タイトル:【JTFM】In the Darkマスター:橘真斗

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/06/22 15:04

●オープニング本文


2010年5月末 クルセイド・スウル基地
「ボリビアは国王としてはUPCにつくという意志を見せたようだな」
 ジャンゴ・コルテス大佐は報告書を眺めながら火のついていない葉巻を咥える。
 4月に起きたアスレードの急襲を受け、ボリビアの流れは変わろうとしていた。
 しかし、内部へスパイが潜入していたことがあったりとUPC軍にもバグアの魔手がジワリと忍び寄っている。
 ため息でもでようとしたとき、ドアがノックされた。
「入れ」
「どうも、大佐。ラストホープでULTに対してボリビア国民に対する能力者発掘の支援要請をしてきたわよ」
 敬礼をするまでもなく、長年の付き合いでもあるかのようにレオノーラ・ハンビー(gz0067)は部屋に入ってくるなり事務的な報告を行う。
「副官が丁度出払っていてな、昔のコネで付き合ってもらってすまないな」
 コルテス大佐のほうも気にした風でもなく、娘でも見るような顔でレオノーラに答えた。
「カミリア少尉‥‥いえ、大尉ともそこそこ交流もあったからね。ボリビアへの協力が少しでもできればね」
「まだ、中立国ということを守ろうとするマガロ一派や、どうやらバグアと繋がっているらしいオニール・トランスポーターなど火種は多い。内戦が起きてしばらくは荒れるだろうがここを乗り切りたいものだな」
「ええ、コロンビアほど簡単にはいかないわよ」
 コルテス大佐とレオノーラは南米の地図の中央にあたるボリビアをじっと眺める。
 この小さな国が今、混沌を迎えようとしていた。
 
●ボリビアの闇
「国王ミカエルはUPCに組することを表明し、それでも摂政のマガロは中立を表明ですのね」
 新聞に目を通しながら少女は楽しそうに口元を緩める。
「では、私の方も動く時期といえましょうか。楽しみですわ、この国が混乱するのが‥‥」
 朝のコーヒーを優雅に飲みつつも口から出される物は冷たい声と物騒な言葉だった。
 ラテンアメリカらしい小麦色の肌をした健康的な微笑みを浮かべる少女はカルメン・オニール。
 オニール・トランスポーターの令嬢であり、ボリビアにおけるバグア工作員の一人だった。
「元々ラパスと関係の悪いサンタクルスの市民を焚きつけて暴動と共にキメラを使ったテロを支援しましょう。何、裏工作は出来ていますわ」
 誰にともなく呟く少女は黒いコーヒーのような心を見せる。
 翌日、彼女の言葉どおりテロが起きた。
 
●テロリズム
『大変です! ただ今、サンタクルス市内で食料輸送トラックからキメラに襲われたとのことです。こちらでは郊外で国王に対する抗議運動が起きている最中の出来事で警察や軍の対応が遅れています』
 TVレポーターが街中の様子を流す。
 逃げ惑う人々に襲い掛かる羽を羽ばたかせて飛ぶ黒い影。
 脂ぎった外観に、長い触角を揺らし、羽音を鳴らして飛ぶ姿は見るものの恐怖を煽った。
『市民の皆さんは避難をお願いします。きゃぁっ! こちらに!』
 ブゥゥゥンと飛んできたキメラがカメラにぶつかるとノイズが走る。
「以上が届けられた映像です。今から三時間ほど前にきたので、現在の状況はわかりませんが最低でも市内に20体ほど黒いアレが蔓延っているとのことです」
 話をするリネーア・ベリィルンド(gz0006)の顔は暗かった。
「こっちに帰ってきたと思ったら‥‥まぁいいわ。こういうときは傭兵が独自に動いて処理する方がいいわよね?」
 黒い物の姿などなかったかのようにレオノーラ・ハンビー(gz0067)はリネーアを見つめる。
 頷きが返ってきたのを確認するとレオノーラはすぐに出発の準備を整えた。

