。動きを抑えますから迎撃を‥‥』
ライン・ランドール(
gb9427)はヘルヘブン250を不正地を走らせながら、強化型ショルダーキャノンでアースクウェイクを撃つ。
3体ほど倒しているものの倒したことで敵をより引きつけているのか地鳴りが収まらず足場の不安定な状況は断続的に続いていた。
「確かに‥‥ですが、ここは確実に潰していきましょう。可能な限り破壊して、次は楽したいものですから」
試作型「スラスターライフル」をアースクウェイクに叩きこんだハインは周囲の敵の状況をM2へと確認を取る。
『レックスキャノンの4体はエネルギーチャージ中か攻撃は収まっている。けれど、ゴーレムとまだレックスキャノンが3体こっちに来ているよ』
『施設破壊へのチャンスはある。勢いをとめずに進軍だ』
軍人らしい断定的なしゃべり方をしたクラークがアースクウェイクに攻撃を続け倒しきるとそのまま北上を呼びかけた。
『まだ一体のアースクウェイクが地中を移動しています。警戒しながら進軍しましょう』
地殻変化計測器より情報を得ていたラインがクラークへと返しながら部隊はそろって北上をはじめる。
別働隊から援護の方かが飛ぶなか、総力戦となる場所へ能力者達は進んでいくのだった。
●1300強襲、箱持ちムカデ
「ゴーレム程度で苦戦しているんじゃない、まだレックスキャノンとかいるのよ! 海兵隊の意地を見せなさい!」
厳しい口調で敵機を確認しながら、レオノーラが海兵隊を鼓舞する。
能力者達の反対側での戦いは20機のゴーレムと9体のアースクウェイクが既に潰されていた。
『はっ、下手な佐官よりこええや。おい、見慣れないのが来ているぞ』
「あれは‥‥北米の大規模で確認されたらしい箱持ちムカデ? こんなのまでいるというの」
一機のアルバトロスが指差す方向には列車のように連結されたムカデ型ワームが土煙をあげながら接近してくる。
二体が連結された4列のムカデが肉薄してくると頭痛がレオノーラを襲う。
「この頭痛‥‥コンテナの中身はキューブワームだというのかっ! 面倒な!」
頭痛を堪えながらスナイパーレーザーを構えるが、ムカデの背中のコンテナが開くとタートルワームが現れ砲塔をレオノーラに向けた。
「予想外という言葉で片付けるのは簡単だけれど、癪ね」
両者は同時に光線をぶつけ合う。
海兵隊らも意外な増援に形勢が逆転しはじめていた。
●1400施設攻撃戦
『海兵隊の方が苦戦しはじめたみたいだよ‥‥箱持ちムカデとかいうワームにキューブワームとタートルワームが入っていたみたいで』
M2のウーフーから通信が届く。
「レオノーラが!?」
『危なくなったら無事逃げるはずです。自分の嫁信じるがよし』
『最後の【殺虫剤】を撒きますからね。敵を弱らせている今、速やかに叩いて負担を減らしましょう』
一瞬、動揺するクラークへ、シーヴと幸香が言葉によるフォローをした。
「そうだ‥‥すまない。基地の傍までおかげでこれたレックスキャノンと施設破壊をしていこう」
はっとなり、頭を振ったクラークは一呼吸置いて冷静さを取り戻す。
【殺虫剤[<試作型対バグアロックオンキャンセラー>]】を撒き終えた幸香はGPSh−30mm重機関砲を使い列に並んでいるレックスワームを牽制した。
固定砲台となっているレックスキャノンにより接近が遅れたが直撃を受けた回数は少なく傭兵側は海兵隊方面とは違い優勢を大きくしている。
『これ以上、海兵隊に負担をかけないよう素早く暴れるで』
レックスキャノンの肌は物理に対して強い色を示しているため、三島機はリニア砲を至近距離で叩き込んだ。
しかし、三島機はリロードが1発ごとに行わなければならない装備が多いため、連続で攻撃することはできない。
すぐさまチャンスを求めるために<超伝導アクチュエーター>を使って内部施設の影へと隠れた。
基地の中へと攻め込むことが出来るようになり、敵との戦闘と共に施設破壊へと分担が始まる。
『優先目標補足‥‥エネルギープラント、補修施設、管制施設ロック』
基地が見渡せる場所へ移動していたシェリー機がC−200ミサイルポッドを<新型複合式ミサイル誘導システム>を使って発射しようと構えた。
