タイトル:【京都】朱貂討伐・餐マスター:橘真斗

シナリオ形態: シリーズ
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/01/03 02:23

●オープニング本文


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●大江山 山城屋敷
「朱貂様、鬼堂が討死にしたよ。僕は逃げてきたけれどね」
 松明の明かりがともる大広間に榊原は姿を見せた。
 怪我はあるものの、その目の闘志は収まることなく燃え上がっている。
「なら、最後の晩餐といこうじゃねぇか。余興には丁度いい」
 朱貂は首に巻いた貂の毛皮を撫でつつ立ち上がった。
「では、私は裏から廻ってしかけます」
「僕は屋敷の前で残っている鬼たちを集めて置くさ。オモチャを散々壊してくれたお返しをしたいからね」
 ヤクシニーと榊原は朱貂の言葉に答えると動き出す。
 揺らめく炎に照らされる顔は真剣そのものだ。
「宴だ、宴。最高の宴だろ。‥‥兄貴ぃ」
 彼らとて、ここで決着をつけるつもりなのである。

●朱貂討伐隊、推参
 大江山を見渡せる山頂の屋敷まで、ついにたどり着いた。
『ち、ようやく防衛施設を突破出来たと思ったら、キメラがいやがるのかよ』
 山戸・沖那(gz0217)はAU−KV『ミカエル』を装備した姿で飛び出そうとするが、白川・仁宇が手で制した。
「沖那殿、急いては事を仕損じますぞ。細い山路を足で登ってきて失敗しては元もこもないですぞ」
 磨理那の考えた作戦は包囲網の構築だった。
 KVでは踏み込むには厳しく敵に逃げられなくするために近畿UPC軍には待機してもらっている。
 軍の方に戦死者がでている状況で失敗はできないのだ。
「やぁ、よく来たね。直接お目にかかるのははじめてかなぁ? 僕は四鬼士の一人、榊原だよ」
 鬼達の間から小さい少年が姿を見せ、拍手をする。
『雑魚には用はない! 朱貂をだせ!』
「兄弟だね、あの方も君と同じ様に雑魚にはようがないってさ。奥の間にいるから僕を倒して行くんだね」
 榊原の言葉に沖那と仁宇、そして正面から向かう傭兵達は頷きあった。
「ならば、この白川・仁宇。推し通らせて貰う!」
 京都市開放の為の最終決戦が始まろうとしている。
 勝つのは人か鬼か‥‥。

●参加者一覧

緋沼 京夜(ga6138
33歳・♂・AA
玖堂 暁恒(ga6985
29歳・♂・PN
六堂源治(ga8154
30歳・♂・AA
風羽・シン(ga8190
28歳・♂・PN
麻宮 光(ga9696
27歳・♂・PN
シュブニグラス(ga9903
28歳・♀・ER
南 十星(gc1722
15歳・♂・JG
ユウ・ターナー(gc2715
12歳・♀・JG

●リプレイ本文

●進路に子鬼、裏手は夜叉
「その声は榊原ですね、なるほど稚拙な行動どうりお子様だったようですね」
 鬼達を従える少年に南 十星(gc1722)はSMG「ターミネーター」の銃口を向ける。
「今投降すれば、お尻ぺんぺんで許してあげますよ。二度も逃げ帰った榊原くん? 今回、退路はありませんよ」
「ふざけるな! お前達如きが僕とこの餓鬼にかなうものか! ゆけっ!」
 小馬鹿にされた榊原は怒りで顔を赤くしながら腕を上げ、鬼キメラ達を走らせた。
 だが、そこへ<制圧射撃>によって、200発の銃弾が飛び榊原の動きを止める。
「今度はお前の全てを奪ってやる。まずは――」
 静かな憎しみの篭った言葉と共に1体の鬼が崩れ、闇剣「サタン」と番天印をもった緋沼 京夜(ga6138)が姿を見せる。
 榊原までの突破口が開いたところに白川・仁宇が斬り込んでいった。
 続いていこうとする山戸・沖那(gz0217)を覚醒した玖堂 暁恒(ga6985)が手に握った蛍火で制する。
「急くな、山戸。お前の心情は解らんでもない、だが、急かば冷静さを欠き、冷静さを欠けば隙を産む。そして隙があれば足を掬われる‥‥今は目の前の敵を斬り伏せる事だけを考えろ、良いな?」
『ちっ‥‥わかったよ、落ち着けばいいんだろ。落ち着けば』
 AU−KVを装着したまま肩を落とした沖那は深呼吸をすると今一度、構えなおした。