●参加者一覧

ミア・エルミナール(ga0741
20歳・♀・FT
エレナ・クルック(ga4247
16歳・♀・ER
九条・運(ga4694
18歳・♂・BM
クラーク・エアハルト(ga4961
31歳・♂・JG
砕牙 九郎(ga7366
21歳・♂・AA
セレスタ・レネンティア(gb1731
23歳・♀・AA
ジン・レイカー(gb5813
19歳・♂・AA
御守 剣清(gb6210
27歳・♂・PN
魔津度 狂津輝(gc0914
28歳・♂・HD
方丈 左慈(gc1301
36歳・♂・GD

●リプレイ本文

●作戦展開
 到着した時、すでにサンタクルスの市街は阿鼻叫喚の地獄絵図となっていた。
 避難をしているとはいえ、相手は3mの大きさを持つ黒い物。
 上空のヘリから撮影をしていても空をも飛ぶそいつらに落とされるという有様だった。
「親バグア派は嫌いだが、このキメラはもっと嫌いだな。レオノーラ背中は任せますよ」
「わかっているわ。各自、確実に潰すのよ。この敵の嫌なところは直接的被害よりも二次災害なんだから」
 クラーク・エアハルト(ga4961)とレオノーラ・ハンビー(gz0067)は銃をリロードすると走りだす。
「Gというものをはじめて見ますが‥‥これほど大きいものだったとは」
「いや、これが異常なだけだってばよ。治療は任せるから頼むってばよ」
 空を飛んで散らばろうとするゴキメラを見上げていた御守 剣清(gb6210)を砕牙 九郎(ga7366)はクラーク達とは別方向へと走りだした。
「さて、私達は近くの怪我人達の治療にいきますよ!」
 分担して戦闘に向かった能力者達を見送ったエレナ・クルック(ga4247)は両手で頬をパチンと叩くと自分に言い聞かせるように声を張り上げる。
 苦しむ人の声が聞こえる、この地方では医者免許の代わりとなる自分の力を使うときだと自らの心も訴えていた。
「負傷者確認。エレナ、よろしく頼む。俺と左慈は周囲を警戒する」
「その怪我の具合は任せるしかないな‥‥奇襲に警戒していくぜ、目の前でしなれるのはみたくねぇんでな」
 ジン・レイカー(gb5813)と方丈 左慈(gc1301)はエレナの治療を援護するように左右に散らばり血なまぐさい町を進む。
『ギギギギギッ!』
 エレナが苦しむ人々に手を差し伸べていると黒い影が飛び出してくる。
 不気味な羽音を震わせ、集中しているエレナにゴキメラが牙をむいた。
「危ねぇっ!」
 咄嗟に左慈がエレナの前に<ボディーガード>で飛び出す。
 鋭利な牙が左慈の肩に食い込み血が噴出した。
「ひはっ。来やがったか‥‥来て早々悪いが邪魔させる訳にはいかないんでね。消えてもらうぜ?」
 覚醒をして眼帯のつけてない赤い瞳を血のような朱[アカ]に変えてジンが2.4mの槍、隼風を振るって左慈に噛み付いているゴキメラの頭部を貫く。
 グジャリと潰れる音と共に体液が飛び散った。
 頭部を潰されながらも足が動き左慈から離れ、触角でもって周囲を感知しているのか一度間合いを取ると飛行しながら体当たりをしてくる。
「油断しちゃいけねぇな‥‥結構きつかったぜ。援護するんで、頼むぜ‥‥『先輩』」
「先輩ねぇ‥‥。何か変な感じはするが、援護は任せたぜ!」
 狙ってくるゴキメラに向かって二人の男はエレナを守るために動き出した。