しかし、それを妨害しようとゴーレムがプロライトソードを抜き、迫ってくる。
『シェリーの邪魔はさせねぇです』
近づいてきたゴーレムをシーヴ機が試作型機槍「アテナ」でプロライトソードを受け止めるとカウンターとばかりに胴体を貫いた。
背中まで槍先が飛び出しゴーレムが沈黙する。
『シーヴ、ありがとう! オールキル・ウィッチの初陣、派手に決めるわ。オールファイヤー!』
シェリーの声と共に40発のミサイルが最初の目標であるエネルギープラントへ直撃し、吹き飛んだ。
出撃しようとしていたゴーレムへ飛び散った破片がぶつかり潰れる。
「こちらでレックスキャノンは潰します。シェリーさん達α班はそのまま施設破壊へシフトしていってください。この基地もボゴタほどではないですが、広いですからね」
冷静さを取り戻したクラークが幸香達が相手をしていたレックスキャノンの相手をしはじめた。
『こちらでも撃てる限りは撃って破壊しますので‥‥そちらも頑張ってください』
大型ミサイルポッドを4発うち尽くしたハインが通信を持ちかけてくる。
ハインをリーダーとしたβ班も対施設ようにG−44グレネードランチャーを装備しており、それらを使っての手ごろな施設の破壊行動を行っていた。
基地内は混乱しており、格納庫からも次々と迎撃のゴーレムが出てくるが温存していた破壊兵器が薙ぎ払っていく。
『スパークゥゥゥゥフィストォォォォォオ! ‥‥あれ、これは叫ばなくていいんだっけ?』
格納庫を優先攻撃目標に定めていた桜庭は出てきたゴーレムに向かって超電磁マニピュレーターを<高速二輪モード>の<チャージ>でもって胴に叩き込むがゴーレムを砕くまでには至らなかった。
『くそっ、硬いじゃんかよっ!』
ゴーレムの持つ大剣が桜庭のヘルヘブンを斬った。
プロライドソードがヘルヘブン250の追加装甲「リグ・ヴェーダ」を深く裂く。
『ちっ、撤退するよ。死んだら何にもならないからね』
桜庭機が煙を上げ始めたため、<高速二輪モード>を維持しつつ撤退していった。
『っ‥‥ここまでか‥‥。後退します!』
桜庭機に続きショルダーキャノンを使って施設を潰していたライン機もレックスキャノンの爪を受けて撤退をよぎなくされた。
施設破壊も進んでいるが、被害も拡大している。
『この当たりが潮時だと思うよ。時間もそろそろ来るしね』
時計を見ながら撤退の援護をしていたM2が各自に意見を持ち出した。
『それじゃあ、最後にド派手な花火を上げていこうか! まとめて経験値になれっ!』
縁が<パニッシュメント・フォース>を使って強化を施したG−44グレネードランチャーで管制塔と共にゴーレムを破壊する。
他のメンバーが壁を破壊し、シェリー機から煙幕銃が撃ちだされて脱出路を確保すると傭兵達は再び25号線を南下して撤退していった。
『こちらは海兵隊方面、こっちも少し早いけれど撤退するわ。予想より苦戦中よ。基地の方で合流しましょう』
レオノーラからも撤退の報告を受け、LineBarrel作戦は終了する。
施設の破壊、敵戦力の6割減という大きな成果を上げることができたのだった。
●作戦終了
「かなり怪我をしているわね。大丈夫?」
「油断したわね。水中用装備で逃げ切れただけでもまぁよしとするわ」
シェリーがレオノーラへ救急セットによる手当てを施しているとクラークが姿を見せる。
「今回はお疲れ様でした。箱持ちムカデが出てきたようでしたが‥‥」
「ええ、キューブとタートル入りが来ていたわ。そっちに行かなかっただけマシよ。こっちも結構やられたけれど死人までは出てないわ」
「無事でいてくれれば十分ですよ。家に帰ったらプレゼント渡しますからね?」
クラークは手当てを受けているレオノーラに近づくと飲み物を手渡した。
「ああ、レオノーラさんは誕生日だったんですね。おめでとうございます」
「お、おめでとう」
「おめでとうございます」
幸香をはじめ、桜庭やハインが拍手でレオノーラを祝福する。
戦いのあとであるが、穏やかな空気が基地を包み込んでいた。
メデジン基地、大きな被害を与えることに成功‥‥。