 ***
 
 一方、裏手からは奇襲を掛けるべく一部の能力者達は回りこんでいる。
「何となくここまで付いて来ちまったッスね」
 一人、この戦いに、因縁も思い入れもない六堂源治(ga8154)は得物を握ってチャンスを待っていた。
 それでも、頑張っている仲間のために力になろうとする気持ちに偽りはない。
「沖那おにーちゃん‥‥必死になってた。ユウ、何だか心配だよ‥‥」
「生きて肩を並べると約束してきたんだ、こっちはこっちで仕事を果たすぞ」
 不安を口にするユウ・ターナー(gc2715)に風羽・シン(ga8190)は軽く目を見て肩を叩いた。
「死んでしまったら悲しむ人間が多くいるのは知っている。生きて帰るさ、俺も沖那もな」
「うん‥‥そうだね」
 麻宮 光(ga9696)にも言われ、ユウは特殊銃「ヴァルハラ」を抱きしめて気持ちを切り替える。
「正面、始まったみたいね」
 騒ぎが起きたことをシュブニグラス(ga9903)は聞きつけ、全員に突撃を促した。
 能力者達が動きだしたとき、目の前に中世ヨーロッパの旅芸人のようなエキゾチックな衣装に身を包んだ女性が飛び出してくる。
「この先は通させません。朱貂様の配下であり四鬼士が一人‥‥ヤクシニー。参りますよ」
 丁寧な口調ながらも鋭い視線で能力者を睨むヤクシニーは両手の曲刀を構えて名乗りを上げたのだった。

●子鬼退治
 1体の鬼キメラを倒し、3体の鬼キメラ達が能力者達に金棒を振り上げて迫る。
「紅蓮の双角! 玖堂暁恒、推して参る!! 鬼同士存分に喰らい合おうぞ!」
『カッコいい二つ名持っているじゃないかよっ!』
「この白川・仁宇には尼丹生如来様の加護があり! 負けはしない!」
 言葉に余裕を取り戻した沖那と暁恒、そして仁宇が鬼を相手にするために踏み込んだ。
「これが支援のラストですよ。当たらないように気をつけてください」
 突撃していく能力者達を支援すべく、南が貫通弾を込めて<制圧射撃>を今一度、鬼キメラと榊原に向けて撃ちだす。
 SMG「ターミネーター」から再び200発もの弾丸がばら撒かれて、鬼キメラと共に榊原の足を止めた。
 その間に緋沼が直接榊原を相手をするために駆け出して肉迫する。
 榊原は<制圧射撃>を撃ち込まれたときからフォースフィールドを強化し、受けるダメージを極力押さえていた。
 <豪破斬撃>で出力を高めたサタンの斬撃も例外ではない。
「意外と面白い技を持っている‥‥」
「よくもやってくれたな、お前から血祭りだ!」
 手下の鬼キメラを殺され、今も自分を傷つけようとしてきた緋沼に向かって、榊原は激しく吼えながら直接殴ってきた。
「やれるものなら、やってみろ。お前の憎悪と俺の憎悪どちらが上か‥‥見させてもらう」
 一般人であれば見切れないほどの速度の拳を避け、バックステップで離れた緋沼は番天印を<急所突き>で撃つ。
 直撃コースの弾丸も榊原のフォースフィールドに阻まれ、かすり傷程度で収まる。
「そんな弾じゃ僕には勝てない! 誰だろうと勝てないんだよ!」
 光線銃のようなものを白衣の内側から抜いて榊原はトリガーを引いてきた。
 緋沼は光線銃を体で受けるがその目は赤く榊原を睨む。
 榊原が緋沼の目にひるんだとき、暁恒が<高速機動>と<疾風脚>そして<急所突き>をも入れた蛍火の一撃を横っ面から鬼キメラに叩きこんでいた。
 沖那と仁宇も体格は大きくても動きの鈍いキメラを軽やかな動きで翻弄し、確実に一撃ずつ当てている。
「僕が、僕がこんなところで負けるなんて嘘だ!」
「嘘じゃない‥‥これが、お前達が今までやってきたことのお返しなのですよ」
 南の言葉を聞くと嫌々と首を振り、榊原は光線銃をがむしゃらに撃ち始めるのだった。