●見敵必殺
「さーてと‥‥自分のウデで戦うのもずいぶん久しぶりだ‥‥鈍ってないといいけど」
 ミア・エルミナール(ga0741)は肩を鳴らしながら片刃の斧、タバールをくるりと回しながら見つけたゴキメラに向かって走る。
 4ヶ月前にコロンビアで戦って以来の生身だが、ドライに敵を見据えて間合いを計った。
「全滅したかと思ったら復活するわ。姿見せないと思えばいきなり大量発生するわ。本当に外見通りの連中だな!」
 何回もこのゴキメラと戦ってきた九条・運(ga4694)は3倍の大きさとなっているゴキメラにどこか楽しげな雰囲気を見せつつ小銃「フォーリングスター」の引き金を引く。
『ギギギギッ!』
 斜線上にいた黒い物が3体散り散りになるように飛び上がった。
 銃弾が巨体を掠めて道路にあたる。
「ノルマは一班5匹、消毒開始だ」
 接近してきたゴキメラを叩き落とすようにミアが<豪力発現>を乗せた力のある一撃を頭部へ叩き込んだ。
 ハエタタキで落とされたようにゴキメラは道路へ減り込む。
 そのまま硬かろうが遠慮なくタバールでゴキメラの体をミアは砕いた。
「積極的にくるな、こいつは!」
 ミアの背中をカバーするように回った運が蛍火で体当たりを受け止め、返す刃で頭部を切る。
 頭部を斬られても触覚を働かせて狙いをつけているゴキメラは足を蠢かせて運を捕らえようとしてきた。
「気持ち悪さも3倍じゃねぇかよ! 死にやがれ!」
 ゴキメラを斬りかえしながら運は叫ぶ‥‥。
『ギギ、ギギギギィ』
 斬られて体液を撒き散らすもゴキメラは勢いをとめることは無かった。
 一方、少し離れたところで魔津度 狂津輝(gc0914)とセレスタ・レネンティア(gb1731)も徒歩で動きながら敵を潰している。
「あんな蟲に‥これ以上はやらせません」
 片膝をつき、ライフルを脇に固定して流れ弾を出さないように気を使った狙撃を行った。
 避難を援護する軍人に向かっていくゴキメラの頭部が爆ぜる。
『硬いが頭部はいけるぜ、潰しがいはあるというものだ、ヒャッハー』
 セレスタと同じように魔津度も「掛矢」と呼ばれるメイス状の武器で頭部を集中して叩き潰した。
 だが、頭部を失ってもその生命力が弱まるわけではなく、ゴキメラはやたら滅多に周囲を駆け回って人も物も関係なく壊す。
 頭部を失って、予測不能な動きでセレスタによってきたゴキメラをセレスタはコンバットナイフを振るって追い払うと魔津度がそこを<竜の瞳>と<竜の爪>を乗せた一撃をぶち込んだ。
『害虫は駆除するぜぇ こいつ等 正にゴキブリだ』
 ビクビクと震えながらも動く黒いものに魔津度は吐き捨てるように言い放つと何度も殴りつける。
「一体に時間をかけてはいられません、とにかく動き回らないようにしていきましょう」
 セレスタも追い討ちでライフル弾を叩き込むとリロードした。
 動かなくなるまで時間を駆けることもできるが、連絡を受ける限りまだ四分の一を超えた程度‥‥先は長い‥‥。

●連携駆除
 低空飛行をしながら迫るゴキメラをクラークとレオノーラが迎撃にでる。
「クラーク、とにかくばら撒いて潰すわよ!」
 ドローム社製SMGを飛んでいるゴキメラに向かって鉛球をばら撒きながら前方を走るクラークをレオオーラは援護した。
「レオノーラ! 被害を出さないように一撃必殺でいくように!」
 覚醒で過激になっているレオノーラに檄を飛ばすとアラスカ454で羽を潰す。
 飛行能力を失ったゴキメラが地面に体を削らせながら墜落した。
 後ろではエレナ達が治療を続けているため、援護をするよりも再び迫ってくる敵を排除することに専念しだす。
「一撃必殺なんて、この生命力相手に無茶よ。被害を減らすようには気をつけるけど‥‥ねっ!」
 <強弾撃>を使って強力な弾丸を墜落したゴキメラにレオノーラは叩き込んだ。
 ぐちゃぐちゃと破片が飛び散らせながらゴキメラは動きを止める。
「これで二匹目ですか‥‥」
「あと3匹は片付けるわよ。害虫駆除も楽じゃないわ」
 動きの止まったゴキメラへ言葉を吐き捨てると無線機を取り出した。
「こちらは二匹、他はどんなところ?」
 