●夜叉の最後
 あらかじめピンを抜いてタイミングを取っていた閃光手榴弾とユウの放った<制圧射撃>から戦闘は始まっていた。
 取り囲むようなポジションをシンと麻宮がとり、距離をとりながら攻撃をするもののダンスを踊るかの様なステップでヤクシニーは銃弾を交わす。
「ゆるい攻撃ですね。貴方達が朱貂様に刃向かおうなど10年早いことを教えてさし上げます!」
 二本の曲刀をクロスさせるとシュブニグラスまで一気に間合いを詰めて斬りかかった。
「くっ。殴り合いはKVだけで結構よ!」
 鉄扇で受け止めきれずに傷を負ったシュブニグラスは苦し紛れとも言える台詞を返す。
 一撃を堪える事が精一杯ではあるが、気合で負ける訳にもいかないのだ。
「ふん、痩せ我慢をしていますと命を落としますよ?」
「どうかしらね‥‥貴方が近づいてきたことがチャンスになることだってあるのよ」
 血を流しながらシュブニグラスは不敵に笑う。
 次の瞬間、ドゴォと重たい衝撃波がヤクシニーの背中に叩き込まれた。
「隙作りサンキューッスよ」
 <両断剣・絶>と<ソニックブーム>を組み合わせた特大衝撃波を源治が放ったのである。
「陽動に私が引っかかるなんて‥‥」
「こっちも負けるわけにはいかないんでな、倒させてもらう!」
 シンが大きく負傷して動きの鈍くなったヤクシニーを二刀小太刀「花鳥風月」で斬りつける。
「私とて、負けるわけにはいきません。あの人を守り続けることが私の生きる理由なのですから!」
 傷口を抉られて更に血を流すもヤクシニーは力を振り絞って能力者達に一人で立ち向かった。
 曲刀から衝撃波を飛ばしてシンや源治を狙う。
「キョート‥‥沖那おにーちゃんや京夜おにーちゃんの大切な場‥‥ユウ、絶対に取り戻してみせるんだカラっ!」
 源治たちが傷ついているい間にもユウはリロードを終えたヴァルハラで援護を行う。
 強い意志が銃弾の楔となってヤクシニーに撃ち込まれて行く。
「生きる理由、守るべきもの‥‥俺もおまえも変わらないかもしれない‥‥けれど、だからこそ負けるわけにはいかないは同じだ」
 ヤクシニーが力を込めて範囲攻撃を行う隙すら与えることなく、麻宮が<瞬天速>で懐まで駆け寄り、その腹部をイオフィエルで貫いた。
 声にならない声を上げたヤクシニーは両手に握っていた曲刀を地面に落とし、崩れ落ちるようにして麻宮へと倒れかかる。
「次が本命ね‥‥」
 ヤクシニーが動かなくなったことを確認したシュブニグラスが負傷者の治療に入る。
「こちら、シンだ‥‥。負傷者がいるものの敵を倒すことには成功した」
 同時にシンは声帯振動マイク式通信で正面の人員へ連絡を取り始めるのだった。

●朱貂との狂宴
 榊原を倒した正面の能力者達が屋敷の中を走っている。
 無傷とはいかないまでも、負傷は軽く戦いに支障はなかった。
 ガランとした屋敷の中を駆けていくと篝火の焚かれる広い部屋にたどりつく。
「あなたが朱貂ですか、私は京姫の騎士、南 十星。今日でこの戦いを終わりにしてもらいますよ」
「ああ、俺が朱貂だぁ。待ちくたびれたぜ?」
 杯を傾けて赤い液体を呑み終えた朱貂は立ち上がりながら答えた。
『朱貂‥‥いや、尊! 双子の兄弟だか知らないが恨みひとつで何人殺してきた!』
「数える気にもならないな、弱いものは死んで当然。強い奴だけが生き延びる‥‥それと純粋に殺すのが楽しいんだよ。分かるだろぉ?」
 激昂する沖那に対して朱貂はニヤリと口元だけを歪めて笑う。
『分かるかよ! 俺は体は化け物になったかも知れないが、心を捨てた訳じゃない。仲間と共に手前を倒す!』
 飛び出したくなるのを抑えた沖那の姿に一緒にいた仲間達はどこか安心した様子で次の行動に出た。
 南が<制圧射撃>を放って朱貂の足止めに掛かる。
「当たれば効果はあるだろうが、遅いなぁ」
 200発の弾丸を交わしきった朱貂がつまらなそうに欠伸をした。
「だが、こっちの踏み込む時間は稼げる」
「白川流の剣技を見せようぞ!」
 側面に仁宇と暁恒が回り込んで双方から刀で斬り結ぶ。
「そうそう、少しは楽しませてくれないと殺すのもツマラナイ」
 両手で刀を受け止めた朱貂は二人を部屋の壁に向けて投げ飛ばした。
「ガキの遊びに付き合い続けるつもりはないんでな」
 更に緋沼が攻撃の手を緩めないために踏み込みと同時に<豪破斬撃>で斬りつける。
 フォースフィールドを破り闇剣「サタン」が朱貂の胸を斬り裂いた。
 流れる血を眺めた朱貂は掬い上げて、ペロリと舐める。
「やっぱり血は美味いな、お前の血もきっと最高に美味いんだろうな」
 朱貂は邪笑を浮かべ、後ろに下がって間合いを取った緋沼を眺めるのだった。

●逆転の一手
 朱貂と正面班が戦いあっている中、裏手班が到着して挟み撃ち状態となる。
「間断無く迫る、衝撃波‥‥致命傷にならずとも隙くらい作れるはず‥‥!」
 敵に気づかれる前にと源治がヤクシニーにも放った必殺の衝撃波を繰り出した。
「挟み撃ち‥‥そうか、ヤクシニーも死んだか」
 強力なフォースフィールドを展開して朱貂が源治の衝撃波を拳ひとつで受け止める。
「随分、頑丈なこと‥‥」
 ヤクシニーを一撃で弱らせた一撃を眉ひとつ動かすことなく受け止めた朱貂にシュブニグラスは背筋に冷たいものが流れていくのを感じた。
 だが、ダメ元でも『切り札』を持っていることがシュブニグラスの表情から余裕を奪わずにいる。
「もう一発、受けろッ!」
「馬鹿の一つ覚えか‥‥」
 源治が続けざまに衝撃波を放ち、朱貂がそれを鼻で笑って受け止めようとしていた。
 その瞬間、シュブニグラスは機械本「ダンタリオン」を起動させて<虚実空間>を使う。
 妨害電波が朱貂の周りに放たれると、展開されていた強化フォースフィールドが消え去った。
「なん‥‥だと!?」
 驚愕の表情をはじめて見せた朱貂は源治の放った2発目の衝撃波を全身に受ける。
 片膝をついて崩れかかったところへ、もう一発の源治からの衝撃波と<真燕貫突>を使った麻宮の死角からの連撃が朱貂へと叩き込まれた。
 覚醒状態となって鮮やかロングのブロンドヘアーをなびかせた麻宮のイオフィエルが朱貂に突き刺さり、逃げ場を失った体が衝撃波に当てられて吹き飛ぶ。
「終わった‥‥か?」
「ハハハハ、クハハハハ! 面白い! 面白いぞ!」
 倒れていた朱貂は立ち上がりながら笑い、闘気を何倍にも膨れ上がらせた。
 <限界突破>と呼ばれるバグアの切り札である。
「まだ‥‥なに!」
 立ち上がった相手に身構えようかと思った麻宮の目の前に既に朱貂がたどりつき、光る腕で喉元をつかんでいた。
 <メガギブライフ>で残り少ない練力を吸われ、覚醒反応がなくなった麻宮を蹴り飛ばすと次は源治の傍まで<瞬天速>のような技で迫り、同じように練力の吸収にかかりけり倒す。
 10秒とたたない間に能力者達は窮地に追い込まれた。
「仕方ないわ‥‥撤退よ」
『おい、ここまでされて逃げるっていうのかよ!』
「貴方、平良さんに泥を塗るつもり!? 今は次に繋げる時よっ」
 シュブニグラスの言葉に沖那が食いかかるが、シュブニグラスは冷静に返す。
 逃げ出すための、閃光手榴弾が投げ込まれた‥‥。
 