「こっちは三匹目を相手にしているところだってばよ。逃がすかァァァァッ!」
 無線機を持ちながら飛び上がったキメラに向かって壁を<豪力発現>で強くなった力で踏みしめて飛び上がると九郎は機械剣「サザンクロス」で串刺しにする。
 そのままゴキメラの背中を足場にして着地すると、ズシンという物音と共に砕けたアスファルトの破片が飛び散った。
「お見事です。知覚武器の方が効果ありそうですね」
 御守は九郎の戦い方を眺めると得物を持ち替える。
 ゴキメラの動きが止まったのを確認すると、負傷者の捜索を二人は再開した。
「そうだねぇ‥‥お、アッチから声が聞こえるぞ」
 逃げ遅れた子供なのか泣き声のような声が二人の耳に届く。
「急がないと、アレだって昆虫なら声に近づくことだってあります」
 御守は嫌な予感を感じながらも駆け出した。
 平和であればにぎわっているだろう繁華街で黒い影に怯えてなく子供の姿が見えた。
 ゴキメラが子供に迫り牙をむいて涎をたらす。
「やらせるものかよっと」
 <迅雷>で子供とゴキメラの間に割って入った御守は<刹那>を込めた機械剣βで内側から凪いだ。
 20cm程度の筒から超圧縮レーザーのナイフを飛び出させながらバターにナイフを通すようにゴキメラを斬り裂く。
 緑色の体液を飛び散らせてゴキメラは仰向けに倒れた。
「くさいったらありゃしないな‥‥こいつは」
 足をばたつかせているゴキメラに九郎はサザンクロスを突き立てて止めをさす。
「そうですね‥‥もう、大丈夫だよ。怪我はないかい?」
 機械剣をしまうと御守は怯える子供に向けて少しだけ口調を優しくしながら声をかけた。
 
●治療困難
「ごめんなさい‥‥」
 寂しそうに頭を振ってエレナは倒れている男性の眼を閉じさせる。
 ゴキメラとの遭遇はなくなってきて治療に集中できてはいるが、中には負傷具合が酷く間に合わない人もいた。
 今はボリビア軍が用意した避難所の方へ訪れて手の足りない医者の手伝いをしている。
「クルック君‥‥あ、悪いときに来ちまったか?」
 様子を見に来た左慈が力なくなった手を握るエレナを見て顔を俯かせた。
「いいえ! 大丈夫ですよ!」
 明らかに空元気な態度でエレナが左慈を迎えるが、左慈はあえてそこには触れずに背負っていた負傷者を降ろして話を続ける。
「じゃあ、報告だ。エルミナール君と九条君のD班と砕牙君と御守君のC班は5匹を倒して現在治療や卵の捜索に回っているようだよ」
「そうですか、じゃあこっちが忙しくなりそうですね」
「左慈! こっちにきてくれ、また一匹きやがった!」
 外からジンの声と共にガキィンと甲高い金属音が聞こえてくる。
 盾となってゴキメラを受け止め、避難所へこれないように塞いでいるのだ。
「エレナ君はこのまま治療と消毒の方を俺はあいつを倒しにいってくる」
「分かりました‥‥無茶だけはしないでください」
 エレナの心配そうな声に手を上げて答えると左慈はジンを援護するために走り、2.4mの槍でゴキメラを下から上へと貫く。
「クソがッ! チョコマカとでてきやがって、ヤらせるかぁっ!」
 左慈と同じ和槍を持ち直したジンが<両断剣>を使って更にゴキメラを下から貫くと沈黙させたのだった。