●長き戦いの決着
 だが、閃光手榴弾はすぐに爆発はしない。
 ピンを抜いて30秒後に爆発する仕組みのため、咄嗟に投げたところで爆発するわけがないのだ。
 さらに、朱貂は10秒くらいの時間があれば2人の能力者を重体に追い込めるだけの能力を発揮している。
「ここは仁宇が抑えます。皆様は撤退するなりしてくだされ!」
 どうするかと考える間に仁宇が先に<迅雷>で朱貂の前に踊り出て刃を向けた。
「どけよ、雑魚」
「雑魚だろうと、何だろうと、ここで多くの人を失うよりは最後まであがくのみ!」
 朱貂からカウンターの一撃を受けて倒れそうになるのを踏みとどまってたえている。
「このチャンスを逃すわけにはいかないわ! みんな、撤退から攻撃に変更よ!」
 シュブニグラスが<先見の目>を使い、仲間達を鼓舞した。
「ユウ、援護しろ。沖那‥‥奴を倒す資格があるのはお前だけだ。攻撃は止めてやる――行くぞっ」
「うん! 京夜おにーちゃん!」
 仁宇を援護するように緋沼が番天印を撃ち、ユウがロングボウに弾頭矢を番えて弧を描く射撃で朱貂の逃げ場を防いだ。
 南と暁恒がその間に倒れた源治と光を抱えて逃げる準備を進める。しかし、仁宇の横を抜けた朱貂の攻撃は鋭く、盾となった緋沼がその場に倒れた。
「無茶をする弟子だ、そんな育て方したつもりはないんだがな‥‥。無様でも生き足掻くのが俺の信条なんだが‥‥どうせお前さんも一切退く気は無ぇんだろ? なら、付き合うぜ」
『ああ、あっちだって無敵なんかじゃない‥‥ここで、決着をつけてやる!』
 得物を手に、朱貂目掛けて突入していくシン。二刀小太刀を光らせて沖那はAU−KVのホイールを回転させて突っ込んだ。
「俺が死ぬならお前も冥土の土産に連れて行ってやるっ!」
『死ぬのは、お前だけだぁぁぁっ!』
 朱貂と沖那二人の声が重なりあい刃と拳が交差する。
 AU−KVが砕け散り、沖那の右肩に突き刺さるが、沖那は左手を伸ばし朱貂の頭へ小太刀の刃を突き刺していた。
 赤黒い血が傷口からあふれ、朱貂はにやりと笑ったままその体をボロボロと崩していく‥‥。
 京都を荒らした鬼との戦いの幕は下りたのだった。

 ***

 この10人の能力者達は『鬼狩りの猛者』として平良・磨理那(gz0056)より、受勲と共に褒賞を受ける。
 半年に渡った京都市の戦いは決着を迎え、復興へと動き出した。
 京都の新年を明るく迎えるために‥‥。