●駆除完了
 ゴキメラに向かって棍棒が振り下ろされ、甲殻の砕ける音と共にゴキメラがまた1体沈黙する。
『うっへぇー 漸く終わったぜ。しかし正に惨状だな』
 周囲に散らばった死骸を眺めると、魔津度はAU−KVをバイク形態へ戻した。
「殆ど貴方がやったようなものですが‥‥やりすぎに近いかもしれません」
 念のためにリロードをしながらセレスタは周囲の調査に入る。
「おい、そこの軍人は大丈夫か?」
「ああ‥‥怪我をしているが歩けないわけじゃない」
 足を引きずっているボリビア軍の兵士を見つけた魔津度が声をかけた。
「卵が産み付けられているかもしれませんが、今は消毒できる道具がなありません‥‥早いところ運んだ方が良いいでしょうね」
 ゴキメラとの戦いで気をつけるべきは卵の孵化であると教わっていたためセレスタは魔津度に兵士を運ぶよう目で合図をだす。
「すぐに戻ってくるが気をつけろよ」
 魔津度は筋骨隆々な体で兵士を担ぎあげるとエレナのいる避難所へと運んでいく。
 セレスタはそのまま裏路地などの狭い道を調査していった。
 通常のゴキブリであれば卵を産み付ける場所ではあるのだが、見つからない。
(「ゴキメラというものは生物‥‥もしくは捕食できる物に産み付ける修正でもあるのでしょうか」)
 注意深く見ながらセレスタは一人捜索を続けるのだった。

●調査開始
 早いうちにノルマの駆除を終えていた運とミアは壊れた下水道の入り口へと入っていく。
 負傷者の情報を統括するにゴキメラが出てきたのはその下水道だというのだ。
 巣があるのか、それとも誰かが放ったのかわからないが調査が必要だと判断して動いている。
「ゴキメラも臭かったけど、ここも酷い匂いだね‥‥シャワーでおちるかな」
 服にこびりついた体液と足に広がるぐちょぐちょとしたヘドロの中を進みながらミアは呟いた。
「ここから出てきたってことはこの奥に卵がまだ眠っている可能性だってあるんだ。先に潰しておくに越したことはないだろ?」
 運は苦虫を潰したような顔のままで明かりで下水道を照らしながら奥へと進む。
 下水道の広さは今回現れたゴキメラが通れるくらいはあった。
「匂い、強くなってない?」
「ああ‥‥なんかものすごくヤバイ匂いがする」
 進んでいくと腐臭とも死臭ともいえる異臭が漂ってくる。
 袖で鼻と口を押さえながら奥へ足をすすめると、動物の死骸が山のように積み上げられた一角があった。
 死体が時折びくびくと動き、『何かが』でてくるような気配さえ感じられる。
「くそっ、趣味のわりぃことしやがって汚物は消毒ダァァァァ!」
 運は意を決して銃を構えると息を止めながら死骸に向けて銃を連射するのだった。
 
●作戦終了
「皆さんお帰りなさい」
 子供達にキャンディーを配っていたエレナが戻ってきた傭兵達を向かえる。
「害虫駆除も大変だったわ。クラークのお陰で怪我もなく終わったけどね」
「レオノーラを守れてよかったですよ」
「負傷者も多いけど死傷者もでてたからな一応消毒だけはしてきたから、あとはこの国の人に任せるだけだな」
「下水道の処置もしないといけないようですね。何にしても後味の悪い依頼です」
 口々に傭兵達はこの作戦での感想を漏らした。
 ボリビアの下水道に動物の死体が固まっていることは普通あることではない。
 人為的な何かが働き、今回の混乱が生み出されたことは明らかだった。
「この町の闇も深そうね‥‥」
 レオノーラの小さな呟きが静かに響く。
 その言葉に誰もが嵐の始まりを予感するのだった。